それでは前回のあらすじ
商店街側にやってきた鈴仙とルーミアは食べ歩きをしながらいろいろと見ていた。
ルーミアの止まらぬ食欲に鈴仙は戦慄する。
そこへ妖夢が現れ、鈴仙はこの状況を見られたくなかったがために逃げようとするが捕まってしまった。
妖夢も加わり、鈴仙、ルーミア、妖夢の三人で商店街を見て回る。
それではどうぞ!
side三人称
「で、鈴仙はどうしてこの人里に? 永遠亭からは結構距離あるよね」
「まぁ、ちょっと用事があったんだよね」
「ん? あー、薬売り?」
「そうそう」
鈴仙はあまり今の状況、少年になつかれて姉と呼ばれて白愛という女の子のふりをしなければいけなくなったこの状況を親友である妖夢にバレたくないがために、鈴仙は嘘をついた。
もちろん隣にいたルーミアは当事者であるため、状況を知っているので鈴仙に「何言ってるの?」と言いたげなジト目を見るが、鈴仙はルーミアに話を合わせてくれと目で訴えかけたため、ルーミアはジト目を向けつつも、本当のことは言わずに置いた。
(このまま少し話して黒葉君たちが来るまでに妖夢と別れることができれば私の勝ち)
そんなことを考えている鈴仙だったが、妖夢はというと久しぶりに鈴仙と会えたことでテンションが上がっており、話したいことがいっぱいあるため、暫くは鈴仙と離れないつもりである。
「鈴仙も大変だね。こんな遠い所まで売りに来なきゃいけないなんて」
「でもそれだけお師匠様の薬は評判だっていうことだから私は誇らしいけどね」
「そうだね。私も幽々子様が褒められたらうれしいもん」
妖夢は従者、鈴仙は弟子という立場で似たような立場のため、話が合うのだ。
それからというもの、鈴仙とルーミアは妖夢を加えた三人で話しながら里を見て歩いていた。
鈴仙は早く妖夢と別れたかったものの、妖夢がニコニコとしながら鈴仙に話しかけるもので、鈴仙も離れるに離れることができずにいた。
そんな二人の様子を見てルーミアは鈴仙にジト目を向ける。
まだ黒葉たちは来ていなかったが、あれから少し経過したため、黒葉たちがいつ来てもおかしくないという状況に鈴仙は焦っていて妖夢の話があまり頭に入ってきてはいなかったが、何とか相槌を打つ。
「そういえば、鈴仙。この人里の事って何か知ってる?」
「ん? いや、私もさっき来たばかりで全然この人里のことについては知らないよ。鍛冶師がいっぱいいて鍛冶屋が有名ということしか知らない」
「そっか……ルーミアは?」
「私も同じ感じかな~」
「急にどうしたの?」
さっきまで妖夢は昔の思い出話とか最近会った話を主にしていたというのに、突然そんな話を振ってきたため、鈴仙とルーミアは少し頭にハテナを浮かべてしまう。
「うーん、実は私がここを観光の目的地に選んだ理由っていうのにつながってるんだけどさ、この人里ってとある伝説があるっぽいんだよね」
「伝説?」
「うん、世界最強の剣士の伝説。それを追うために私はこの人里に来たんだよね」
「そうだったんだ。世界最強の剣士の伝説ねぇ……ちょっと気になるかも」
「でしょ?」
剣士である妖夢はもちろん、さっきまで黒葉たちのことを気にしてばっかりだった鈴仙とルーミアも興味を持ち、妖夢の言葉に耳を傾けた。
すると妖夢はその伝説の内容を知っている限り話し始めた。
「この人里には世界最強の剣士っていうのが昔いたらしいんだよね。だけど、この人里に昔最強の剣士がいたっていうことを知っている人は今のところ見かけてないんだよね。でも、最強の剣士が居たっていう伝説だけは残っている。奇妙な話だよね」
「誰も知らないけど存在したはずの剣士か……その伝説は信ぴょう性があるの?」
「わからない。でも、少なくとも私はこの街にいたんだと思っている。だって誰も知らない最強の剣士ってロマンがない?」
「妖夢って昔からそうだね」
目をキラキラさせながらいう妖夢に対してあきれたように言う鈴仙。
昔からこういった話には目をキラキラさせて食いついて信ぴょう性がなくとも一生懸命調べようとしたことも何度もあった。
そんな姿を昔から鈴仙は見てきているため、なんだか懐かしい気分になる。
そんな感じで話していたその時だった。
突如として里中に女性の声が響き渡った。
「助けて! 誰か! ひったくりよ!」
その声が聞こえて三人ともその声が聞こえてきた方へと顔を向けると、そこには女性と女性のバッグを引っ張っている男性がそこにいた。
そして女性が声を上げたことでさらに力を込めて男性は女性からバッグをひったくり取ると、そのまま走り始めた。このまま逃げる気だ。
その瞬間、鈴仙、妖夢、ルーミアの三人は顔を見合わせることなく心を一つにして男性に向かって走り始めた。
片やただの人間の男性、片や人外で人間よりも身体能力が高い三人。
どっちが勝つかなんて目に見えていた。
鈴仙と妖夢は男性の倍ほどのスピードで騒ぎを聞きつけて集まってきた人込みをかき分けてどんどんと男性へと距離を詰めていく。
そのことに男性も気が付き、全力で走っていろいろな曲がり角を利用して三人を撒こうとするが、男性の背後をぴったりと妖夢の半身である半霊がついていっているため、どれだけ撒こうと頑張ろうが無駄なことだった。
そしてついに――
「追いつめましたよ」
「さぁ、観念してください」
「もう逃げられないよ」
「ぐ、ぐぐぐ」
路地裏の角をうまく利用して三人のことを撒こうとしていたまではよかったが、男性はうっかり行き止まりの方へと行ってしまったのだ。
そしてそんな男性を容赦することはなく、三人はどんどんと距離を詰めていく。
さすがに焦った表情を浮かべる男性だったが、その表情はまだ絶望にはなっていなかった。そのことに妖夢は気が付いていて、三人で距離を詰めていくものの、妖夢は腰の刀に手をかけながら近づいていく。
「く、くくく、この程度で俺を追いつめたと思ったら大間違いだぜ! シールド展開!」
男性がそういった瞬間、三人と男性の間に巨大な盾が出現し、三人の行く手を阻んだ。
はい!第80話終了
次回で鈴仙たちだけの話は終了で合流できればいいなと考えています。
そして鈴仙、ルーミア、妖夢の三人と男の戦いはどうなるのでしょうか?
今までしっかりとした戦闘描写がない三人ですからね。
どうやってこの男と戦うのでしょうか?
そして次回この東方妖滅録でめちゃくちゃ大事な技が出てきます。
それでは!
さようなら