【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉たちが昼飯を食べていると庭で一人寂しく弁当を食べている女の子を発見する。

 その女の子は以前、森で妖怪に襲われていた女の子だった。

 そのことをきっかけに女の子は妖怪恐怖症になってしまい、黒葉に怯える。

 そのことを知った黒葉は森には妖怪が出るから気を付けてと忠告だけをしてその場を去った。



 それではどうぞ!


第36話 もしも妖怪だったのなら

side黒葉

 

 あれから数日が経った。

 未だにゲンに関する新しいことは何一つなく、あの日の事が嘘のように平和な日々を過ごしていた。

 俺はというと今日は寺子屋が休みだから紅魔館で手伝いだ。今日も今日とて窓ふきをしていた。そしてその様子をいつも通りに見ているルーミア。本当にこんなの見ていて楽しいのかとは思うけども、本人は楽しいと言っているので気にしないことにしている。

 

「黒葉、お昼を持ってきたわよ」

「あ、ありがとうございます」

「ルーミア、あなたの事も考えて多めに作ってきたから、遠慮しないで食べてね」

「あ、ありがと~」

 

 師匠は手伝い中の俺によく弁当を持ってきてくれる。

 ルーミアがよく遊びに来るまでは俺は一人でベランダで食べたり、たまに師匠と食べたりしていたのだが、最近はほぼ毎日遊びに来るので、師匠も気を使ってルーミアの分も多めに作って渡してくれるのだ。

 最近は寺子屋の無い日も毎日昼飯を一緒に食べている気がするよ。

 

 師匠から弁当箱を受け取るといつものベランダへと向かう。

 ここは吸血鬼の館だからかベランダも普通のベランダよりも屋根が広く、ベランダの中には一切の直射日光が入り込まない仕様となっている。

 姉貴は昼間は寝ていることが多いが、たまに昼間でもこのベランダでティータイムを楽しんでいるのをよく見かける。

 

「ん~」

 

 焼いた肉を口に入れると顔を綻ばせるルーミア。

 それを見てやっぱり女の子は笑った顔が可愛いなと思う。

 

「そういえば黒葉は料理とかするのか~?」

「料理か……そういやしばらくやっていないな」

 

 この紅魔館で俺が任せられる仕事と言ったら窓ふきのみ。料理はこの紅魔館へやってきてからはいつも師匠が作ってくれていたから料理はしばらくしていない。

 前の人里にいたときは毎日料理をしていたが、今となっては全然していないので今、いきなり料理をしようとしてもできるかどうかわからない。

 

「俺の姉ちゃんは家事が全くできなかったから俺が家事全般をしていた。まぁ、その代わりに姉ちゃんは里で一位二位を争うほどの剣の腕で、強かったから俺の事を守ってくれていたんだけどな」

「そうだったのか……」

 

 ルーミアの元気がなくなっていく。

 姉ちゃんの話は以前にルーミアにしているので、そのことを思い出したのだろう。妖怪によって姉ちゃんが殺されてしまったという事実。

 ルーミアは他人にものすごく感情移入をするタイプらしい。

 

「ねぇ、黒葉。もしも私が妖怪だって言ったら、どうする?」

「え? 妖怪?」

 

 俺はその問いに困惑してしまった。

 ルーミアの事は今まで人間として接してきた。確かにこの幻想郷には人間と酷似した姿の妖怪など探せばいくらでもいる。だが、ルーミアは妖怪に襲われていたというのもあって人間として接してきた。

 だが、突然妖怪だという言葉に俺は動揺が隠しきれなかった。

 

 ルーミアが不安げな表情で見つめてくる。

 妖怪は全て斬ると誓っている。だが、ルーミアは俺の中のいい友達で、困ったときには助けてくれて……そんなルーミアが妖怪だったからって俺は刀を抜くことができるのか? 妖怪だということで切り捨てることができるのか?

 俺が俺の中で葛藤をしていると「あははは」とルーミアが声を上げて笑い始めた。

 

「冗談だよ冗談。ちょっと暗い雰囲気になっちゃったから黒葉をからかっただけだよ」

「な、なんだ……冗談だったのか」

「ごめんごめん」

 

 本当に質の悪い冗談だ。

 ちょっと本気で考えてしまった。ルーミアの思うつぼだったというわけか。

 

「さーて、早く食べないと私がすべて食べつくしちゃうのだ~」

「あ、ちょっとは俺の分も残してくれよ」

 

 俺たちはひとしきり笑った後、弁当の残りを食べる。

 だが、その時の表情はいつも、師匠の弁当を食べているときと違うよく見る無の表情そのものだった。

 俺は少し不思議に思いながらもすぐに食べ終わって掃除の続きをするのだった。

 


 

side三人称

 

 ルーミアは帰ろうと紅魔館内を歩いていた。その表情はとても暗いもので、いつもの明るい表情の彼女からは想像もつかないほどだ。

 その時の事だった。ルーミアの前方から一人の女性が歩いてきた。その人物はあの普段は図書館から一切動かないことで有名なパチュリー・ノーレッジだった。

 

「よく頑張るわね。常闇の妖怪」

「お、お前は……」

「そろそろ人間の血肉が欲しくなってきたころなんじゃない?」

 

 黒葉以外のみんなはルーミアの正体に気が付いている。

 その正体とは常闇の妖怪。黒葉が最も憎んでいる人食い妖怪の一体だ。

 黒葉と出会ったあの日だって本当は人間を求めてさ迷っていたところを偶然黒葉に遭遇し、その後、妖怪に襲われてしまったのだ。

 

 だが、そんなルーミアだが、黒葉と出会ってからは人を口にしていない。すべて人間も食べるもののみで食事を済ませている。だが、常闇の妖怪であるルーミアが一番欲しているのは人間の血肉。それが無ければ何を食べても満たされることはない。

 味に関しても人間の血肉に勝るものは何一つない。だが、咲夜の料理だけは少し気に入っている。

 そして黒葉の隣にいたいがために、ルーミアは人間を食べるということはしていない。

 

「必要ない! 私はもう人間の血肉は口にしないのだ!」

「ふーん。だけど、その強がりがいつまでもつかしらね。妖怪の本能はとても恐ろしいわよ。それに、今は理性が保てているかもしれないけど、確実に人食い妖怪であるあなたには普通の料理じゃ味もそんなにおいしいと感じないでしょうし、おなかが満たされることもない。飢餓状態に陥って暴走する危険性もあるわよ」

「っ!」

 

 確かにルーミアには心当たりがあった。

 最初の頃は普通の料理で満足していたが、最近は味をあまり感じなくなってきて、全く満腹になることが無い。

 そして人間を目の前にするととてつもなくおなかが空くようになってしまったのだ。

 

「黒葉も半分人間の血が入っているもの、いずれは黒葉の事も捕食対象としてみることになるかもしれないわね」

「さようなら」

 

 ルーミアはそんなパチュリーの言葉を聞き流して紅魔館を後にした。

 そんなルーミアの姿を見てパチュリーはため息をついた。

 果たしてルーミアは食人衝動を抑えることができるのか?




 はい!第36話終了

 ルーミアは黒葉の為に人を食べることを絶っていたんですね。

 果たしてルーミアの運命は?

 そしてもし、ルーミアが人食い妖怪だと黒葉にばれてしまった場合、黒葉はどうするのでしょうか?

 それでは!

 さようなら
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