それでは前回のあらすじ
くじ引きで同室になるペアを決めた黒葉たち。
同室になったフランと茉衣は寝る前に会話を交わす。
フランは黒葉の幸せのことも考え、黒葉が残りたいのならば止めないということを告げた。
そしてフランはレミリアにも恩を感じているため、レミリアのためになることもできるようになりたいという思いを吐露する。
一方妖夢はルーミアに自分が放った剣技の説明を行う。
それを聞いたルーミアは妖夢に黒葉に修行を付けることを頼み込むのだった。
それではどうぞ!
side三人称
次の日、黒葉たちは庭に出ていた。なんでも妖夢から黒葉に話があるとのことで、気になったみんなも付き添いで外に出てきているような感じだった。
庭には雨よけとなる屋根が着いており、ここでは日傘をささなくても日光に当たる心配は無い。
ちなみに威迅だけは起きたらすぐにどこかへと行ってしまった。茉衣曰くいつもこんな調子で朝ごはんも食べずに起きたらどこかへと行ってしまうのだという。
「で、話ってなんですか?」
庭に着くと黒葉はさっそく本題を聞き出した。
ルーミア以外は事情を知らないため、昨日会ったばかりの二人に接点などないので何を話すのだろうかと気になっている様子だった。
もちろん、話の内容は昨晩、ルーミアと話したことだ。
「黒葉君。あなたに修行をつけてあげます」
「しゅ、修行ですか?」
「黒葉君は強くなりたいんですよね」
どうして自分の気持ちが見抜かれているのか、そんなことを考えて少し訝しんだものの、黒葉は妖夢のことをじっと見据えた後、きょとんとした表情をしながら返事した。
「はい。強くなりたいとは思っています。でも、僕は才能がないんですよ」
「それでも一回、私の修行を受けてみませんか? 少しは力になれるかもしれません」
鈴仙は妖夢の性格をよく知っているからあんなに押しが強い妖夢を見るのは初めてなので、何があったのだろうかと考えたものの、昨夜の部屋割りを思い出して納得した。
妖夢はルーミアと同じ部屋になっていたのだ。
鈴仙は協力するにあたって少しは関係性を聞いている。そのため、ルーミアが妖夢に何かを吹き込んだのだろうということはすぐに考え付いた。
(でも、大丈夫かな。妖夢は人に剣を教えたことはないはずだけど)
そんな不安がる鈴仙の考えは知らず、黒葉は少し考え込むと笑顔で答えた。
「はい。では、僕に修行を付けてください!」
「良いでしょう。私の修行にちゃんとついてきてくださいね!」
「はい! 師匠!」
(し、師匠の座を取られた)
黒葉は妖夢に修行をつけてもらうことにし、それに伴って妖夢のことを師匠と呼び始めた。
それを聞いた咲夜はちょっと前までは自分が師匠と呼ばれていたのに、その師匠という座を妖夢に取られたような気がして少し寂しい気持ちになってしまった。
でも師匠としては妖夢の方が剣士として修行を付けることができるので、黒葉の剣士としての修行ができるという意味では咲夜に修行を受けるよりもいい。
そんなことは咲夜も分かってはいたが、それでも少し寂しい気持ちになってしまっていた。
「それではまずは黒葉君の実力を知りたいので、模擬線をしましょうか」
「はい!」
「すみませんが、木刀を貸していただけますか?」
「わ、分かりました!」
模擬線をすることとなったが、普通に真剣同士で戦ったら怪我をしてしまうかもしれないので、木刀で模擬線をすることにした妖夢は茉衣にお願いして木刀を持ってきてもらった。
分郷家も剣士の家系であることから剣術を特訓するために木刀を何本か常備しているのだという。
茉衣が二人に木刀を配ると二人とも構えた。
ただ、茉衣は妖夢の腰に提げられている刀が二本であることから二刀流なのだと判断して妖夢用のは二本持ってきたのだが、妖夢は受け取るとそばの地面に一本おいてしまった。
その様子を見て茉衣は不思議に思い、首をかしげるが妖夢は何事もなかったかのように進行した。
「それじゃあ、来てください」
「はい!」
黒葉は返事をすると地面を勢いよく蹴って妖夢に接近し、木刀を振るう。
だが、その木刀は簡単に妖夢に見切られてしまい、簡単に木刀で受けられてしまった後、軽く木刀をひねることで軽々と黒葉の太刀筋は弾き飛ばされてしまった。
そんな黒葉の様子を見て記憶を失う前の黒葉の戦いを知っている人たちは本当に咲夜とレミリアから修行を受ける前の黒葉を見ているような気分となった。
いや、実際に最近の記憶をなくし、修行をしていた記憶もなくしてしまっているのだから仕方ないと言えば仕方がないのだが……。
「それじゃ、次は私から行きます!」
「え、ちょっ」
次に動いたのは妖夢の方。
刀を弾かれてしまってすぐに動けない状態の黒葉は一瞬反応が遅れてしまって妖夢の刀に胴を叩かれ、尻餅をついてしまった。
その衝撃によって黒葉は木刀を手放してしまい、そんな黒葉に対して妖夢は木刀を突きつけた。
あまりにもあっさりとした決着。
黒葉は妖夢の攻撃に対して一切反応できなかった――様に見えた。
だが、このメンバーの中でも手練れの妖夢と咲夜だけは気が付いていた。
(反応はできていた?)
(一瞬、防御をしようと腕を動かしたけど、体が間に合わなかったといったところでしょうか)
そう、ほんのちょっと、微々たる動作しかなかったため、気が付くのは余程動体視力がよくなければ不可能なほどだった。
チルノと戦った時の黒葉だったら今の攻撃に一切の反応をすることもできずにただただやられていたことだろう。
「黒葉君、君は素質がありますよ! あの体勢から反応することができたんだから!」
「は、はぁ……ありがとうございます?」
黒葉は自分があっけなくやられてしまったので、なぜ褒められているのかわからないが、とりあえずお礼を言っておくことにした。
今まで黒葉は才能がない、素質がないとずっと言われ続けてきていたため、妖夢に素質があるといわれて少し照れてしまった。
「よーし、それじゃさっそく修行を始めますよ! 私の技をガンガン教えていきますので、頑張って覚えてくださいね!」
「はい、頑張ります!」
はい!第90話終了
ついに妖夢との修行が始まりましたね。
僕の書く修行は大体技の特訓なので、妖夢の技を教えていく感じになります。
さすがに黒葉の才能は妖夢ほどはないため、スペルカードは覚えることができませんが。
そしてついに例の技のことを次回書きたいと思います。
それでは!
さようなら