それでは前回のあらすじ
妖夢は黒葉と茉衣に自分の双剣を披露する。
妖夢の切り口はものすごくきれいで二人は圧倒されてしまった。
だが、妖夢は斬撃同士が離れてしまったということで納得がいっていない様子。
次は茉衣の番。
途中まではよかったものの、なぜか斬撃が十字に放たれてしまった。
横にしか振っていないはずなのに、なぜ縦に斬撃が?
それではどうぞ!
side三人称
それから三人の修行は始まった。
黒葉は霊力操作初心者ということで、霊力操作にもっと慣れ、刀に霊力を移して保っていられるようにする特訓、そして茉衣は双剣の軌道が意味わからないということで妖夢に霊力の流れを確認してもらっていた。
双剣で攻撃の場所が重なると威力が上がるため、できるだけ二つの斬撃の位置が近い方が強くなるとされており、十字も十字で一点のみに対しては威力が上がるが、あまりにも局所的になってしまうため、戦闘には不向きなのだ。
そもそもどうして十字に放てるのかが妖夢にとっても意味不明だったりするのだが……。
「霊力操作は問題ないくらいにはできているんですけどね……」
「でも、どうしてか刀を振る瞬間に霊力がぶれちゃって……」
技を打つ前の霊力を見てみても特に問題点は見つからない。
だが、技を打ってみると確かに霊力がぶれてしまって十字の斬撃が出来上がってしまう。それは何度やっても変わらず十字の斬撃が出来上がってしまうのだ。
この現象はさすがの妖夢も初めてのため、どうやって改善したものかわからず、四苦八苦していた。
対する黒葉の方は覚えはよく、だんだんと霊力操作が上達し、数秒間ではあるが、霊力刀の形を保った状態でいることが出来るようになった。
「はぁ……はぁ……」
「良い感じですね。ただ、少し力が入りすぎているみたいです。力が入りすぎていては霊力を保つことはできませんよ?」
「はい!」
妖夢との特訓は咲夜との実践訓練というよりはレミリアとの技術訓練といったような感じだった。
もちろん黒葉の中に咲夜とレミリアとの特訓の記憶などないため、比べるなどということはできないが、なんとなく黒葉の中で懐かしいような気分となっていた。
(どうしてだろう……お姉ちゃんと特訓してたから? でもお姉ちゃんとの特訓はこんな感じじゃないしな……)
白愛との特訓は咲夜と同じような実践訓練といった形だったため、今やっている特訓とはまた違ったもののため、どうして自分が懐かしい気分になっているのかが全く理解できないでいた。
だが、そんなことは気にせず黒葉は再び霊力操作の特訓に取り掛かった。
今はとりあえず強くなることが黒葉の中で最優先事項となっていた。記憶はないはずなのに、白愛が殺されてしまって、妖怪を殺すために強くなるっていう目標は今の黒葉の中にはないはずなのに、強くならなければいけないと黒葉は謎の使命感に突き動かされていた。
「もうだいぶやっていましたね。そろそろ休憩にしましょうか」
「はい!」
「はーい」
特訓開始から2時間。ここで休憩を挟むことにした妖夢たちは縁側を借りて三人でならんで座り込む。
茉衣はこの2時間かけたが、改善の兆しが全然見えないという状況。黒葉はまだ双剣を発動する段階には程遠いものの、霊力操作には少し慣れてきた。
だが、霊力操作ができてから双剣を使えるようになるのには大きな壁があるため、黒葉がその壁を乗り越えて双剣を使えるようになるかが問題ではある。
「そういえば妖夢。あなた、祖父から霊力の使い方を教えてもらったといっていたけど、あなたの祖父って何者なの?」
そこで咲夜は特訓の様子を見ている間、ずっと気になっていたことを妖夢に聞いてみることにした。
「私のおじいちゃんも剣士だったんです。それで昔、剣の修行をつけてもらっていたことがあって……私にとって祖父であり、師匠っていう感じですかね。おじいちゃんが実際に戦っているところは見たことがないんですけど、私の主の話によると相当強い剣士だったようですよ」
「そう、なのね……ちょっとまって、
「実は、もうずっとあっていないんですよ。会えないんですよ。行方が分からなくなってしまって……ある日、出て行ったっきり帰ってこなかったんです」
「ごめんなさい。ちょっと辛いことを聞いてしまったわね」
「いえ、大丈夫ですよ。私ももう気持ちを切り替えていますから」
妖夢は咲夜に心配させまいとにこっとほほ笑みながら言った。
「この双剣もおじいちゃんに教えてもらったんです。私に才能なんてものはないのでそこまですごい技っていうのは使えないですが、これは修行すれば使えるようになるものなので、こればっかり磨いてたんですよ」
「あなたも十分すごい。才能がないなんてことはないわ」
「ありがとうございます、咲夜さん。ですが、世界には私よりも強い人はいくらでもいます。この程度で才能があるなんて言っていたらおじいちゃんに笑われてしまいます」
妖夢は思い出す。
もうずっと前、妖夢が幼少期の頃。
まだ妖夢が祖父と共に特訓をしていた時代。
「おじいちゃん! どう? どう!?」
「はっはっは! ずいぶんとできるようになったな」
妖夢は昔からずっと基本の動きを特訓し続けていた。そのため、意識をしなくても基本の型ができているため、意識を双剣にすべて費やすことが出来るので双剣の上達速度はほかの人より早かった。
もともと物覚えがいい妖夢だったため、すぐに双剣を使えるようになり、まだまだ子供だったこともあって得意げになっていた。
「私には剣の才能があったんだよ! もうちょっとでおじいちゃんにも勝てるかもね!」
「はっはっは……それは大変だ。だがな、妖夢。世界はそう簡単な造りにゃなってねぇ。世界ってのはよ、もっと奥深くて面白いもんだ。しかしそれは基本中の基本だ。その程度で強くなった気になってるんじゃねぇぞ。行くならもっと上を目指せ。そして超えて見せろ。この魂魄妖忌を」
妖忌は妖夢と話しつつとても楽しそうな表情をしていた。
師匠として少し厳しい言葉を言わなければいけないとしてこの言葉を放ったものの、本当は孫が大切でこの時間が本当に大切なものだったのだ。
はい!第93話終了
特訓はもう少しで終わって話を進めます。
戦いを始める前に妖夢との絡みをもう少し書きたい感じですね。
この故郷編前半の超重要人物ですので。
日常パートではストイックな威迅ですので、威迅は絡みは全然ないですね。
でも、少しは書きたいと思います。
それでは!
さようなら