人類が滅亡するのは別に俺のせいではない   作:鳥ッピイ

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TS要素をもっと入れたかったんだけど入れられなかったのでじゃけん次で入れましょうね〜〜となったので(Aエンド)初投稿です。ニーアやDODのようにマルチエンディングにしたらその分岐の数だけオリ主を殺せる.......ってコト!?


A_end 「【A】nd then there were none」

 

 

「この世は舞台、人はみな役者」という台詞は、シェイクスピアのどの作品に出てくるものであったか。

この台詞が言葉通りであるならばやはり

主人公たる誰かの死こそが、舞台の終幕に値するのだろうか。

その結末が喜劇か悲劇かどうかはまた別の話であるとして。

 

突きつけられた銃口がゴリ、と額を抉った。

 

 

 

鐘の音がすぐ側で聞こえる、終わりは近い。

 

 

 

 

 

..................

......

 

 

灯された暖炉の火がパチパチと小気味良い音を立てている。 揺らめく炎の煌めきにヨナは気を取られていた。薪を燃やした匂いは独特だが良い香りがする。

広い居間に備え付けられた暖炉は何も暖房のために備え付けられた設備ではなく、部屋の風情のための装飾として作られたものだ。

最初は暖炉の物珍しさに何気なく「使わないの?」とエリヤに聞いただけだったが、当人はその言葉をヨナが「暖炉を使って欲しい」という意味で受け取ったようだ。 何日か後、いつ使われたともわからない灰を被るばかりで沈黙を保っていた暖炉を整備して使えるようにしてくれた。(実際の所、エリヤは修理のほとんどをニーアに任せていたという事が真相だが)

 

一抹の申し訳なさがあったが勝ったのは楽しさと嬉しさだった。

特に暖炉の炎でマシュマロを焼いて食べたことはヨナにとって衝撃だった。 いつ賞味期限が過ぎたのかわからない缶詰が日々の食事で、それでも兄と分け合って食べていれば幸せだったのに。

 

「溶けたマシュマロをクッキーに乗せて食べると美味いんだよな」

 

「クッキーに?」

 

「ああ、そういうお菓子があったんだよ。今売ってるのかは知らないけどな」

 

あと、チョコレートを付けても良いな。

そう言ったエリヤが背後で洗濯物を畳んでいたニーアにチョコってまだあるっけ?と声をかける。

 

「昨日エリヤがお酒のつまみにほとんど食べちゃったじゃないか」

 

「えぇ...??そうだっけ」

 

「そうだよ! 僕ちゃんと食べ過ぎだって言ったからね」

 

 

間延びたエリヤに呆れた声を上げたニーアがため息をついた。しょうがないなあ、とは口に出さなかったけれど心の中で呟く。

その様子にエリヤも──ヨナも気にする素振りはみせない。いわば、自堕落なエリヤを諌めるためのフリのようなものだということはわかりきっていることだ。

 

しかしヨナが串に指して焼いた溶けて少し焦げ目の着いたマシュマロ差し出すと、ニーアは一変して不思議そうな顔に表情を変える。

 

「ヨナ、それは?」

 

「焼いたマシュマロだよ! お兄ちゃんもどうぞ!」

 

「わあほんと?ありがとう!」

 

あらかたの家事を終えたニーアが近づいてきたことで、暖炉の前の絨毯で3人で座り込むことになる。ニーアがソファのクッションを持ってきてくれたおかげでかなり座りやすくなった。暖炉の炎がそれぞれの顔をゆらゆらと照らしている。

 

「す、すごい...焼きたてって美味しいんだね。それに暖炉で焼くと雰囲気がない?」

 

「あとは肉とか焼いたら美味いのかなあ」

 

「それは......ただの焼肉じゃない?」

 

「あっ............ああ......確かに」

 

焼くとしたら後はなんだろう。魚とか?魚も暖炉で焼くのは風情がないというか、何か違うだろ、ただの焼き魚じゃね? それもそうだね

 

兄とエリヤの会話の全貌をいまいちヨナは理解しきれない。 だが焼くものがマシュマロ以外に無いことを話しているようだった。

 

「じゃあ、焼いたマシュマロをこの前ヨナがやいたクッキーではさむのは、どうかな」

 

「「えっ」」

 

「?」

 

「そっ、そそそそそそれはちょっと勿体ないんじゃないかな!?」

 

「そうだぞヨナ。お兄ちゃんがヨナの作ったクッキーは別として全部食べたいんだってさ」

 

「エリヤ!?」

 

さっきエリヤが話していた通りマシュマロにクッキーを挟むのが美味しいらしい。ならばもう焼くものは無いし、この前焼いたクッキーの余りを挟んだらいいのではないか。 ヨナはそう考えたが2人の目は泳ぎきって暖かい室内の筈なのに大量の汗をかいている。

 

「(そんなにクッキーが食べたかったのかな?)」

 

また今度焼いてあげよう、ヨナはそう思った。

 

 

 

 

 

 

とある朝。何かが鳴る音で中途半端に覚醒し、まどろみの中さ迷っていたニーアはエリヤに起こされて目を見開いた。

 

「悪い、ニーア。今日はどうしても外せないお客様が家に来るんでな。ヨナと出かけていてくれ」

 

普段殴ってもなかなか起きないエリヤが起きている。天変地異の前ぶりかと訝しむニーアにエリヤはそう言って苦笑した。

 

 

 

「とっても大きなかばんだね。お兄ちゃん」

 

「そうだね、でも一体何が入ってるんだろう?」

 

託されたボストンバッグは随分と重かった。『ついでにこれを友人に届けてくれないか』と押し付けられたそれを肩に担ぎ、違う方の手でヨナと手を繋ぐ。

 

そもそもエリヤはニーアとヨナを匿うようになってから、特にヨナには外には出ないよう強く言われていたから、そのエリヤがお使いを頼んでくるなんて珍しいことだった。

エリヤの屋敷周辺は確かに安全だが、それでも絶対とは言い難いからだ。 それをエリヤも分かっていたのだろう。わざわざ渡された地図には指定の場所に至るまでのルートが赤ペンで強く主張されていた。 示された道順でいけば普通に安全なルートであるとの事だった。目的地は昔エリヤがよく通いつめていたというカフェだと言う。

 

余程自分たちに会わせたくない相手なのだろう、もしくは気を使ってくれたのか。

 

胸の中に蟠りが残るが、ニーアは自分を諌めた。 エリヤは確かに自分に何も言わないが、それでも助けてくれたことには変わらない。もし何か思惑があってニーアとヨナを貶めたいならこの一年、態々共に過ごす必要性は無かったはずだ。

 

何度目かの思考を振り切って荒廃した街をヨナと歩み始めた。

 

 

▲▼

 

「あれ?」

 

辿り着いた目的地は確かに喫茶店だった。 しかし人がいる様子は無く、既に廃墟になって久しいのだろう。立てかけられた看板はボロボロで既に文字を読むことも出来ない。 エリヤの友人が待っているというのだからてっきりこんな時代であっても営業しているのとばかり思っていた。

 

 

「ヨナ、瓦礫で転ばないように気をつけるんだぞ」

 

「うん」

 

店内も家具がほとんど撤去され薄暗い有様だった。 景観を楽しませるため壁際のガラスが殆ど割れているおかげで埃は積もらず、廃墟ではあるが乾いた空気が漂っていた。

 

「あ」

 

壁際に取り付けられたボックス席を辿っていると室内の1番奥の席に1人のメガネをかけた女性が座っているのを見つけた。

 

「あの、エリヤの御友人さん...ですよね。僕、エリヤに頼まれて届け物を持ってきたんですけど。」

 

「..................」

 

 

「あの〜......」

 

「.......................................」

 

「あの!!!」

 

「はい?」

 

 

やっとこちらに気づいたらしい女性はパチリと目を開けこちらを見つめる。その目が開かれたことにニーアは気づかない。

 

「これ! エリヤに持ってくるように頼まれたんです。」

 

「エリヤが私に?」

 

目の前に座る女性は随分と大きなキャリーケースを傍に置いている。 こんな大きな荷物を持つ彼女にエリヤは一体何を贈ったのだろう? 目の前に置かれた鞄の中身に女性も心当たりがないのか、おもむろに中身を開け始める。

 

「!?」

 

中身は大量の札束だった。 カバンに沢山に詰められた札束なぞついに見たことの無いニーアは驚く。

エリヤの友人は札束に目もくれず、中に共に入れられていた手紙を開いた。

 

「どうやらこの資金は私にではなく、全てあなた達に与えられた物のようですね」

 

「それって、どういうこと?」

 

「この手紙にそう書いてあります」

 

 

親愛なる友へ

きっと僕はもうダメだ。だからこの世界の唯一の友人である君にたくしたいことがある。かそこにいるふたりをできる限り遠くに...できれば九州まで逃がして欲しい。

そこまで行けば僕が事前に購入しておいた家がある。セーフティハウスとまではいかないが、少なくともここよりかは安全になるはずだ。詳しくは地図に記載しておく。最後にヨナとニーアに急な別れになってしまってすまないと伝えておいてくれ。

 

 

PS. 君にも礼を言いそびれた、今までありがとう

 

クレイ エリヤ

 

 

「逃がす!?九州...!? 」

 

差し出された手紙の内容にニーアはサッと青ざめる。しかしすぐに気を取り戻し、とある部分に注目した。

 

「『僕はもうダメだ』って...エリヤ...。どういうこと!?」

 

「...........................」

 

ニーアの問いにエリヤの友人は答えない。

 

「早く家に帰らないと...!」

 

「待ってください。今あなたが向かえば彼女は何のためにあなた達を遠ざけたのです?」

 

「だから何だって言うんですか! こんな急に別れを切り出されて...! 訳も分からないのに行けるわけないでしょう!」

 

 

「では、妹さんはどうするのです」

 

「お兄ちゃん......」

 

「っ............」

 

今にも駆け出しそうだったニーアはハッと冷静さを取り戻す。ニーアにも一体何が起こっているのかは全くわからないが、それ以上の不安をヨナも抱いているだろう。

妹の目線に合わせるようにしゃがんだ。 不安そうな瞳をあやす様に髪を優しい手つきで撫でる。

 

「エリヤさんに、なにかあったの?」

 

「大丈夫だ。正直僕にも何が起こっているのか分からないけど...。でもエリヤはお兄ちゃんが必ず連れてくる。」

 

事態の把握が出来なくても何をすべきかはわかる。 何が起こっているにしろ、エリヤが望んでいないにしろ一度帰るべきだ。少なくとも、エリヤを置いて逃げ出すことだけは言語道断だった。

 

 

「すみません、ヨナを......頼めますか」

 

「私はそちらに干渉するわけにはいきませんが、その程度なら...構わないでしょう」

 

 

エリヤの友人だという女の人は、手紙の内容からして恐らく信用に足る人物の筈だ、元々自分達を預けようとしていた人物なのだからヨナを預けても大丈夫だろう。そう算段をつける。本当はヨナを一人にはしたくはないが緊急事態の今はやむを得ない。

 

「ヨナ、ここにいろよ。直ぐに戻るからね」

 

「うん。お兄ちゃん...気をつけてね」

 

 

 

 

 

 

 

「.........『親愛なる友』、か」

 

 

少年が駆け出し、その背中が瞬きの間に遠ざかる。機械人形はその光景を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの全速力せいで肺や様々な器官が痛むがそうは言ってはいられない。 胸に手を置き呼吸をできる限り押し殺しながらニーアは屋敷の正面ではなく裏側からの帰宅を試みることにした。

あたりは無音で不気味な静寂が漂っている。雪を踏みしめる足音すらも大きく響きそうと思えるほどだった。

屋敷の構造を瞬時に思い出し、なるべく玄関から遠い廊下の窓を探す。 手紙の内容から来訪者はエリヤにとってニーアやヨナに会わせたくない人物のはずだ。 ならば慎重に進み、ニーアが帰宅したことをできる限り隠す必要があるだろう。

 

「どこか...鍵があいてる窓は...!!」

 

「.........ぁ!...............!!!!」

 

「ッ!!」

 

 

その時、屋敷の中からかすかに悲鳴が聞こえた。

 

「(1年ぶりでできるかわからないけど仕方ない!!)」

 

熟考している暇はないと判断するとニーアはできる限り最小限に魔力を練り、小さな槍を作り出すと窓ガラスに向かって放った。音を立ててヒビが入った窓に頭を守るように突進しガラスをぶち破ることで室内に突入する。

勝手知ったる廊下を走り、ロビー前の扉に耳をつける。

 

「!!」

 

扉の向こうから再び轟音が響き、今度は悲鳴がはっきりと聞こえる。ニーアは思わず扉を開けた。

 

 

「エリヤ.........!なっ!?」

 

 

あたりは一面の血の海だった。

 

辛うじて人だったと思わしき死体が何体もおもちゃ箱をひっくり返したように辺りに散乱していた。

部屋にまるで風船が破裂したように臓物が飛び散り部屋中を赤く彩っている。 床や壁、家具、天井にも血が滴りニーアの足元だけでなく顔も汚した。

 

 

「う゛っ.........」

 

血の匂いが鼻腔を着いた瞬間、あまりに異様な光景に込み上げた吐き気にニーアは口を抑える。

 

「う゛ぁぁ゛っ!!!!ごめん゛なさいごめんなさい゛たずげ......ぁ゛ああ゛!!!!!!!!」

 

 

アサルトライフルを取ろうとするが右腕と左足を引きちぎられたらしく、動けない自衛隊らしき男が部屋の中で唯一動いている人影に命乞いをしたが、容赦なく内蔵を素手で抉られて殺された。

 

ニーアは赤い部屋の中で唯一動く人影に目を向ける。 ただでさえ赤い部屋に顔の識別ができないほど返り血で染まったソレに見覚えがあった。昔ヨナとはぐれてしまい、黒い怪物とは別の怪物に襲われた記憶が蘇る。

 

「レギオン...............違う!!あれは.........。あれは............」

 

 

ギチギチとこちらを振り返る赤い人影

屋敷の訪問者を惨殺し、ニーアの目の前に立つ赤い化け物はエリヤだった。

 

 

どうして、違うと意味の無い言葉をうわ言のように口にする。

エリヤがレギオンになるわけなんてない。

彼女は既に白塩化症候群にかかっていたというのか?だから自分たちを遠ざけた?

そもそも、この部屋に死んでいる者はなぜここに来た?

 

現実逃避のように様々な考えが走馬灯のように過ぎる。昔の己ならば逃げるしかなかったが今は『力』がある。しかしそれをエリヤに当てる訳にはいかない。どうする?どうすればいい? ぐるぐると巡る頭になんとかとりあえず逃げなければ、と答えを出し足を引く。

 

 

「あ」

 

血のぬかるみに足を取られて尻餅を着く。そしてその一瞬でエリヤだった何かの接近を許してしまった。

 

 

「エリ、ヤ...........................」

 

まるでニーアに覆い被さるようにこちらを見つめてくる。赤髪と見間違う程染った白髪から、血がぽたぽたと垂れてニーアの銀髪を濡らす。怪物はその青い瞳に部屋に劣らない赤い瞳が重なりそして──

 

 

まるで少女のように微笑んだ。

 

 

それが最期だった。

 

 

 

 




ゲシュタルト計画関連案件報告書 file_025

本案件は、ゲシュタルト計画及び関連計画の直接的関連性は見当たらないものの、事の重大さを考慮して此処に記録しておくとする。


本案件の始まりは、内閣対策室に送られた匿名の1件の密告からによるものとされている。

内容はゲシュタルト計画初期発案功労者である久礼博士の孫娘、久礼衿夜 23歳 女性(今後報告簡略化のためにAと仮称)が、博士が独自に残した我々の存じぬゲシュタルト計画に関する重要案件を保持し、何かを企んでいるという極めて曖昧なものである。

情報の出所、正確性。全てが根拠に乏しい憶測によるものが多いが、ゲシュタルト計画に関わる案件の重要性、久礼博士の死亡事件における不審性、またAの所属する世界浄化機関の関係性の配慮を考慮。
内閣対策室はAの保護及び監察を決定。

しかし同情報は自衛隊に同時密告されていたと思わしく、政府関連者がAを保護する前に東京大田区A宅に小部隊の自衛隊が秘密裏に襲撃。 A及び自衛隊隊員10数名の死傷者を出した。

昨今、政府内密関連書類の流出によりレギオン事件に関する自衛隊の不透明な防衛出費が発覚し、世間では少なからず批判の声が上がっており、上記経緯から本事件での自衛隊の強行的な姿勢はこれらの背景が起因としていたと推定。また、ゲシュタルト派の介入も本案件に関わっていたと思われる。


以上。

報告者 ポポル






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