それでは前回のあらすじ
ついに黒葉と咲夜は共に逃げ出した。
咲夜が索敵し、黒葉はそのあとをついて行く形だが、少女に見つかってしまう。
その後、月刃が黒葉の牢屋に来た時にはすでにもぬけの殻だったため、すぐにばれてしまう。
もちろん月刃の速度だったら一瞬で追いつき、黒葉と咲夜は追い詰められてしまうが、月刃は黒葉たちに気を取られ、背後から飛んできている魔理沙たちに気が付かずに魔理沙たちの箒に轢かれてしまう。
その隙に黒葉たちは魔理沙たちの作った穴から脱出を試みたが、そこにはなんと大男が存在していた。
考えうる最悪の状況に陥ってしまったのだ。
それではどうぞ!
side黒葉
震えが止まらない。
大男に近づいただけだというのに、俺の体は危険信号を発し、死をこれまでにないほどに明確に告げていた。
すでに気絶しそうなほどの霊力を感じているが、大男は立っているだけだ。何もしていない。霊力を周囲に放ったりなども何もしていない。
ただそこに存在し、あふれ出る霊力、オーラとでも言うべきものだけで俺たちは気絶してしまいそうになっている。
ゲンの時とはまた別物の恐怖が体を支配し、足が棒のように動かなくなってしまっている。
だが、必死に体を動かして刀に手をかける。
少しでも気を緩めたら殺されてしまう。そんな空気が周囲に漂っていた。
「太陽、そのなまくらでどうしようっていうんだ?」
「っ」
「少し強くなったくらいで調子に乗るなよ小僧」
太陽、月刃が俺を呼ぶときに使う名前だ。つまり、この大男も俺の関係者なのか? いや、ここにいる時点で確実に黒だ。
それに、この姉ちゃんの刀である吹雪は名刀と呼ばれる部類の刀だ。決してなまくらなんかではない。俺が今まで助かってきたのはこの吹雪があったからと言うのがかなり大きいだろう。
だが、そんな刀をなまくらと言ってしまう大男。この刀の事を知らないのか、それとも名刀ですらななまくらだと言えてしまうほどの力があるのか、どちらなのかは分からないけど、一つ言えるのはこの圧は本物だ。
「黒葉、下がれ!」
「ま、魔理沙!?」
すると魔理沙が俺の目の前に躍り出て大男へとミニ八卦炉を向けた。
俺も目の前だからこそ強がってはいるものの、魔理沙の足は震えている。魔理沙ほどの実力者でもこの大男相手には恐怖してしまっているのだ。
「久しい金髪だな」
「へ、へへ、もう二度とあんたとは会わないと思っていたんだけどな、天魔」
ずっと思っていたことなんだが、どういうことだ? 魔理沙は俺の家系を知っているのか?
月刃も天魔も昔に魔理沙に会ったことがあるという口調だし、しかもそのどちらともあまり友好的とは言えないものだ。
昔何があったんだ?
「しかし金髪、昔の大敗から何も学んでいないようだな」
「あんたがすごいやつで、私じゃ敵わないということも重々承知。だけど、今ここで引いたらいろんなものを失ってしまう気がするから私は引かない」
「愚か」
その瞬間、魔理沙のミニ八卦炉から極太のマスタースパークが放たれ、それが一直線に天魔へと向かっていき、そのマスタースパークは天魔に直撃した。
魔理沙のマスタースパークは森を消し飛ばすほどの威力があるほどのパワー技だ。これを天魔はもろに食らったんだ、ひとたまりもないだろう。
そう思っていたんだけど、その予想は外れてしまった。
「確かに昔よりは威力が上がっているようだな。倍増と言ったところか。だが、1をどれだけ倍増しようとも結果は変わらないということを忘れるなよ金髪」
すると今度は天魔の左腕に稲妻が走ったように見えた。このままでは魔理沙が危ない、そう本能で感じ取った俺は考えるよりも先に体を動かしてしまっていた。
刀を構え、天魔へと走り出し、体に炎を纏って技を発動する準備は万端だ。
そんな俺を見たからか、天魔は魔理沙に使おうとしていた技の発動を中止し、俺の方へと視線を向けた。
魔理沙のマスタースパークでも全くと言っていいほどダメージが入らなかったんだ。俺の攻撃でダメージが入るとは全く思っていない。
だけど、少しでも隙を作れれば俺の勝ちだ。
「黒葉!!」
魔理沙の声が聞こえてくる。みんなの俺を引き留める声が聞こえてくる。
だけど、一度走り出した俺の足は暴走機関車の様に止まることはなく、一直線に天魔へと走っていく。
居合の態勢となり、天魔を見据えて力強く踏み込んで天魔へと急接近をした。
「《業火一閃》」
俺の炎を纏った一撃に対して天魔は避ける素振りすら見せることはなく、一ミリたりともその場から動くことはせずに俺の攻撃を正面から受けて見せた。
そんな無防備の状態の人間に俺の攻撃が直撃したら一刀両断され、丸焼きにされてしまうのがオチなのだろうが、天魔の場合はそんなことはなかった。
「なっ」
「太陽、これが実力の差だ」
俺の一撃が天魔の体を一刀両断することはなかった。それどころか、俺の刀は天魔の体に届く前に霊力の層によって止められてしまっていた。
とてつもない霊力だった。おそらくさっきの魔理沙のマスタースパークも同様に止めてしまったのだろう。
果てしない壁。
嘘だろ、確かに俺は弱いが、ゲンを追い詰めることができたんだ。こんなに遠いわけがない。
こんなに壁が果てしなく高く、先が見えないわけがない。
そして俺は霊力の層を蹴って天魔との距離を開けると、再び炎を纏って居合の構えをする。
今度の炎はさっきの炎とは比べ物にならないほどの温度を誇る、炎を焼き尽くす炎だ。
「っ、《
「どうやらお前は一度痛い目を見ないと実力の差が分からないようだな」
そして俺が走り出すと同時に天魔は左手のひらを下に向けると左腕に稲妻を走らせ、その手のひらから地面に向かって稲妻を放出した。
その稲妻は徐々に大剣のような形を作っていき天魔の左手のひらに収まるような形となって大剣が完成した。
全体的に黄色を基調としており、刀身には稲妻模様のようなものが描かれ、バチバチと稲妻を纏っているような大剣だ。
そんな大剣を天魔は握ると振り上げて力をため始めた。
「黒葉、ダメ!」
魔理沙の声が聞こえてくるが、今さら俺も止まることはなく、力いっぱい地面を踏み込んで天魔へと急接近をして刀を天魔へと振る。
その瞬間の事だった。超巨大な稲妻の塊が俺に突進してきたのかと思った。
「《雷神剣・地》」
ズドーンと雷が落ちたかのような轟音が響き渡った直後、俺は何をされたのかもわからず、すべてをかき消され、抗うことができないようなとてつもない力でぶっ飛ばされてしまった。
何が起きたのか、それは俺が単純な剣の振り下ろし攻撃に負けてぶっ飛ばされてしまったということだ。そのことを理解するのには数十秒の時間が必要だった。
近くにあった森の中へとぶっ飛ばされ、全身の骨が砕け散り、木々をなん十本となぎ倒して俺の体は力なく飛んでいく。
もはや俺が通った後は大地すら削れてしまうほどの威力で飛んでいるのだ。
視界が白黒している。意識がどんどん遠のいていく。
遠い。果てしなく遠かった。
俺の背後に居たはずの魔理沙たちはもうすでに見えなくなってしまっていた。
どんどんと移り変わっていく視界。
俺はこの視界を見つめ、敗北したのかと他人事の様に思いながら意識を手放した。
はい!第67話終了
魔理沙対天魔、しかし天魔には全く持ってマスタースパークが通用しませんでした。いや、通用しなかったわけではなく、ダメージ量が少なかっただけですね。
黒葉の刀とは違って本当はしっかりと直撃していたんですけど、天魔の防御力の前に威力が弱くなってしまいました。
そして黒葉対天魔、魔理沙ですらあれしかダメージを与えられなかったのに、魔理沙よりも弱い黒葉が勝てるわけがないんですよね。
日輪一閃って今の黒葉にとっては最強の必殺技となっているため、それを簡単に止められてしまっただけではなく一撃で黒葉は天魔に敗北してしまいました。
絶望感凄いですよね。
果たして黒葉は生きているのでしょうか?
それでは!
さようなら