【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉対大男。黒葉は何とか食らいつくものの、大男の圧倒的な力の前にダウンしてしまう。

 果たして黒葉は大男に勝つことができるのか?



 それではどうぞ!


第41話 妖怪が憎い

side黒葉

 

「へへ、そう簡単に死んでやるかよ」

 

 俺は何とか刀を杖代わりにしてルーミアを背にかばうようにして立ち上がり、大男の事をにらみつける。

 さすがは吸血鬼の肉体だ。もう腕の痛みはないが、体中に激痛が走っていて、正直もう立っているだけでいっぱいいっぱいだ。

 だけど、俺がここで引いたらルーミアが殺されてしまう。

 

「はぁ……まだあきらめねぇのか」

「当たり前だ。あきらめねぇ理由ならあるけど、俺には諦める理由はねぇ。敵が強いからって敵前逃亡して大切なものを失うくらいなら俺は自決する!」

 

 俺は本気だということを示すために首に刀をあてがってニヤッと口元をゆがめた。すると大男はこいつ正気か? とでも言いたげな表情で俺の事を見てきた。

 後ろからルーミアが心配そうな目で俺の事を見てきているのが分かる。

 刀を再度構えると俺は大男を見据えた。

 

 俺は霊力操作が苦手過ぎる。そのせいで吸血鬼として満足に戦えずにいる。だけど、だけど、もう大切なものを失いたくないから、もうあんな思いはしたくないから。だから俺は––

 

「行くぞ!」

 

 刀を構えると俺は大男に向かって駆け出した。大男も斧を構えて俺の事を迎え撃つ体制に入っている。

 姉ちゃんの戦いを思い出すんだ。俺はよく姉ちゃんの剣術大会を見に行っては戦い方をよく研究していた。そこでたどり着いた結論は姉ちゃんも霊力操作が苦手だということだ。

 だけど、姉ちゃんは里で二番目に強いとまで言われるほどになっていた。それはどういうことか、霊力の扱い方をわかっていたからだ。

 霊力を操れるのと霊力を扱えるのでは全然意味が違ってくる。だから、俺も俺で霊力操作が苦手なりに霊力を最大限に活きる方法で操ってみようと思う。

 

「っ!」

 

 ––黒葉、霊力っていうのはね、心なんだよ。誰かを守りたいという気持ちが霊力を強くする。決して折れない芯をもっていつか、大切な人ができたときは守ってあげて。

 

 地面を勢いよく蹴る、その瞬間に俺は足に霊力を込め、最大限の力で地面を蹴って駆け出した。

 簡単なようで簡単じゃない、そして誰もができるようで誰もができるわけじゃないこと。これが疾風の白愛の力。

 

「なっ!」

 

 脚力を上げた俺は大男が反応しきれないほどの速度で懐に入り込むことに成功した。

 常に足に霊力を込めるんじゃだめなんだ。踏み出す一瞬にのみ全力の霊力を込めることで最大限の力が発揮され、より強力な効果となる。

 

「業火一閃!」

「ぐっ!」

 

 咄嗟に籠手で受け止めてきた大男だったが、俺のスピードも合わせた斬撃の威力に耐え切れずにぶっ飛ばされていく。

 今度は刀に霊力を込めると、そのまま大男が飛んで行った方へと刀を振って霊力斬を飛ばす。だが、こんなもので大男がやられるとは思えない。

 俺は次の攻撃に備えて刀を構えた。その直後だった。突然頭に強い衝撃が走ったと思ったら視界が歪んでふらふらして立っていられなくなってしまった俺はその場に倒れこんでしまった。

 

 あれ、どうして俺は地面に倒れているんだ?

 

「黒葉!」

 

 ルーミアの声が聞こえる。

 何とか力を振り絞って後ろを振り返る。するとそこにはさっきぶっ飛ばしたはずの大男が居た。こっちに走ってきたのも見ていないし、飛び出してきたのも見ていない。だというのになぜかここにいる大男に俺は笑うしかなかった。

 体が重い。起き上がれない。今すぐにでも反撃しないといけないのになぜか体が動かない。

 

「俺の能力は重力を操る程度の能力だ。光の重力を操って俺が見えないようにした。そして今お前が起き上がれないのは単純に俺が能力を発動している間は近づけば近づくほど重力が強くなるからだ」

 

 なるほど、道理でゼロ距離にいる俺が立ち上がることすら叶わないわけだ。なにせここはこいつの最大の重力地。体にかなりの重力が襲い掛かってきている。そんな中で起き上がれるはずがない。

 

「く、はぁ……はぁ……」

「お前、吸血鬼の癖に弱いな」

「くっ!」

 

 霊力が枯渇してきた。妖怪としての歴が浅い俺では妖力は少量しかない。こんな妖力ではこいつを倒すことなど夢のまた夢だろう。

 大男は俺の真横にしゃがんで頬をポリポリと掻く。

 どういうことだ。なぜすぐに殺さない。今の俺だったらいともたやすく殺すことができるだろう。

 

「お前、人間の血が入ってるな。吸血鬼にされたって言ったところか。かわいそうな奴だ。だが、人を襲う可能性のある妖怪は生かしてはおけないんだ。それにしても、なぜあいつをかばう。お前は無理やり妖怪にされたのだろう。妖怪はにくくないのか? あの小娘は妖怪だぞ」

「んなもん、わかってんだよ!」

「っ!」

 

 んなもん分かってんだよ。最初から……。

 確かに出会った当時は気が付いていなかった。だが、俺たちはずっと一緒に居たし、ルーミアが変な気配を纏っていることにも気が付いていた。

 そもそもとしてあの時間にあの場所に子供一人でいることがおかしいんだ。これは最近になって気が付いたが、あんな時間に一人で森をさまよったら危険だということは幼児でもわかることだ。

 そして最近になって奇妙な質問をしてくるようになった。それは俺が妖怪の事が嫌いだということが発覚してからだ。おそらく不安だったんだろう。俺たちはせっかく友達になったのに、妖怪だからとその絆が壊れてしまうんじゃないかって。それは俺も同じだった。感づいていたけど、そこには深くは触れることはできなかった。

 

「確かに俺は妖怪が憎い! 吸血鬼にも無理やりされた! 今でも妖怪すべてを殺したいという気持ちは変わりない」

「ならば、どうしてそいつをかばう」

「……友達だから」

「こく……ば」

 

 少し恥ずかしい言葉だったが、どうして俺がルーミアの事をかばうのかと聞かれたらこれ以上の回答はない。誰だって大切な友達が困ったり苦しんでいたら助けたくなる。それがたとえ憎んでいる妖怪だとしても。

 そして俺は実際にルーミアに何かをされたわけじゃない。妖怪だというだけで苦しんでいる親友を見捨てる理由にはならない。

 

「甘い。甘すぎるぞ。妖怪は全て死ぬことこそ、この世の平和! 貴様はそんなに甘いからこうして弱いままなんだ! さぁ、妖怪が憎いだろ! 殺せ! そこに居る妖怪を殺してしまえ!」

「はぁ? 何言ってるんだお前。頭沸いているのか?」

「なっ!」

「俺はルーミアのことが好きだ」

「っ!」

「そいつは憎んでいる妖怪なのだぞ! 放っておけばこれから多くの犠牲者が出るかもしれないんだぞ!」

「俺は十歳だからわかりませ~ん」

「こいつ!」

 

 ルーミアは俺にとてもよくしてくれる。正直、あのグループに入れたのはルーミアのおかげといっても過言ではないだろう。

 どうやら俺はまわりの妖怪たちに心を溶かされてしまったらしい。

 

「ところで、そんなに近づいていいのか?」

「どういう––がっ!」

 

 俺は拳に霊力を込めて力いっぱい大男の顔面を殴り飛ばした。それによって俺から大男が離れたことによって能力が解除されて自由に動けるようになった。

 とんでもない重力にさらされていたせいか、ものすごく体が痛い。重力がものすごい中、無理やりに腕を動かしたせいで腕の筋肉がものすごく痛い。どうやら筋肉に負荷がかかりすぎて断裂しかけているようだ。

 だけど、そんな痛みなんて関係ない。俺が俺であるために戦う。それだけだ。

 

 ––そう、それでこそ私の弟。

 

「俺は、十歳だから! そういう複雑なのはわからないし、自分が守りたいと思うから! だからルーミアを守る! だってルーミアは俺の大切な人だから!」




 はい!第41話終了

 俺は十歳だからわかりませ~ん。名言というか迷言ですね。

 流れでおそらく大体の方はわかっていたと思いますが、黒葉は少年です。

 見た目年齢だけで言ったらルーミア達と大して変わりません。

 一対一の戦いってやっぱり話を膨らませにくいんですよね。少し大変でしたが、話を膨らませるのを頑張ってみました。

 その結果出てきたのが「俺は十歳だからわかりませ~ん」なんですけどね。

 それでは!

 さようなら
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