【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 グングニルに貫かれ、あの世に行ってしまった黒葉。

 そこで黒葉は白愛と再会を果たす。

 今までの時間を取り戻さんとばかりに互いに抱きしめあう二人だったが、白愛は半分諦めかけている黒葉を鼓舞することによって現世へと返そうとする。

 そして黒葉は白愛に鼓舞してもらったことによって自信を取り戻して現世へと返っていくのだった。



 それではどうぞ!


第54話 能力を喰らう

side黒葉

 

 ––能力喰い(イマジンイーター)––

 

 その瞬間、自分の体の中からとてつもない力が湧き出てくるのを感じた。

 そして頭の中に響くいつもの声、すべてを喰らえという憎悪にも似たこのどすの効いた声。だが、今はなんとなくこの声が頼もしく感じる。

 

『喰らえ。喰らえ、能力(ちから)を喰らえ!』

 

「喰らう!」

 

 俺は一気に目を開くと、グングニルが突き刺さっている左胸に向かって妖力を集め始める。

 俺の中の声が叫ぶんだ。左胸に妖力を集め、そして喰らえって。

 そうだ。喰らう、喰らうんだ。俺を蝕んでいるこの左胸の異物を、その能力を喰らうんだ。俺の中の声はそれを教えてくれている。

 

 その瞬間、体内の異物が完全に消滅した感覚と共に俺の体の前後から俺の体からはみ出ていた部分がコトンと地面に落下した。

 もう胸の激痛は消え去り、その代わりにさっきとは比べ物にならないほどの力を感じる。

 

 周囲を見渡してみると、両サイドには心配して駆け寄ってきたであろうルーミアとフランドール。頭の上には尻餅をついているパチュリー。そして少し離れたところにホッとため息をついている姉貴と師匠、美鈴。

 どうやらものすごく心配をかけてしまったようだ。だが、今はさっきまでのダメージはどこかへと消えてしまったかのように体の痛みはなくなっている。

 

 これならさっきまで以上に戦うことが出来そうだ。

 

「ルーミア、フランドール、みんな。心配かけたな」

「黒葉! 大丈夫なの?」

「さっき、心臓を貫かれてたけど……」

「あぁ、もう大丈夫だ」

 

 俺は二人の手を借りて起き上がると目の前にいるゲンを見据えた。

 完全にゲンは俺が起き上がったことが予想外だったらしく、目を白黒させて驚いていた。そして地面に落ちたグングニルと俺の胸を交互に見る。

 グングニルにはなにやら溶かされたような跡が残って完全に二分されており、貫かれたことによって穴が開いた服から見える胸は完全に治癒しており、貫かれた跡など一切残ってはいなかった。

 

「どういうことだ。どうしてお前は立ち上がれるんだ。黒葉」

「俺にもわからない。だけど、今ならお前も倒すことが出来そうだ!」

「調子に乗るな!」

 

 ゲンは手のひらに炎を作り出した。

 雨が降っているはずなのに、どうして炎を作り出せるのかと思い、空を見てみると雨雲は消え去っており、真っ暗闇のみがそこに存在していた。

 どうやら先ほどパチュリーは不意を突かれ、驚いた拍子に魔法を解除してしまったのだろう。だから雨が降っていなくて炎を消すことができなくなってしまっているんだ。

 

 でも、大丈夫だ。

 

「お前ら全員俺の炎で焼き尽くされてしまえ!」

 

 おそらくこの炎をまともに受けたら一巻の終わりだろう。

 俺の炎では打ち返すことはできない。だが、思い出せ。あいつはいつも俺の炎をどうやって防御していた? はじき返す? 相殺? いや、違う。俺の炎を奴はいつも吸収していた。はじき返しても相殺してもいなかった。

 だけど、俺にはあいつの炎を吸収する力を持ってはいない。なら、どうする? どうしてさっき、俺の胸を貫いたグングニルが体内で溶けて二分された? どうして俺の胸の傷は完全に癒えた?

 

 すべては俺の中に響いてくる声にある。

 

『喰らえ』

 

「炎爆《獄炎波》!」

「私が止める!」

 

 俺たちの前に出る姉貴。だが、そんな姉貴の肩を優しく押して俺の方が前に出て飛んできている炎に左腕を向けた。

 こういうことだろ? 姉ちゃん。

 

 ––能力喰い(イマジンイーター)––

 

 すると炎が俺の手のひらに触れた瞬間、消滅してしまった。いや、消滅というよりも俺の中へ吸収されていったと言った方が正しいだろう。

 俺の左腕があいつの能力を喰らったんだ。

 グングニルも同じだ。あれは姉貴の力によって作り出されたものだった。だから俺はグングニルの力を喰らって肉体を再生させた。

 

「な、なんだと!?」

「もうお前の攻撃は効かない!」

 

己喰い(マイイーター)はいつでもあなたを守ってくれる』

 

「お前に炎が効かないなら、これでどうだ!」

 

 ––己喰い(マイイーター)––

 

 刀を構えて走り出したその直後、周囲に冷気が漂い始めた。それによって雨で水たまりになっていた水が凍り付き、天然のスケートリンクの様につるつるの地面になってしまっていた。

 これでもうゲンは思うように動けないだろうが、俺は違う。あの地域はよく雪が降る地域で、つるつるのスケートリンクで昔からずっと遊んできた経験がある。氷道での歩き方はとっくにマスターしている!

 

「く、まぐれで俺の攻撃を止めたからっていい気になるんじゃねぇ! 《爆炎波》!!」

 

 ゲンの手のひらからものすごい勢いで炎が噴出してくる。

 だが、今の俺なら大丈夫だ。勝てる!

 俺は刀に冷気を纏わせるとゲンへと突っ走り、そのままの勢いで刀を横薙ぎに振った。

 その瞬間、刀が纏っていた冷気が一気に解放され、ゲンへと襲い掛かり、こっちへと飛んできた炎が凍てつく暴風によって一瞬にして凍り付いてしまった。

 世にも珍しい炎の氷の完成だ。

 

「なんだと!?」

 

 よし、行ける。これなら、勝てる!

 

「っ! 黒葉、こっちに早く戻ってきて!」

「え?」

 

 俺を引き戻す声が紅魔館の玄関の方から聞こえてくる。しかも、その声はとても焦っているように聞こえる。

 その瞬間、俺の体を暗闇が包み込んだ。俺は吸血鬼だからすぐにこの暗さには順応できるが、突然辺りが真っ暗になったから驚いてしまった。

 だが、これは前にゲンと戦った時と同じ現象。誰の力なのか、前回と同じメンバーはルーミアだけだからおそらくこの力はルーミアの力なのだろう。

 そしてルーミアがこの力を使用したということはおそらく今は––

 

「く、朝か!」

 

 上を見てようやく理解した。

 今は真っ暗闇でよく見えないが、うっすらと空が明るくなってきているのが見える。つまりは、今ルーミアの助けが無かったら俺は死んでいた可能性すらある。

 だが、これなら十分ゲンを––

 

 その瞬間、俺は驚愕のあまり目を見開いた。

 なんと、目の前にはゲンが九人も見えたのだから。

 前方にいる八人が後ろにいるもう一人を守っているように見えることから、おそらく前にいる八人はゲンが作り出した偽物だ。

 だけど、幻影ならば問題はない。このまま突っ走ればいいだけだ!

 

「黒葉、逃げなさい!」

 

 いつの間にか俺は偽物のゲンに取り囲まれてしまっていた。そして––

 

「ぐあああああああ」

 

 八人同時の蹴りをもろに食らってしまった。だが、それによって最悪なことがはっきりとした。

 あの八人は幻影などではない。しっかりと実体があり、あれら一人一人が俺たちにダメージを与えることができる。

 そうなってくると厳しい。今の一撃はまるで何トンもある鉄の塊が俺の体にタックルしてきたかのように感じた。そんな攻撃を食らって体が大丈夫なわけがない。

 今の一撃だけで体は悲鳴を上げている。おそらく骨も何本も折れてしまっていることだろう。

 

 まずい……殺される。

 

「っ!」

「黒葉、今助ける!」

「非常にまずい状況ね。だけど、諦めるわけにはいかないわ」

 

 咲夜と美鈴、パチュリーが俺を助けようとこっちへと駆け寄ってくるのが見えた。

 だけど、この数相手だと二人が加勢してくれてもダメだ。こいつら一人一人がものすごい力を持っている。

 ダメだ。みんなだけでも、逃げてくれ……。

 

 誰か、助けて。

 

「恋府《マスタースパーク》!」

 

 その声が聞こえて来た瞬間、俺のすぐ真横に極太のレーザー光線が空から降ってきて俺を取り囲んでいたゲンの偽物たちは俺から離れた。

 その隙を狙って空から人が下りてきて俺を抱えると紅魔館の玄関へと走り始める。

 レーザーの光が強すぎてまだ目がボヤっとしているが、この優しい感じ、この声、そしてこの髪の色は間違いない。

 

「魔理沙……」

「あぁ、まりねぇだ。今は少し休んでいていくれ。あれだけあいつを追い詰められるだけでお前はすごいぞ」

 

 魔理沙はにかっと笑った。

 その笑った表情は昔から全く何も変わっていなくてその笑顔に俺は安心感を抱いた。

 まりねぇなら必ずこの絶望的状況を何とかしてくれるって。




 はい!第54話終了

 黒葉は白愛に力を貰いましたが、力を使いこなせていない黒葉ではまだゲンには勝てないということですね。

 強くなって今度こそ勝てると思ったのに相手の新たなる技でピンチになるのはお決まりの展開です。

 そして今回は霊夢ではなくて魔理沙が助けに来てくれました。

 果たして魔理沙は黒葉たちの救世主となることができるのでしょうか?

 それでは!

 さようなら
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