【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 あけましておめでとうございます。

 さあさあ、新年一発目の東方妖滅録。

 今回はコメディーパートです。



 それでは前回のあらすじ

 最近、ルーミアの態度がおかしい。



 それではどうぞ!


第34話 詰みです

side黒葉

 

 今は授業中だ。慧音先生が黒板の前に立ち、歴史の授業をしてくれている。

 慧音先生の授業はとても分かりやすいから俺としてはかなり気に入っていて、集中して授業を受けている。というか、この教室のほとんどの人が真面目に授業を受けているといえるだろう。

 だが、その中でただ一人、真面目に授業を受けていないヤツが––

 

「見てみて大ちゃん。カエル!」

「ち、チルノちゃん。怒られちゃうよ」

 

 授業中にカエルを氷漬けにして遊んでいるバカが居た。

 隣にいる大妖精が注意してやめさせようとしているが、聞く耳を持っていない様子。いつもこんな調子だ。

 

「ちーるーのー」

「へ? がふっ!」

 

 慧音先生は額に青筋を浮かべながらチルノの両肩をつかむと、思いっきり頭突きをかました。

 それによってチルノは額を抑えながら床に倒れこむ。チルノ、慧音先生の頭突きの前に散る。

 これはいつもの光景なので、いまさら気にする人はいないものの、大妖精だけは心配してチルノに駆け寄って声をかける。これもいつもの光景だ。

 最初の頃はさすがに驚いたものの、今となっては俺も全く動じなくなっていた。

 

 それにしても慧音先生の頭突きは痛そうだから絶対に食らいたくないものだ。

 

「さて、みんな。そろそろ宿題を回収するぞ!」

「げっ」

「なんだ、黒葉。やけにいやそうじゃないか」

 

 そういえば昨日、宿題を配られていたことをすっかり忘れていた。

 学習カバンの中には一切手を付けられていない新品の宿題プリントが。それを見て俺は青ざめてしまった。

 

「先生! 宿題を忘れてしまいました!」

 

 一人、馬鹿正直な奴が宿題を忘れてしまったことを白状した。

 正直、この後の展開は未来を予知できる奴じゃなくても容易に想像できた。

 

「がふっ!」

「もう宿題を忘れてくるなよ」

 

 馬鹿正直な奴は悶絶しながら床に沈んでいった。そう、いつもの頭突きだ。

 宿題を忘れると頭突きをされてしまう。そして宿題忘れを素直に申告しなければもっと威力のある頭突きを食らわせられる。

 そのため、あいつは即座に素直に申告したのだろう。あとになればなるほど威力が上がってしまうからである。そして一人目、二人目となる度に威力を上げるのだ。

 つまり、あいつは裏切り者だ。

 

(悪いな。これも人生ってやつだ)

(この裏切り者が)

 

 あんまり関わったことのないやつからの裏切りに絶望感も強い。

 二人目からは悶絶じゃ済まないほどの威力になると有名だ。一人目は悶絶、二人目は普通に気絶をしてしまう。

 絶対に食らうことは避けたい!

 

「さて、黒葉。お前も何か言いたそうじゃないか。どうした? ルーミアとイチャイチャしていて忘れたのか?」

「ははは、そんなこと……あるわけないじゃないですか。それにイチャイチャはしていませんが!?」

「そんなことはどうでもいい。早く白状した方が身のためだぞ」

 

 二人目からすでに身の危険があるので嫌です! とはさすがに言えない。

 どうにかしてこの場を切り抜けなければ。

 すると隣の席に座っているルーミアが机の下で俺の足をちょんちょんと突いてきた。

 見てみると手にはすべて記入済みの宿題が握られていた。どうやらルーミアは俺を助けてくれるつもりらしい。だが、慧音先生がこっちを凝視しているこの状況でどうすればいいんだよ。

 

「そうだな……じゃあまずは黒葉の宿題から回収するか」

 

 ゆっくりとこっちへと歩みを進めてくる慧音先生。俺にはその姿が死刑執行人に見えて仕方がなかった。

 万事休すか……そう思った時だった。

 

「せんせー! 宿題忘れました!」

 

 弾かれるように全員が驚愕の表情で声のした方向を見た。

 そこには何も考えていなさそうな氷のバカが居た。

 わざわざ立ち上がって声を大にして宿題を忘れてしまった宣言をした。さらにはなぜかどや顔をしている。

 この時、この場にいる全員が思ったことだろう。

 

 ––あ、こいつ救いようのない馬鹿だ。

 

「まぁ、宿題なんて面倒くさいもの、絶対にやりたくないので忘れたというよりもやらなかったが正しい」

 

 おぉチルノよ。お前はどうしてそこまで馬鹿なのだ。

 なぜか誇らしげにどや顔をし、さらには火に油を注ぐような発言までしてしまっている。

 チルノ、お前は馬鹿だったが嫌いではなかったぞ。来世では幸せに生きることができるといいな。

 

 慧音先生はゆっくりと肩をわなわなと振るわせながらチルノに近づいていく。

 それを見てみんな席をチルノから離して距離を置き始めた。

 いつもはチルノを心配して一番にかばっている大妖精も苦笑いを浮かべてチルノから距離を置いた。

 

「え? みんな、どうして離れるの? なんで慧音先生、そんな怖い笑みを浮かべて近づいてくるの? ねぇ、怖いよ慧音先生。ねぇ、なんで肩をつかんでいるの? うそ、嘘だよね!? ちょ、ま! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 チルノ、あいつは勇者だった。目の前で名も知らぬ裏切り者が地面に沈んでいったのを見たばかりだというのに馬鹿正直に宿題忘れたと公言してさらには火に油を注ぐような発言を繰り返した。

 大妖精は苦笑いしながら自身の宿題を手に持っている。おそらくルーミアと同じことをしようとしたのだろう。だが、あいつが馬鹿だった。そこが俺たちとチルノの分かれ目だ。

 今日、この日、チルノの悲鳴が寺子屋近辺に響き渡ったという。

 

「で、黒葉。お前はどうなんだ?」

 

 泡を吹いて気絶しているチルノを床に寝かせ、俺の方に再度向かってくる慧音先生。

 だが、俺はチルノ程馬鹿じゃない。

 

「もちろんやっているに決まっているじゃないですか~宿題忘れるなんてありえないっすよ」

 

 俺は得意げにすべて記入された宿題を慧音先生に見せつける。

 俺は馬鹿じゃない。チルノが犠牲になっている間に俺はルーミアに宿題を見せてもらって音速ですべてを書き写したのだ。俺の作戦は完璧だった。

 悪いなチルノ。俺はお前を踏み台にしてさらなる高みへ進む。お前の犠牲は無駄にはしない。

 

「おい、黒葉。お前、ここ間違えているぞ」

「え?」

「ルーミア、お前も見せてみろ」

「い、いや、ちょ!」

 

 渋るルーミアから宿題を取り上げて俺の宿題とルーミアの宿題を見比べる慧音先生。

 そして少し見比べると徐に俺とルーミアの机に宿題を置き、俺たちに向かって笑顔を浮かべる慧音先生。その笑顔は全く笑っておらず、先ほどチルノの時に見せた笑み、そのままだった。

 あ、これは詰みです。

 

「ルーミア、お前も共犯か?」

「ち、違います! 俺が見せろといったから彼女は見せてくれただけであってルーミアは何も悪くありません!」

「違うよ! 私が黒葉に無理やりやらせたのだ~! それに宿題を忘れたのだって、私が宿題をする時間を与えなかったのが悪いのだ~っ!」

「いえ、俺が!」

「いや、私が!」

「どっちでもいいわ! ちょっと二人ともついて来い!」

 

 そういうと俺とルーミアの服の襟をつかむと引きずって別室に連れていかれる。

 最後に見たクラスメイト達は皆、敬礼してまるで戦地に俺たちを送り出すかのような表情をしていた。

 

「ぐああああああ!」

「いやあぁぁぁぁ!」

 

 この日、黒葉とルーミアの悲鳴も響き渡ったとさ。




 はい!第34話終了

 今、無意識の恋の方がかなり暗い展開が続いていますのでこっちではコメディーパートをやってもいいですよね。

 新年一発目の東方妖滅録はいかがでしたでしょうか?

 面白かったなら幸いです。

 それでは!

 さようなら
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