イリヤ「抑止の輪より来たれ!天秤の守り手よーーー!!!」???「おめえがおらのますたーか?」   作:のび太の転生先

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バーサーカーを召喚しようとして出てきたサーヴァントはまさかのグラップラーの孫悟空。
イリヤは聞いたことのない名前、クラスの悟空に不安を感じながらも聖杯戦争へと参加していく。
そしてその戦いの火蓋はきって落とされるかのごとく、2人のもとに何者かが近づいてきていたのだった。


悟空「おめえがサーヴァントか?いっちょやってみっかぁ!」

イリヤと悟空はやってきている敵を迎え撃つために屋上の園庭へと出てきた。

本来であれば、罠を仕掛けてある場内で戦うつもりだったのだが悟空の意見によって屋外での先頭になってしまった。

 

「本当に罠とかなしでいいのね?ほんと~に。」

 

「あぁ。それにオラの力を確かめるんなら、変な妨害とかねえ方がいいだろ?」

 

「そうなんだけど…本当に負けないんでしょうね?」

 

「大丈夫だって、ちょっとは信用してくれよ~。」

 

「…。」

 

そう言われたがイリヤは未だに疑いの眼差しで悟空を見ていた。

悟空は後頭部をかきながら参ったとでもいいたげな表情を浮かべていた。

少しすると、悟空の表情が変わる。

イリヤもそれに合わせるように表情を鋭くする。

しかし数分立っても何も状況に変化はなかった。

すると悟空が大声を上げる。

 

「おい!隠れてるやつ出てこい!サーヴァントだろ!」

 

屋敷周辺にまで響くような声を撒き散らす悟空。

隣のイリヤは突然のことに耳を塞ぎ悟空に驚きの目線を向ける。

すると次の瞬間何者かが屋敷の入口付近から飛んでくる。

そして悟空とイリヤの前に着地する。

 

「あなたがここに向かってたっていうサーヴァントね。」

 

「ほう?オレの潜入だけじゃなくて、接近まで分かってたのかい。こいつは予想外だな。」

 

「間違いねえ。同じ魔力を感じる。」

 

三者が対峙する。

それぞれはまだ構えようとはしない。

現れた青い全身タイツの男に至っては朱い武器を肩にのせて余裕さえ見せているように見えた。

 

「見る限りお嬢ちゃんがマスターで隣の男がサーヴァントで間違いはなさそうだな。」

 

そう言うと朱い武器の先端から不気味な赤い魔力を滾らせる。

 

「マスター、下がってろ。」

 

悟空も拳に力を込める。

イリヤは悟空の指示通りに僅かに距離を置く。

一瞬の静寂。

次の瞬間、2人の視界から青い男が姿を消す。

突然、悟空の目の前に青い男が現れその朱い武器を突き出す。

そのスピードに悟空は思わず目を見開く。

悟空はすぐさまバックステップで距離を離して躱す。

しかし、青い男も逃さまいとすぐさま距離を詰めて攻撃を繰り返す。

悟空はなんとかバックステップをとりながら躱していくが、どう見ても防戦一方の不利な状況に立たされていた。

 

(…大丈夫って言ったのに今にも負けそうじゃない!やっぱり外れサーヴァントなのかしら…。)

 

その現状を見たイリヤはガックリと項垂れる。

どう見ても勝ち目など見えなかった。

それは青い男からしても同じだった。

 

「どうしたよ?その程度か?」

 

青い男が悟空を煽るかのような台詞を吐くも、悟空はそれに対して返答をしない。

いや、出来ないというべきかもしれない。

なんとかギリギリで躱し続ける悟空にそれに回答するだけの余裕はない。

次の瞬間、青い男が半歩だけ深く踏み込む。

悟空は察する。

この攻撃を躱すことが出来ないことを。

そしてそれを理解して青い男が攻撃を仕掛けようとしていることを。

 

「間抜けが。」

 

青い男が横薙ぎの攻撃を放つ。

しかし、悟空は自身の足元を思いきり蹴りつけて足元を崩す。

そして大きな石の板を蹴り上げて自身と青い男の間に挟み込む。

その鋭く赤い武器で石の板を切り裂くが、視界からは悟空の姿が消えていた。

青い男がすぐさま左膝を腹まで上げるとそこに鋭い衝撃が襲いかかる。

青い男は10㍍ほど飛ばされて着地する。

その視線の先には右足を伸ばした悟空の姿があった。

石の板で青い男の視界を阻んだ次の瞬間僅かに青い男が動揺するその一瞬で、悟空は体勢を深く沈み込ませ武器の横凪を躱す。

さらに、そのまま踏み込むことで青い男の視界から外れ蹴りの攻撃を仕掛けたのだ。

 

「間抜けなんてひでえこというじゃねえか。」

 

「そうだな、こんな小細工できるんなら少なくとも間抜けではねぇな。」

 

「んじゃ、今度はこっちからいかせてもらうか。」

 

言い終わると、悟空が構えをとる。

それに合わせて青い男も構えをとる。

 

(あのサーヴァントの持っているのは十中八九槍。それならあいつのクラスはランサー。武器を持たないグラップラーじゃリーチが足りない…。グラップラー、どうするの?)

 

そんなイリヤの心配をよそに悟空が突撃を仕掛ける。

悟空の右拳をランサーは槍の柄で防ぐ。

その拳を弾くと今度はランサーが槍を突き出す。

それを悟空は身体を逸らすそこで躱すと左の蹴りを繰り出す。

ランサーは槍を自身の右側に立てて防ぎ、カウンターを仕掛ける。

悟空が攻撃に転じてから戦況は互角になったように見える。

悟空の両拳、そして時織り混ぜ込まれる蹴りを槍1本で的確に捌き、攻撃も仕掛けてくるランサーの技量はすさまじいものだった。

そしてその速度もとてもレベルの高いものだった。

だが悟空が押されることはない、むしろ攻めあぐねているのはランサーのようにも感じられる。

 

(槍はリーチが長いが、刃の部分は少ねえ。相手よりも深く踏み込んでいれば間合いの利はオラにある!)

 

拳のリーチ、自分の本来の適正距離よりもさらにもう一歩分だけ深く踏み込む。

極端な近接戦闘はランサーにとって経験がなく、不快な戦闘へとさせていた。

 

「ちっ!」

 

ランサーが舌打ちをすると槍で横凪の攻撃を仕掛ける。

悟空は再び体勢を深くして攻撃を躱す。

すると次に飛んできたのは悟空の予想だにしない攻撃だった。

先ほどまでやりだけの攻撃だったランサーの足が目の前に延びてくる。

悟空はとっさに胸の前で腕をクロスさせる。

そこにランサーの蹴りが叩き込まれ今度は悟空が10㍍ほど吹き飛ばされる。

悟空は空中で後転をしながら体勢を立て直して着地をする。

 

「驚いたな、腕が痺れちまったぞ。」

 

「英霊ってのは得意な獲物一つだけでなれるような安物じゃねえんだ。槍を警戒しすぎだぜ。」

 

ランサーの言葉に納得せざるを得なかった。

そしてそれは同時にイリヤを困惑させる種になってしまう。

 

(…槍だけでもあの戦闘能力。それなのに他の攻撃手段も警戒しないとならないなんて。ランサーの攻撃手段が体術だけでなく、魔術も扱える可能性もあるし…まずい、相手の底が見えない。)

 

悔しそうな顔をしながら2人の戦いを見つめる。

悟空は一瞬だけイリヤの方へと視線を向ける。

その悔しそうな顔を見ると僅かに顔色を変える。

すぐさまランサーへと視線を戻すと悟空が大声を上げる。

 

「心配すんな!マスター!」

 

その大声に驚いてイリヤは悟空へと視線を向けるが悟空は振り返らずにこう続けた。

 

「スキル、使うぞ!」

 

悟空は自身の首の後ろに手を持ってくる。

すると悟空の背中に魔力が集まる。

ランサーとイリヤはその様子をじっとして見つめる。

 

「クラスチェンジ…。」

 

そう呟くと悟空の背中の魔力が真っ直ぐな形を形成していく。

 

「ランサー!!」

 

悟空が叫ぶと同時に背中の魔力が物質化し、背中のその武器を取り出してランサーへと向ける。

 

「てめぇ、なんの真似だ?」

 

ランサーは明らかに機嫌の悪そうな声で悟空に問いかける。

悟空は右腕に持った赤橙色の棍を突きつけたまま答える。

 

「今のままじゃ勝てそうにねえからな。オラも【おめえみたいに】武器を持ったのさ。」

 

「ほざくな!ランサーを前にして、貴様もランサーを名乗るか!その言葉、オレへの侮辱とみなすぞ!」

 

「そんなつもりじゃねえさ。まぁ、どっちにせよ戦うんだろ?」

 

悟空がそう言うとランサーが突撃してくる。

ランサーの突き出してきた槍を棍で防ぐ。

ランサーの攻撃を弾くと、悟空が棍を上から振り下ろす。

ランサーはそれを躱すとその流れのまま横凪を繰り出す。

悟空はそれを状態を逸らすことで躱し、その勢いを利用して棍をしたから振り上げる。

ランサーにクラスチェンジした悟空はランサーと条件が同じとなり純粋な実力勝負になったように思える。

しかし、相手は本職のランサー。

槍(棍)の技量に関して、よく分からないクラスチェンジというスキルで変化した悟空が勝てるようにはとても感じられなかった。

 

(グラップラーがクラスチェンジをしてランサーになった?まさか、あのスキルは名前の通りに自身のクラスを自由に変化できるの?でも、相手は本物のランサー、仮初のランサーであるグラップラーが勝てるとは思えないのに、なんでランサーに変化したのかしら?)

 

イリヤはクラスチェンジに興味を示すと同時に疑問を抱かずにはいられなかった。

わざわざ相手の土俵に乗り込む意味が分からなかった。

もしくはそれをせざるを得ないほどにまで既におい込められていたのか、イリヤにはいい想定が浮かばなかった。

悟空を信用しきれてないのと同時に、サーヴァントの戦闘の速度はすさまじく、考えをまとめるような時間はないのだ。

 

「くっ!?」

 

悟空が首を傾けて槍を躱そうとするが、完璧には間に合わずに頬を掠める。

悟空が反撃に出るが、攻撃を槍で流され横凪の斬撃が悟空の胸元を掠める。

続けて攻撃を仕掛けてきたランサーに対して悟空はランサーの攻撃に自身の棍を叩きつける。

激しいぶつかり合いは辺りに衝撃を撒き散らせながら2人を吹き飛ばす。

イリヤのそばに悟空は着地する。

すぐさまイリヤの怪我がないかを確認し、怪我がないことを確認すると「よかった。」といいながらイリヤの頭を撫でる。

対するランサーはすぐさま立ち上がり悟空を強く睨み付ける。

 

「やはり貴様のその戦いぶり、ランサーとして腹が立つ!そのつもりはなかったが…」

 

ランサーの槍が禍々しい魔力を放ち始める。

 

「これで終わりにさせてもらう!」

 

槍の魔力は増大しながら槍の矛先へと集まっていく。

 

「あの魔力…間違いなく宝具を使ってくるわ!」

 

「あぁ、分かってっさ。」

 

イリヤと悟空の表情が変わる。

悟空はすぐさま棍を構えて迎撃の体勢をとる。

 

「マスター!オラも宝具を使うぞ!いいな!?」

 

宝具、それは英霊の伝説や伝承を証明するかのような武器、またはそれによる一撃である。

 

「!…ええ、あなたの宝具、見せてもらうわよ!」

 

グラップラーはランサーの宝具を迎撃するために自身も宝具の解放を宣言する。

すると悟空の棍にも魔力が集まっていく。

互いに宝具を撃つ準備を整えていき、妨害は行うつもりはない。

宝具をぶつけ合うつもりなのかもしれない。

イリヤはその様子を緊張した様子で見つめる。

しかし、イリヤは悟空に魔力を大きく補助しようとはしない。

あくまで悟空自身の魔力で宝具を撃たせるつもりだった。

悟空もそれを理解しているのかイリヤに話しかけることも、視線を送ることもなかった。

 

(グラップラー。ここで撃ち負けるようならどちらにせよこの先勝つことは不可能。)

 

やがて、2人の準備が整う。

悟空は鋭くランサーを睨み付け、ランサーも悟空の出方をうかがう。

どちらが先に撃つのか…それは、先に撃つことで大きなメリットがあるランサーの方だった。

 

「いくぞ!刺し穿つ(ゲイ・)…!!!」

 

「(今だ!)伸びろ!!如意棒!!!」

 

ランサーが宝具を放とうとした次の瞬間悟空の鋭い掛け声と共に悟空の持つ棍が突然すさまじい速さで伸びる。

ランサーは宝具を撃つ動作をしている途中であり、棍の速さも凄まじく、直撃を喰らってそのまま壁まで穿ち飛ばされる。

 

「す、スゴい。」

 

イリヤは思わず感嘆の声をこぼす。

宝具による一撃の戦いは悟空に軍配が上がった。

それも相手に宝具を撃たせないという完璧な形での勝利だった。

イリヤは満足げに悟空に顔を向けるが、悟空は未だに鋭い目付きでランサーが埋もれる瓦礫のやまを見つめる。

如意棒をもとの長さへと戻して握りしめる。

すると瓦礫のやまが吹き飛ばされ、中からランサーが片手に槍を持ちながら出てくる。

悟空はこちらに吹き飛んでくる瓦礫からイリヤを守るように如意棒を振り回す。

 

「…ちっ、あ~あ。まさか宝具を撃ち損じるとはな。こりゃあダメだ、撤退しなきゃな。」

 

「逃げるつもりかしら?それは賢い判断ね。宝具を撃てずに負けたんなら勝ち目はないもの。」

 

イリヤはランサーにかまをかける。

伸るか反るか、相手の出方を判断するいい問いかけをする。

 

「あぁ、宝具外した時点でオレは逃げなきゃならねぇのさ。下らんマスターの言いつけでな。」

 

ランサーはイリヤの挑発には乗ることなく、あっけらかんとして答える。

 

「おめえは引くのか?それならオラは追わねえよ。」

 

悟空の衝撃的な一言にイリヤは驚愕し、ランサーは目を光らせる。

 

「ちょっと!?なにいってるのよ!?」

 

「面白いことをいうなお前。」

 

「だってよ、おめえ本気だしてねえだろ?オラ戦うなら本気でやりてえ。だから、今度戦うときはお互いに本気でだ。」

 

そう言いながら、ニッと口元に笑顔を作る。

ランサーはそれを聞くと大笑いする。

 

「アハハ!お前面白い奴だな、なんでオレが本気じゃねぇと思ったのかは知らねぇが…いいぜ、次は本気で殺してやるよ。」

 

「あぁ、でも死ぬつもりはねえさ。オラも全力でやってやる。」

 

最後に互いの目を鋭く見つめるとランサーはそのまま夜の闇の中へと消えていった。

それと同時に悟空の手にしていた如意棒がまるで空気にとけるかのように消えていった。

 

「ちょっと!なんで逃がすのよ!それにランサーが本気じゃないって?」

 

「あぁ、そばにマスターがいなかったしな。本気じゃないやつと戦ってもオラ面白くねえからな。」

 

悟空の予想だに出来ない言葉にイリヤは頭を抱える。

聖杯戦争の重大さを理解していないようにしか思えないグラップラーに目眩を覚えながらも今日の戦闘を元にどうやって戦っていくかをその夜は作戦会議をしたという。

 

 

 




思っていたより多くのお気に入り登録がされており困惑しております《のび太の転生先》です。
軽いノリで投稿したのでまさか50人もの方からお気に入りいただけるとは思っても見ませんでした。
皆様、本当にありがとうございます。
感想も書いてくださりありがとうございます。
それはを励みに2話の製作を頑張ることが出来ました!
やる気があるうちに3話を作ろうとは思いますが…ノリで作った作品なので、消えたらすみません…
次回もよろしくお願いします。
…こうなるなら名前《のび太の転生先》じゃなくてもっと真面目なのにすればよかった
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