それでは前回のあらすじ
夜。黒葉は寝れなくて、バルコニーへと出てくる。
すると、そこにはレミリアが居て、話し相手になってくれと頼まれる。
そこで黒葉はレミリアから妹のフランの話を聞くことになった。
それではどうぞ!
side黒葉
「え、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力?」
「そう、フランはなんでも破壊できる。例え人間でもね。その恐怖によって私はフランを部屋に閉じ込めてしまったわ。それも、地下の魔法によって強化されている部屋にね」
確かにそんな脳力があったら恐怖してしまうのも仕方が無いような気がする。
だが、最初はと言っていた。つまり、今は閉じ込めている訳では無いのだろう。なら、なんで部屋から出てこないのだろうか。
「じゃあ、なんで今は出てこないんだ? 今は別に閉じ込めている訳では無いんだろ?」
「……フランのトラウマって言うやつなんでしょうね」
「トラウマ?」
「前、フランは自分の凄く仲良くしていた人間を殺してしまったのよ。その能力で」
「え、どうして」
「……その人間は妖怪に襲われそうになっていてね、助けようとしたのでしょうね。だけど、フランの能力の巻き添えになったのよ」
悲しい事故の話だった。
そのフランは別にその人間を殺そうとしたわけじゃない。ただ、その妖怪を倒そうとしただけなのに、その人を巻き込んでしまった。
確かに、事故とはいえ、自分の仲良くしていた人を殺してしまったとなったらトラウマになってしまっても仕方がない。
俺なんて自分が殺した訳では無いのに姉が殺されたのがすごくトラウマになっている。
それが自分で殺したとなったらダメージもでかいだろう。
「そうか……」
「でも、急にこんな話をされて、困ったでしょう。ごめんなさいね」
「そうだな」
非常に困った。
俺は妖怪のことを憎んでいる。今でも殺したいほどに。
だけど、仮にもレミリアは俺の恩人だ。なんとかしてやりたいと思うのが人間の心ってやつなのだろう。
「俺は寝るわ」
「ええ、話を聞いてくれてありがとうね。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
とりあえず今日はもう寝よう。
話を聞いている間に眠くなってきていた。
それにしても、悩みが深すぎてどうやって解決したらいいのか分からない。
ただでさえ俺自身の悩みも解決していないというのに俺はなんで他人の悩みを何とかしようと考えているんだよ。
そして俺は自分の部屋に帰って眠りについた。
少し他人と話して落ち着いたのか、その日はもう悪夢を見ることはなくなっていた。
次の日は早起きして早速、昨日やっていない部屋の掃除から始まる。
掃除は家にいた頃は俺が担当していたため、掃除に関しては自信がある。
「しかし、なんでこんなに部屋数あるんだ? 確かに住み込みの使用人は多いが、こんなに部屋数が必要な程居ないだろ」
半分くらい空き部屋だった。
ただ、その空き部屋も綺麗に保っておこうということで俺は今、掃除をしている。
俺が来る前までは咲夜が隅々までやっていたおかげか、全然ホコリなんかは溜まってはいない。
掃除をする意味があるのかと言うくらいにぴかぴかだ。だから俺はそれを補う程度にどんどんと掃除をしていく。
「あら、今日も精が出るわね」
「なんでここに来た……用事はないだろ、レミリア」
「だって、会いたかったんだもの」
「なんだよその理由は」
本当にこいつはよく分からないやつだ。
こっちの方にはレミリアの用事になりそうなものは無い。というか、この部屋は廊下の突き当たりに位置する部屋で、しかもここら辺は従業員の部屋となっている。しかも、周辺は空き部屋しかない。
つまりレミリアは俺に会うためにわざわざ来たのだ。そろそろ寝ないと眠いくせに。
「……眠い時に攻撃したら殺せるかな」
「そういうことを本人の前で言うってことは本気でやる気はないって言うことよ。それに、今のあなた程度の攻撃じゃ私は殺せないわ」
「だろうな」
その事は自分でもわかっている。
レミリアは今にも寝そうなくらいに眠いだろうに、俺が殺せそうなほどの隙が見当たらない。
「でも、なんだかんだ頑張っているのを見て安心したわ」
「頑張ったら咲夜に修行を付けてくれるみたいだからな。そしていつか、この館で最強になる」
「あらあら、でかい目標ね。だけど、私を超えるということはあの博麗霊夢に近づくということよ」
「え、博麗様を」
博麗霊夢。この幻想郷と外の世界を隔てる結界の一つ、博麗大結界の管理者で、博麗神社の巫女でもある。
そして、幻想郷で最強の人。
この幻想郷で異変が怒ったら博麗様によって確実に退治されてしまう。
「博麗様に近づくということはレミリアって」
「悔しいことに勝てないけどね。でもね、私は博麗霊夢を苦戦させることは出来るのよ」
レミリアの実力をはっきりと見た事はなかったけど、そんなに強かったんだ。
ちなみに博麗様の実力は間近で見たことがある。前に里で異変が怒った時に博麗様が退治してくれたのだ。
「あなたの姉の仇も霊夢がとっているかもね。だから、あなたはそんなに頑張らなくてもいいと思うんだけど。弟として居候するなら大歓迎よ」
「レミリア」
「何かしら」
「俺は博麗様よりも先にあの襲撃者を殺したい。俺のこの手で
レミリアが博麗様がもう既に倒しているかもという話を聞いた時、普通ならいいはずなのだが、なぜだか悔しいと思ってしまったのだ。
殺られたのは自分の姉なんだ。憧れの人なんだ。
「そのためにもレミリア」
「……分かったわ」
「え、いいのか?」
「吸血鬼の戦い方を教えろと言うのよね。確かにそれは吸血鬼である私にしか教えられない事ね」
そうだ。
人間としての戦い方だったら咲夜からいくらでも習うことが出来る。だけど、吸血鬼としての戦い方は現状、レミリアからしか習うことが出来ない。
レミリアとその妹以外の吸血鬼なんて知らないしな。
「そう……じゃあ、条件があるわ」
「条件?」
「そうよ!」
「その条件って?」
「私を姉と呼ぶこと!」
そのレミリアの一言に俺は固まってしまった。
やっぱりこいつの感性はなんだかズレてしまっているようだ。
普段から姉と呼べとうるさかったのだが、ここでそれを条件として出してくるなんて卑怯だ……。
「……」
「そ、そんなに睨まないでよ。ほら、冗談だからさ」
「分かった。姉貴。これでいいか?」
「……」
固まってしまったのは今度はレミリアの方だった。
あれほどさんざん呼べと言ってきたのに、呼んだ瞬間、これなのかよ。
だが、これくらいで修行をつけて貰えるならお易い御用だ。
「やった、私に弟ができた!」
「くっつくな、暑苦しい」
喜びのあまり俺に抱きついてくるレミリア。
感情の起伏が激しいやつだ。
「それじゃあ、今日の夜、私の部屋に来て」
「? 分かった」
よく分からないけど、今日の夜にレミリアの部屋に行けばいいらしい。
それを伝えるとレミリアはこの部屋を後にした。
嵐のようなやつだったな。
さて、今日こそは早く掃除を終わらせて咲夜に修行を付けてもらう。
そう決心してどんどんと掃除していくのだった。
はい!第8話終了
咲夜だけでなく、レミリアも修行相手になりましたね。
ちなみに黒葉は掃除が忙しくてまだ咲夜とちゃんと授業はできていません。
それでは!
さようなら