【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 三人の前に突如出現した盾。

 三人は盾を破壊するために攻撃するが、瞬時に再生するため、全く破壊できない。

 そこで妖夢は新たな力を見せる。

 その力によっていともたやすく盾を破壊することに成功するのだった。



 それではどうぞ!


第82話 歯車

side三人称

 

「な、な、なに!?」

 

 男は妖夢に盾を一刀両断されたことに驚き、盾を足場として壁を乗り越えて逃げようとしていた盾を思わず消してしまったことによって地面に落下してしまう。

 やっぱり動きから見て男は今までこの盾ですべてを乗り切ってきていたようで、本当の戦闘というやつに慣れていない動きで、着地もうまくいかずに少しよろめいてしまって隙が生まれていた。

 そんな隙を妖夢が見逃すはずもなく、思いっきり地面を踏みしめて閃光の如き速度で男に向かって走り出した。

 

 だが、盾の男はすぐに妖夢の動きに気が付いてさらに妖夢の目の前に盾を出現させてこっちに来ない様に道を阻む。

 しかし、妖夢が止まる気配はない。それどころかそのまま刀を構えて盾へとまっすぐに突っ込んでいく。

 そしてその妖夢の刀はさっきと同様に残像が見え、妖夢の体全体から霊力がオーラの様に見える。その姿はとてもきれいなもので、そんな初めて見る光景にルーミアは見とれていた。

 

 とても洗練された美しい霊力。

 そんな光景に見とれている間に一瞬刀を振るうと、盾は完全に一刀両断されて再び盾は木っ端みじんになった。

 

「その盾はいくら生み出しても同じですよ。私にとってそれを斬るのは朝飯前ですから」

「っ、言ってくれるじゃねぇか! なら、これでどうだ!」

 

 そう言って今度男が生み出したのは何重にも重なり、厚さが増した盾だった。

 さっきまでの盾とは厚さがまるで違い、並みの剣士だったら半分も切り込みを入れることはあまりにも絶望的なほどの厚さとなってしまっていた。

 そんな厚さの盾が出現したことでルーミアの表情に焦りが見える。さすがにこれは妖夢でも斬れないんじゃないかとすら思い始める。

 

(確かに妖夢の剣術はすごいみたいだけど、本当にあれを斬れるの?)

 

 ルーミアの疑問は当然のものだった。

 だが、鈴仙の表情は全く心配している様子はなく、妖夢に関しても余裕の表情は全く崩すことなく刀を構えて盾へと突っ込んでいき、そしてついに地面を踏み込んだ。

 

 地面を踏み込み、地面が少しえぐれるほどの力で地面を蹴って駆けた妖夢の姿はもうこの場にいる誰にも見えない速度となっており、唯一剣の残像が残っていることで妖夢の進行方向をなんとか認識できる程度だった。

 

「人符《現世斬》」

 

 バチコーン!

 

 その次の瞬間にはとんでもなく分厚くなっている盾が一瞬にして一刀両断され、木っ端みじんの木くずになって地面に転がる。

 みんなの目の前から一瞬にして姿を消した妖夢。その行先は一つしかなかった。

 

 なんと、男の背後に立っていたのだ。

 

 静かにたたずむ妖夢はゆっくりと手に持った一振りの刀を鞘に納めると、その瞬間に男の体が切り裂かれる。

 

「がぁぁぁ、がはっ」

 

 斬られた個所から大量の出血をして地面に倒れ込む男。今まで盾で防御をする戦い方をしていたことから打たれ弱く、かなり苦しみながら地面に倒れている。

 一応まだ死んでいない。妖夢が死なない様に斬りつけて、すぐに治療をすることで助かる程度にしている。

 だから妖夢はすぐに男の目の前に立って男に話しかける。

 

「さっきあの女の人から取ったバッグを返してください」

「が、がはっ」

 

 だが、意識がもうろうとしている男はうんともすんとも言わない。ただ口の中にたまってきた血を吐き出すだけだった。

 

 確かに妖夢はこの男を死なない様に斬りつけた。だが、このまま放置していても良い出血量ではない。このまま放置したら間違いなくこの男は死ぬ。

 迅速な処置が必要なのだが、男が全く一言も話さなくなってしまった。

 一応もう二度とこんなことをしない様にとトラウマを植え付けるだけのつもりで妖夢は痛めつけたが、さすがにもうそろそろ処置を始めた方がいいため、何も話さないが、バッグだけでも回収して女性のもとへと妖夢たちは帰って処置を鈴仙に頼もうと妖夢がバッグを取って鈴仙の方へと振り返った瞬間の出来事だった。

 

 ドガンと固いもの同士が衝突したかのような音が周囲に鳴り響き、地面が少し割れたように感じた。

 

 妖夢が驚いて背後を振り返ると、そこには鋭利なものが壁の上から伸びてきていて男の体を完全に貫いて地面に突き刺さっているのが見えた。

 三人ともがその光景を見て唖然としてしまう。驚きのあまり何も考えられなくなり、硬直してしまう。

 あの刺さり方はまず間違いなく死んでしまっている。妖夢が動けなくしたところをとどめを刺されてしまったといったところだろう。

 

 今、鈴仙に処置を頼もうとしていた妖夢は突如として助けようとしていた人が目の前で死んでしまったことのショックで青ざめてしまう。

 

「あめぇ……あめぇ……」

 

 壁の上から声が聞こえてくる。

 三人は磁石同士が引かれるように声の聞こえた壁の上に視線を向けると、そこには壁の上に座って男に突き刺さっている鋭利なものの柄を持ってこっちを見てきているひとりの男が存在していた。

 目つきはあまりいい方とは言えない黒髪の男。だが、黒葉ともなにか雰囲気が違う風貌の男にルーミアは少し恐怖してしまって一歩後ずさってしまう。

 

「んなことばっかりしていると、いつか本当に後悔することになる。こいつが今までに盗みを働いた回数は25回。そのうち憲兵に15回はとらえられている。それでも反省は全くせず、また盗みを働くやつだぞ。お前は本当にこれでこいつが反省すると思っているのか?」

「で、でも殺さなくたって」

「何言ってんだよ。この世は殺すか殺されるかだ。その選択があめぇって言ってんだよ白髪」

 

 そこでこっちまで伸びてきていた鋭利なものの長さが短くなっていき、普通の刀の形へと変化した。いや、変化したというよりは戻ったということの方が正しいのだろう。

 

(さっきからそれから霊力を感じてた。もしかしてこれがこいつの能力!?)

 

 妖夢は男が刀を伸ばすことができる能力を持っていることに気が付いて警戒して刀に手をかける。だが、男は興味なさそうに壁の上に立ち上がった。

 壁の厚さが足の大きさの半分ほどしかないようで、足がはみ出てしまっているが、それでも全くふらつくことがない様子から非常に体感がいいということがうかがえる。

 

「黙って聞いていれば好き勝手言って……そもそもあなたは誰なんですか!?」

「あ? 俺か? なんだっていいだろ」

 

 鈴仙の問いに答えない男はそのまま鈴仙たちの方へと壁を飛び降りると、三人の間を通ってこの場を去ろうとした。

 だが、ただ一人、それを許さない人物がいた。

 横を通ろうとしたその瞬間に男の首元へと一振りの刀が伸びてきて進路を塞いだ。

 

「……どういうつもりだ」

「名乗るくらいしたらどうなんです? あ、ちなみに私は魂魄妖夢って言います」

「……分郷(ぶんごう)威迅(いじん)だ。名乗ったんだからいいだろ、白髪。こいつを退けろ」

「はいはい」

 

 威迅は名乗るだけ名乗ると妖夢の名前は呼ばずに白髪呼びをして妖夢に命令した。

 それを聞いた妖夢はしぶしぶといった感じで威迅の目の前に突き出した刀を鞘にしまうと、威迅は何事もなかったかのようにこの場を去って行った。

 去り際に「はらへった~」と言いながら去って行ったことでさっきまでの威圧感はどこへ行ったのだろうかと三人とも肩の力が抜ける。

 

「あいつは何だったんだろう」

「でも、強いことは確かだよ。私に刀を向けられても冷静だったし、威圧にも全く屈しなかった。それに、あんな風に刀の形を変えられる人は初めて見る。霊力量も私と同等かそれ以上。間違いなくこの人里でもトップクラスの実力を持っている」

 

 妖夢もそこそこの実力は持っており、この人里の中で考えたら間違いなくトップクラスの実力を持っていることだろう。

 だが、その妖夢がそこまで言うほどの人物ということで鈴仙とルーミアは緊張で生唾を飲む。

 

「まぁ、でも一応解決したんだから、そのバッグ持ち主に届けに行こう?」

 

 鈴仙はそう言って背後を振り返った瞬間に一瞬で凍り付いたかのようにピタッと固まってしまった。

 その鈴仙の様子を見て不思議そうに鈴仙の視線を追っていく二人。妖夢はどういうことなのか全くわからなかったが、ルーミアは状況を察して苦笑いを浮かべてしまう。

 

「お姉ちゃん!」

 

 ここにやってきたのは冬夏黒葉とフランドール・スカーレットだった。

 黒葉は鈴仙を見つけるや否や鈴仙に飛びつき、フランはその光景を見て苦笑いを浮かべるも、すぐに一人増えていることに気が付いて頭に疑問符を浮かべる。

 

「あ、あははは」

 

 鈴仙にとっては考えうる最悪の状況。妖夢に嘘をついてしまっているし、何も知らない黒葉たちと合流してしまったというこの最悪な状況に鈴仙は乾いた笑いをこぼすことしかできないのだった。




 はい!第82話終了

 さて、今回でこの故郷編の重要人物の一人である分郷威迅を登場させることができました。

 そしてついにここから黒葉たちと合流して二つの話が合っていきます。

 果たしてこれからどのようにこの物語は展開していくのでしょうか。

 一つ言えることは以前にレミリアが不穏なことを言っていたので一筋縄では終わらないといったところでしょうか。

 この故郷編が黒葉の成長のきっかけになる話ですので、盛り上がっていきますよ。

 一章は黒葉の基本的な戦い方を確立するためのものでした。そしてこれから成長していきますよ。

 楽しみにしていてください。

 それと、やっぱり妖夢の技は今回では明かされませんでしたね。

 これは次かその次らへんに解説できればと思っています。

 それでは!

 さようなら
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