【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉が記憶喪失になってしまい、一同大ピンチ。このままでは黒葉を無事に連れて帰るというレミリアとの約束を果たすことができない。

 永琳が黒葉へ質問をしてみるとどうやら黒葉は8歳の頃まで記憶が戻ってしまっているようだった。

 当然そのころにはまだ出会っていないルーミアとフランの事もわかるわけがなかった。

 するとなんと黒葉は鈴仙に抱き着き、驚きの一言を言い放った。

「お姉ちゃんっ!」



 それではどうぞ!


第71話 鈴仙と白愛

side三人称

 

 黒葉が鈴仙に抱き着いてお姉ちゃんと呼んだことによってこの場が凍り付いてしまった。

 特にルーミアとフランは生気が抜けたかのように燃え尽き、動けなくなってしまっており、さすがの咲夜も冷や汗をかいてこの状況が飲み込めずにいた。

 だが、ただ一人、永琳のみがこの状況を興味深そうに見ていた。

 

「お、お師匠様ぁ、見てないで助けてくださいよぉ」

「……鈴仙、あなたもともと人間だったのかしら?」

「え?」

「それで、黒葉君と鈴仙の生き別れの姉弟」

「そんな馬鹿なことあるわけないじゃないですか!!」

「ば、ばか……」

 

 さすがに鈴仙も混乱している状態で冷静な判断ができず、いつもは永琳に対して言わない馬鹿という言葉を使ったことによってほかの人に言われるよりも破壊力が高い一言として永琳の胸のど真ん中を貫いてしまった。

 それによって永琳は膝から崩れ落ち、部屋の隅で膝を抱えて落ち込んでしまった。

 

「お、お師匠様!?」

「ごめんね、馬鹿で」

「馬鹿って言ってすみませんでした! 謝ります! お師匠様は馬鹿ではないので帰ってきてください!」

「なにあれ」

 

 そこでやっと咲夜は正気を取り戻し、冷静に状況を把握したうえで一言ぼそっとこぼしてしまった。

 しかし、これは何度考えてもおかしな状況である。

 鈴仙は月のウサギ、対する黒葉は普通の人里の住人である。どう考えてもこの二人の接点などどこにもない。

 

「お姉ちゃん、一年もどこに行ってたの? 旅に出るとだけ言っていなくなったから心配していたんだよ?」

「ご、ごめんね黒葉」

 

 一応鈴仙は相手が記憶喪失の少年であるということを思い出して黒葉に合わせてそれっぽい口調で会話をするが、鈴仙は黒葉の姉が一年間何のために旅をしていたのかが分からないため、そこを聞かれても答えようがなかった。

 鈴仙は永琳の相手をしつつ、黒葉の相手もしなければいけないというとんでもない状況となっており、目をぐるぐると回してしまう。

 そこで永琳は復活し、さらなる質問を黒葉へと投げかけた。

 

「ねぇ、黒葉君。君のお姉さんのお名前は何?」

「白愛っていいます。冬夏白愛です」

「白愛様!?」

 

 黒葉の一言で再び驚愕した咲夜はこれまでの出来事が全て点と点でつながったように感じた。

 黒葉の修行を付けているからこそ咲夜は黒葉の構えがどこかで見たことがあるようなと既視感を抱いていたが、それがどこで見たのかがはっきりと思い出せずにいた。

 そして今、鈴仙を姉と呼び慕っているというところからも咲夜はやっとこの答えに行き届いたのだ。

 

「まさか黒葉は白愛様と鈴仙を勘違いしている?」

「咲夜、それってどういうこと?」

「似てるのよ、二人の容姿が。白愛様は鈴仙から耳と尻尾を取って白髪にしたような容姿をしているし、ぱっと見、見間違えても何らおかしくはないわ」

「そ、そんなぁ」

 

 咲夜は白愛の事を知っている。だというのになぜ今の今まで咲夜は苗字が同じ黒葉が白愛の弟だと考え付かなかったのかと言うと、白愛と違ってものすごく弱かったというのもあるが、咲夜は白愛の苗字を聞いたことが無かったのだ。

 だが、この辺で白愛という名前は黒葉の姉の白愛しかいないため、結びついたのだ。

 そして白愛と鈴仙の容姿はよく似ているため、黒葉は勘違いしてしまったのだ。

 もちろんその逆も然りで、咲夜も初めて白愛を見たときは鈴仙と勘違いをしてしまったものだ。

 

「白愛?」

「お姉ちゃんが居るって話は聞いていたけど、白愛って名前だったんだ」

 

 ルーミアは以前、黒葉から姉の話をされたことがあったので姉が居るということは知っていたが、フランは黒葉に姉が居るというところから初耳だったため、フランは一人この状況に置いて行かれてしまっていた。

 

「なるほどね、そういうことならとりあえず黒葉君の事は鈴仙、あなたに任せようかしら」

「そ、そんなぁ、お師匠様助けてくださいよぉ。ほ、ほら、いつもみたいに薬で記憶を戻して」

「はぁ、記憶を消すならともかく、記憶を復元させるのがどれだけ難しいと思っているのよ。できないことはないとおもうけど、黒葉君の年齢でそんなものを服用したらどんな副作用が現れるか分かったものではないわ」

「そんなぁ……」

「お姉ちゃん、久しぶりに剣を教えてよ」

「え、えーっと……ま、また今度ね」

「えー」

 

 鈴仙の答えに対してつまらなさそうな声を出す黒葉。

 そんな黒葉の姿が最近の黒葉しか知らない咲夜、ルーミア、フランの三人にとっては全く想像がつかないもので、正直混乱してしまっていた。

 だが、本来の黒葉の性格はこっちの性格なのである。

 

「そ、そうだ、黒葉、ここに居るみんなを紹介するよ。みんなお姉ちゃんのお友達なんだ」

「うん、僕もさっきから気になってたから教えて」

 

 とりあえず鈴仙は黒葉の遊び相手を自分以外にも作って自分から標的をそらそうという作戦を決行し、この場に居るみんなを黒葉に紹介することにした。

 

「まずはこのお医者さん。八意永琳先生っていうんだけど、この先生が黒葉の傷を治してくれたんだよ」

「そうだったんだ! ありがとうございます!」

「まぁ、医者として当然のことをしたまでよ。鈴……白愛さんから聞いたと思うけど八意永琳よ。また何かあったら相談して頂戴」

「ありがとうございます! またなにかあったらお願いします!」

 

 鈴仙が永琳を紹介し、そして自分の治療をしてくれたということで黒葉は感謝を述べたが、その光景を見て咲夜は感心してしまった。

 自分は小さいころにレミリアに拾われて、それからメイドとして英才教育を受けて来たので幼いころから丁寧な口調と敬語などは自然と使ってきていた。

 だが、黒葉ほどの年齢の子で丁寧な口調を使える人はどれほどいるのだろうかと考えるとおそらく一握りしかいないだろうという結論に至る。

 そのため、咲夜は感心したのだ。

 一方黒葉も咲夜とは違うものの、白愛がだらしない性格だったり、親が滅多に帰ってこないこともあって幼いころから大人の中で過ごしてきたため、黒葉も自然と丁寧な口調を使えるようになったのだ。

 

「それじゃあ次はこっちの金髪で羽が生え子は––」

「フランドール・スカーレットよ。吸血鬼の妖怪で長年生きているけど、見た目的にはそんなに年齢は変わらないから敬語は要らないよ」

「きゅ、吸血鬼、妖怪!?」

「う、うん、だけどね、吸血鬼だけど黒葉の事は襲わないから安心してね」

「う、うんわかったよフランドールちゃん」

「フランでいいよ」

「うん、フランちゃん。よろしくね」

「うん! よろしく!」

 

 フランは余程黒葉の記憶に自分を入れてもらえたのがうれしかったらしく黒葉がよろしくと言って差し出した手を両手で握ってジャンプしながら羽を犬の尻尾の様にパタパタと動かしていた。

 そんなフランの様子を見て咲夜は少し涙を流してしまっていた。

 少し前までは一切部屋から出たがらず、紅魔館の人とでもあまり関わりたがらなかったフランが黒葉と嬉しそうに話している。

 その姿だけで咲夜は感動してしまっていた。まるで子の成長を見ている親のような気分だった。

 

「そしてそっちのもう一人の金髪の子が––」

「ルーミアだよー。私も妖怪なんだけど、見た目的には私もそんなに年齢は変わらないから敬語は要らないよ。私も黒葉の事を襲うことは無いから」

「う、うん。わかったよルーミアちゃん、よろしくね」

「うん、よろしくね!」

 

 ルーミアも妖怪だということは伝えたものの、人食い妖怪であるということは隠して伝えることにした。

 前、黒葉にバレたときは色々なことを経て黒葉に認められるようになってからだったからよかったものの、今の黒葉に伝えても好意的な反応が返ってくるとは限らない。

 むしろ8歳ごろの黒葉は普通の村人だったため、拒絶されてしまう可能性すら存在している。だからこそルーミアは自分が人食い妖怪であるということを伝えることができなかったのだ。

 

「で、最後は黒葉も見かけたことのある銀髪メイドさん」

「十六夜咲夜です。私はフランお嬢様のメイドを務めています」

「よ、よろしくお願いします咲夜さん」

 

 咲夜はいつもの黒葉に接する態度からは考えられないほどに丁寧な口調で自己紹介をすると少し黒葉は顔を染めながらあいさつした。

 いつもは咲夜を遠目で見ていただけだったから何とも思わなかったが、実際に近くで見てみるとすごくきれいな大人の女性と言う雰囲気を纏っていたため、黒葉は緊張してどぎまぎしてしまっていた。

 そんな様子を見てルーミアとフランは恨みがましそうに咲夜の方を見る。

 

(な、なんでしょうか、なんだか寒気が)

(さすがは完全で瀟洒なメイドね)

(つ、強い。何がとは言わないけど強すぎる)

 

 フランとルーミアが咲夜に対して敵対意識を芽生えさせていたころ、永琳は黒葉に聞こえないようにこっそりと鈴仙に耳打ちをしていた。

 

「鈴仙、私は一度咲夜たちと状況を確認してくるわ。何があったのかも知りたいし。だけど、もしかしたら黒葉君に聞かせたらまずい話もあるかもしれないから、鈴仙は黒葉君の気を引くように一緒に遊んでいてあげてくれないかしら」

「まぁ、状況確認は大切ですもんね。でも、やっぱり黒葉君の気を引く係は私なんですね」

「それはそうよ。だってあなたは今、黒葉君のお姉さんですもんね。ね、お姉さん」

「お、お師匠様、やっぱりからかっていますよね!?」

 

 鈴仙の涙ながらの言葉に何も答えることはなく咲夜、ルーミア、フランの三人に一言声をかけて一緒に外に出て行ってしまった。

 それを見ると鈴仙は短くため息をつくとパチンと両頬を叩き、気合を入れた。そしてそれと共にスイッチを切り替え、しゃがんで黒葉と同じ目線となった。

 

「みんな用事があるみたいだから私と遊びましょ、黒葉」

「わかった!」

 

 各々自分の今やるべきことに取り掛かる中、そんな永遠亭に不穏な影が一つ忍び寄っていた。

 

「ふぅ、やっと見つけたよ、冬夏黒葉君」




 はい!第71話終了

 黒葉が鈴仙の事をお姉ちゃんと呼んだ理由が判明しましたね。実は鈴仙と白愛ってよく似た容姿なんですよね。
 鈴仙からうさ耳と尻尾を取り、髪の色を白くしたらそれはもう白愛です。

 そしてルーミアとフランは黒葉が咲夜にだけドギマギしたので嫉妬してしまったようですね。咲夜の運命や如何に!?

 そんな永遠亭に忍び寄る影が、敵か味方か。

 それでは!

 さようなら
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