実はこの話はリアルでの時間がなかなか取れなくて前日に慌てて書いてるんですよ。なので、どこか誤字脱字をしている可能性がありますが、見つけた場合は誤字脱字報告機能で報告していただけるとすぐに対処しやすいのでよろしくお願いします。
ちなみに転生者は気まぐれ勇者の方は途中毎日前日に投稿していたところがある。
それでは前回のあらすじ
ついに黒葉とゲンの戦いも終盤戦へ突入!
魔人と化したゲンの攻撃に必死に黒葉も応戦するものの、その巨体から繰り出される圧倒的破壊力の前に苦戦してしまう。
しかし、黒葉も負けじと炎を吸収してゲンでも吸収しきれないほどの炎でゲンに攻撃をしていく。もはやどっちが勝ってもおかしくない戦いだった。
そしてゲンの炎の拳に叩き潰された黒葉は拳の中にとらわれて焼き尽くされそうになってピンチに陥ってしまったが、機転を利かせて、ついにゲンの右腕を斬り飛ばすことに成功した。
だが、ゲンはそう簡単にやられるわけがなく、炎の隕石を降らせて一網打尽にしようとしてきた。
紅魔館のみんなは絶望の表情を浮かべ始めていたが、黒葉は一人隕石に向かって走り出し、ゲンの炎をも燃やし尽くす太陽の炎となり、ついにゲンに致命傷を与えることができた。
さぁ、ゲンとの戦いも大詰めだ!
それではどうぞ!
side黒葉
「小僧っ、なぜそこまで頑張る、なぜそこまで頑張れる!」
ゲンが俺を睨みつけ、怒鳴るような口調で問うてきた。
多分仲間が、大切な人がいなかったであろうゲンには俺の気持ちは絶対に理解することはできないものだ。ちょっと前の俺もそうだった。
妖怪を殺すことしか考えていなくて、そのためならば己の身も鑑みることはしなかった。いや、己の身を鑑みないことは今も変わってはいないが、一つ変わったことがある。
「ここにいるみんなは俺の大切な家族だ。仲間だ。姉貴には俺の不変の死の運命が見えていた。だから絶対に回避することが出来ない死が待っているということを知っていたはずなんだ。だけど、それでも俺を死から庇った」
「ふん、そんなのは馬鹿のやることだ。あの吸血鬼娘はお前を庇わなければあれほどのダメージを受けることはなかったんだ。自分の命を賭してまで他人を助けるなど、あの吸血鬼娘は馬鹿だ」
「––っ! じゃねぇ」
「あ? なんだぁ?」
「姉貴を馬鹿にすんじゃねぇ!」
俺はそこで我慢の限界が来た。
俺を助けてあんなにぼろぼろになった姉貴、姉貴のあの時の気持ちを全部わかることはできないけど、だけどこの陽光が差す中、俺を庇いに来るのは怖かっただろう、辛かっただろう。
俺を庇ってあの柵を突き刺されるのは怖かっただろう。だけど、それでも姉貴は俺を守るために走ってくれた。
不変の死の運命があり、もうすぐ死ぬ、もしくは今ここで死ぬはずの俺を、ある日突然拾われたこの俺を、だ。
殺意があり、いつ殺しにかかってくるか分からない俺を自分を殺すための力を身に付けさせ、そして家族同然でみんな俺に優しくしてくれた。
特に姉貴は時々夜お茶に誘ってくれて一緒に紅茶を飲んでくれた。
そんな日々が続けば情が湧くのは当然のことだ。
そしてそんな風に優しくされて自分をかばってくれた姉貴を悪く言われて気分がいいわけがない。
「いや、お前が何と言おうともあの吸血鬼娘は馬鹿だ。それとそこにいるやつらもな。素直にそいつを殺させればそこまでぼろぼろになることはなかったかもしれないのによ!」
「俺の事をなんと言おうとかまわない。だけど、みんなを悪く言うのはやめろ––っ!」
俺がゲンの言葉に激昂し、冷静さを欠いた攻撃をしようとしたその時、肩に優しく手を置かれ、その手が俺をこの場につなぎとめた。
その手の持ち主は師匠だった。
師匠は優しく俺に微笑みかけてくれておかげで少し冷静になることができた。
師匠にとって姉貴は命よりも大切な人だろう。そんな人が馬鹿にされているというのに全く冷静さを欠いていない。それどころか、俺に落ち着けと優しく諭してくれているようにも見える。
「理屈じゃないんですよ」
「はぁ? 何を言ってるんだお前は」
「理屈じゃない、助けたいから助ける。それでいいじゃないですか。お嬢様にとっては黒葉は大切な人なのですから」
「ふん、だからと言って助けて何のメリットがある」
「メリット、ですか……」
すると師匠は俺をちらっと見て来た。
その時の師匠の表情は今まで見て来たどんな表情よりも柔らかく、そして優しい表情だった。
「これからも、一緒に居られることですかね」
「下らない」
「下らない、ですか。確かに人には人それぞれの感性がありますし、あなたのその考えを否定するということはしません。ですが、あなたが今下らないと一蹴したその仲間を大切に思いやる気持ちに敗北し、そしてそのようなぼろぼろの姿になってしまっているのではありませんか?」
「俺が、俺が……っ! いつお前らに負けたんだぁぁぁぁぁぁっ!」
「っ!」
その瞬間、ゲンが激昂し、先ほど俺がしようとした冷静さを欠いた攻撃を繰り出してきた。
燃える拳を突き出し、師匠に猛スピードで突っ込んでいく。しかし、師匠ならこの程度の攻撃ならば簡単にいつもの瞬間移動みたいな技を使って回避することができるだろう。
でも、今に限ってその使用条件が整わなく、使えなくて殺されてしまうということになってしまったらどうしよう。
そう考えている間にもゲンはどんどんと俺たちへと迫ってくる。もう考えている暇はない。
その瞬間だった。完全に無意識だった。体が勝手に動いたと感じた。
俺の体は勝手に動き、師匠へと迫ってくる燃える拳を霊力を纏わせた刀で受け止めた。
「なにっ!」
自分でもわからなかった。
俺なんかが俺よりもずっと強い師匠を庇うなんて我ながら調子に乗りすぎだと思うし、失礼だとも思う。なにせ、こんなことをするということは師匠の実力を信用していないことに他ならないのだから。
だけど、一つだけわかることがある。こう行動してしまったのは自分の実力を過信して自惚れているからでもなければ、師匠の実力を信用していないからじゃない、師匠の事が自分の命よりも大切だから、師匠の事を失いたくないから俺は動いてしまったのだ。
「ゲン、俺もさ、最近気が付いたんだ。仲間のすばらしさっていうやつにさ。姉ちゃんが死んでから俺は一人になってこれからも一人で生きていくんだ、そう思っていたんだけどここには姉貴が居て、師匠が居て、パチュリーが居て、美鈴が居て、フランドールが居て、ルーミアが居る。お前はさっき俺になんで頑張るかって聞いてきたよな。なんで頑張れるかって……この場所がその答えだよ。頑張る理由なんてそれだけで十分だ」
「理解不能だ」
「ははは、そうだろうな。だけど、お前の理解不能が俺にとっては理解不能なようにお前と俺とでは価値基準が違うんだよ。だから決して分かり合うことはできない、多分これから先ずっと。だけど、それでいいよ。俺はお前にこの感情を理解してもらえなくてもいい。みんながここに居れば、俺はそれで満足だ」
「きれいごとを言うなぁぁぁぁぁっ!」
それを合図に俺への攻撃は激しくなり、左腕での連続パンチにさすがの俺も捌ききるのがやっとだった。
でも、問題はない。俺は一人じゃないんだから!
背後から走ってくる気配がする。その気配を真後ろに感じたその瞬間、俺は半身になって回避すると同時に背後から走ってきた人物の攻撃も回避し、その俺が回避した攻撃––飛び蹴りはゲンへとクリーンヒットした。
「ちゃんと私をその大切な人リストに入れておけよな」
「ちゃんと入ってるさ、まりねぇっ!」
「テメェらみたいな奴らが一番嫌いだ!」
これだけダメージを受けていても中途半端な攻撃ではゲンを倒すことはできない。
ゲンを倒すならばもっと強い力が必要だ。そう、例えば魔理沙のマスタースパークのように破壊力のある技じゃないと倒せない。
「黒葉、私の腕を噛め」
「え?」
「血を吸え、あとはわかるはずだ」
魔理沙の意図が全くわからなかった。
ただ、突然俺の目の前に腕を差し出し、噛めといってきただけだった。
だけども、俺に腕を差し出している魔理沙の表情はとても自身に満ち溢れていて、その表情を見ていると指示に従えばなんとかなりそうと思えてきてしまう。
だから俺は魔理沙の言う通りに魔理沙の腕を掴んで魔理沙の腕に噛み付いた。
俺の歯が魔理沙の腕に穴を開け、そこから真っ赤な鮮血が出てくる。
初めて口に入ってくる人間の血はとても生臭くて人間の感覚で言ったら断然、食用の輸血パックの方が美味いのだが、人間の血の方がなんだか満たされていくような感覚がある。
まるで今まで空腹だったところに久しぶりに食べる食事のような、そんな満たされて行く感覚。
非常に依存性が高い。これ以上飲むと後戻りすることができなくなってしまうと思った俺はすぐに魔理沙の腕を離した。
するとすぐに腕に包帯を巻いて後処理をする魔理沙。その後、俺に一つのアイテムを手渡してきた。
「こ、これはっ!」
「あぁ、これは私のミニ八卦炉のスペアだ。今のお前なら、どうすればいいかわかるはずだ」
「どうすれば––っ!」
その瞬間、頭の中にとある動作が思い浮かんだ。
今までやったことがない動作だが、今まで何度も見たことがある動作だ。
そして、確かに今の俺ならなんとなくできる気がする。
「爆炎波」
ゲンの手のひらからものすごい勢いで炎が噴出した。だが、今の俺たちにそんなことは関係ない。
俺と魔理沙は共にミニ八卦炉を構えるとゲンへと向けた。
今だけは俺と魔理沙の心がリンクし、一つになっているかのように感じた。そしてそれは魔理沙も同じようで、いつものように口元を曲げて笑った。
そして俺と魔理沙はシンクロしたように同時にミニ八卦炉へと霊力を込めていく。
眼前に炎が迫ってきているが、俺と魔理沙は冷静に俺は右手に、魔理沙は左手に構えて隣り合わせになった。
ピタッとくっついているため、魔理沙の霊力も俺に流れ込んできているのではないかと言う錯覚すら覚えた。
「黒葉、お前はお前の信じた道を突き進め。絶対に絶望するな。絶望したその時は私がお前を––いや、なんでもない」
「なんだよこんな時に」
「いや、気にしないでくれ。さぁ、いくぞ。準備はいいか!」
「あぁ、大丈夫だ!」
俺と魔理沙は共に構え、そして叫んだ。
『恋符《マスタースパーク》!』
俺と魔理沙は同時にミニ八卦炉からマスタースパークを放った。
そのマスタースパークはDNAのように交差し、威力が相乗的に膨れ上がる。
ついにマスタースパークと炎がぶつかり合い、押し合いになるかと思われたが、ゲンがダメージを受けて弱っていて、さらにはこっちが二人掛かりと言うこともありあっさりとその炎をかき消し、マスタースパークがゲンへと向かって行った。
「クソ野郎どもがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その断末魔の叫びを最後にゲンはマスタースパークに巻き込まれて紅魔館の門を突き破り、その先までぶっ飛んで行った。
今の威力は物凄かった。俺と魔理沙のマスタースパークが合わさり、二倍どころじゃないそれ以上の威力を引き出していた。
だけど、今の一撃ではゲンは死んでいないことだろう。だが、俺の霊力が限界に達している。これ以上は戦うことはできない。
俺は地面に力なく倒れてしまった。
今の一撃でゲンも動けなくなっているはずだ。だけど、俺も動けなくなっているから勝ったと言っていいものかがわからない。
だけど、魔理沙は俺の肩に手をおいて屈託無い笑みを浮かべて俺に告げた。
「お疲れ、黒葉。お前の勝ちだ」
「ま、り、さ」
息も絶え絶えでその一言を言うので精一杯だったが、魔理沙の俺の勝ちと言う言葉で救われた。
今までの色んな出来事を思い出す。
姉さんが死んで、姉貴に拾われて、この紅魔館で修行し、寺子屋で色んな人と出会った。
幸せだった。感無量だ。
今まで生きてきてこれほど嬉しかったことはない。俺はついにゲンに勝てたんだ。
ゲンを殺すことはできなかったが、今の俺はゲンに勝てた、その事実だけで胸がいっぱいだった。
「あの弱かった冬夏黒葉がよく頑張ったな」
「魔理沙も、ありがとう」
「いや、感謝するのは私の方だぜ。今回の件で、まだやっぱり霊夢には敵わないってことを嫌って言うほど教えられたよ。霊夢だったら自分の力だけでもゲンを追い詰めるんだろうけど、私の場合は黒葉たちがいなかったら私は多分負けていた。本当に、強くなったな」
魔理沙は俺の頭をポンポンと撫でながら笑顔でそう言った。
そうだ。俺は何かにつけて妖怪のせいにして妖怪を殺すことを目標にしていたけど、俺の中での本当の目標ってこの瞬間だったんだ。
魔理沙の言葉に近くにいたみんなが頷く。しかし、師匠だけは評価が厳しいようで、頷いてはくれていなかったが、師匠も壁にもたれかかりながら微笑んでいるような気がするので、今回の件に関しては認めてくれているのだと感じる。
そうだ、今この瞬間、みんなに俺の力を認めてもらうこと、これが俺の目標だったんだ。
「そうだ、ご褒美にその八卦炉をやるよ。こーりんに作らせた上等なものだぜ。今の黒葉ならそいつを使えば多分一人でもマスタースパークを使えるぜ」
今はそんな魔理沙のふわっとした発言も気にならないくらいに胸がいっぱいだった。
今すぐ魔理沙に伝えたい。お礼を伝えたい。なにせ、俺の最初の師匠は魔理沙なんだから。
森で妖怪に襲われて、魔理沙に助けてもらって、それから自分の身は自分で守ることができるように姉ちゃんに修行をつけてもらい始めたんだから。
今は力を使いすぎて声が出ないとか関係ない。
喋ろ、俺の口! 魔理沙にお礼を言うんだ!
「あ、あり、ありが––」
––どしーん
一瞬地面が揺れたと感じた。地面が割れるほどの轟音が周囲に響き渡った。
衝撃波が伝わってきて俺はそのまま地面を転がっていく。
突然のことに驚いて俺たちは一斉にその原因の方へと顔を向けた。
すると俺たちは驚愕のあまりに目を見開いてしまった。
そこには一人の男が立っていて恐らく今着地したところのようだが、地面がえぐれるほどの着地の衝撃があったと言うのに平然としていた。
そして何より––
「どことなく黒葉に似てる」
フランドールの言う通り、そいつはどことなく俺に似ていたのだ。
はい!第58話終了
ついにゲンを倒すことができましたが、新たな奴が登場しました。
実はここまで引っ張ったゲン戦ですが、ゲンがラスボスではないんですよね。
果たして最後に出てきた黒葉にどことなく似てる男は何者なのでしょうか?
容姿的には黒葉をもう少し大人にしたようなイメージですね。まぁ、黒葉の容姿が少なすぎてイメージができないかもしれないですが。
それでは!
さようなら