【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉はルーミアに自分の血を飲むことを提案する。

 だが、ルーミアはあまり気が進まないようで、レミリアから貰った食用の血液を飲んでみるも、あんまりエネルギーを吸収することが出来なかった。

 ルーミアは決意し、黒葉の血を飲むことに。

 黒葉の血を飲んだことによってエネルギーが回復したルーミアであったが、そのシーンをフランに見られてしまい、抱き合っていると勘違いされてしまう。

 脱兎のごとく逃げ出したフランを追いかける黒葉。

 果たして黒葉はフランの誤解を解くことができるのか?



 それではどうぞ!


第46話 犯罪者はみんな最初はそう言う

side黒葉

 

「待って!」

「な、なんで追ってくるのよー!」

 

 必死に追いかける俺、そしてそんな俺から必死に逃げるフランドール。

 旗から見たら俺が幼い見た目の少女であるフランドールを追いかけ回していると言う危険な絵面である。

 

 フランドールはよくわからないが、俺とルーミアについての何かに重大な勘違いをしているような気がするのでとにかく急いで誤解を解かなければ大変なことになってしまう気がする。

 いや、フランドールはそこまで他人と関わることはないから放置していても問題はないだろうが、俺が今後、フランドールと顔を会わせにくくなってしまう。

 

「誤解なんだよ!」

「何が誤解なのよ! あんなに抱き合って仲良さそうにして、見つめ会ったりなんかしちゃって!」

「ひ、否定はしないけど……でも、フランドールが思っているようなことじゃないんだよ!」

「べ、別に誤魔化したりとかしなくてもいいからー! 大丈夫だから! 誰にも言わないから!」

「誤魔化してなんかいないんだ!」

 

 俺がいくら否定しようともフランドールは足を止める気配すら見せない。

 このまま逃げ続けられても、俺の体力じゃフランドールに追い付くことができないからどうしたものか、そう考えていると、前のほうから覚えのある霊力を感じた。

 この神々しい霊力を再びこの紅魔館内で感じることになるとは思わなかったけど、フランドールももしかしたらこの霊力に怯えて止まってくれるかもしれない。

 

 やがて曲がり角の先からこの神々しい霊力の持ち主が姿を表した。

 その人物は当然、博麗の巫女、博麗霊夢だった。

 

「あら、二人ともどうしたの?」

「霊夢、助けてぇ。黒葉に襲われる!」

「げっ!」

「あんたら…………なにやってんのよ……」

 

 突然フランドールが裏切ってきたことによって博麗様は俺にお払い棒を向けてきた。

 すぐさま俺はその場で立ち止まって両手をあげる。しかし、その間にフランドールは博麗様の真横を素通りして逃げていってしまった。

 まさか二人が知り合いだったなんて予想外過ぎる。フランドールは引きこもっているから知り合いはあんまりいないはずなのに……。

 

「は、博麗様! 誤解です。誤解なんです!」

「犯罪者はみんな最初はそう言うのよ」

 

 異変の主犯とかじゃなくて犯罪者扱いなんだな。

 そりゃそうだよな! 嫌がっている女の子を追い回していたらそりゃ犯罪だよな! わかる、わかるけど少しは俺の言い分を聞いてくれたっていいじゃないですか博麗様!

 これで博麗様にお祓い棒を向けられたのは二回目だな。博麗様の強さは間近で何回も見たことがあるから今絶賛、命の危険を感じ取っています。

 

「は、博麗様ってフランドールと知り合いだったんですね」

「ん? まぁ、昔ちょっとね。って、あんたはぐらかそうとしているでしょ」

 

 博麗様は勘がいいことで有名な方だ。そう簡単にはぐらかすことはできないか。

 

「……」

 

 あの事を言ってもいいものなのだろうか。

 博麗様はとても警戒心が強い人だから、ルーミアが人食い妖怪で俺と知り合ってから今までずっと人を食べていなくてエネルギーが底を尽きかけて理性が限界に達していたから俺の血を吸わせていたなんてことを言ったら、そんな危険分子は早めに退治しておくに限ると言ってルーミアを退治しに行ったりとかはしないだろうか。

 いや、最近の博麗様は初めて会った頃よりは丸くなったから大丈夫そうっちゃ大丈夫そうだが……。

 

「な、なによ。私の顔に何かついているかしら?」

「そ、そういうわけではありません」

「じゃあ、なによ」

「……えっと、怒りませんか?」

「よくわからないのだけど、話を聞くだけは聞いてあげるわ」

 

 そういうとようやく博麗様はお祓い棒を下ろしてくれた。今まではおそらく問答無用で俺に攻撃をしてきたのだが、このお祓い棒を下ろしてくれたのが博麗様も変わったという証拠なのではないだろうか。

 それにしても、どう話したものか……。このまま正直に言ってもいいものだろうか……変わったといっても博麗様は博麗様なわけで、この幻想郷の平和を守らなければいけない立場にいるから妖怪は許してはいけない、悪さをするならば退治しなければいけないから言った瞬間、ルーミアを退治してしまいそうな気がしてならない。

 

「って、黒葉。あんた、その首の傷はどうしたのよ」

「え? あ」

 

 そういえばルーミアに噛まれてすぐにフランドールに見つかったからあわてて部屋を飛び出したけど、まだこの傷は治っていないんだった。

 この傷を見られてしまったからにはもう博麗様には誤魔化しは通用しないだろう。これはむしろ正直に言った方が後の事が怖くない。もしルーミアを退治しようとするなら全力で阻止するし、ルーミアが人を食らった時には俺が責任を取る覚悟はできている。

 

「実は、ルーミアは人食い妖怪なんですが」

「あぁ、あの金髪のいつもあんたと一緒に居る子ね。それは知っているわ。血の臭いはするし、妖力をものすごく感じる。それも強大な。むしろあんたがなんであの子と一緒に居るのかが知りたいわ。レミリアの話だとあんた、妖怪をものすごく嫌っているそうじゃない」

「いや、まぁ……そうなんですが」

 

 っていうか、博麗様にはルーミアが妖怪だって気づかれてしまっていたのか。

 まぁ、そうだよな。博麗様はこれまで幾度となく妖怪と対峙してきたんだから、妖怪の気配に敏感になっていても全く不思議ではない。

 つまり、博麗様はルーミアをいくらでも退治する機会はあったし、人食い妖怪がエネルギー切れになるとまずいっていうのも知っているうえで、ルーミアの事を放置してくれていたんだ。

 何を考えて博麗様がそんな風に対応してくれているのかが分からないけど、このやり取りで何となく博麗様はルーミアに手を出すことはしないだろうなっていう妙に確信に近い自信が芽生えた。

 

「俺、なんていうんでしょうか。ルーミアの近くにいるとなんだか心臓がドキドキしてきて、吸血鬼になって体温が低くなったというのに、なんだかものすごく熱くなって……って、そんなことはどうでもいいんですけど!」

「ど、どうでもいいのね…………」

「博麗様も人食い妖怪について知っていると思いますが、奴らは人間を食べなければどんどんとエネルギーを消費して最終的には理性を無くして見境なく人を襲うようになってしまうそうです。そしてルーミアは俺と出会ってから一度も人間を食べていないらしいです」

「へぇ……あの子がねぇ……」

 

 今までそんなに感情を感じられないような微妙な表情で俺の事を見てきていたというのに、俺が話をした途端に博麗様は興味津々な目で俺の事を見てきた。

 どこがそんなに気になった部分なのかはわからないけど、どうやら博麗様に興味を持っていただけたようだ。

 そして俺は話を続けた。

 

「それで、そろそろ理性がヤバいということで……。姉貴は口が綿ごみの様に軽いので知っていると思いますが、俺は姉貴に吸血鬼にされたんですよ。だから、俺の中には人間の血と吸血鬼の血が混ざっているみたいで」

「なるほど、ルーミアの人食い妖怪としての本能が黒葉の人間の血の部分に反応しちゃったってことね」

「そうみたいです。だから、俺を襲わないように夜の森へと飛び出していってしまいまして」

「なるほどね」

 

 博麗様はまるで普通の人間の相談に乗っているかのように親身になって話を聞いてくれて、相槌を打ってくれるし、何より博麗の巫女として状況の把握能力に優れているからなのかはわからないけど、俺の話の理解が速い。

 相談相手としてはこれほど適切な人はいないだろう。だから、俺もものすごく話しやすい。

 

「俺が探しに行って、なんとか一緒に帰ってくることはできたんですけど、エネルギー補給の事をどうしようかって話になりまして。まぁ、結論から言いますと俺の血を飲ませることによって解決はしました」

「なるほどね。まぁ、あんたらしいと言えばあんたらしいわね。あんたは一般妖怪の様に他人に迷惑をかけるのは気が進まないって感じだものね」

「そういうことっすね。ただ、ルーミアに首筋を噛まれているところをフランドールに見られてしまいまして、フランドールの角度からは俺たちが抱き合っているように見えたみたいで」

「あー…………それで今に至るっていう感じね」

「そういうことです」

 

 博麗様は状況を把握し、何かを考えるようなしぐさを見せた後、小さくため息をついた。

 

「めんどくさいわね。これが修羅場っていうやつかしら。自分から首を突っ込んでおいてなんだけど、今回の件は私はパスしてもいいかしら」

「え、いいですけど」

「そこはお約束だとダメっていう場面だと思うのだけど……」

 

 俺が博麗様にそんな口を利ける立場じゃないというのはわかっているだろうに……。

 確かに今の俺は博麗様に守られるようなか弱い人間の立場じゃないかもしれないけど、昔から俺は博麗様はすごい人として教わってきていたから、その癖が抜けきらないんだよな。

 それに、今俺は下手したら退治される側にいるからそんなに強い物言いしていると陰陽玉でも飛んできて退治されそうで怖いというのが本音だ。昔は本当に弱い人間だったから強い不良に絡まれたりとかしたけど、結構心境的には同じだ。違う点があるとしたら博麗様は優しさがある––あれ? 優しさなんてあったっけ?

 

「まぁ、いいわ。あんたの邪魔をしちゃったのは私だしね。協力してあげるわ」

「あ、ありがとうございます!」

 

 突如、ものすごく頼もしい助っ人が増えた。




 はい!第46話終了

 久しぶりに霊夢が登場しました。それにしても霊夢は紅魔館に何しに来ていたのでしょうか?

 そして霊夢が黒葉の話に突然興味を示した意味とは!?

 それでは!

 さようなら
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