【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉は月刃に攫われてしまって牢屋の中で視界と動きを奪われて拘束されてしまう。

 月刃はそんな黒葉へと「仲間にならないか?」と問うたが黒葉は断固としてそれを拒否。

 すると黒葉の座っている床の温度が上がり、このまま断り続けるとどんどんと温度が上がって焼かれてしまうという。

 黒葉は絶体絶命だった。

 一方そのころ、咲夜は黒葉が連れていかれたのは自分の責任だと思い詰めていた。

 しかし、目を覚ましたレミリアは咲夜に助言をする。

「ずっと弱い十六夜咲夜で居てほしい」

 その言葉に咲夜は励まされ、黒葉を必ず取り返すと固く誓って黒葉を探すために走り出した。

 そしてそんな咲夜の姿を見てレミリアは昔のやり取りを思い出していた。

「頑張りなさいよ、メイド長」



 それではどうぞ!


第62話 助け出す意思

side三人称

 

「ちくしょう、守れなかった。また遅かった。白愛も、黒葉も私じゃ守れなかった」

 

 魔理沙は地面を殴りつけ、悔しさを表していた。

 そんな魔理沙の拳には地面の石ころなどが傷をつけ、血が流れだしていて痛々しいのだが、それでも魔理沙は地面を殴り続ける。

 

 魔理沙は後悔していた。

 あの事件の後、魔理沙は黒葉の住んでいた人里へ久しぶりに遊びに行った。しかし、そこにあったのは焼け崩れて何もかもなくなってしまった廃村だった。

 幸い近くにはもう一つ人里があるため、この里の住人は全員そっちへ避難しているだろうと考えて魔理沙は近くの人里へと急いで向かったのだが、そこには笑顔が消えてしまったまるで生きている人がいないような生気を失った人里しかなかった。

 

 何があったのかは知らなかったが、魔理沙は大慌てで何があったのか人里の住人から話を聞いて、驚愕のあまりしばらく動けなくなってしまっていた。

 ボーっと虚空を眺め、時間がどれだけ過ぎようとも魔理沙は元に戻ることができなかった。

 なにせ、魔理沙は今この瞬間に白愛の死と黒葉が行方不明になったことを告げられたのだから。

 

 一番最初に考え付いたのは火事だ。

 火事によって逃げ遅れ、雪女である白愛は熱に弱いからやられてしまったのだということを一番最初に考えたが、あの里すべてを焼き伏せるほどの炎などこの自然界には存在していなかった。

 そうすると自ずと答えは見えて来た。

 

 それから魔理沙は来る日も来る日も黒葉を探し回った。

 そしてようやく見つけた。だけど、状況は最悪だった。

 なんと、霊夢と交戦中と来たものだ。魔理沙も困ってしまったが、何とか止めに入った。

 

 そこから魔理沙は白愛を守れなかった代わりに黒葉を守っていこうと誓った。

 

 しかし、今回は全く力が及ばず、反応することもできずに黒葉が攫われてしまったのだ。

 

「やっぱり私じゃ霊夢みたいには行かないのかなぁ」

 

 大粒の涙を目からこぼし、地面をどんどんと湿らせていく。

 ルーミアもフランも結構前から魔理沙の事を知っていて、紅魔館に来ることが結構あったため、魔理沙の性格を知っているが、これほどまでに涙を流すことは今まで一度もなかったため、二人も魔理沙の後ろでどうしたらいいのかわからなくなってしまっていた。

 

 もちろんルーミアとフランも悲しくないわけではなかった。だけど、二人の心にはある一つの事が決まっていて、それを実行に移そうというのだから二人は泣いている暇などなかった。

 だけど、もちろんあんなやつを相手にするとしたらルーミアとフラン、二人きりでは心許ない。なので、ルーミアは魔理沙の肩をトントンと叩いて提案した。

 

「ねぇ、魔理沙。取られたら取り返しに行けばいいのだ~」

「取られたら、取り換えず、だと?」

「そうなのだ~。多分あいつらは黒葉を仲間にしたがっている。だから、すぐには殺さないで今頃拷問でもしながら黒葉に仲間になる様に勧誘しているはずなのだ。だから、まだ猶予はあるよ!」

「まぁ、拷問されている可能性があるから大丈夫とはいいがたいけどね」

「なるほど、つまりは殺されてしまう前に私たちで助け出せばいいんだな?」

「そういうことなのだ~!」

 

 ルーミアとフランが黒葉をまだ助け出せる可能性があるという話をすると魔理沙は考え込んだ後、いつもの笑顔に戻った。

 そして二人にありがとうとお礼を言うように頭をポンポンと撫でると箒を手に取って月刃が向かっていったであろう方へと向いた。

 

「じゃあ、取り返しに行くぞ。と言っても、レミリアがあの重症だったら動けないだろうし全員で行くわけにはいかないか」

「それじゃあ、私たちにお任せください!」

「美鈴!」

 

 魔理沙の言葉に一番に名乗りを上げたのは美鈴だった。

 本来だったらこの館総出で助けに行けたら一番勝率が高いのだが、生憎レミリアが重傷を負ってしまっているため、いくら吸血鬼でもあれほどのダメージを回復するのは時間がかかるから、今回の戦いに同行させることはできない。

 しかし、けが人を一人でおいていくわけにもいかないということで美鈴が残ってボディーガードを務めるということだ。

 そして私たちと言うからにはもう一人存在する。

 

「はぁ、仕方がないわね。行ってきなさい。その代わりしっかりと黒葉を連れて帰ってくるのよ。誰一人欠けずにね」

「パチュリー……」

 

 もう一人はパチュリーだった。

 と言うよりもパチュリーは取り返すために向かうというのには体力的に無理があった。

 そのため、レミリアが重症だろうが重症じゃなかろうが残ることになっただろう。

 さらには咲夜の部下たちの妖精メイドたちもここに残っていく。これだけの人数がボディーガードとしてついていたら並大抵の襲撃者位じゃレミリアの部屋まで近づくことすらできないレベルだ。

 魔理沙たちもこれだけの人数がこの紅魔館に残ってくれるのなら安心だと考えて別れの言葉を告げて三人で旅立った。

 

 しかし、この時すでに咲夜も黒葉を助けるために動き出しているため、三人は咲夜もこの紅魔館に残っていると思い込んでいた。

 

 咲夜の能力は時間停止。そのため、三人に気づかれずに紅魔館から飛び出していくのは容易だった。

 逆に咲夜も魔理沙、ルーミア、フランの三人が同じ目的のために行動し始めたことを知らない。

 

「く、この森、木々が生い茂っていて走りにくいわね。いつもなら空気がきれいでいいのだけど、今は鬱陶しく感じるわ」

 

 咲夜は三人より一足早く出発し、森の中を走り抜けていた。

 この森はぬかるんでおり、走ったら足跡がついてしまう。それは時を止めていても同じことで、物体の強度が時を止められたことで上がるわけでもないし、体重がなくなるわけでもないため、必ず足跡がついてしまう。

 そして咲夜は黒葉が連れ去られる直前に月刃の靴を確認していた。

 その靴の足跡がこの森にずっと続いている。

 

「でも、この森のぬかるみもいずれ終わりが来る。だけど、これで大体の方角が分かる。それさえわかれば近くで霊力探知をすれば見つけられる!」

 

 咲夜はできるだけ早く黒葉を見つけることができるように定期的に時間を止めて走っている。

 咲夜が時を止められる時間は10秒が限界だ。そしてそれが終わると次に使用するまで少し時間を空けなければいけない。それを計算してなるべく最速になる様に走っているが、月刃の速度が異常なため、一瞬で月刃は牢屋へたどり着いたが咲夜の場合、その倍以上の時間がかかってしまうと考えてもいいほどだ。

 

「く、まだ黒葉の霊力を感じられない。どれだけ遠くへ行ったのよ」

 

 咲夜も少し不安になってきてしまう。

 もしかしたら今自分が追いかけているこの足跡は全く別の人物のもので、全く見当違いの方へと来ているのではないかと、そう思ってしまう。

 

 だが、その時、明らかに月刃が通ったであろう目印のような物を咲夜は見つけ出した。

 

「こ、これは……っ、吹雪」

 

 吹雪とは冬夏白愛が使っていた一振りの刀で、今は黒葉が形見として使用している刀だ。

 この刀は黒葉が攫われた時にも腰に付けていたものになる。つまり、黒葉はここでこの刀を落としてしまったということになる。

 ここから導き出される結論は、間違いなく月刃と黒葉はここを通ったということだ。

 

「この先に黒葉は居る……っ!」

 

 そのことが分かると咲夜は今までよりもスピードを上げてラストスパートをかけるように走り出した。

 


 

side黒葉

 

「なぁ、太陽。そろそろ諦めたらどうなんだ? 俺たちの仲間になった方が楽だし、強くなれる。だというのに、どうしてそこまで頑なになって俺の誘いを断り続けるのか、理解不能だ」

「お、お前に理解してもらわなくて、もいい。俺は紅魔館のみんなを敵に回すようなことはしたくないんだよ」

「ふーん。でも俺たちはあいつらは要らないんだよね」

「だろうな、そしてあいつらもお前の誘いには絶対に乗らないぞ」

 

 最初に温度をあげられてから3時間ほど経過した。

 まだそこまで焼かれるというほどの熱さではないが、もうすでに結構足が熱くて痛い。体が冷えている状態でアツアツの風呂に入るような痛みだ。

 

 俺はこの2回とも月刃の誘いを断り続けていた。そしてこれからもずっと仲間になることはない。

 焼かれたとしても、俺は誘いに乗ることは絶対にありえない。それはもうわかっているはずなのに月刃は俺の事を殺すのではなくいちいち温度を上げるということをしている。

 しかも最初の一回の温度上昇率よりも低い。つまり、月刃はなるべく俺が死なないように調整しているということだ。

 それだけ俺の事が、いや俺の能力が大切ということなんだろう。

 

 さっきから月刃の言葉を何度も聞いているが、どうにも俺の事が大切なのではなく、俺の能力が欲しいだけのようだ。

 俺の能力に何があるのかは分からないけど、絶対にここから抜け出してこいつら全員ぶった切ってやる。まぁ、刀が無いから斬ることはできないんだけどな。

 

「まぁ、そんなに頑なに断るんなら断ってくれてもいいよ。だけど、その分苦しむのは自分だということは忘れないでくれよ。そんじゃ、一時間後にまた来るから返事を考えておいてくれ」

 

 何も見えない、何もできない。

 正直もう限界だった。

 苦しい、助けてほしい。

 

 ––誰でもいいから、助けてくれぇ……。




 はい!第62話終了

 今回のメインはみんながら黒葉を助けるために動き出すということでしたので黒葉のシーンは少ないです。

 と言うか、黒葉は視界を塞がれて、手足は拘束されて、長時間アツアツの鉄板の上に放置されているという代り映えしない状況ですので描写が少なくても仕方がないですよね。

 それでは!

 さようなら
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