【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ぶっ飛ばされてしまった黒葉の元へと急ぐ咲夜、フラン、ルーミアの三人。

 三人が天魔から逃げることができたのには魔理沙の活躍が大きかった。

 なんと魔理沙は自身が囮となることで天魔から三人を逃がしたのだ。

 三人は黒葉がぶっ飛ばされたときに出来た痕を辿り、黒葉の元へと急ぐ。魔理沙の無事を祈りながら。



 それではどうぞ!


第69話 狂獣技

side三人称

 

 三人がしばらく飛んでいるとだんだんと森の景色が変わってきて竹が多くなってきた。いや、もうすでにここは森と言うものではなく、竹林なのだ。

 ここは霧が濃く竹の成長も早いため、景色が刻一刻と変化していく。その上、緩やかな傾斜まで存在しているので、方向感覚が狂ってしまうという魔境、迷いの竹林だ。

 

 本来だったら迷い込んだら二度と出ることはできないとまで言われるほどに方向感覚が狂わされてしまう場所のため、滅多なことが無ければ近寄らない方がいい場所である。

 だが、しかし黒葉がぶっ飛ばされてしまった痕はこの迷いの竹林の奥深くへと続いているため、三人は迷わずこの竹林の中へと入っていった。

 ここは迷いの竹林ではあるが、迷うことはない。なぜなら三人にとって目印となる黒葉の通った痕が存在しているため、迷わずこの痕を辿っていき、どんどんと奥深くへと突き進んでいく。

 

 すでに三人は結構な距離飛んでいるはずだが、いまだに黒葉の姿もかけらもない。そのため、三人の中ではすでに不安が渦巻いていた。

 あの一撃で粉砕されてしまって衝撃波だけがこの先まで届いているのではないかと言うことだ。

 先ほどの一撃は黒葉がまともに食らってしまったというだけで、咲夜たちも衝撃波にぶっ飛ばされそうになってしまったのは事実だ。それほどまでに高威力の技を受けて黒葉が無事にいられるとは考えにくかった。

 

 でも、それでも三人は黒葉の無事を祈って突き進むしかなかった。どれだけ不安になろうとも痕が続いている限り三人はその痕を辿って進み続ける。

 

 竹林へと入ってから10分ほど経過したころ、ようやく竹以外のものが見え始めた。

 

「あ、あれって永遠亭じゃない?」

「そうなの?」

「そうなのか?」

 

 咲夜は何度か永遠亭に来たことがあるから知っているが、つい最近まで引きこもりだったフランと永遠亭にお世話になることが無かったルーミアは永遠亭を知らないため、咲夜しかこの場では永遠亭を知っているものは居ない。

 確かにこれは永遠亭なのだ。

 しかも、きれいに痕がその永遠亭へと伸びて行っていたため、咲夜は少しの希望を抱いて永遠亭まで全力で飛んだ。

 

 だが、その永遠亭も見るも無残な状態になってしまっていた。

 なんと塀は一部破壊されてしまっており、そして永遠亭の壁をも破壊してしまって痕が室内まで伸びてしまっていた。

 そして破壊された壁からのぞいている室内はぐちゃぐちゃになってしまっており、まるでそこで爆発でもあったかのような見た目となってしまっていた。

 その代わり、今まで辿っていた痕はその室内で止まっており、向こう側の壁まで貫通はしていないようだった。

 

「黒葉が、爆発した?」

「ひっ」

 

 何気なく放った咲夜の一言でフランとルーミアの二人は震えあがってしまった。だが、確かにこの状況は黒葉が室内で爆発したとしか思えない状況だった。

 内部を見てみると、そこでは一人の少女がせっせと掃除をしている最中だった。これほど荒れているものを一人で掃除するのは一苦労なんて言葉じゃ済まないほどに大変なことだろう。

 

 そんな少女に咲夜は駆け寄った。

 

「鈴仙」

「あ、咲夜さん」

 

 咲夜が声をかけると少女––鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバは掃除の手を止めて咲夜の方へと向き直った。

 

「一つ聞きたいんだけど、ここで何があったの?」

「え? うーん……私は実際に見たわけじゃないので詳しいことはわからないんです。私は違うところに居ましたので。ただ、ものすごい音が聞こえたことは確かです。龍が啼いたような轟音と炎が燃え上がるようなボフンという音が聞こえた直後に部屋が破壊される音が鳴り響いて慌てて駆け寄ったんです。そしたら、お師匠様が刀を握りしめている男の子を呆然とした様子で抱えていたんですよね。お師匠様なら知っていると思いますよ」

「龍が啼いたような轟音と炎が燃え上がるような音……」

「炎が燃え上がるっていうのは黒葉の能力が炎の能力だからわかるけど」

「龍が啼いたような轟音っていうのがわからないね」

 

 鈴仙は実際に見たわけではないので、ここで起きたことは詳しくはわからず、その時にあった音の情報しかわからないとの事だった。

 そんな鈴仙の話を聞いて咲夜、フラン、ルーミアの三人は頭を悩ませる。

 実際にその現場に居た人物はその時、この部屋で作業をしていた鈴仙のお師匠様––八意(やごころ)永琳(えいりん)しかわからないのだという。

 

 そんな感じで三人が考え込んでいるとこっちへと近づいてくる足音が聞こえて来た。

 

「あ、お師匠様」

 

 音が聞こえてきた方へと顔を向けると、そこにはこの永遠亭の薬剤師、八意永琳が居た。

 額から汗を流しており、それをハンカチで丁寧に拭きながらこっちへと歩いてきている。相当に大変な仕事をしていたということが伺える様子だった。

 

「永琳、久しぶり。随分忙しそうね」

「久しぶり。えぇ、実は重症患者がそこら辺のものを全て破壊しながら飛び込んできたものだからね」

「っ、それって」

「知っているの? 黒髪の男の子で雪の結晶の形をした鍔が付いた刀を持っていたわ。その子がね、ものすごいスピードでこの永遠亭に飛び込んできたのよ。今は病室で寝かせているわ」

「やっぱり、黒葉がここに」

 

 咲夜は永琳の話で確信し、今は永琳がおそらく治療してくれているのだろうという見当がついた。だが、まだわからない点がある。

 なぜ黒葉は炎を出したのか、そして龍が啼いたような轟音とは何だったのかと言うことだ。

 いや、咲夜はすでに検討がついている。だが、ちゃんと確認しなければいけないことだった。これは一歩間違えたら力に呑まれてしまうものだから。かつてのフランの様に。

 

「今、鈴仙から聞いたのだけど、炎の音と龍が啼いたような轟音が聞こえたって」

 

 咲夜が核心をついて問いかけると永琳は少し思い出すようなそぶりを見せてからゆっくりと言葉を並べ始めた。

 

「さっきまで私はこの部屋で事務作業をしていたのよ。患者の書類などをまとめて必要な薬のリストなんかも作っていたわ。その時のことだったわ。風を切る轟音が外から聞こえて来たのよ。当然気になって私は外を見て驚愕したわ。なにせ、とんでもないスピードで周囲の物を破壊しながらこっちへと突っ込んでくる影があったのだから」

「やっぱり黒葉はここら辺のものを破壊しながら永遠亭まで飛んできたのね」

 

 壁の穴の先を見てみるとここに来るまでの道が全て開かれている状態となっていた。竹もなぎ倒されてしまっていてこの道を通れば確実に迷うことはないだろうという道が完成してしまっていた。

 このことを考えるに黒葉のダメージも尋常じゃないことが考えられる。そしてこのまま突っ込んでいくと永遠亭も崩壊してしまうということも分かった。

 だが、この永遠亭は壁一枚こそ突き破られたものの、この部屋の中で黒葉が止まったようだった。

 

「もちろんこの永遠亭を破壊されるわけにはいかないから私は全力で止めようとしたわ。だけど、近づいたらこの影が重症の男の子だってことが分かって躊躇してしまった。だからこのままだったら確実に私も吹き飛ばされてこの永遠亭はあの道と同じ運命を辿っていたことでしょう」

「でもこの永遠亭は無事……ではないけど残っている」

「そう、あれは奇跡と、そう呼ぶほかない出来事だった。龍が現れたのよ」

「龍?」

「えぇ、あれはまさしく炎の龍。それが刀の切っ先から出現し、この部屋の中に入った瞬間、男の子は体を捻り、地面にそれを叩きつけたのよ。するとなんとか威力が相殺されて男の子は急停止した。そのおかげでこの永遠亭は崩壊せずに済んだわけだけど、それを放たれたこの部屋は御覧のありさまよ」

 

 龍、そのことで咲夜は一つの可能性を思い浮かべた。もしこの考えが正しければとんでもないことだ。

 一方、ルーミアとフランは咲夜が思い浮かべていることなど全く知らず、どういうことなのか分かっていないため、首をかしげていた。

 永琳は咲夜がそのことに気が付いていることを察し、肯定するかのように首肯したが、その次に永琳の口からさらにとんでもない一言が放たれた。

 

「実はその男の子は永遠亭に飛び込んできたその時、すでに男の子は気を失っていたのよ」

「気を、失っていた!?」

「そう、そして咲夜ならこれが何を意味しているか、分かるわよね」

「まさか、そんな黒葉がっ!」

「でも実際問題、気を失っている体を動かしてしまうほどの自我を見せているわ」

 

 永琳の説明に咲夜が目を見開いて驚いている。ルーミアとフランは二人が何の話をしているのか全く分からなくて話に入ってはいけないものの、その咲夜の様子を見てただ事ではないことだけは感じていた。

 そんな二人の中に焦りが生まれていく。

 もしも黒葉が大変なことになってしまっていたらと考えると二人は居ても立っても居られなくなって二人は共に黒葉の妖力を感じ取って走り始めてしまった。

 

「ちょ、二人とも!」

「鈴仙、多分大丈夫よ。いえ、ある意味大丈夫じゃないかもしれないわね」

「大丈夫じゃない?」

 

 走っていく二人を止めようと鈴仙も追いかけようとしたものの、永琳はそれを止め、意味深な発言をしたことで咲夜は反応し、問いかけた。

 黒葉は重症だった。だからこそ永遠亭に飛び込んできたときも気を失っていたし、今現在も気を失っていることだろう。

 そして永琳は黒葉の容態を見て傷の治療を施したものの、その時に頭を強く打っていることに気が付いていた。ここに飛んでくるまでに幾度となく体を何かしらにぶつけて来たのだろうから頭をぶつけていても不思議じゃなかった。

 だから永琳はとある一つの懸念を抱いていた。それが意味深な発言の意味だ。

 だが、黒葉は妖怪であり回復能力も高く、妖怪であるからこそ菌などには人間よりも強いため、外から来た人が入って行っても問題ないだろうと考えた。

 

 それに、永琳は一目で二人にとって黒葉は大切な人であるということに気が付いていたからこそ、遅かれ早かれこの結果を受け入れなければいけないことになるのだからそれは早い方がいいだろうと考えて止めることはしなかった。

 

 ルーミアとフランの二人は鈴仙の静止も聞かずに黒葉の妖力を感じる部屋へと全力疾走していた。

 そしてようやくたどり着いた病室、そこからは確かに黒葉の霊力を感じられたため、二人は勢いよく扉を開けて中へ入って行った。

 

 中にはベッドが一つだけ存在し、そのベッドには誰かが寝ている様子だった。

 その誰かとはもちろん決まっている。冬夏黒葉だ。

 

 二人はそろりそろりと近づくと黒葉の寝顔を覗いてホッと一安心した。

 特に顔色が悪いわけでもないし、妖怪故に自然治癒力が高く、もうそこまで傷はひどくないように思えるほどにまで回復していた。おそらくそれは永琳の治療によるものもあるだろう。

 

「たまたま飛ばされたのがこっちでよかったね」

「うん、もしかしたら命に関わっていたかもしれないからね」

 

 ひそひそと二人が話していると先ほどまで寝ていた黒葉が突然体を起こし、二人の方へと顔を向けた。

 

「あ、起きちゃった?」

「まだ寝ていて。安静にしていないと」

「そうそう、いくら妖怪と言えどもまだまだ傷は軽い方じゃないんだから、ね?」

 

 二人は再び黒葉を寝させようとするが、黒葉はそんな二人の様子を見てきょとんとしていた。今のこの状況が全く理解できていないのだ。

 それもそのはず。黒葉はぶっ飛ばされている最中に気を失ってしまい、どこに飛ばされてしまったのか全く知らないのだ。

 

 ただ、そう思っているのはルーミアとフランだけだった。実際の状況はもっと深刻なものだった。

 

「ねぇ、お姉ちゃんたち––誰?」




 はい!第69話終了

 なんと黒葉がぶっ飛ばされた先は永遠亭だったんですね。

 そして黒葉が気を失いつつも技を地面に放ったその理由とは?

 そしてなんと黒葉が記憶喪失になってしまいました。

 と言うことでしばらくは黒葉視点なしです。

 果たして黒葉は記憶を取り戻すことができるのでしょうか?

 ちなみにtwitterでも言ったのですが、黒葉は最終的に最強クラスにはしない予定です。

 無意識の恋とは違って東方キャラも強化しますし、何より敵も味方も大体めちゃ強いので今の計画だと最終強さランキングでトップ10入りはできませんね。

 ちなみに最近無意識の恋の方でも霊夢強化入れましたが、この東方妖滅録では霊夢めちゃ強いです。とんでもなく強いです。

 まぁ、ゲン戦でゲンをあれほど簡単にぶっ飛ばしていたのですから、強いというのはわかっていると思いますが、あれは全く本気を出していませんからね。

 と言うことで今後の物語も楽しみにしていただけると幸いです。

 それでは!

 さようなら
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