今日は旧暦で七夕ですね。
僕は最近知ったんですけど、旧暦と新暦では七夕の日付が違うみたいですね。新暦だと今年は8月4日(木)のようです。
まぁ、特に特別編とかを書くわけじゃないので、関係はないですね。
それでは前回のあらすじ
突如として目の前に現れた男、銀河月刃。
月刃はゲンと同じ思想のもとで行動している者だと名乗った。
そして、黒葉のことを太陽と名乗り、なんと実の弟と言った。
一体、どういうことなのか?
それではどうぞ!
side黒葉
今、月刃はなんて言った? 俺のことを弟って言ったのか?
頭の中が混乱してくる。
月刃は俺のことを実の弟って言ったが、俺に月刃とともに過ごしていた記憶は一切ないし、物心ついた頃から姉ちゃんたちと一緒に暮らしていた。
「黒葉、耳を貸すな!」
でも、言われてみれば不自然な点は存在していた。
家族全員白髪なのに俺だけが黒髪だったり、姉ちゃんが雪女だったりで、色々と不自然な点はあった。
だけど今ままでは何も気にする事なく楽しく毎日を送っていた。
もし、俺の兄弟が本当に月刃で、姉ちゃんたちは本当の家族じゃなかったとしたらみんな、どんな気持ちで俺を育ててくれていたんだろうか。
俺に向けてくれたあの笑顔は全て仮初めのものだったんだろうか。
……だとしたら悲しいなぁ。
「っ! 落ち着け、大丈夫だ。落ち着け黒葉」
「ま、り、さ……ねぇ、魔理沙。これってどういう事なの? 俺は姉ちゃんと月刃、どっちを信じたらいいの?」
「黒葉……落ち着け、大丈夫だ。安心しろ、お前は冬夏家の子だ」
もうどっちを信じたらいいのかわからなくて頭の中がこんがらがってきてしまう。
魔理沙は必死に俺を落ち着かせようと優しく声をかけてきてくれるが、こんなことを聞かされて落ち着いていられるわけがないだろ。
「おい〜金髪。嘘はいけないねぇ、なんか今は黒葉って呼んでいるようだけど、あんたもそいつの本名を知ってるんじゃないか?」
「……ちっ、銀河太陽」
魔理沙は悔しそうにその名前をつぶやいた。話の流れ的に銀河太陽っていうのが俺の名前なのだろう。
そしてそんな悔しそうな魔理沙の表情を見てニヤッと口元を歪めると手を叩きながら口を開いた。
「せいかーい。つまりは、そいつは生まれは銀河なんだ。そして、育ちもな」
「そ、育ち? 違う。俺は冬夏家で育ったんだ!」
「まぁ、今はそう思っていてもいいよ。とにかく、この世界をより良くするためには黒葉、お前の力が必要なんだ」
今は、という言葉がかなり引っかかるものの、今はそんなことは関係ない。
俺は一体どうしたらいいんだ。
「ねぇ、黒葉」
「る、ルーミア?」
すると地面に手をつけて頭を悩ませる俺の肩をルーミアがトントンと叩いてきた。
驚いて顔を上げてみると、ルーミアが俺に向かって優しく微笑みかけてきていた。
「悩む必要なんてないんだよ。黒葉はとても優しいよ。黒葉の心の中には黒いものがあったのかもしれない。だけど、今の優しい黒葉がいるのはお姉さんたちに大事に育てられたからじゃないかな?」
「姉ちゃん達に……」
そうだ、迷う必要はなかったんだ。
事実がどうあれ、俺の中の姉ちゃん達はあの姉ちゃん達なんだ。あの笑顔が例え嘘だったとしても、あれが俺の姉ちゃん達なんだ。
今更、違ったところでそれが変わることはない。
それに、俺はこの場所が大好きなんだ。
「ありがとう、ルーミア。俺はここに残るよ。あいつらには従わない」
「へぇ、俺と戦うつもりなのか?」
「あんた達の計画を達成する上で、俺が邪魔だっていうなら、その計画を阻止するために俺は戦うよ」
「くくく、威勢だけはいいな。まぁ、いいよ。それならそれで」
その次の瞬間、月刃は一瞬にして俺の目の前に移動してきた。
何度も見たことがあるようなその光景だったが、おそらく月刃が通ってきたであろう場所には明らかに残像がはっきりと残っている。
師匠の瞬間移動はそう言ったものが一切残らない完全なる瞬間移動だが、恐らく月刃は今、瞬間移動などではなく、単純にとてつもなく速い移動をしただけなのだろう。
俺たちはみんなそれを捉えることができず、固まってしまった。
俺のところに来るまでに色々な人がいたはずなのに、その誰にも止められることはなく、俺の眼の前までやってきた。
「強制的に連行するだけだ」
「っ!」
戦わないと、刀を持って戦わないと!
そう思って再度刀を構えるが、その瞬間、俺の手から刀が一瞬にして弾き飛ばされてしまった。
「動きが遅いね。これは一から鍛え直すしかないか」
「黒葉から離れなさい!」
すると師匠がナイフを構えたその次の瞬間には師匠のナイフと月刃の指が押し合っていた。
見てみると鉄のように手が硬化され、それがナイフと押し合っているというのがわかった。あれは恐らく霊力によって硬化した物なのだろう。
だが、あれほどまでに肉体を硬化するのは見たことがない。
「く、こいつ、私の世界に入ってきた」
「え、咲夜の世界に?」
咲夜の言葉にパチュリーが目を見開いて驚愕した。
実を言うと俺も驚いている。
師匠の動きにはゲンですらついて行くことはできていなかった。ただ、耐久力があり、なんとか食らいついていたから師匠はさっきまで足止めされていたと言うわけだ。
しかし、あいつは本当に師匠の動きについて行っている。月刃じゃなければ今頃、大量のナイフに取り囲まれて串刺しになっているところだ。
「いい能力を持っているねぇ。その能力、俺にくれないかなぁ?」
「っ!」
「咲夜、今すぐそいつから離れろ!」
月刃の言葉に一瞬ギョッとした師匠だったものの、魔理沙の言葉によって正気を取り戻したのか、すぐに後ろに飛んで月刃と距離をとった。
その次の瞬間、月刃の手がもともと師匠がいた場所を通過した。
その手はとても鋭いようで、近くにあった背丈の高い草が一瞬にして切り刻まれてしまった。
「うーん、草じゃ何も得るものがないよ。動かないでほしいな。一瞬で終わるから、さ!」
「そんなこと、誰が言うことを聞くものですか!」
師匠と月刃は一瞬でいたるところを移動しながらお互いに斬撃を放っているようで、二人の斬撃がぶつかり合う火花が時々散っているのが見える。
あの二人の動き、全く見えない。これほどまでに凄まじい速さの戦いを体感したことはない。
「さすがだね、その能力はやっぱりほしいなぁ」
「へぇ、と言うことは差し詰めあなたの能力は相手の能力を奪うって言う感じかしら」
「半分正解で半分不正解と言ったところかな、これは能力であって能力じゃない。だけど能力な中途半端な代物だよ。どうあっても最強にはなれない能力さ」
「意味がわからないわよ!」
その次の瞬間にはどうやら師匠がナイフを投げたようで、月刃が二本の指でそのナイフをキャッチしているのが見えた。
師匠の力じゃ決定打がない。だけど、今の状況じゃ月刃のスピードに対応できるのが師匠しかいない。
どうすればいいのか、そんなことを考えていると遠くの方で師匠がものすごい速度でぶっ飛ばされて壁に激突し、破壊しているのが見えた。
「く、」
師匠の体からは血が流れており、月刃のその手からは師匠の血と思える液体が付着していた。
それを見て魔理沙が青ざめるのが見える。そして月刃へ向かって走り始めた。
魔理沙の速度じゃ月刃についていくことなんて不可能だと言うのに、この状況でどうするつもりなんだ。
するとその血が付着した手を月刃はなんと口元に持っていき、舐めようとし、それを見た魔理沙が手を伸ばしながら叫んだ。
「やめろぉぉぉぉぉっ!」
魔理沙は月刃がその血を舐めることを止めようとしたものの、それは一足遅く、月刃は手に付着したその血を舐めとってしまった。
非常に嫌な予感がする。
魔理沙はこれまでにないくらいに取り乱してしまっていた。そのため、確実にこの後、何かがあると言うことはわかった。
だけど、俺たちはこれがどれほどやばい状況なのか、と言うのを完全に把握できてはいなかった。
「あ、あ、あ、咲夜の能力が、一番渡ってはいけないやつにっ!」
「うーん、まだ足りないけど、いいとするか。俺の加護とこの能力を合わせれば一秒でも十分なくらいだ」
月刃がそう呟いた瞬間、再び俺の目の前に一瞬で月刃が出現した。だが、さっきと違う点は月刃が通った場所にはさっきのような残像は残ってなどいなかった。
月刃は今度は本当に師匠と同じ移動方法を使って俺の眼の前にやってきたのだ。
どうやって師匠の能力を使ったんだ?
さっきまで使えなかった能力が突然発現すると言う事はほとんどないはずだ。なのに、使えるようになったと言う事はさっきまでのやりとりの中に何かがあるはずだ。
「まさか、相手の血を舐めると能力を使えるようになるのか?」
「そう、俺には
「俺はお前のことが嫌いだ」
「そうか、じゃあ、こうするしかないね」
月刃がそう言った次の瞬間、俺の視界の景色は一面木々ばかりの森へと変化した。
そして俺の体は何者かに抱えられていた。そう、月刄以外にはそんなことをする奴は存在しない。
なんと、一瞬にして俺を抱えてあの場から脱出してしまったのだ。
さらに俺はロープでぐるぐる巻きにされていて全く身動きを取ることができず、為す術なくこの状況を受け入れるしかなかった。
この先、何が待ち受けているのか、どこに連れて行かれているのか、そんな事はわからないが、一つ決意したことがある。
死ぬならこいつら全員倒して死ぬ。
はい!第60話終了
ついにこれにて第一章完結!
いやー、長かったですね。完結するまでは一年以上かかりました。
そして次回からは第二章が開幕ということで、第一章のテーマは仲間でした。
初期では姉を殺されて妖怪に恨みを持っていて妖怪全員を殺したいとまで言っていた黒葉ですが、レミリアたちなどの妖怪を大切に思い、守るために強くなって見事ゲンを倒しました。
では第二章のテーマはなんでしょうか?
第二章では兄弟や姉弟と言うワードが非常に重要になってきます。
そして第二章ではいきなり大ピンチに陥ります。
果たして黒葉はこの大ピンチを切り抜けることができるのでしょうか?
それでは!
さようなら