【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 紅魔館の掃除をする黒葉。

 そんな黒葉を労う咲夜。

 黒葉は咲夜のことを少し見直したようだ。

 だけど、最終目標は変わらないのであった。



 それではどうぞ!


第7話 真夜中の密会

side黒葉

 

「ふぅ……疲れた」

 

 この広い紅魔館の窓を全て拭くのはかなり骨が折れる作業だった。

 しかも、俺だけじゃ間に合わないと判断されて何人もの妖精メイドを派遣されてしまった。

 

 俺は与えられた部屋のベッドに寝転がって疲れを癒す。

 この窓拭きだけで今日一日を終えてしまった。だが、この仕事で流した汗はかなり気持ちのいいものだった。

 

「誰かの役に立つっていいな」

 

 家でも俺は家事を担当していた。姉ちゃんは全く火事が出来ないからである。

 それを思い出すようで、ついこの間のことだけど、少し懐かしくなった。

 

「……ってちがーう!」

 

 なに余韻に浸ってるんだよ俺!

 こんなことをする為にこの館にとどまっているわけじゃないんだぞ。

 強くなれないと意味が無い。

 

 咲夜の動きを見て分かった。

 俺の今の実力じゃ妖怪一匹にも勝つことは出来ない。

 

「絶対に強くなってみせる」

 

 決意を固めて今日は眠りについた。

 

 目を閉じるとあの時の光景がハッキリと浮かんでくる。

 泣き叫んで姉ちゃんに手を伸ばすが、伸ばしても伸ばしても姉ちゃんを掴むことが出来なくて、どんどんと離れて行ってしまう。

 そんな夢。

 

 そんな最悪な夢を見た俺は冷や汗を流しながら飛び起きた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ダメだ。寝れない。

 寝ようとしたらこの夢を見てしまう。

 俺にとっては最悪の夢だ。

 

 なんで俺なんだよ。なんで姉ちゃんじゃなくて俺が生き残ってるんだよ。

 俺は弱い。大切な人一人守る力もない。

 あの時死ぬべきだったのは俺だったんだ。

 

 俺はフラフラと自室をぬけてバルコニーへと向かう。

 そのバルコニーからの景色はとてもいいもの――なのかもしれない。

 俺にとってはその景色は灰色に見えて仕方がない。

 

 視界全てが灰色に見える。

 そんな景色に思わずため息を漏らしてしまった。

 

「ダメだ。どれだけ強く振舞おうとしても俺は弱い」

 

 真剣に修行した。

 一日たりとも修行をサボったことは無い。

 だけど、そんな俺は里内最弱だった。

 

「この俺に力があれば……」

「悩める仔羊よ、力を貸しましょうか?」

 

 一人で呟いていると急に声が聞こえてきた。それも、この声は聞き覚えがある。

 調子もので、よく分からない奴。

 

「レミリア……」

 

 屋根の上に座っているレミリアが居た。

 

「こんな夜中にここで何をしているのかしら?」

「それはお前にも返すよ」

「何を言ってるのよ。夜こそ吸血鬼の活動時間よ」

 

 そうだった。

 昼に活動するという常識が俺の脳内から離れないから、忘れていたが、吸血鬼は夜の王と言うように、夜にその力を発揮する妖怪だった。

 

「眠れないの?」

「ちょっとな」

「そう、じゃあ、少しお話に付き合ってもらえるかしら」

「話?」

 

 ちょっと俺は驚いた。レミリアにそんな頼みを言われるとは思ってもいなかったからだ。

 昼間の俺だったら過剰に敵対視しすぎていて、話を聞こうとは全く思わなかっただろうけど、今は精神的に疲れていて、敵対する元気はなかった。

 それに、レミリアの話でも聞いていたら気分が紛れるかもしれない。

 

「分かった」

「ありがとう」

 

 礼を言うと屋根から降りて俺の横に着地した。

 

「ふふ、たまには人とこうして夜を過ごすのもいいわね」

「そうなのか?」

「そうね。この館には夜起きているのは私しかいないもの。夜に起きているのは夜行性の妖怪か、私たちのような吸血鬼のみ。そしてその中に含まれるのは私ともう一人しかいないもの」

「そうなのか」

 

 確かに夜行性というのは少し特殊なのかもしれない。

 ほとんどの生物が昼間に行動して夜に寝るというのが普通なのだろう。

 まぁ、俺もその夜行性の吸血鬼の一人なのだが、まだ人間時代が長いため、その習性に慣れていないから、今日はこうして夜に寝ようとしている。

 

「ん? この館にもう一人夜行性の妖怪がいるのか?」

「そうね、吸血鬼がもう一人居るわ。言ってしまうと、私の妹ね」

「そういえば、妹がいるって言ってたな」

 

 昼間、窓拭きをしていた時にレミリアが通りかかって話しかけてきた時に確かそんなことを言っていたような気がする。

 確か金髪で可愛い自慢の妹なんだとか。

 

「じゃあ、俺じゃなく、その妹と話せばいいじゃん」

「それもいいんだけどね。名前はフランドールって言うんだけど、フランは部屋に閉じこもってしまった。部屋から出てきてくれないのよ」

「引きこもりって言うこと? 何かあったのか?」

 

 そんな俺の問いにレミリアは困ったような表情を見せた。

 これはまずい質問だったかもしれない。

 地雷原となりうる発言だと、今気がついた。

 

「悪い。忘れてくれ」

「大丈夫よ。フランが引きこもっている理由、だったわよね。最初は私が部屋に閉じ込めたのよ」

「え、閉じ込めた?」

「そう、酷い姉よね」

 

 自嘲するようにレミリアは笑みを浮かべた。

 確かにこれだけを聞いたらレミリアは酷い姉のように思うかもしれない。だけど、俺はそうは思わなかった。

 今日一日しかレミリアのことを見ていないから分からないが、他の従者への接し方、口調を聞いてただ理由もなく、酷い理由で閉じ込めるとは思えなかったのだ。

 

 今でもレミリアのことは殺したいと思っている。だけど、レミリアの性格は認めているのだ。よく分からないやつだけどな。

 

「酷い姉だなんて思わねぇよ。理由しだいだ。何があった?」

「……能力って知っているわよね」

 

 知っている。

 能力、その言葉が俺の脳内から離れることは絶対にないだろう。

 能力というものは誰にでも備わっているものでは無い。かなり確率が低かったはずだ。

 それなのに、俺の姉ちゃん。冬夏白愛が能力者だったのだ。

 

「能力がどうしたんだ?」

「実は私たち、姉妹は二人とも能力者なのよ。能力っていうのは遺伝するものらしくてね。能力は違えど、能力が発現しやすくなるらしいわ」

「遺伝するものだったのか。俺は能力を持っていないけど」

「まぁ、そういうこともあるわよ。今はそれでいいわ」

「?」

 

 レミリアの最後に言った言葉の意味が全くわからなかった。

 

「まぁ、そんな訳で妹のフランにも能力があるのだけど、その能力が少し厄介なものでね」

「なんなんだ、その能力って」

「……ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」

「……え?」

 

 その能力名を聞いて俺は驚愕のあまり固まってしまった。




 はい!第7話終了

 黒葉はレミリアたちのことを少しずつ認めてきているようですね。

 そしてフランの話題。この話を聞いて黒葉はどうするのでしょうか。
 次回に続きます。

 それでは!

 さようなら
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