『存在』と『虚無』の力は神をも屠る(更新停止、凍結中&新シリーズ作成中)。   作:狩村 花蓮

11 / 21
『存在』と『虚無』の力は神をも屠る、前回までの三つの出来事。一つ、ハジメたちはサソリもどきを撃破した。二つ、ユエはハジメのここに至る経緯と真由美の過去を聞いた。そして三つ、ハジメたちは反逆者の住処へとたどり着き、そこで魔物と対峙する。


第十話 魂の座

三人称side

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光がハジメ達を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気がハジメ達に叩きつけられた。

 

「来るよハジメ!」

 

同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

真由美は即座に飛行して回避する。ハジメとユエは同時にその場を左右に飛び退き反撃を開始する。ハジメのドンナーが火を吹き電磁加速された弾丸が超速で赤頭を狙い撃つ。弾丸は狙い違わず赤頭を吹き飛ばした。

 

まずは一つとハジメが内心ガッツポーズを決めた時、白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。白頭は回復魔法を使えるらしい。

 

ハジメに少し遅れてユエの氷弾が緑の文様がある頭を吹き飛ばしたが、同じように白頭の叫びと共に回復してしまった。

 

「クソっ!回復持ちがいるのか・・・・・・・・くそったれ!」

 

ハジメはドンナーで白頭を吹き飛ばそうとする。が、先ほどの赤頭が火炎放射で弾道をそらす。

 

「どんなお家芸だよくそっ!」

 

ハジメは念話を使って、真由美とユエに指示を出す。

 

”あの白頭を潰すぞ!あいつがいると勝てない!”

 

”了解!ユエちゃん、魔法でほかの頭を黙らせて!”

 

”分かった!”

 

ユエが様々な魔法でほかの頭を足止めする。青頭が氷の礫を撃つが、ユエがそれをことごとく撃ち落としていく。真由美はその間に、リボルバーを同化で強化し、白頭に向けて極光を放つ。ハジメもドンナーを撃つ。

 

緑と白が入り混じったような色の閃光とレールガンがが白頭に迫る。しかし、直撃かと思われた瞬間、黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。

 

そして淡く黄色に輝きハジメのレールガンも真由美の極光も受け止めてしまった。衝撃と爆炎の後には無傷の黄頭が平然とそこにいてハジメ達を睥睨している。

 

「盾役までいるのかよっ!」

「なんとも合理的かつ基本に忠実な生物だことで!」

ハジメは頭上に向かって〝焼夷手榴弾〟を投げる。同時にドンナーの最大出力で白頭に連射した。真由美は他の首の相手をしているユエと交代し、ユエはハジメに合わせて〝緋槍〟を連発する。

 

ユエの〝蒼天〟なら黄頭を抜いて白頭に届くかもしれないが、最上級を使うと一発でユエは行動不能になる。吸血させれば直ぐに回復するが、その隙を他の頭が許してくれるとは思えなかった。せめて半数は減らさないと最上級は使えない。

 

黄頭は、ハジメとユエの攻撃を尽く受け止める。だが、流石に今度は無傷とはいかなかったのかあちこち傷ついていた。

 

「クルゥアン!」

 

すかさず白頭が黄頭を回復させる。全くもって優秀な回復役である。しかし、その直後、白頭の頭上で〝焼夷手榴弾〟が破裂した。摂氏三千度の燃え盛るタールが撒き散らされる。白頭にも降り注ぎ、その苦痛に悲鳴を上げながら悶えている。

 

 

このチャンス逃すか! とハジメが〝念話〟で合図をユエに送り、同時攻撃を仕掛けようとする。が、その前に絶叫が響いた。ユエの声で。

 

「いやぁああああ!!!」

「ユエちゃん!?」

「!? ユエ!」

 

咄嗟にユエに駆け寄ろうとするが、それを邪魔するように赤頭と緑頭が炎弾と風刃を無数に放ってくる。未だ絶叫を上げるユエに、歯噛みしながら一体何がと考えるハジメ。そして、そういえば黒い文様の頭が未だ何もしていないことを思い出す。

 

(違う、もし既に何かしているとしたら!)

 

ハジメは〝縮地〟と〝空力〟で必死に攻撃をかわしながら黒頭に向かってドンナーを発砲した。射撃音と共に、ユエをジッと見ていた黒頭が吹き飛ぶ。同時に、ユエがくたりと倒れ込んだ。

 

その顔は遠目に青ざめているのがわかる。そのユエを喰らおうというのか青頭が大口を開けながら長い首を伸ばしユエに迫っていく。

 

「させるかぁああ!!」

 

 

ハジメはダメージ覚悟で炎弾と風刃の嵐を〝縮地〟で突っ込んで行く。真由美は同化ケーブルで魔法のほとんどを迎撃する、ハジメも致命傷になりえる攻撃は

 

ドンナーの銃身で弾いたり風爪で軌道をそらしたりしながらギリギリのタイミングでユエと青頭の間に入ることに成功した。

 

しかし、迎撃の暇はなく、ハジメは咄嗟に〝金剛〟を発動する。〝金剛〟は移動しながらは使えない。

 

そのため、どっしりとユエの前に立ち塞がる。魔力がハジメの体表を覆うのと青頭が噛み付くのは同時だった。

 

「クルルルッ!」

「ぐぅう!」

 

低い唸り声を上げながら、青頭がハジメを丸呑みにせんと、その顎門を閉じようとするが、ハジメは前かがみになりながら背中と足で踏ん張り閉じさせない。そして、ドンナーの銃口を青頭の上顎に押し当て引き金を引いた。

 

射撃音と共に噴火でもした様に青頭の頭部が真上に弾け飛ぶ。力を失った青頭をハジメは〝豪脚〟で蹴り飛ばす。次いでに、〝閃光手榴弾〟と〝音響手榴弾〟をヒュドラに向かって投げつけた。

 

「真由美!耳と目をふさげっ!」

「っ!?」

 

真由美はとっさに目をつぶり耳をおおった。〝音響手榴弾〟は八十層で見つけた超音波を発する魔物から採取したものだ。体内に特殊な器官を持っており音で攻撃してくる。この魔物を倒しても固有魔法は増えなかったが、代わりにその特殊な器官が鉱物だったので音響爆弾に加工したのだ。

 

二つの手榴弾が強烈な閃光と音波でヒュドラを怯ませる。その隙にハジメはユエを抱き上げ柱の陰に隠れた。

 

「おい! ユエ! しっかりしろ!」

「・・・・・・・・」

 

ハジメの呼びかけにも反応せず、青ざめた表情でガタガタと震えるユエ。黒頭のヤツ一体何しやがった! と悪態を付きながら、ペシペシとユエの頬を叩く。〝念話〟でも激しく呼びかけ、神水も飲ませる。しばらくすると虚ろだったユエの瞳に光が宿り始めた。

 

「ユエ!」

「・・・・・・・・ハジメ?」

「おう、ハジメさんだ。大丈夫か? 一体何された?」

 

パチパチと瞬きしながらユエはハジメの存在を確認するように、その小さな手を伸ばしハジメの顔に触れる。それでようやくハジメがそこにいると実感したのか安堵の吐息を漏らし目の端に涙を溜め始めた。

 

「・・・・・・・・よかった・・・・・・・・見捨てられたと・・・・・・・・また暗闇に一人で・・・・・・・・」

「ああ? そりゃ一体何の話だ?」

 

ユエの様子に困惑するハジメ。ユエ曰く、突然、強烈な不安感に襲われ気がつけばハジメに見捨てられて再び封印される光景が頭いっぱいに広がっていたという。そして、何も考えられなくなり恐怖に縛られて動けなくなったと。

 

「ちっ! バッドステータス系の魔法か? 黒頭は相手を恐慌状態にでも出来るってことか。ホントにバランスのいい化物だよ、くそったれ!真由美!そいつはバッドステータスを付与させる首を持ってる!トラウマを想起させるようだ!気を付けろ!」

「了解!情報感謝するよハジメ!」

「・・・・・・・・ハジメ」

 

敵の厄介さに悪態をつき、真由美に指示を出すハジメに、ユエは不安そうな瞳を向ける。よほど恐ろしい光景だったのだろう。

 

ハジメに見捨てられるというのは。何せ自分を三百年の封印から命懸けで解き放ってくれた人物であり、吸血鬼と知っても変わらず接してくれるどころか、日々の吸血までさせてくれるのだ。心許すのも仕方ないだろう。

 

そして、ユエにとってはハジメの隣が唯一の居場所だ。一緒にハジメの故郷に行くという約束がどれほど嬉しかったか。再び一人になるなんて想像もしたくない。

 

そのため、植えつけられた悪夢はこびりついて離れず、ユエを蝕むしばむ。ヒュドラが混乱から回復した気配にハジメは立ち上がるが、ユエは、そんなハジメの服の裾すそを思わず掴んで引き止めてしまった。

 

「・・・・・・・・私・・・・・・・・」

 

泣きそうな不安そうな表情で震えるユエ。ハジメは何となくユエの見た悪夢から、今ユエが何を思っているのか感じ取った。そして、普段からの態度でユエの気持ちも察している。

 

どちらにしろ、日本に連れて行くとまで約束してしまったのだ。今更、知らないフリをしても意味がないだろう。

 

慰めの言葉でも掛けるべきなのだろうが、今は時間がない。それに生半可な言葉では、再度黒頭の餌食だろう。ハジメがやられる可能性もあるのだから、その時はユエにフォローしてもらわねばならない。

 

そんなことを一瞬のうちに、まるで言い訳のように考えると、ハジメは、ガリガリと頭を掻きながらユエの前にしゃがみ目線を合わせる。

 

 そして・・・・・・・・

 

「?・・・・・・・・!?」

 

首を傾げるユエにキスをした。ほんの少し触れさせるだけのものだが、ユエの反応は劇的だった。マジマジとハジメを見つめる。

 

ハジメは若干恥ずかしそうに目線を逸らしユエの手を引いて立ち上がらせた。

 

「ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て故郷に帰るんだ。・・・・・・・・一緒にな」

 

ユエは未だ呆然とハジメを見つめていたが、いつかのように無表情を崩しふんわりと綺麗な笑みを浮かべた。

 

「んっ!」

 

ハジメは咳払いをして気を取り直しつつ、ユエに作戦を告げる。

 

「シュラーケンを使う。真由美がいくらか援護してくれるとは思うがそれでも多少は飛んでくるはずだ。それの迎撃と防御を頼む。」

「ん、任せて。」

「よし、その意気だ。真由美!切り札を切りたい!時間を稼いでくれ!」

「了解!」

 

真由美は一旦首から離れると、ハジメの上空に待機し、その背中に緑の結晶を生やしていく。それが一定の沖差になり砕けると中からは紫色の円柱状の機器にブレードが喧嘩されたウイングパーツのような・・・・・・・・ニヒトのバックパックユニットが現れた。

 

「遠慮はいらないよね。ドカンと行っちゃうよー!」

 

円柱状の機器の上部から赤いホーミングレーザーが発射される。それは各色の首が出す魔法のこと如くを打ち払っていく。ブレード付きの同化ケーブルは、次々と頭を同化し消していく。白頭が即座に回復させていくが、誰がどう見てもその速度は落ちている。

 

どうやらキャパシティがオーバーし始めたのだろう。ユエも負けじと様々な魔法を使って首を落としていく。

 

「今だよハジメ!」

「あぁ!」

 

ハジメは対物ライフル:シュラーゲンを取り出し白頭に向けて照準する。黄頭が白頭を守るように立ち塞がるが、そんな事は想定済みだ。

 

「まとめて砕く!」

 

ハジメが〝纏雷〟を使いシュラーゲンが紅いスパークを起こす。弾丸はタウル鉱石をサソリモドキの外殻であるシュタル鉱石でコーティングした地球で言うところのフルメタルジャケットだ。

 

シュタル鉱石は魔力との親和性が高く〝纏雷〟にもよく馴染む。通常弾の数倍の量を圧縮して詰められた燃焼粉が撃鉄の起こす火花に引火して大爆発を起こした。

 

 ドガンッ!!

 

大砲でも撃ったかのような凄まじい炸裂音と共にフルメタルジャケットの赤い弾丸が、更に約一・五メートルのバレルにより電磁加速を加えられる。その威力はドンナーの最大威力の更に十倍。

 

単純計算で通常の対物ライフルの百倍の破壊力である。異世界の特殊な鉱石と固有魔法がなければ到底実現し得なかった怪物兵器だ。

 

発射の光景は正しく極太のレーザー兵器のよう。かつて、勇者の光輝がベヒモスに放った切り札が、まるで児戯に思える。射出された弾丸は真っ直ぐ周囲の空気を焼きながら黄頭に直撃した。

 

黄頭もしっかり〝金剛〟らしき防御をしていたのだが……まるで何もなかったように弾丸は背後の白頭に到達し、そのままやはり何もなかったように貫通して背後の壁を爆砕した。階層全体が地震でも起こしたかのように激しく震動する。

 

後に残ったのは、頭部が綺麗さっぱり消滅しドロッと融解したように白熱化する断面が見える二つの頭と、周囲を四散させ、どこまで続いているかわからない深い穴の空いた壁だけだった。

 

他に残った頭が真由美とユエの相手をほおりだしハジメの方を向く。しかし、そんな隙を見逃す二人ではなかった。

 

「油断大敵!たらふく食っちゃいなさいよ!」

「〝天灼〟」

 

そのスペックは勇者をも軽く凌駕し、戦闘能力はハジメやユエをもしのぐ真由美の規格外の武装、その威力は未知数。現代科学でもまだ再現できていないようなその光線という名の破壊兵器は

 

首にまとわれた〝金剛〟で防げるわけがなく、その首を蒸発させる。そして かつての吸血姫。その天性の才能に同族までもが恐れをなし奈落に封印した存在。その力が、己と敵対した事への天罰だとでも言うかのように降り注ぐ。

 

三つの頭の周囲に六つの放電する雷球が取り囲む様に空中を漂ったかと思うと、次の瞬間、それぞれの球体が結びつくように放電を互いに伸ばしてつながり、その中央に巨大な雷球を作り出した。

 

ズガガガガガガガガガッ!!

 

中央の雷球は弾けると六つの雷球で囲まれた範囲内に絶大な威力の雷撃を撒き散らした。三つの頭が逃げ出そうとするが、まるで壁でもあるかのように雷球で囲まれた範囲を抜け出せない。天より降り注ぐ神の怒りの如く、轟音と閃光が広大な空間を満たす。

 

そして、十秒以上続いた最上級魔法に為すすべもなく、残りの首も断末魔の叫びをあげたのだった。

 

「ふぅ。何とか倒せたか。」

 

いつもの如くユエがペタリと座り込む。魔力枯渇で荒い息を吐きながら、無表情ではあるが満足気な光を瞳に宿し、ハジメに向けてサムズアップした。ハジメも頬を緩めながらサムズアップで返す。

 

シュラーゲンを担ぎ直しヒュドラの僅かに残った胴体部分の残骸に背を向けユエの下へ行こうと歩みだした。

 

 その直後、

 

「ハジメ!危ない!」

 

真由美の切羽詰まった声が響き渡る。何事かと見開かれた真由美の視線を辿ると、音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、ハジメを睥睨していた。思わず硬直するハジメ。

 

だが、七つ目の銀色に輝く頭は、ハジメからスっと視線を逸らすと動けないユエをその鋭い眼光で射抜き予備動作もなく極光を放った。先ほどのハジメのシュラーゲンもかくやという極光は瞬く間にユエに迫る。ユエは魔力枯渇で動けない。

 

ハジメは金剛を発動し、ユエの前、極光の射線上に躍り出る。奇しくもそれは冒頭の青頭の繰り返しのように見えた。このままではハジメは極光の光で焼かれてしまう。既に死の光はすぐそこまで来ていた。

 

ユエは目をつぶる。しかし、衝撃はなく、代わりに真由美のうめき声がする。何事かと見てみれば、なんと真由美が手のひらから黒い顔並みの大きさの球体を出して、極光を止めているではないか。

 

「二人は・・・・・・・・やらせないっ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

真由美はそのままその球体を維持し続ける。まるで極光が切れるのを待つかのように。ユエも、その前でかばう体制に入っていたハジメも、唖然としている。そしてついに極光の光が消えた。なんと真由美は極光を押しとどめることに成功したのだ。

 

そしてその極光を受け止めた黒い球体はそのまま肥大化していき、直径2kmはあるであろう巨大な球体へと姿を変える。

 

「お返しだ・・・・・・・・無に還れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

真由美はそれを胴体部へと投げつける。それは胴体部分にぶつかると、ものすごい勢いで、その胴体を文字通り消していく。緑色の結晶を伴う同化のような消滅ではなく、まるでブラックホールを押し付けられたような消え方をする体。

 

ファフナーの世界で言う”ワームスフィア”なんでも消してしまう特異な現象の様なものであるそれは、再生能力をものともしない速度で胴体の九割と回復させる首を含めた6本の首を消し去った。

 

「今度こそ・・・・・・・・私たちの勝ち・・・・・・・・だ。くそったれ・・・・・・・・」

 

真由美は立つのも一苦労なぐらいにへばっていた。ハジメはそんな真由美をねぎらうために真由美に近づく、が次の瞬間。

 

「ぐがぁぁぁぁぁあ!?」

 

突然ハジメが目を抑え始めた。はたから見ると真由美がハジメに何かしたように見えるだろう。だがしかし、現実は違ったのだ。

 

ユエは真由美の方を見る。真由美は確かにそこに立ってはいるが、胸のあたりから向こうの景色が見えている。そう、”見えているのだ”。

 

そしてその向こうには、残っていた最後の首がハジメたちの・・・・・・・・真由美の方を向いていた。そしてその首はこと切れたかのように地面へと伏し、真由美も地面へと倒れこんだ。

 

そこからは赤色の液体がとめどなくあふれているのだった。

 

_______________________________

 

真由美side

 

はい私です。なにがあったのか全く把握できておりません。最後に覚えてるのは胸が焼けるような痛みと、ハジメが左目を抑えている姿と、変なものでも見たかのような顔をしていたユエちゃんだけです。

 

なにがあったのかしら?今はなぜか見覚えのあるようなないような真っ白い空間にいます。なので全く外の様子がわかりません。あーどうしようっかなー。って、およよ?前から私そっくりな人が近づいてきましたよ?

 

「あなたは誰ですか?」

「私は、あなた。あなたの体の昔の持ち主。」

 

えっ?何て言った?前の持ち主?この体の?ってことはじゃぁ・・・・・・・・

 

「初めまして、真城悠馬。私の名前は真城真由美、その体本来の持ち主です。」

「えっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

どーゆーことだぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!えっ?何々どういうこと?全く持って話がつかめん。この体は転生特典でついたわけじゃないのか?

 

魂だけが上書きされた、この世界の住人の体ってこと?じゃあ何か?俺はゼウスのじっちゃんに魂の状態でこの世界に連れてこられたってわけ?それでこの子に魂が上書きされたと?

 

そんな荒唐無稽なこと信じ・・・・・・・・られるわ。俺がもうファンタジーの体現者だったわ。魔法ありきの世界に転移させられた時点で、というか転生した時点でメルヘンチックでファンタジー的な存在にクラスアップしてたわ!

 

「えぇっととりあえず・・・・・・・・本当にごめんなさぁぁぁぁぁい!」

 

”俺”はとりあえず全力で謝罪する。勿論ジャパニーズDO☆GE☆ZAも忘れていない。

 

「あーいや、別に何もそこまでしなくてもいいのですが・・・・・・・・」

「いいえ全く!こちらの都合であなたの体を勝手に利用して・・・・・・・・ほんっとうにすいませんでしたァァァァァァ!!!」

「あはは・・・・・・・・」

 

そしてゼウスのじっちゃん、どういうことだ、説明するんだってばよ!すると向こうから”前世の俺”の姿をした何者かが歩いてきた。

 

何で何者なのかって言ったのかだって?だって前世の俺の髪の毛・・・・・・・・というか一般人の髪ってあんなゲーミングPCバリに虹色に輝かねぇよ普通!

 

もう見ただけで『あッ、こいつやべーやつだ(言葉通り)』って思ったわ!

 

「なぁゼウスのじっちゃん。こりゃ一体どういうことなんだってばよ?」

「・・・・・・・・すまんな、其方・・・・・・・・いや、悠馬よ。実はお前の体を作ろうとしたときに、この少女がお前と同じ波長・・・・・・・・魂の形をしておって希薄だったので、魂の結びつきをほどいて悠馬の魂を入れてしまったのだ」

「・・・・・・・・つまり?」

「悠馬の体作るの面倒で、魂の器として最適で尚且つ死に体だったこの体に無断で入れちゃったという訳だ。」

「・・・・・・・・」

「どうしたのだ?」

「なっ・・・・・・・・」

「な?」

「なぁぁぁあぁぁにをしてくれとんのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!あんたって人はぁぁぁぁあぁぁぁぁああ!」

 

衝撃のカミングアウトォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!?どういうことだってばよ!?全く話についてけねぇぞ!なんだよこの今明かされる衝撃の真実的カミングアウトの嵐!

 

俺も読者さんも全く話についてけねぇぞ一体どうなってるんだ作者ァ!というかおれもよくわかんねぇよ!じゃあ何か?俺はこの元の持ち主さん相手に

 

「あっ、俺転生者です。そして体がないのであなたの体勝手に借りるね!」ってな感じでおれのものムーブをかまして悠々自適に生きてたって言うのかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

人のことなんも言えんわ!何やってんの!?倫理観どうなってんのお宅は!・・・・・・・・って・・・・・・・・

 

「神様に倫理観なんてないか(ボソッ)」

「おいこら悠馬ー今失礼なこと言わなかったかー」

「あの・・・・・・・・そろそろ話してもいいですか?」

「アッハイドウゾ。」

 

やべぇって、前の持ち主さんの気を悪くさせちゃったよー・・・・・・・・

 

______________________________

悠馬side

 

はい、という訳で前の持ち主さん。えぇッと長いので元の名前、真由美さんと呼びます。真由美さんから今の状況について説明していただくことになりました。

 

ゼウスのじっちゃん?あぁ、なんか帰ったよ。すっげぇ気分が重そうに見えた。

 

「えぇっと、今のあなたの状態を記憶を流すことで説明します。といっても簡単に言ってしまえば、あなたは今瀕死の状態です」

「えっ?俺瀕死なの?」

「はい、あなたはいま生死の境をさまよってます。魂と体のつながりが私並みに薄くなったので、今ここにいて、私と会えてるという状態ですね」

「なるほどなるほど。」

「意外と落ち着いてますね」

「んにゃ?落ち着いてはいないぞ。ただ今更ここで騒ぎだしてもなぁって感じでいるだけ。ここで死んでも正直仕方ないと思ってる。いくら最強の力を持ってるって言ったっておれは戦い方なんて喧嘩しか知らん只のパンピーだしな。無双できてた自分が怖いわ」

「そういうことでしたか・・・・・・・・いや失敬。で、本題はここからです。今あなたには二つの選択肢があります。」

「二つの選択肢?」

「一つはこのまま体の回復を待つ。瀕死とはいえ、ハジメさんが持つ神水の効果と、同化の力で着々と回復してはいますが、目を覚ますのはあなたが言う”原作”の時系列的に言えば、ライセン大迷宮を攻略した後、になるでしょう。」

「えー困るよそれ。あの大迷宮初見殺し多いし!」

「まぁまぁ落ち着いてください。そこで二つ目の案です。」

「二つ目の案?」

「端的に言えば分身体・・・・・・・・複製の体を作り、そこにあなたの魂を持っていくこと、です」

「つまりあれ?本体の回復を待つ間に代理の体でハジメたちの攻略を手伝うってことか?」

「えぇ。本来の私が持つ技能の中に”機体作成” ”義体作成”の技能があります。これは簡単に言えば材料さえあればそれが作れるという、錬成の下位互換で特化型のような技能となります」

「へぇ、そんなロマンあふれる技能を持ってたんですね。羨ましいな~。つまり、『俺がガンダムだ(物理)』ができる訳か。」

「でも、私の技能はあくまで義体と私が持つ技能をそのまま映すことしかできませんので、あなたが持つ存在と同化の力を宿す各種技能はしばらく使えません。そしておそらく私本来のこの技能を使用した場合、再生期間はもっと伸びる可能性があります。」

「具体的には?」

「時系列的に言えば・・・・・・・・ウルの町辺りまででしょうか?」

「なるほどね・・・・・・・・もう少し早くできない?」

「どんなに早く見積もっても、ウルの町攻防戦のあたりまで間に合うかどうかです。」

「そっか・・・・・・・・あーいやいや、俺もそこまでバカ丸出しってわけじゃないよ。理解してる。それでさ、再生している間、この体を使うのは真由美さんってわけだよね?」

「えぇ、そういうことになりますね。」

「ハジメたちにどう説明すればいい?」

「二重人格だったとでも説明しておいてください。それで何とか納得してくれると思います。」

「分かった。・・・・・・・・くどいようだけど、本当に申し訳ない。ほんとはあなたの体だったのに・・・・・・・・」

「いえ、多分あなたが入ってきてくれなければ・・・・・・・・私と同じかけがえのないものを失ったのにもかかわらず懸命に生きようとしたあなたがいなければ・・・・・・・・死に体の私はもう死んでいたと思いますから・・・・・・・・感謝こそすれ、邪険にはしません。」

「そっか・・・・・・・・そう言ってくれると助かるよ。・・・・・・・・じゃあ、またよろしくね。」

「はい、また会いましょう。」

 

こうして俺は、真由美さんとの和解に成功した。しばらくは真由美さんの持つはずだった技能しか使えないがさしたる問題はないだろう。だって、ハジメは十分に強いから。

 

俺は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 




という訳で、オリ主の魂は転生した時に作られた肉体じゃなくて死に体だったその世界でのモブだったオリ主のような存在の体の中に入ってしまい、尚且つ主導権を握っていたという何とも複雑な事情を抱え込んでいました。最も、タイトルの時点で

察しがついた猛者な読者様は少なからずいるのではないでしょうか?このプロットを作るときにACが登場する他の作者様方の二次創作を見て、「ワイもAC出したいな・・・・・・・・そや、魂が二つあるなら、義体作ってそこにAC作れる技能付けてオリ主に作らせよ」となって

二重の魂の後の設定を大幅に進路変更することにしました。最も、この変更をしたとしても大筋の物語が変わることは多分ないと思います・・・・・・・・ちなみにこの技能の元ネタは、これのもとになった自分の二次創作、『錬成士と魔弾の射手で世界最強』の主人公の持つ技能

”自動人形”から来ています。まだ、作品自体は残ってるので気になったら少しのぞいて見るといいかもしれません。・・・・・・・・っと、どんな上から目線だよと。という訳で次回でオリ主sideは終了ですが、そのあと清水たち勇者sideを少し書いて設定などをまとめてから

ライセン大迷宮編へと行きたいと考えています。ではまた次回お会いいたしましょう。さようなら

光輝君はどうするべき?

  • 主人公たちを邪魔し続ける
  • 改心させる
  • いっそのこと殺す
  • 魔人族の手先になる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。