それでは前回のあらすじ
妖夢を加えた三人は仲良く話しながら人里を見て歩く。
その中で妖夢に最強の剣士の伝説を聞かされるものの、情報はほぼないといってもいいようなものだった。
その時、三人の前でひったくり事件が発生したため、三人はとらえるため、ひったくり犯の男を追っていく。
そしてついに追いつめたかと思われたが、なんと男は盾を出現させて三人の行く手を阻んだ。
それではどうぞ!
side三人称
「っ、盾?」
「これで私たちの行く手をふさいで時間稼ぎをしようって事ですか……そうはいきませんよ!」
目の前に出現した盾は人一人がすっぽりと隠れるほどの大きさで、普通の人間の足止めをするくらいなら分けないほどのものだ。
だが、この場に集まっている者たちは違う。この場には人外たちが集まっているのだ。
鈴仙はウサギの妖怪であるため、この程度の盾を飛び越えることは朝飯前だった。
だから鈴仙は足に力を込め、思いっきりジャンプして盾を飛び越えようとした。だが、男はすぐにその様子を見て三人の上に盾を出現させて鈴仙のジャンプを阻止した。
それによって鈴仙は盾に頭をぶつけて落下する。
「きゅうう……」
「あいつ、いくつもの盾を作れるみたい」
「そうですね。なら、この盾を突破するしかない!」
鈴仙のことを一瞥すると妖夢は真剣な表情で目を吊り上げ、おそらく男がいるであろう場所へと睨みつけるような視線を飛ばして攻撃先を見つめる。
刀へとゆっくりと手をかけると、「ほうっ」と短く息を吐くとがっしりと一本の刀の柄を握り、一気に刀を振りぬいた。
「幽鬼剣《妖童餓鬼の断食》」
勢い良く振りぬかれた刀には霊力が込められており、その刀の剣先からは横一文字の霊力の斬撃が放たれて盾を切りつけた。
だが、やはり盾というだけあって頑丈で、一発で破壊することはできなかったたものの、もう一発放てば破壊できそうなくらいにはダメージを与えることができた。
これほど逃げる相手なのだ。おそらく素の実力にはあまり自信がないからこそ男は逃げて攻撃を食らわないようにしていると考えた妖夢は早く破壊するためにそのままの勢いで回転してもう一発霊力の斬撃を放った。
その攻撃は当然盾という大きい的なので、命中。この一発で盾は壊れた――はずだった。
なんと見てみるとその盾に入っているダメージはさっきまでとほとんど変わっていないようなものだった。
少し違うとしてもそれは傷の位置とか形とかが違うだけで、ほぼほぼ同じだった。
「な、どうして」
「私も行きます! 波符《
今度は起き上がって復活した鈴仙が手を銃の形にすると、その指先から銃弾の様に霊力弾を放ち、それがいくつもに分裂して弾幕となった。
その弾幕が盾に直撃する。
妖夢の斬撃の一撃よりかは威力が低いものの、これは数が多い。そして鈴仙の弾幕の威力が低いというわけではないため、この弾幕で盾を破壊できると思われた。
しかし、三人の目には驚くべき光景が映し出されていた。
なんと鈴仙の弾幕が直撃したそばからなんと盾が再生していっているのだ。
だから妖夢の二発目が当たった時と一発目の傷の入り方があまり変わっていない様に見えたのだ。変わっていないというよりは一回再生したところにもう一発放ったという感じだから同じ見た目になるのは当然のことだった。
「なら、数を増やせば! 夜符《ナイトバード》」
鈴仙に会わせるようにルーミアも二種類の弾幕を放ち、正面の盾を攻撃する。
だが、鈴仙の弾幕よりも攻撃力の低いルーミアの弾幕では盾の再生速度に勝つことはできず、状況はあまり変わっていなかった。
二人合わせて半分も盾を破壊することができていない。これでは三人がかりで攻撃しても永遠に破壊することは不可能だろう。
「無駄だよ無駄! 俺の盾は一瞬で再生する。お前らの攻撃速度なんかよりずっと早くな。お前らなんかでは俺の盾を破壊することはできねぇよ」
「果たして本当にそうでしょうか?」
「む、何が言いたい」
「ちょっとなめすぎ、じゃないですか?」
「ふん、何がなめすぎだ。これが現実だ。俺の盾は防御最強。誰にも破壊することはできない」
そこでルーミアはとある人物のことを思い浮かべた。
もしここでフランが居たらどうなっていたのだろうかと。フランの能力なら一瞬でこの盾を破壊することができたんじゃないかと。
そう思うとルーミアは自分の弱さに悲しくなってきた。
(私は今まで一度も役に立てていない。それどころかいつも黒葉にも迷惑をかけている。この場でも足手まとい……私は一体何のために存在しているの?)
だが、そんなルーミアの胸の内など誰も知る由もなく、妖夢は男性に対して言い放った。
「最強、最強ですか。この程度で最強とは……ずいぶんと最強は安いものですね」
「なんだと?」
「これ、二発私が切れば切れてしまうんですよ」
「だから、その二発が無理だっていう話をしているんじゃねぇか!」
「なら、」
男性には見えていないと知りつつも妖夢は不敵な笑みを浮かべて下すような表情で続けた。
「同時に二回斬ればいいじゃないですか」
「同時にだと? そんなのは不可能だ!」
「あなたもこの幻想郷で生まれ育ったんですよね。なら、分かりますよね。この幻想郷では不可能がありえないということが。あなたはこの狭い外界から隔離されたこの場所で生まれ育ってきて、確かにこの里には剣士しかいませんからあなたの能力はほぼ無敵といっても過言ではありません。ですが、世界は広いんです。私なんかよりも圧倒的に強い人なんていっぱいいる。あなたはいわば井の中の蛙ですね」
「っ、なら、やってみろよ。壊せるもんならよ」
さっきまで攻撃していたルーミアは不安そうな表情で妖夢のことを見る。自分と鈴仙の二人で攻撃しても半分も破壊できなかったという事実があるため、あの盾がどれだけ頑丈なのかはわかっていた。
妖夢だって半分ほど破壊するのが限界だった。
さっきまでの光景を見ていたら妖夢には悪いとは思っているが、どう考えてもあの盾を切ることができるとは思えない。
だが、そんな心配をしているルーミアとは違い、鈴仙は自信に満ち溢れた目で妖夢のことを見ていた。
そしてルーミアが不安そうな表情をしているのを見かけた優しく微笑みかける。
「大丈夫ですよ。妖夢ってすごく強いんですから」
「強いの? でも、さっき盾を切れなかった」
「まぁ、あれはまだ本気を出していなかったからね。本気を出した妖夢は手を付けられないよ」
妖夢は納刀すると先ほどと同じように鋭い視線を盾に向け、ゆっくりと刀の柄に手をかけ、がしっと握った。
その瞬間、周囲にいたものには妖夢の霊力が急上昇し始めたのを感じ、ルーミアも思わず一歩後ずさってしまった。
妖夢の体の周りに薄青色のオーラが漂っているように見える。これは霊力のオーラだ。霊力が高まると稀に可視化する。そしてそのオーラは特に刀から出ているものが濃くなっている。
「気を付けてくださいね。二発、行きますよ。幽鬼剣《妖童餓鬼の断食》」
さっきと同じように妖夢は刀を振りぬいた。
ただ、さっきと違う所は妖夢の刀から残像が出ているように見えるという点だった。通った軌道に霊力の跡が残り、刀がどういう動きをしたのかが明確にわかる。
そしてその軌道通りに霊力の斬撃が飛ばされ、盾に直撃した。
さっきと同じ技に見える。本当にさっきと同じなのだとしたらこの一撃じゃ盾を破壊することはできないはずだった。
だが、しかし、その妖夢の斬撃は――
バコーン!!
きれいに一刀両断し、木っ端みじんに粉砕して見せた。
はい!第81話終了
前回、今回で鈴仙たちだけの物語を終わらせれれば良いといっていましたが、案の定終わりませんでした。
そして妖夢が最後に見せた技はもとからある技を強化することもできますし、ほかにもこの技専用の技を作ることも可能な汎用性が高い技となります。
ちょっとこの妖滅録は戦い方の面では剣士が少し優遇されますね。
ちなみに特訓をすればこの妖夢が使った技は剣士ならだれでも使えるようになるような技です。
剣専用の技ですね。
元ネタはゼ〇ダの伝説のバグ技でおなじみの残像剣さんです。まぁ、この技はそこまでチートではないですが。
次回明かされるかな、どうかな。という所ですね。
それでは!
さようなら