『存在』と『虚無』の力は神をも屠る(更新停止、凍結中&新シリーズ作成中)。 作:狩村 花蓮
自信の真実を明らかにせずに・・・・・・・・
第十二話 ハウリア族の残念ウサギ
三人称side
魔法陣の光に満たされた視界、何も見えなくとも空気が変わったことは実感した。奈落の底の澱んだ空気とは明らかに異なる、どこか新鮮さを感じる空気にハジメの頬が緩む。
やがて光が収まり目を開けたハジメの視界に写ったものは・・・・・・・・洞窟だった。
「なんでやねん。」
魔法陣の向こうは地上だと無条件に信じていたハジメは、代わり映えしない光景に思わず半眼になってツッコミを入れてしまった。正直、めちゃくちゃガッカリだった。
「なんで突っ込んだか何となく察しつくから敢えて言うけど、隠し通路ってのは隠してなんぼなんだぞ?」
「・・・・・・・・ん。当然こうする。」
ハジメのツッコミに即座に反応したのは、紫がかった黒髪の美女?のユーマである。しかし、彼女の作ったアーマー”ホワイト・グリント”はどこにもない。彼女はいま紫色のドレスを身にまとった生身なのである。
そしてそんな彼女に相打ちを撃ったのが我らが金髪吸血姫ことユエである。
「あ、ああ、そうか。確かにな。反逆者の住処への直通の道が隠されていないわけないか」
そんな簡単なことにも頭が回らないとは、どうやら自分は相当浮かれていたらしいと恥じるハジメ。頭をカリカリと掻きながら気を取り直す。緑光石の輝きもなく、真っ暗な洞窟ではあるが
ハジメもユーマもユエも暗闇を問題としないので道なりに進むことにした。
途中、幾つか封印が施された扉やトラップがあったが、オルクスの指輪が反応して尽く勝手に解除されていった。二人は、一応警戒していたのだが、拍子抜けするほど何事もなく洞窟内を進み、遂に光を見つけた。
外の光だ。ハジメはこの数ヶ月、ユエに至っては三百年間、求めてやまなかった光。
ハジメとユエは、それを見つけた瞬間、思わず立ち止まりお互いに顔を見合わせた。それから互いにニッと笑みを浮かべ、同時に求めた光に向かって駆け出した。その後ろをあきれ顔を浮かべ、それをすぐ笑顔に変えてユーマがついて行く。
近づくにつれ徐々に大きくなる光。外から風も吹き込んでくる。奈落のような澱んだ空気ではない。ずっと清涼で新鮮な風だ。ハジメは、〝空気が旨い〟という感覚を、この時ほど実感したことはなかった。
そして、ハジメとユエは同時に光に飛び込み・・・・・・・・待望の地上へ出た。
地上の人間にとって、そこは地獄にして処刑場だ。断崖の下はほとんど魔法が使えず、にもかかわらず多数の強力にして凶悪な魔物が生息する。深さの平均は一・二キロメートル、
幅は九百メートルから最大八キロメートル、西の【グリューエン大砂漠】から東の【ハルツィナ樹海】まで大陸を南北に分断するその大地の傷跡を、人々はこう呼ぶ。
【ライセン大峡谷】と。
ハジメ達は、そのライセン大峡谷の谷底にある洞窟の入口にいた。地の底とはいえ頭上の太陽は燦々さんさんと暖かな光を降り注ぎ、大地の匂いが混じった風が鼻腔をくすぐる。
たとえどんな場所だろうと、確かにそこは地上だった。呆然と頭上の太陽を仰ぎ見ていたハジメとユエの表情が次第に笑みを作る。無表情がデフォルトのユエでさえ誰が見てもわかるほど頬がほころんでいる。
「・・・・・・・・戻って来たんだな・・・・・・・・」
「・・・・・・・・んっ」
「・・・・・・・・でも油断するn」
二人は、ようやく実感が湧いたのか、太陽から視線を逸らすとお互い見つめ合い、そして思いっきり抱きしめ合った。
「よっしゃぁああーー!! 戻ってきたぞ、この野郎ぉおー!」
「んっーー!!」
「おーいあんまり騒ぐな・・・・・・・・って、聞こえてないし・・・・・・・・」
小柄なユエを抱きしめたまま、ハジメはくるくると廻る。しばらくの間、人々が地獄と呼ぶ場所には似つかわしくない笑い声が響き渡っていた。途中、地面の出っ張りに躓つまずき転到するも、そんな失敗でさえ無性に可笑しく、二人してケラケラ、クスクスと笑い合う。
ようやく二人の笑いが収まった頃には、すっかり……魔物に囲まれていた。
「はぁ~、全く無粋なヤツらだな。・・・・・・・・確かここって魔法使えないんだっけ?」
ドンナー・シュラークを抜きながらハジメが首を傾げる。座学に励んでいたハジメには、ここがライセン大峡谷であり魔法が使えない場所であると理解していた。
「・・・・・・・・分解される。でも力づくでいく」
ライセン大峡谷で魔法が使えない理由は、発動した魔法に込められた魔力が分解され散らされてしまうからである。もちろん、ユエの魔法も例外ではない。しかし
ユエはかつての吸血姫であり、内包魔力は相当なものであるうえ、今は外付け魔力タンクである魔晶石シリーズを所持している。勿論、ユーマのルーン魔術(偽)によってさらに最適化済みだ。
つまり、ユエ曰く、分解される前に大威力を持って殲滅すればよいということらしい。
「力づくって・・・・・・・・効率は?」
「・・・・・・・・本来なら、十倍くらい。でも、ユーマのおかげで、多分2倍・・・・・・・・」
「ふふん。どうよ俺のルーン魔術!・・・・・・・・って、おーい?ハジメさんやーい。」
どうやら、本来は初級魔法を放つのに上級レベルの魔力が必要らしい。射程も相当短くなるようだ。しかし、ユーマのおかげで初級魔法に使用する魔力は二発分で済むらしい。
ユーマの使うルーン魔術の技能が割とチートなことを改めて実感するハジメだった。しかし、それでも必要な魔力量が跳ね上がってるのは確かなわけで・・・・・・・・
「あ~、じゃあ俺がやるからユエは身を守る程度にしとけ」
「うっ・・・・・・・・でも」
「いいからいいから、適材適所。ここは魔法使いにとっちゃ鬼門だろ? 任せてくれ」
「ん・・・・・・・・わかった」
「スルーデスカ、ソウデスカ」
ユエが渋々といった感じで引き下がる。せっかく地上に出たのに、最初の戦いで戦力外とは納得し難いのだろう。少し矜持が傷ついたようだ。唇を尖らせて拗ねている。
そんなユエの様子に苦笑いしながらハジメはおもむろにドンナーを発砲した。相手の方を見もせずに、ごくごく自然な動作でスっと銃口を魔物の一体に向けると、これまた自然に引き金を引いたのだ。
あまりに自然すぎて攻撃をされると気がつけなかったようで、取り囲んでいた魔物の一体が何の抵抗もできずに、その頭部を爆散させ死に至った。
辺りに銃声の余韻だけが残り、魔物達は何が起こったのかわからないというように凍り付いている。確かに、二倍近い魔力を使えば、ここでも〝纏雷〟は使えるようだ。問題なくレールガンは発射できた。
未だ凍りつく魔物達に、ハジメは不敵な笑みを浮かべる。
「さて、奈落の魔物とお前達、どちらが強いのか……試させてもらおうか?」
スっとガン=カタの構えをとり、ハジメの眼に殺意が宿る。その眼を見た周囲の魔物達は気がつけば一歩後退っていた。しかも、そのことに気がついてすらいない。本能で感じたのだろう。自分達が敵対してはいけない化物を相手にしてしまったことを。
常人なら其処にいるだけで意識を失いそうな壮絶なプレッシャーが辺り一帯を覆う中、遂に魔物の一体が緊張感に耐え切れず咆哮を上げながら飛び出した。
「ガァアアアア!!」
ハジメは引き金を引こうとして・・・・・・・・凍り付いた。
「えっ?」
突然魔物が爆散したのだ。そして、魔物がいた場所には、後ろにいて存在感が全くなかったユーマが立っていた。
「ふむ・・・・・・・・”四奏流”はこの体でも使えるのね。・・・・・・・・ハジメに散々スルーされ続けたせいでアーマーも使えないし、こんなんだったらハジメの宝物庫になんて入れてもらうんじゃなかったわ。さて、我流の拳法”四奏流”、お前ら実験に少し付き合え」
そう、彼女の作ったアーマーは持ち運びが面倒という理由でハジメの宝物庫に入れてあるのだ。散々スルーされ続けたせいで取り出せなくて困っていたのだ。そこで彼女は自分の持つ手札を一枚切ったのだ。
自信に備わっていた鍛錬すればするほど無限に成長できるという規格外の特典で身に着けた武術のすべてを自身の使える形にアレンジしなおしたオリジナル、つまるところ我流。
「わが四奏流は一撃にして四撃、技をもって力を制し、技をもって速さを越える・・・・・・・・ってね!」
ユーマが脱力し、体を傾けたと思ったら、すでにユーマは魔物の目の前に立っていた。そして立っていたと認識した直後には、その魔物は”内部から”はじけた。
そしてはじけたと認識した直後にはほかの魔物がまた弾ける。その光景はハジメをもってして異常と言わしめるほどだった。ほとんど何も見えない。見えるのは”結果”だけ。
ユーマが敵を屠ったという結果だけ。そこから先は、もはや戦いではなく蹂躙。魔物達は、ただの一匹すら逃げることも叶わず、まるでそうあることが当然の如く体内から吹き飛ばされ骸を晒す間もなく消える。辺り一面が魔物の血で埋め尽くされるのに五分もかからなかった。
「お前・・・・・・・・何をしたんだ?」
「何をって・・・・・・・・見えなかったのか?ただ相手に近づいて、内功を破壊して爆散させただけ。要は近づいて殴っただけだよ。」
「お前・・・・・・・・筋力なかったはずだろ?何でそんなことできるんだよ・・・・・・・・」
「氣って言うのは人間の体内にあるぎりぎりの均衡を保っている精神的エネルギーだと俺は思ってる。これはあくまでおれの手ごたえからの推測だけどな?俺はそのエネルギーの均衡を崩してるだけさ。後は勝手にエネルギーが暴走してはじけ飛ぶ。」
「・・・・・・・・いやわかんねぇよ。それにお前、敏捷もそれほど高くないだろ、なんだよあの動き。見えなかったぞ。」
「うーん・・・・・・・・あれは説明できるか怪しいんだけど・・・・・・・・俺の使ってる武術というか拳法というかは、我流なんだ。四奏流って言ってな、こいつは本当に簡単に言ってしまえば”一手で四手”が重要になってくるんだ。」
「一手で四手?」
「例で言えばさっきお前が行ってきた動き、あれで例えるなら一歩で四歩動けるってことさ。後はあれを縮地・・・・・・・・技能の方じゃないぞ?武術の方で、やってやれば高速で動くことができるって寸法さ。でもこれはたかが基礎さ。真髄はこんなものじゃない。」
ハジメは絶句した。先ほどの絶技をたかがと言い切る彼女の技量が怖くなったからなのか、少し右腕が震えている。ユエも顔を少し青ざめさせている。『もしかしたら俺の弾丸でも彼女を殺すことは不可能なのでは?』ハジメにそう思わせることは容易だった。
「それにしてもやっぱ手応えないなぁ。魔物が弱いのか?」
「・・・・・・・・ユーマが規格外すぎるだけ。」
「oh・・・・・・・・なかなか容赦のない言われようだなぁ。ま、そんなことは置いておいて、これからどうする?ハジメ」
「そうだな・・・・・・・・そうだ、ライセン大峡谷と言えば、七大迷宮があると考えられている場所だ。せっかくだし、樹海側に向けて探索でもしながら進むか?」
「・・・・・・・・なぜ、樹海側?」
「いや、峡谷抜けて、いきなり砂漠横断とか嫌だろ? 樹海側なら、町にも近そうだし。」
「・・・・・・・・確かに」
「それもそうだな。」
ハジメの提案に、ユエもユーマも頷いた。魔物の弱さから考えても、この峡谷自体が迷宮というわけではなさそうだ。ならば、別に迷宮への入口が存在する可能性はある。
ハジメの〝空力〟やユエの風系魔法、真由美の本体が持っている〝飛行〟を使えば、絶壁を超えることは可能だろうが、どちらにしろライセン大峡谷は探索の必要があったので、特に反対する理由もない。
ハジメは、右手の中指にはまっている〝宝物庫〟に魔力を注ぎ、魔力駆動二輪を取り出す。颯爽と跨り、後ろにユエが横乗りしてハジメの腰にしがみついた。
地球のガソリンタイプと違って燃焼を利用しているわけではなく、魔力の直接操作によって直接車輪関係の機構を動かしているので、駆動音は電気自動車のように静かである。
ハジメとしてはエンジン音がある方がロマンがあると思ったのだが、エンジン構造などごく単純な仕組みしか知らないので再現できなかった。ちなみに速度調整は魔力量次第である。
まぁ、ただでさえ、ライセン大峡谷では魔力効率が最悪に悪いので、あまり長時間は使えないだろうが。
「俺のも出してくれ。ついでにそのバイクの燃費もいじっておくなー。」
「あぁ、頼む。」
ハジメは再び宝物庫に魔力を流し、ユーマのアーマーを取り出す。正直これを出す意味はないと思うのだが、彼女が欲しいというなら聞かないという選択肢はない。
その間にユーマはハジメの魔導駆動二輪にルーン魔術を施していた。ユーマはその作業をしつつハジメに聞いた。
「そう言えば私の本体ってどこにあるの?」
「四輪の方の荷台のスペースに横たわらせてる。そんな扱いで申し訳ないが、恐らくそこが一番安全だ。」
「まぁなんでもいいさ。それに、あの空間にいると何か回復にブーストかかるっぽいんだよねぇ。まぁ微々たるもんだけと。」
そんなことを言いつつ、ユーマは作業を終わらせ、アーマーの方に向かう。そして、ルーン魔術で服を某新世紀のぴっちりスーツを思わせる紫色のスーツに変えた。
アーマーに近づく。すると、アーマーの背面が開き完全なオープン状態になった。ユーマはその中に入り、背面が閉まる。右腕が動き、指をおおうマニピュレータが動き可動域を確認していく。
一通りの確認が終了したのか、背部にマウントされたウェポンラックからライフルを取り出す。
『準備完了。いつでも行ける。』
機体に搭載されているのだろうか?スピーカーを通したような声でユーマの声が聞こえる。
「OK、んじゃ行こうか。ユエ。」
「んっ」
ハジメもユエも、迷う心配が無いので、迷宮への入口らしき場所がないか注意しつつ、軽快に魔力駆動二輪を走らせていく。車体底部の錬成機構が谷底の悪路を整地しながら進むので実に快適だ。
ユーマの方もとんでもない速さで飛行しているため、基本ハジメたちを見失うことはない。むしろハジメたちが見失うほどである。
しばらく魔力駆動二輪を走らせていると、それほど遠くない場所で魔物の咆哮が聞こえてきた。中々の威圧である。少なくとも今まで相対した谷底の魔物とは一線を画すようだ。もう三十秒もしない内に会敵するだろう。
魔力駆動二輪を走らせ突き出した崖を回り込むと、その向こう側に大型の魔物が現れた。かつて見たティラノモドキに似ているが頭が二つある。双頭のティラノサウルスモドキだ。
だが、真に注目すべきは双頭ティラノではなく、その足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら半泣きで逃げ惑うウサミミを生やした少女だろう。
ハジメは魔力駆動二輪を止めて胡乱うろんな眼差しで今にも喰われそうなウサミミ少女を見やる。
「・・・・・・・・何だあれ?」
「・・・・・・・・兎人族?」
「なんでこんなとこに? 兎人族って谷底が住処なのか?」
「・・・・・・・・聞いたことない」
「じゃあ、あれか? 犯罪者として落とされたとか? 処刑の方法としてあったよな?」
「・・・・・・・・悪ウサギ?」
ハジメとユエは首を傾げながら、逃げ惑うウサミミ少女を尻目に呑気にお喋りに興じる。助けるという発想はないらしい。別に、ライセン大峡谷が処刑方法の一つとして使用されていることから
ウサミミ少女が犯罪者であることを考慮したわけではない。赤の他人である以上、単純に面倒だし興味がなかっただけである。
相変わらずの変心ぶり、鬼畜ぶりだった。ユエの時とは訳が違う。ウサミミ少女にシンパシーなど感じていないし、メリットが見当たらない以上ハジメの心には届かない。助けを求める声に毎度反応などしていたらキリがないのである。
ハジメは既に、この世界自体見捨てているのだから今更だ。
しかし、そんな呑気なハジメとユエをウサミミ少女の方が発見したらしい。双頭ティラノに吹き飛ばされ岩陰に落ちたあと、四つん這いになりながらほうほうのていで逃げ出し、その格好のままハジメ達を凝視している。
そして、再び双頭ティラノが爪を振い隠れた岩ごと吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がると、その勢いを殺さず猛然と逃げ出した。・・・・・・・・ハジメ達の方へ。
それなりの距離があるのだが、ウサミミ少女の必死の叫びが峡谷に木霊しハジメ達に届く。
「だずげでぐだざ~い! ひっーー、死んじゃう! 死んじゃうよぉ! だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」
滂沱の涙を流し顔をぐしゃぐしゃにして必死に駆けてくる。そのすぐ後ろには双頭ティラノが迫っていて今にもウサミミ少女に食らいつこうとしていた。このままでは、ハジメ達の下にたどり着く前にウサミミ少女は喰われてしまうだろう。
流石に、ここまで直接助けを求められたらハジメも・・・・・・・・
「うわ、モンスタートレインだよ。勘弁しろよな」
「・・・・・・・・迷惑」
やはり助ける気はないらしい。必死の叫びにもまるで動じていなかった。むしろ、物凄く迷惑そうだった。ハジメ達を必死の形相で見つめてくるウサミミ少女から視線を逸らすと、
ハジメに助ける気がないことを悟ったのか、少女の目から、ぶわっと更に涙が溢れ出した。一体どこから出ているのかと目を見張るほどの泣きっぷりだ。
「まっでぇ~、みすでないでぐだざ~い! おねがいですぅ~!!」
ウサミミ少女が更に声を張り上げる。それでもハジメたちは速度を緩めない。目の前にティラノがいるのにもかかわらずである。理由は一つ、だってここにいるのは何もハジメとユエだけではない。
〝ダダダダダッ〟
ハジメたちのいるはるか上空から、何かを連射する音が聞こえ、その数秒後、ティラノの体が穴だらけになる。ハジメは片手をハンドルから放し、掲げるように腕を上げ、サムズアップする。
先ほどの攻撃は言わずもがな。ユーマの駆る戦闘用アーマー『ホワイト・グリント』の武装によるものだ。ハジメの武装よりはるかに大きいそれは、もはや魔力を使わずともレールガン兵器を運用できるレベルに至っていた。
ハジメはバイクの歩みを止める。無論、ティラノの残骸を回収するためだ。魔物の肉からは技能が手に入る可能性があり、それは自身よりレベルが高ければ高いほど確率があるのだ。そしてレベルも上がる可能性もある。
ハジメとしては回収しないわけにはいかないのだ。その後ろにユーマの駆るアーマーも着陸した・・・・・・・・うさ耳少女を巻き込んで。彼女のアーマーはそれはそれはおかしいほどの重量をしている。軽くtは入っているだろう。
それが思い切りブーストを吹かして減速するのだ。辺りには相当な衝撃波が飛ぶ。そしてウサギは、それで吹き飛ばされてきた。”ハジメの方に”。
「きゃぁああああー! た、助けてくださ~い!」
眼下のハジメに向かって手を伸ばすウサミミ少女。その格好はボロボロで女の子としては見えてはいけない場所が盛大に見えてしまっている。たとえ酷い泣き顔でも男なら迷いなく受け止める場面だ。
「アホか、図々しい」
しかし、そこはハジメクオリティー。自身の足元にあった石を蹴ってうさ耳少女の顔面に当て軌道を変えたのだ。
「ぐへっ!?」
ウサミミ少女は驚愕の悲鳴を上げながらハジメの眼前の地面にベシャと音を立てながら落ちた。両手両足を広げうつ伏せのままピクピクと痙攣している。気は失っていないが痛みを堪えて動けないようだ。
「・・・・・・・・面白い」
ユエがハジメの肩越しにウサミミ少女の醜態を見て、さらりと酷い感想を述べる。
『おいおい、さすがに石当てて地面とキスさせるのはダメじゃねーか?』
「いやなんでだよ。汚ねぇだろ。」
『お前はもう少し考えたほうがいいぞ?いくら最強だっつったって、面倒ごとはごめんだろ?巻き込まれないのにこしたことはない』
「だとしても今の行為は最適解だ。さて、魔物も回収したし、行くぞ。」
しかしそれはかなわなかった。ハジメのコートの裾をギュッと掴み、絶対に離しません! としがみつくウサミミ少女を心底ウザったそうに睨むハジメ。後ろの席に座るユエが、離せというように足先で小突いている。
「おい放せよ。」
「い、いやです! 今、離したら見捨てるつもりですよね!」
「当たり前だろう? なぜ、見ず知らずのウザウサギを助けなきゃならないんだ」
「そ、即答!? 何が当たり前ですか! あなたにも善意の心はありますでしょう! いたいけな美少女を見捨てて良心は痛まないんですか!」
「そんなもん奈落の底に置いてきたわ。つぅか自分で美少女言うなよ」
「な、なら助けてくれたら・・・・・・・・そ、その貴方のお願いを、な、何でも一つ聞きますよ?」
頬を染めて上目遣いで迫るウサミミ少女。あざとい、実にあざとい仕草だ。涙とか鼻水とかで汚れてなければ、さぞ魅力的だっただろう。実際に、近くで見れば汚れてはいるものの自分で美少女と言うだけあって
かなり整った容姿をしているようだ。白髪碧眼の美少女である。並みの男なら、例え汚れていても堕ちたかもしれない。
だが、目の前にいる男は普通ではなかった。
「いらねぇよ。ていうか汚い顔近づけるな、汚れるだろが」
どこまでも行く鬼畜道。
『はぁ・・・・・・・・。駄目だこりゃ・・・・・・・・。ん?この反応は・・・・・・・・なぁそこのウサミミ少女』
「は、はい?というかどこから声が?」
『あんたの目の前だ目の前。白い鎧があるだろうが。』
「えぇ!?この白い石像みたいなやつですか?」
『そうだ。まぁその話は置いておいて、あんた。ハウリアだろ?しかも、相当な厄介ネタに見舞われてる。』
「はっ!そうでした!どうか私の家族を助けてください!」
「いや助けねぇから。なにユーマも普通におっけ―みたいな雰囲気醸し出しちゃってんの?」
『だってお前、こいつは”ハウリア”だぞ?樹海の案内人に適してるだろ。それにここで恩を売っておけば無償で案内人が手に入る。向こうは助かる。winwinだろ?』
「はぁ・・・・・・・・仕方ねぇな。話だけでも聞こうじゃねぇか。」
こうしてうさ耳少女の頼みを聞くことになった一行。この先どうなることやら・・・・・・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。次回はハウリアの救出から始まります。そして、やっと我流拳法、四奏流を出すことができました。体のスペック関係ないわけではないけど鍛えればそれなりにっていう感じです。
・・・・・・・・まぁ実際のところルーン魔術で体にバフかけてただけなんですけどねwさて、話は変わって第二小でもアンケートを実施したいと思います。まぁ光輝君についてなんですが・・・・・・・・
作者の考えではいったん殺してからいろいろと利用されるor新しい光輝を作るかのどっちかで迷っています。なので今回は、死んで利用されるか、新しく生き返らせるかについてアンケートを実施したいと思います。
期限は第二章が終わるまで。奮ってご参加ください。あと、感想や意見などは引き続き受け付けておりますので、出来れば書いていただけると嬉しいです。ではまた次回お会いいたしましょう。さようなら!
光輝君の死んでからの処遇について
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死んでから死体がいろいろ利用される
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新たな光輝君として生き返らせる