それでは前回のあらすじ
なんとか白愛の戦い方を思い出して大男に一撃を与える黒葉だったが、大男の奇襲によって倒れてしまう。
大男の能力によって重力が強くなり、動けなくなる黒葉だったが、不意を突いて大男を殴り飛ばすことに成功する。
果たして黒葉はルーミアを守りきることができるのか?
それではどうぞ!
side黒葉
ふらふらとしながら俺は何とか立ち上がって刀を構えた。
正直もう、限界が近づいてきていた。全身が痛いし、霊力が枯渇してしまっている。だけど、そんなことは関係ない。俺はルーミアを守るために何度だって立ち上がるだけだ。
「こ、黒葉! もうやめて……私のために黒葉が傷つく姿をもう見たくない!」
「ルーミア……」
ルーミアは責任感が強い子なのだろう。だからこそ、こうして悩みを自分一人で抱えて、そして苦しんで俺のもとを離れるという結論を出したのだ。
……大バカ者だ。そしてそれに気が付かない俺も大バカ者だ。
おそらく今の俺の状態じゃあいつを倒すことはできないだろう。そして俺たちは二人とも皆殺しにされてしまう。正直、ルーミアだけにでも生きてほしいから逃がしたいのだが、責任感が強いルーミアはそんな選択は断固拒否をしてしまうだろう。
これが大バカ者同士の末路ということか。
本来はあそこで、あの場所で俺は死ぬはずだったんだ。あそこで俺が死んでいればこんなことにはならなくて済んだかもしれないんだ。俺は死んでしまった方がよかったのかもしれない。
だが、
レミリアが俺を吸血鬼にした理由はなんだ? 本当にただの気まぐれなのか? なにかの意図があるんだとしたらそれは何だ? 俺には何があるんだ?
「あー、今のは効いた」
もう起き上がってきたようだ。
大斧を片手に大男は頭をポリポリと掻きながら歩いてくる。今の一撃はそんなに堪えてはいなかったようだ。それもそうだ、俺は今霊力が枯渇してしまっていてインパクトが使用できなかった。
絶体絶命の大ピンチという言葉はこういう時のために作られた言葉なのだろう。
「はぁ……はぁ……くっ!」
何とか立ってはいるが正直もうきつい。限界が近い。
どうするどうする。どうすれば俺は奴を退けることができる?
「どうやらお前は残して置いたら危険らしい。この戦いの中で成長している。お前の力が弱いんで加減をしていたが、やめだやめ。次の一撃でお前を葬ってやる!」
「へ、出来るものならやってみな!」
その瞬間、俺と大男の間には少し距離があるというのに、俺はものすごい重力に襲われた。ルーミアもそれは同じだったようで、すぐにルーミアは膝をついてしまった。
俺はまた守れないのか? 大切な人を失う悲しみをもう一度味わうのか?
それだけは我慢ができない。
絶対にルーミアを殺させたりはしないっ!
––
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「なっ! 冷気が!」
「黒……葉?」
気合を込めたその瞬間、俺たちの周囲が吹雪き始めた。
それは幻覚でもなんでもなく、肌に触れたら実際に冷たく、そしてとてつもない冷気を放っていた。
そしてこの雪に反応して姉ちゃんの形見である刀、吹雪の模様が光始める。この刀はおそらく姉ちゃんの能力を最大限にまで高めるために作られた刀だ。雪が周囲にあればこの刀はより鋭く、より強力なものへと進化を遂げる。
姉ちゃんは能力を使用して雪を降らせていた。だからこの刀と相性が良かった。
どうして夏場である今、雪が降りだしたのか、それは全く見当もつかないが、好機なことには違いない。
見せてやる。この吹雪の力を!
「これが俺が知りうる最強の技だ! 《吹雪》!」
俺が刀を振った瞬間、刀が周囲の雪に反応して雪を纏って氷の斬撃を飛ばし始めた。そしてそれと同時に暴風にも似た吹雪が周囲に吹き荒れ始めた。
大男は思わず後ずさってしまったが、俺はそれを許さない。
今ならば、姉ちゃんの技を使える気がする。
「《
俺は回転しながら刀を振り、周囲の雪を巻き込んで円形の雪の斬撃を作り出した。
刀を上へ構えるとそれに伴い、雪の斬撃は上昇し、俺は勢いよく刀を振り下ろした。それと同時に雪の斬撃も勢いよく回転しながら大男へと襲い掛かり始めた。
「お前のその力は何なんだ! ぐっ!」
何とか雪の斬撃を斧で受け止めるものの、周囲を漂う氷の斬撃を止める術を無くし、もろに斬撃を受けて徐々に体が凍り付いていく。
これが姉ちゃんの技、姉ちゃんの雪女として技だ。
「くそ、が……」
ついに大男は氷の斬撃の前にその場に倒れこんだ。
倒れたことによって雪の斬撃は大男の上を通過して飛んでいく。
どうやら体の一部が凍ってしまっているようだ。そしてこの冷気とこの斬撃に耐え切れなくなってしまったらしい。
大男が倒れたのを見て俺は安堵したのか力が抜けてしまい、後ろに倒れこんでしまった。
今が夏だからだろうか。先ほどまで吹き荒れていたのに一瞬で雪が溶けてなくなってしまった。
「おつかれさま……あ、ありがとうね。いろいろと」
「あ? まぁ……な」
ルーミアが俺の顔を覗き込んで優しく微笑んでくれる。俺はルーミアを守れたんだ。そう思うと自然と笑みがこぼれてきてしまう。
そこで俺は気を失ってしまった。
気を失う直前に額に何か柔らかい感触があった。
はい!第42話終了
この戦いは黒葉の勝利で幕を閉じました。
結局あっけない終わり方だったとは思いますが、白愛の技が強力なので仕方がないですね。
そして
それでは!
さようなら