【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅はみんなを連れてきた茉衣を説教するものの、黒葉を雑魚といったことをとがめられて身を縮める。

 茉衣は黒葉が記憶喪失であるということを知らないため、白愛のことを話してしまうが、黒葉はあっけらかんとした態度で白愛は生きているという。

 そして咲夜と鈴仙は茉衣に事情を説明して協力を乞うが――



 それではどうぞ!


第87話 泥棒猫

side三人称

 

「黒葉君は渡しませんよ? あなたなんかに、泥棒猫なんかに」

「え、え、泥棒……猫?」

「そうです泥棒猫。やはりあなたが諸悪の根源。黒葉君を連れ去ったのもあなたなんでしょ!?」

「え、えぇ…………?」

 

 いつも冷静に状況を分析し、状況に適応してきた咲夜がこの状況に困惑してしまい、一歩、また一歩として後ずさってしまう。

 鬼のような剣幕で咲夜に迫る茉衣に鈴仙もどうしたらいいのかわからなくなって狼狽してしまっていた。

 

(黒葉を連れ去ったのは本当のことを言うと私ではなくお嬢様なのですが……この場でそれを言うのはお嬢様を貶める行為になってしまうし……)

 

 咲夜が困っているとさらに茉衣は咲夜に詰め寄った。

 

「この泥棒猫。最初見た時から怪しいと思っていたんですよ。特にそれ!」

「え?」

 

 それと言い、指をさしたその先にあったのは咲夜の胸部だった。

 それを見て鈴仙は咲夜と茉衣の胸部を見比べてみてようやく茉衣が何を言いたいのか理解した。

 

「その凶悪なもので黒葉君を釣ったんですね」

「あ、あはは……」

 

 茉衣の言葉に咲夜は苦笑いを浮かべる。

 咲夜の胸部にあるのはきれいな双丘。しかし、茉衣の胸部は崖となっている。

 もちろん年齢差があるというのが大きいのだが、それでも茉衣は咲夜の胸部に嫉妬をして敵意をむき出しているのだ。

 そう考えたら鈴仙は「かわいい嫉妬だな」と感じて緊張感が解け、くすっと笑いが込み上げてきた。

 

 だが、咲夜は自分の胸部が嫉妬の対象になってしまっているため、苦笑いを浮かべることしかできなくなっていた。

 

「その凶悪なもので黒葉君を釣って何をするつもりなんですか!? も、もしや黒葉君をそれで手籠めにする気ですか!? なんて卑劣な!」

「そーだそーだ!」

「鈴仙、なんであなたまでそっち側にいるんですか……」

 

 茉衣が自分の体を抱いて赤面しながら咲夜を叱責すると鈴仙も今まで黒葉を自分に押し付けたという不満を晴らすかのように同調して一緒に責め立てる。

 その様子に咲夜も頭を抱えてしまう。

 とりあえず鈴仙は後で絞めようと心に誓った咲夜は茉衣の考えを訂正するために口を開いた。

 

「茉衣、あなたが考えているような心配はないわ。そもそも、私は黒葉は幼すぎて興味はないわ」

「黒葉君に興味がないとは……あなた、見る目がないですね」

「あなたは私にどうしてほしいのよ!」

 

 興味がないと言ったら言ったで攻められるという状況。

 そんな二人のやり取りを聞いて鈴仙はこの旅を始めてから初めて心から楽しいと思っていた。

 自分自身がこのやり取りに巻き込まれていたら咲夜と同様に困ってしまうだろうが、外からこの光景を見ている分には楽しいと感じていた。

 だが――

 

「鈴仙さん、あなたもです。黒葉君をたぶらかして、記憶がないことをいいことにあんなことやこんなことを……っ!」

「え、な、何もしてないですよ!」

「でも、お姉さんだって嘘をついていたじゃないですか」

「そ、それは……」

 

 ぐぅの音も出なかった。

 

(できることならすぐにこの役目を降りたかったですよぉ……)

 

「とにかく、この家にいる間は私は目を光らせていますから。変なことをしたら……斬りますよ」

 

 そう言って茉衣が取り出したのは妖夢が持っているものよりも短めの刀だった。

 それを見て咲夜と鈴仙は先ほどの風がどういうものなのか、そしてどういう意味なのかを理解した。

 あれは警告だ。黒葉に手を出したら斬るぞという脅しだ。

 

「私、見ての通り幼いですからよく侮られるんですけどね……剣の腕は確かなんですよ。まぁ、お兄ちゃんには負けますが」

「わ、分かりましたから剣をしまってください」

「わかりましたね? 特に泥棒猫は黒葉君に近づいたら即斬りますよ。それ」

「う」

 

 茉衣の眼は座っていた。

 そしてその眼が見据えていたのは深淵などという意味不明なものではなく、目先の敵。凶悪な魔物そのものだった。

 つまるところ咲夜の胸部である。

 

「それじゃあ、ごはんにしましょう。これから作りますので、暫く待っていてくださいね」

「あ、私も手伝います。メイドですので料理は一通りできます」

「それじゃあ、お願いします。人数が多いので一人で作るのは大変だなって思っていたところなんですよ」

 

 先ほどまでの険悪なムードはどこへやら。茉衣と咲夜はさっきまでのことが嘘のように料理の相談を繰り広げていた。

 その光景を見て鈴仙は態度の変わり方の速さにただ呆然とするしかなかった。

 だが、数秒後鈴仙も我に返って部屋の中に戻って行く。

 

 キッチンを見てみると咲夜と茉衣は普通に分担して料理をしていた。

 茉衣が食材を刻み、咲夜が下ごしらえをする。そして準備できた食材を分担して別々の料理を一緒に作って時間を短縮している。

 二人の料理のコンビネーションは完ぺきだった。

 

「茉衣さんって料理できるんですね」

「はい、茉衣さんは昔からこの家で食事当番を受け持っていたので茉衣さんの料理はすごくおいしいですよ」

「失礼ですが、母親は?」

「僕はあまり知らないですが、どうやら幼いころから母はいなかったみたいです。なので、茉衣さんは母親代わりのようなことをしているのだとか」

 

 妖夢が聞くと黒葉が答えてくれたが、あまり聞かない方がよかったのではないかと妖夢は反省してしまった。

 人の家庭事情なんて聞いていいことなんて何一つないのだから。

 

 そんなこんなしているうちに料理はあっという間に出来上がり、食卓にどんどんと並べていく咲夜。

 その間に茉衣は威迅を呼びに行ったようで、廊下の奥から抵抗するような怒号が聞こえてきていた。

 

「ち、なんで俺がこいつらと飯を食わなきゃいけねぇんだよ」

「ご飯はみんなで食べる。当たり前でしょ?」

「親父はいねぇけどな」

「お父さんは忙しいんだからそんなことは言わないの」

 

 威迅は不満そうにしながらも食卓に座って黒葉たちと料理を一緒に食べ始めた。

 

「む、美味しいですね。やりますね泥棒猫」

「ま、まだ言うんですね。茉衣さんの料理もおいしいですよ」

 

 二人はお互いの料理をほめるものの、やはり一方的に茉衣が敵意を持っていると感じるような口調だった。

 そんな二人の胸の内を知る由もなく純粋な黒葉、ルーミア、フランの三人は美味しい料理に舌鼓を打った。

 事情を知らない妖夢はというと、二人の間に険悪なムードが漂っていることには気が付いたものの、何があったのかがわからないため、一人びくびくと震えながら二人の機嫌を損ねない様に気を付けながら慎重に慎重に料理を味わっていた。




 はい!第87話終了

 茉衣は完全に咲夜のある一点を見て敵と認定したようです。

 ちなみに最初はPAD長の設定を使おうかと思っていたのですが、今回は普通に胸があるっていう設定にします。

 単純にPAD長にした後の流れを考えるのが面倒くさかっただけですが……。

 あと、威迅は料理をいち早く食べ終わると再び部屋に引きこもったそうです。

 ちなみに茉衣は普通の村娘ではありますが、まぁまぁの実力はあります。それこそ、自我の無い妖怪相手だったら倒すことは容易です。

 それをはるかに凌駕する領域に威迅がいるっていう感じですね。

 それでは!

 さようなら
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