【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉は咲夜に修行をつけてもらえることになった。



 それではどうぞ!


第6話 メイド長として

side黒葉

 

 今、俺は咲夜に言われた屋敷の窓拭きをやっていた。

 ただ雑用しているだけに思えるかもしれないが、これは将来妖怪を殺すことができるようになるために重要な事だ。

 

 今はまだ戦闘能力が低いが、いつか必ずこの屋敷の誰よりも強くなって旅に出る。

 そのためにも今は大人しく従っておくしかない。

 

「しっかし、この屋敷広すぎだろ。窓だけでどれくらいあるんだよ」

 

 俺は窓拭きしかやっていないが、他のメイドたちは他の仕事もしているのだろう。

 そしてさっき妖精メイドが言っていたことを盗み聞いたのだが、どうやらあの咲夜がメイド長らしい。

 メイド長ということはほかのメイドよりももっと大量の仕事なんかもこなしていたりするのだろう。

 

 化け物だ。

 そしてその化け物を従えているレミリアはもっと化け物ということになるだろう。

 それに、あいつおかしい。絶対頭がいかれている。

 

 俺に対して会う度にお姉ちゃん呼びを要求してくる。なんだあいつ。

 俺はまだ会ったことないが、妹がいるらしい。要求するならそいつにしろよ。なんでわざわざ俺に要求するんだよ……。

 

 とりあえず時間も午後を回ったようだが、まだ全体の半分も吹き終わっていない。

 吸血鬼になったから体力が底上げされているにはされているが、過信しすぎた。元々体力が無さすぎたせいで、底上げされても大して変わらなかった。

 

 1と10に同じ数ずつ掛けたら必ず1に掛けた方が小さくなるような原理なのだろう。力の底上げは掛け算だと把握した。

 ドーピングしたところで、この差は俺の場合はどうにもならないんだろうな。

 

「というか、吸血鬼が不便なのが悪い」

 

 現在の季節は夏である。だが、俺は窓拭きをするため、窓から入ってきた日光に体を焼かれないために黒い厚手のコートと手袋長ズボンブーツ。オマケに深い帽子なんかも被っている。

 暑い、暑すぎる。着実にこの暑さが俺の体力をじわじわと削っていく。吸血鬼の体力といえども、厳しい。

 

 しかも、日光を防御していても、日中は吸血鬼の能力が制限されるらしい。さっきレミリアとすれ違った時に忠告された。

 かなり不便な肉体になってしまったようだ。

 

「せめてこの左腕もあればな」

 

 俺は左腕をなくしてしまった。だから俺は必然的に右腕のみで作業することを強いられているのだが、片手が無くなっただけでこんなにも大変になるとは思わなかった。できることの幅が一気に狭くなる。

 

「あら、意外と頑張ってるみたいね」

「なんだぁ? 咲夜か。なんのようだ」

「サボってないか見に来ただけよ。それにしても、頑張ってるわね。初めて窓拭きをした時は誰だって途中でへばって動けなくなるものなのに」

「根性はあるんだよ」

 

 根性あっても強さには直結しなかったようだけどな。

 

「そうなのね。そんなあなたにこれを」

「これは?」

 

 俺は差し出された銀の包みに包まれたそれを受け取る。

 何かが包まれているようで、すこし(ぬく)みを感じる。

 

「お昼、まだでしょう? 一緒に食べましょうか」

 

 そう言って咲夜が指を指したのはテラスだった。

 少し訝しんだものの、とりあえずここは言うことを聞こうと俺は何も言わずにテラスにある椅子に座るといきなり目の前に紅茶が出現した。

 

「さぁ、食べましょう。紅茶とおにぎりってちょっと変な気はするけども」

 

 言われて銀の包みを剥がしてみると、そこには確かに咲夜の言う通り、おにぎりが包まれていた。

 そういえば昼は食べていないため、腹が減っていた。

 どういうつもりだと思って咲夜を見てみると、外の景色を眺めながら自分のおにぎりを食べている様子だった。

 

 少し不審に思いながらも俺もひと口食べてみる。

 すると、疲れた体に優しい塩味が口いっぱいに広がった。

 

「美味い」

「そう、良かったわ」

 

 俺が思わずこぼしてしまったその言葉に安堵するように返してきた。

 だが、お世辞抜きに本当にこの塩握り美味い。何の変哲もないただの塩握りなのだが、この疲れた体にこの塩分が染み渡るような気がする。

 

「それにしてもどうして突然」

「頑張っている部下を労うのは上司の仕事よ」

「そうか……」

 

 俺は部下になるのだろうか。

 修行を受けるために仕方がなく働いている俺。ちゃんと雇用されているわけでも、ましてや賃金を貰っている訳でもない。

 だと言うのに、今咲夜は俺を部下といったのか。

 

「……咲夜、俺は部下じゃないぞ」

「紅魔館の仕事をしだしたらみんな私の部下よ。そしてその努力は誰かに認められるべき努力。あなたのはそんな努力だったから労うのよ」

 

 なんか調子狂うな。これから殺す相手だと言うのにだいぶ心が揺れ動かされている。

 

「黒葉、あなたの身に何が起こったのか。お嬢様に聞いたわ」

「そうか」

「妖怪を恨む気持ちは分からないでもないわ。だけど、全ての妖怪がそうでは無いとわかって欲しい」

「……分からない」

「今はそれでいいわ。だけど、いつかは分かってくれればそれでいい」

 

 その咲夜の願いに俺は何も返すことは出来なかった。

 咲夜の言うことは分かる。だけど、俺の願いは妖怪の絶滅だ。

 あんな奴らが居るから、姉ちゃんは死んでしまったんだ。

 

 だから俺が目指すものが変わることは一生ないだろう。




 はい!第6話終了

 今回は黒葉と咲夜の交流でした。

 フランの存在は仄めかしているけど、まだ出ないと思います。

 それでは!

 さようなら
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