【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 紅魔館へ黒葉を追って夜襲しに来たゲン。

 しかし、紅魔館のみんなが黙って黒葉を殺させるわけがない。

 この場所には最凶の面々がそろっている。

 果たして今度こそ完全に決着をつけることができるのか?



 それではどうぞ!


第52話 ごめん/ありがとう

side黒葉

 

「俺を本気で倒すつもりなのか? くくく、片腹痛い!」

 

 ゲンは両の燃え盛る拳で地面を殴りつけると、そこを起点として次々と地面に割れが広がっていった。

 そしてその地面の割れからは真っ赤な光が漏れてきている。

 

 一瞬で俺は勘づき、前戦った時も一緒に居たルーミアも感づいたようだった。

 この攻撃は前の戦いのときもゲンが使おうとした大技だ。前回は博麗様の結界によって地面から炎が噴出されることはなかったが、今回は違う。

 今回の戦いには博麗様は居ない。俺たちだけで何とかしなければいけない。

 おそらくこの地割れは紅魔館全域に広がってしまっていることだろう。そうなるとこの紅魔館は消滅してしまう。

 

 姉貴はこの技の未来が見えたのか、表情に焦りが見える。さすがの姉貴でも結界のような技を使用することはできない。このままでは本当にこの紅魔館が消えてなくなってしまう。

 

「っ!」

 

 ––俺が何とかしないと。

 俺が攻撃をしてあいつにこの技の発動をやめさせないと!

 

 刀に妖力を込めてゲンに向けて振りぬくものの、俺の一撃では遅く、俺の攻撃が届くよりも早く炎が地面から登ってきた。

 間に合わないっ。

 

「業火《大地の崩壊》」

 

 姉貴たちもこの技を止める術を持ち合わせてはいない。

 もうダメか、そう思ったその時、踏み出したその足がぬかるんだ地面に若干埋まった。

 ぬかるんでいるということは地面が濡れているということだが、ここ数日は雨も降っていないのでぬかるんでいるのはおかしい。そう思ってよく見てみると、なんと割れた地面に薄く水の膜が張られていることに気が付いた。

 

 そして地面から吹き上げて来た炎はその水によって阻まれ、吹き上げてくることはなかった。まるであの時の再現のように、まるで博麗様の結界の様に吹き上げた炎を防いで見せた。

 だが、こんな技は姉貴でもフランドールでも使うことができないだろう。

 この紅魔館でこんな技を使える人物と言ったら一人しか思いつかない。

 技を使っているところを見たことはないけど、確信を持って言える。

 

「パチュリーっ!」

「全く……地熱で少し本が焦げちゃったじゃないの……。それにレミィやフラン、咲夜、美鈴までいるのに攻撃を止められないってどういうことよ」

 

 少し呆れた様子で紅魔館から出て来た人物は何度も俺の傷を治してくれたことがあるパチュリー・ノーレッジだった。

 おそらくこの水の膜はパチュリーの魔法だ。騒ぎを聞いてパチュリーなりに急いで来てくれたのだろう。

 ベストタイミングだ。

 

「水の膜だとぉ? 俺の技が水の膜に破れるというのか! この程度の水の膜に!」

「ただの水の膜じゃないわ。非常に頑丈な水の膜。針で突き刺しても中々破ることができないほどに強力な膜よ」

 

 試しに水の膜に触れてみると、触ったときの感触や手触りは風船のように伸縮してつるつるしているといった感じだが、風船と違って確かに破くことができる気がしなかった。

 伸縮性があるとはいえ、俺の体重を完全に支えることができるほどの強度を誇っている。

 これほどの強度があれば強い圧力がかかったとしてもそれを完全に防ぐことなど容易いだろう。

 

 さらに炎は水に弱い。パチュリーの魔法の属性の方がゲンよりも優位に立っている。

 

 よし、ゲンが驚いて動けなくなっている今がチャンスだ!

 

「妖力斬!」

「ぐぅっ!」

 

 俺の斬撃を腕に炎を纏わせて受け止めたゲン。そしてそのまま周囲に炎を噴き出して俺をぶっ飛ばした。

 だが、この攻撃は近づかなくとも当てることができる遠近両用の技だ。

 

「はぁっ!」

「炎爆《獄炎波》!」

 

 俺が放った妖力斬を全て腕から噴出された炎の弾幕でかき消していくゲン。

 その間にもゲンの背後から電光石火の勢いで接近している人物が一名、その名は紅美鈴。

 美鈴は足に妖力を集めると足を強化してゲンに蹴りを放った。だが、その攻撃はゲンに感づかれてジャンプして回避されてしまったものの、姉貴はその結果はもうすでに見えていたようで、手にグングニルを作り出すとゲンの回避方向に向けて構えた。

 

「神槍《スピア・ザ・グングニル》!」

 

 姉貴はゲンに向かってグングニルを投擲した。だが、しかし姉貴のグングニルはゲンの胴体を貫通したものの全くダメージが入っていない様子だった。

 どうやら直撃する直前に体を炎にしてダメージを防いだんだろう。あいつには最強の防御である炎化があるからダメージを与えにくい。

 

「なるほどね、なら消火してあげるわ」

 

 パチュリーはそういうと天高く手を突き出すと手に持っている本がパラパラと一人でページがめくられていき、あるページまでめくられると本から見たこともない文字が出てきて空に向かって飛んでいき始めた。

 何をしようとしているのかは分からないが、とにかく何かの魔法を使用しようとしているのは確かだ。

 文字がどんどんと上に飛んでいき、遥か上空で文字同士が合わさっていってどんどんとどす黒い雲が形成されて行っているのが見て取れた。

 もしかしてあれって雨雲か?

 

 その次の瞬間、ぽつりと俺の鼻筋に一滴の雨粒が降ってきた。

 それを合図とするかのように土砂降りの雨が降り出してきた。

 

「ぐああああああああ」

 

 するとゲンが雄たけびのような叫び声をあげて激痛に悶えながら地面に落ちて来た。

 そうか、炎化したゲンは炎そのものの性質を持っている。これほどの雨に打たれてしまったら消火されてしまう。だからゲンはダメージを受けたのか。

 つまり、パチュリーがいる以上、ゲンは炎になって攻撃を回避することができない。そしてついでにゲンの攻撃はほとんど炎が主体のため、この土砂降りの雨が降っていたら技が消火されて使用することができない。

 まさに対ゲンとしては最強の魔法と言ったところだろう。

 

 まぁ、この雨に降られている以上、俺も能力を使えないが、関係ない。

 俺は今まで師匠や姉貴に能力での戦い方以外も幾度となく教わってきた。いまさら能力を封じられたところで痛くもかゆくもない。

 

 それにしても、吸血鬼だから雨に降られたらダメージを受けるのかと思っていたが、そんなことはないんだな。

 

「吸血鬼って雨大丈夫なんだな」

「私たち吸血鬼は流水が苦手っていうだけで雨に当たる程度はなんてことないわ。雨もダメっていうことになるとお風呂にも入れないじゃない」

「な、なるほど」

 

 なら、何の問題もない。

 今の時間帯は夜だし、雨が降っていてゲンが弱体化している。倒すなら今だ。今しかチャンスはない!

 

「インパクト」

「ぐっ!」

 

 霊力を込めたパンチ、だが、さすがにこれはゲンに止められてしまう。

 そして腹に蹴りを食らわせようとしてくるゲンだが、俺とゲンの間にフランドールが入ってきて逆にフランがゲンを蹴り飛ばした。

 

「黒葉、大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」

 

 そういって肩に手を置くと礼を言われたからか嬉しそうに笑うフランドール。

 

「やっぱり黒葉ってフランに甘いわよね」

「おそらく妹様の容姿から勝手に同い年感を見出しているのではないかと」

 

 姉貴と師匠が何かを言っているが、今は戦いに集中しよう。

 

「追撃、行きます! 華符《芳華絢爛》」

 

 その瞬間、美鈴から花の形に次々と弾幕が ゲンへ向かって放たれた。

 蹴り飛ばされたゲンは砂煙によって姿を見ることはできないが、この量の弾幕は今のダメージから考えるにすぐに回避することはできないだろう。

 一度フランドールの攻撃を食らったことがある俺だから言えるが、あれはすぐに動けるようになるようなものではない。

 

 だが、なんだか胸騒ぎのような、嫌な予感がした。

 隣を見てみると姉貴が慌ててパチュリーの方へと走り出しているのが見えた。それを見て俺もこの嫌な予感の正体に気が付き、パチュリーのもとへと走り始めた。

 次の瞬間にはパチュリーの目の前にゲンが出現した。どうやら砂煙に隠れてここまで移動してきたようだ。

 おそらくこの雨を止ませようとパチュリーをまず最初に狙うことにしたのだろう。

 

 さっき投げた姉貴のグングニルを構えるとパチュリーに突き刺そうとした。

 このままじゃパチュリーが殺されてしまう。何とかしないと!

 

「っ! スピア・ザ––」

「間に合え!」

 

 その瞬間、自分でも信じられないほどの力が湧き出してきた。そしてその力を全て足に集約し、一気に放出するように地面を蹴った。

 自分ではその瞬間だけは音速を超えたんじゃないかというほどのスピードでパチュリーとゲンの間にたどり着いた。

 そして頭をフル回転させてこの状況を打破する案を考えた結果、俺にはこれしか思い浮かばなかった。

 

「えっ」

「どうせ、ここで俺は殺されるんだからな」

 

 パチュリーの事を突き飛ばした。

 あぁ、俺はここで死ぬ運命だったんだな。確かに最近情が芽生えてきたこの人たちを見捨てることは絶対にできない俺にとっては不変の死の運命と言ったところだな。

 

 その次の瞬間、背中に鋭い痛みが走り、何かが体の中を貫通してくる感覚が走った。

 

「かはっ」

 

 見てみると、ゲンが振り下ろしたグングニルが俺の背中から左胸にかけて貫通してしまっていた。

 よく吸血鬼って心臓に杭を打たないと止めをさせないというが、この瞬間、俺は死を悟った。

 杭なんてなくても吸血鬼って……死ぬんだと……。

 

「––て、こく––だ死ぬ––」

 

 あぁ……姉貴の声が聞こえるけど、なんて言っているかがよく聞き取れない。

 どんどんと意識が深い深い闇の底へと落ちていくのが分かる。だんだんと体に力が入らなくなっていって立っていることすらもできなくて、そのまま地面に倒れこむしかない。

 さすがは不変の死の運命だ。回避することはできなかったよ。

 

「黒葉、しっかりして、黒葉!」

「黒葉ぁ、死んじゃやだよぉっ!」

 

 ルーミアとフランドールの叫び声が聞こえる。

 普段だったら駆け寄ってきた二人の手を取ってあげたいところだけど、ちょっと力が入らないや。

 

 ごめん、姉ちゃん(白愛)(かたき)を討つことはできなかったよ。

 ルーミアとフランドールもごめん。俺は先にあの世に行く。

 師匠(咲夜)姉貴(レミリア)もごめん。俺は覚えが悪くて教え甲斐がなかっただろうけど、二人に修行を付けてもらってどんどん強くなっていくの、少し楽しかったよ。

 パチュリーも何度も回復してくれてありがとう。だけど、ごめん。今度ばかりは本当にダメそうだよ。

 美鈴はいつも門番をしてくれてありがとう。いつも居眠りしてばっかりだったけど、美鈴のおかげでこの紅魔館への侵入者は少なかったんだと思う。でも、俺が弱いせいで力になれなくてごめん。

 

 みんな、俺を拾って、ここまで鍛えてくれて、ありがとう……。




 はい!第52話終了

 ゲンを追い詰めたかと思った黒葉たちでしたが、一転して大ピンチに。

 パチュリーをかばって黒葉がグングニルに突き刺されてしまいました。

 意識がどんどんとなくなっていく黒葉の耳に入るレミリアの声はよく聞き取れませんでした。

 レミリアは「まって、黒葉! まだ死ぬはずじゃない!」って言っています。

 ルーミアとフランドールの声がしっかりと聞こえているのは駆け寄っていって近距離で叫んでいるからですね。

 最後にみんなに対して謝罪を述べる黒葉。

 果たしてこのまま本当に黒葉は死んでしまうのでしょうか?

 それでは!

 さようなら
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