【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉を追って咲夜たちがたどり着いたのは迷いの竹林の中に存在する永遠亭だった。

 そこで咲夜たちは永琳から衝撃の話を聞かされる。

 なんと黒葉は気を失いつつも技を発動して自分の勢いを殺したというのだ。

 ルーミアとフランは黒葉が病室で寝ていると聞き、心配になって一目散に黒葉の元へと向かった。

 そこには確かに黒葉が居て、永琳の治療のおかげかかなり傷の具合が良くなっているように見えたものの、非常に深刻な状態となってしまっていた。

「ねぇ、お姉ちゃんたち––誰?」



 それではどうぞ!


第70話 記憶退行

side三人称

 

 フランとルーミアの二人は黒葉の言葉を聞いて一瞬思考が停止し、フリーズしてしまった。

 それほどまでに二人にとって予想外かつ、ショックが大きい一言だったのだ。

 二人は一瞬冗談かと思ったが、黒葉はそんなに冗談を言う性格ではないということはよく知っているし、何より黒葉の目は今まで見たことが無いほどに純粋無垢な目をしていてどうしてもこれが冗談だとは思えなかった。

 確かに鋭い目つきは生まれつきだからそのままなのだが、今までの黒葉よりも優しい柔らかな雰囲気を纏っていた。

 

「それに、ここはどこ? 病院? いっ、頭が痛い……僕、こんな大けがしたかなぁ」

 

 二人は黒葉の様子をうかがうが、見れば見るほどそれは一つの事実を示していた。そのことを察してルーミアは眼から一筋の涙をこぼした。

 

 記憶喪失。この状況を見たら誰もが思いつくその症状は今までの記憶を失ってしまうという悲しいものだ。

 今までの楽しかった思い出も、一緒に苦難を乗り越えた大切な思い出も何もかもを失ってしまったのだ。

 

『俺はルーミアが好きだ』

 

 そう言ってくれていた黒葉はもういない、そのことを考えるとルーミアは涙が止まらなくなってしまった。

 今泣いてしまったら記憶が無くて大変なはずの黒葉を困らせてしまう、そう頭では思っていても溢れてきて自分では制御できない状況となってしまっていた。

 

「ちょ、な、なんで泣いてるの? 大丈夫? なにかあった?」

(あぁ、黒葉はやっぱり優しいな。記憶を失っても心配してくれるということは元から優しい性格なんだろうな)

 

 黒葉はとりあえずわけもわからずルーミアの事を慰めるために片手でルーミアの頭を優しく撫でた。

 そこでようやく黒葉は気が付いた。自分の左腕が無いという事実に……。

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ、腕が、腕が無い! ぼ、僕の腕はどこ!? 痛い、痛いよぉぉぉっ」

 

 黒葉は記憶が無いせいか、いろいろなことに驚愕し、混乱してしまっている様子だった。

 フランやルーミアは初めて出会った時から黒葉の左腕はなく、それが当たり前となっていたので特に気にしてはいなかったが、本来の反応はこういう反応なのだ。

 腕が無いことに気が付いて痛いと思い込み、左腕を抑えてのたうち回る黒葉を見てさすがにルーミアとフランは以前との性格が違い過ぎて困惑を隠しきることができなかった。

 それもそうだ。

 フランとルーミアは昔の黒葉を知らない。最近の妖怪を殲滅すると覚悟を決めた後の黒葉しか知らないのだ。

 それより前は少し刀を扱える程度のただの一般人だったのだから、この反応は一般人としては別におかしいものではない。

 

「あらら、もう目が覚めたのね」

「なんかものすごく痛がっていますけど、師匠あれを放っておいていいんですか?」

「あれは痛いと思い込んでいるだけだから放っておいて大丈夫よ」

「お嬢様から聞いていたけど、これほどまでに違うとは」

 

 永琳は冷静に登場し、鈴仙は痛がっている黒葉の様子を見て心配し、咲夜も咲夜で以前との性格の変わり様に困惑を隠しきることができずにいた。

 

「少年、そこは居たくないでしょう?」

「な、なに言ってるんですか! 腕が無いんですよ!? 痛いに決まって……あれ? 痛くない」

 

 思い返してみると痛くないことに気が付いた黒葉は驚いて自分の左腕を見てみる。

 やっぱりそこには腕は無いものの、痛みと言う痛みは無いため、とりあえず落ち着くことにした。ここに居るということは何があったかは分からないけど、自分の身になにかがあったのだろうと察した黒葉は静かに永琳の話を聞くことにした。

 

「これからいくつか質問をするわ。まずは少年、名前を言えるかしら?」

「えっと……冬夏黒葉です」

「年齢は?」

「今年で8つです」

(8つ? 黒葉って確か10歳だったよね)

「咲夜、黒葉君の実年齢は?」

「確か今年で10歳になったはずよ」

 

 この時点でどのくらいの記憶喪失なのかがある程度判明した。

 ここ2年ほどの記憶がバッサリと消えてしまい、黒葉の精神年齢は8歳にまでさかのぼってしまったということだ。

 8歳と言うと黒葉は白愛から刀を貰ったばかりの年齢で、このころからあまり親が返ってこないということもあり、結構しっかりとした少年だったため、精神年齢的には高めだろう。

 

「なるほどね、この二人の事はわかる?」

「え? う、うーん……どこかで会ったことありました?」

「「っ!」」

 

 やはり二人は改めて聞くとショックだった。

 二人は自分の中で黒葉の中いい人の中でも特に中いい方だと思っていたということもあり、より一層ショックを受けてしまったのだ。

 

「じゃあ、この銀髪のお姉さんの事は?」

「うーん、たまに買い物で見かけるメイドさん」

「咲夜の事は名前こそわからないものの、誰かはわかっているようね」

「たまに黒葉の故郷のほうの人里まで買い出しに行っていたから多分知っていたのでしょう。それとそれはもう言わないで頂戴。妹様たちからの視線が痛いわ」

(私の事は覚えていなかったのに)

(私の方が黒葉の事を大切にしているよ)

 

 二人は咲夜に対して嫉妬の炎を燃やしていた。そのことに咲夜は少し危機感を覚え、永琳に自分の事を黒葉が知っているということをもう言わないでとくぎを刺した。

 これ以上二人の嫉妬を膨れ上がらせてしまったら咲夜は暗い道を気を付けながら歩かなければいけなくなっていたかもしれない。

 

 永琳はここまでの質問の内容をメモし、どれくらい記憶があるのかを確認していると、黒葉は鈴仙へと視線を向けた。

 ジッと黒葉は鈴仙を見つめているため、ちょっと恥ずかしくなったのか鈴仙は身をよじった。

 

「ど、どうしたの? 黒葉君」

 

 鈴仙が問いかけながら一歩黒葉に近づいたその瞬間だった。体はまだ全回復していなくて全身に激痛が走っているはずだというのに、黒葉は猛烈な勢いで鈴仙へと飛びついて抱きしめた。

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

「こ、これは」

「ど、どうなっているの?」

 

 鈴仙は飛びつかれたことによって驚愕のあまり、絶叫とも呼べる声を上げ、さすがの永琳も困惑を隠しきれない状態となってしまった。

 咲夜はさっきから困惑続きで頭が痛くなってきたのか頭を押さえ、フランとルーミアの二人は口を大きく開けた状態で固まってしまった。誰だって驚き過ぎると声が出なくなるものである。

 そしてさらに黒葉は困惑の種となる一言を投下した。

 

「お姉ちゃんっ!」

「お姉ちゃん!?」

「久しぶり!!」

「どうなっているのよぉぉぉぉぉっ!」

 

 本日2回目の鈴仙の絶叫が迷いの竹林内に響き渡った。




 はい!第70話終了

 なんと黒葉は8歳のころまで記憶が戻ってしまいました。ただ、このころからしっかりしていたんですね。

 そしてもうちょっとで白愛から刀をもらうというところです。まだもらっていないので刀の扱いもまるでなっていない感じですね。

 咲夜は意外といろんなところに買い出しに行ったりしているので、偶然黒葉も里の中で見かけたことがあるんですよね。そしてフランとルーミアが嫉妬していましたね。
 夜道には気を付けなければ。

 鈴仙をお姉ちゃんと呼んだその理由とは?
 次回明かされますのでお楽しみに。

 それでは!

 さようなら
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