【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついに黒葉のもとへとたどり着いた咲夜は部屋の暑さにも負けずに鍵をピッキングして黒葉を助け出すことに成功した。

 だが、ここからが本番だ。

 果たして咲夜と黒葉は無事にこの施設内から逃走し、紅魔館へと帰ることができるのでしょうか?



 それではどうぞ!


第66話 脱出、そして悪夢

side黒葉

 

 やっと数時間ぶりにタオルが取れたわけだから未だに視界がちかちかしているが、ゆっくりしている暇はない。

 今のやり取りで45分ほどかかってしまった。これ以上遅くなるとまた月刃がこの部屋に来てしまう。

 あいつは律儀なもので、目がふさがっていて体感的な時間しか感じられなかったが、おそらくきっちり一時間ごとにこの部屋へとやってきていたことだろう。

 と言うことはあと15分ほどでまた月刃が来てしまう。

 

「師匠、早くここから移動しましょう。もうすぐ月刃が来てしまいます」

「わかったわ。この施設の形状は迷路のようになっているから迷わないようについてきて」

「わかりました」

 

 師匠が慎重に扉を開け、周囲を確認するとついてくるように俺にジェスチャーをしてきたため、俺はできるだけ足音がならないように師匠の後ろを着いていき始めた。

 師匠の能力が何なのかはまだ分からないけど、多分俺を持った状態で一瞬で移動することは可能なのだろう。だが、たぶんこれだけ短い時間で俺のところまで来れたということは何回も能力を使っていて霊力が枯渇してしまっているのだろう。

 だから能力が使える回数が限られているからここからは慎重に歩いていくことにしたんだろう。

 

 それにしても、連れられてきたときも思ったが、ここはものすごく不気味な場所だ。

 地下に存在する建物で、太陽光が入ってこないことはもちろん、光もごく一部にあるライトが点灯しているだけで、その明かりもあまり強くないせいで薄暗い空間が出来上がってしまっている。

 こんな状態で師匠は周囲の人を把握することができているのだろうか?

 もちろん俺は吸血鬼だからこういう暗いところでも視界を確保することができているが、戦闘を歩いているのは師匠だ。師匠が敵に気が付くことが出来なければ対処に遅れが生じるかもしれない。

 

「師匠はこの薄暗い状態でも索敵できてるんですか?」

「ん? まぁ、視認はできないけど多分貴方よりは周囲の状況を把握できてると思うわよ」

「え? 吸血鬼の俺よりも?」

「敵を探る方法は何も眼だけじゃないっていうことよ」

 

 敵を探る方法は眼だけじゃない? もしかして霊力を探っているのか?

 確かに霊力を探っているのだとしたらこの暗闇だとしても何の関係もない。普通に索敵することは可能だろう。

 師匠は俺よりも圧倒的に霊力の扱いが上手いため、霊力を探って完璧に索敵できるだけの力を持っていたとしても何も不思議ではない。

 でも、師匠がやっていることはそんなレベルの事ではないような気がする。

 

「あ、そういえば黒葉、これを」

「ん? あ、姉ちゃんの刀」

 

 師匠は唐突に一振りの刀を手渡してきた。

 その刀は姉ちゃんの愛刀であり、今の俺の愛刀である吹雪だった。

 どうやら師匠がここに来るまでの道で見つけて持ってきてくれていたようだ。これで俺も多少なりとも戦うことが出来そうだ。

 

「黒葉、止まって」

 

 すると今度は師匠が俺に止まるように指示してきたため、俺はその指示に従ってその場に立ち止まると、師匠と同じように壁の向こう側をのぞき込んでみた。

 そこには少女が居て、なにやらモップをもって掃除をしている様子だった。

 

 なるほど、ここら辺は多少マシだと感じたのはここら辺は掃除をしているからだったのか。

 

 しかし、今の今までほかの人たちが掃除をしている姿を見かけたことが無かった。と言うことはもしかしてこの少女一人でこの広い廊下を掃除しているのか?

 見た目年齢的には俺とほとんど変わらないくらいなのだが、そんな少女が一人でこの廊下を掃除しているとなると、あの少女の境遇が少し心配になってくる。

 

「ねぇ、そのお二人さん? 女の子をそんなにジッと見るものじゃないよ?」

「「っ!?」」

 

 気が付かれてしまった。

 俺たちはあまり霊力も出していないし、足音だって全然立てていないというのに、あの少女は俺たちの存在に気が付いていたということか?

 ここも中々の暗さで、視認するのも一苦労だというのに、あの少女は手元から視線をこっちに向けずに俺たちに気が付きやがった。

 

「逃げるわよ」

 

 師匠がそう言った次の瞬間、一瞬にして視界がガラッと変わった。おそらくこれは師匠の能力で一瞬で移動したということなのだろう。

 しかし、ここはさっきまでのところよりもずっと気味が悪い牢屋が立ち並ぶエリアだ。しかも鼻が曲がりそうなほどのとてつもない激臭が襲い掛かってきていつまでもここに居たら体調を崩してしまいそうだ。

 

 速くここから移動しないと後ろから追いつかれてしまうかもしれないし、その前に俺たちがこの激臭にやられてしまう。

 

 そう考えた俺たちはすぐに走り始め、その場を後にした。

 

 少し走ると先ほどの激臭は無くなり、階段を上ると、そこには鉄格子状の窓が存在していた。

 今までは地下を走っていたのだが、ついに俺たちは地下から抜け出したということになる。だからもう少しでこの地下から抜け出せそうだ。

 だけど、このまま一筋縄じゃ行かないというのは分かり切っていたことだった。

 

「困るね。そんな簡単に逃げられちゃ」

「っ」

 

 このままここから脱出しようと思っていた矢先、突如として目の前に月刃が出現してしまった。

 月刃の立ち位置は俺たちの行く手を阻むような場所のため、強引に無視して逃げるということができない。ここから脱出するにはどうしても月刃の真横を通らざるを得ない。

 確かに俺たちが抜け出した時間帯はあともう少しで月刃が来るくらいの時間帯だったため、すぐに俺たちが居なくなったことに気がついてもおかしくはないが、どうしてこの迷路のように広いこの施設内で俺たちをピンポイントで探し当てたんだ?

 さっきの少女と言い、ここのやつらは索敵の化け物かよ。

 

「しっかし、さっきからよく俺たちの事を避けてここまで来れていたな。全く視界に入っていないというのに、俺たちの事を避けることができたっていうことはあれか? そこのメイドは樹海でも使えるのか? 面倒だな~」

「じゅ、樹海?」

 

 初めて聞く単語だった。

 いや、樹海と言う言葉自体は知っている。

 ものすごく広い大森林の事を樹海と呼ぶのだが、月刃の文脈的にこの樹海が大森林の事を刺しているのだとは全く思えない。

 それにしても師匠が樹海を使える? 能力と同じでそんなことは一度も聞いたことが無かったけど、もしかして今までの索敵も全て樹海と言う技を使用していたのか?

 

「さて、なんのことやら」

「ほう、あくまでも白を切るつもりか」

「完全で瀟洒なメイドは敵に塩を送ったりなんかせずに完璧に任務を遂行する。今回お嬢様に仰せつかった任務は黒葉を無事に紅魔館へ連れ帰ること。だから私は完璧にその任務をこなすだけ」

「へぇ、俺に負けた君では同じ結果になるだけだと思うけどな」

 

 確かにそうだ。しかも師匠は能力をコピーされていて、能力で優位に立つことができない状態だ。

 その上、月刃は持ち前の超スピードを使用できるため、どう考えても師匠に勝ち目があるとは思えなかった。

 でも、師匠の眼は全く諦めてなどいなかった。師匠は今度こそは月刃に勝つつもりでいる。そのことが眼から伝わってきていた。

 

 足に付けてあるナイフホルダーから数本ナイフを取り出すと師匠は構え、月刃に言い放った。

 

「別にこの勝負、あなたを倒さずとも勝てる方法が一つだけあるのよ」

「へぇ、そんなものがあるなら教えてもらいたいね。ほら、やってごらんよ」

「あと10秒待ちなさい」

「10秒がなんだって––っ! おい、これは!」

「あなた、樹海が使えるんでしょ? なら、私の言葉の意味、分かるわよね」

「させない!」

 

 突如として月刃は焦ったような表情を見せて俺たちの方へと突撃してきた。

 相変わらず目にもとまらぬ速度で、俺は慌てて刀を抜いたが、そんな俺のスピードじゃ月刃の攻撃を防ぐことができない。

 月刃の勝利条件は俺を連れ戻すこと。そのため、真っ先に俺の方へと月刃は突撃してきたが、そんな俺と月刃の間に師匠が入り込んできた。

 

「せっかちは嫌われるわよ!」

「くっ」

 

 さすがに師匠は俺と違ってこんな焦りに任せた攻撃じゃ逆に反撃を貰うだけだと感じたのか、月刃は飛び退いて師匠から距離を置いた。

 そんなことをしている間に10秒が経過してしまった。

 その瞬間だった。

 

「こーくーばぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 

 月刃の真後ろの壁が何もものすごいエネルギーを持った物体に破壊され、月刃に突っ込んでいった。

 月刃は回避しようとしたが、どうやら師匠が月刃が飛び退く前に毒を塗ったナイフで月刃を少し斬りつけたようで、月刃は体が思うように動けなくてそのエネルギーを回避することができずに巻き込まれて俺たちの後ろ側にある壁にそのエネルギー体と共に激突し、その衝撃で崩壊した壁の下敷きになってしまった。

 

「間に合ったぜ」

「ぜ、じゃないわよ魔理沙。私たちまで殺す気?」

「わりぃわりぃ。ってか咲夜も来てたんだな」

 

 なんと先ほどのとてつもないエネルギー体と言うのは魔理沙の箒だったようで、とんでもないスピードのせいでエネルギーが生まれてしまっていたらしい。

 そしてその箒から魔理沙以外にも目を回したルーミアとフランドールが地面に降り立った。

 二人とも魔理沙の箒に乗せられて紅魔館からここまで全力で飛んできたからふらふらになってしまっていた。魔理沙の飛び方は少し荒っぽいから俺も昔乗せてもらったことがあったけど、すぐに酔ってグロッキー状態になってしまっていた。

 

「っていうか、今誰かを吹っ飛ばした気がするが気のせいか?」

「今は気にしなくていいわ。それよりもさっさとここから抜け出しましょう?」

「おうっ」

 

 そうして俺たちは魔理沙が破壊した壁から外へと出た。だが、それが最初の不運だった。

 なんと、外に出た瞬間、俺たちはとてつもない威圧に襲われて一瞬、体が硬直してしまった。今の俺たちはまるで蛇ににらまれたカエルのようだった。

 ゲンなんかとは比べ物にならないほどの重厚な威圧と、とんでもない質量の霊力。霊力探知があまり得意ではない俺でもはっきりと感じ取れ、これほどまでにとてつもない霊力を感じたことが無いというほどの霊力だった。

 

 慌てて俺たちは霊力の感じる方を見てみると、俺たちの真横には余裕で3メートルを超えているであろう筋骨隆々の大男がそこに存在していた。

 そこで俺は思い出していた。あの少女、天音に忠告されたこと、『天魔っていう人には絶対に近づいちゃダメよ』『あの人には誰も勝つことはできない』。

 もしこの大男が天魔っていうやつなのだとしたら、俺たちは考えうる一番最悪な状況になってしまったのだろう。




 はい!第66話終了

 月刃を退け、ついにこの施設から脱出か? そう思ったのも束の間、なんと出た瞬間に咲夜が絶望した大男と遭遇してしまいました。

 黒葉も察していましたが、この状況は考えうる一番最悪な状況と言っても過言ではありません。

 プロット上では4章まで続く予定なのですが、この全編を通して登場するキャラクター(東方キャラ含め)の中でもこの大男は最強クラスの実力を持つキャラクターです。
 ちなみに最強クラスなだけで最強ではありません。

 そしてこの2章ではすでに加護や樹海が登場していますが、もう何個かオリジナルの技が登場する予定です。

 ちなみに無意識の恋や東方魂愛想とは違って原作キャラクター達も強化する予定ですので、時間がかかるとは思いますが、楽しみにしていていただければ幸いです。

 それでは!

 さようなら
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