『存在』と『虚無』の力は神をも屠る(更新停止、凍結中&新シリーズ作成中)。 作:狩村 花蓮
一つ ユエは突然真由美に勝負を挑んだ。
二つ 真由美は新たな力、オーバーロードに覚醒した。
そして三つ ユエは何かの精神支配で負の感情を増幅させられていた。
三人称side
刻印術式が見つかった後、ユーマはしばらく部屋で何かをしていた。それはハジメも同じだった。ハジメはシアのために槌状武装、ドリュッケンを作成。シアのとてつもない身体強化の力を最大限に引き出すために作られた武器である。
既にドリュッケンを受領したシアは、町の外に出てトレーニングを積んでいる最中だ。(なおこのトレーニングをさせるため、ユーマが冒険者として依頼を一件引き受けている)
ユーマの方も作業を終わらせた。作ったものは白銀の騎馬兵の持つ槍のような形をした身の丈ほどある巨大な武器だった。そう、それはザインやニヒトに限らず、多くの竜宮島ファフナーパイロットが使っていた武器、”ルガーランス”である。
ユーマが亡から受け取った技能【機鎧複製】の追加技能に、[+想像武器複製]という、頭の中に浮かべたものをもとに同化の力でそれを再現するというものである。はっきり言ってますますチートが加速していると思うのは私だけであろうか?(By作者)
もっとも同化の力がなければゴミ同然の技能なのでユーマ以外には使いこなせないが。そんなことをしているうちにすでに三日が経過していた。既にユエと真由美は目を覚ました。ユエはあの漆黒の鎧を着ていた時の記憶がなく、真由美は頭が痛いと愚痴をこぼしていた。
そんな中、ユーマはハジメに一つの提案をする。
「あの鎧をまたユエに使わせるだと!?」
ハジメは叫ぶ。当然だ、あまつさえユエの体を乗っ取り、真由美を殺そうとしたものをまた使わせようとしているのだから。
「あぁ。その方が戦力になると思うんだ」
「だがあれを使わせてまた暴走でもしたらどうするんだ!」
「それをなくすためにあの術式を改変する必要がある。それにはもう一度あの術式を起動するしかない。責任は私が負う、だからやらせてくれ!」
ユーマは土下座をする。その姿にはしっかりとした覚悟が垣間見えた。ハジメは少しの間黙る。考えているのだ。再びあの鎧を起動していいものなのかを。
「・・・・・・・・分かった。やってみてもいい。だがもし失敗したら、ユエのあの術式を壊してお前を殺す。これは絶対条件だ」
「うん。分かってるよ。万が一の場合はユエを止める。そしたら私の管理責任の問題だ。撃ち殺すなりすればいい」
「わかってるならそれでいい。それで、どうするんだ?あの鎧をどうやって起動する?」
「あの術式は一定の敵意を感知すると自動的に起動するというアクティブなものだ。今回はそれを利用する。ようはプレッシャーを思いっきりユエにぶつけて故意に起動しようって腹だ」
「確かにその方法が手っ取り早いな。んで、そのあとはどうするんだ?」
「私に考えがある。最もこの考えはある種の博打だがね」
(もし、もし本当に俺の考えが当たってるなら、行けるはずだ)
ユーマたちは町を出る。町から出てすぐには草原が広がっている。そこに、ユーマとユエが向かい合って立っている。
「ごめんねユエちゃん。こんなことに付き合わせて」
「ん。別にかまわない。ユーマたちには迷惑をかけた。それに、ハジメたちを守る力が手に入るんだったら、なんだってやる」
「そう言ってくれると助かるよ。じゃ、始めるよ」
「ん。いつでも来て」
ユーマは息を大きく吸い、魔眼を発動する。
(人式:恐慌の魔眼)
ユーマの両目に紋章が現れる。それと同時にあたりに強力なプレッシャーがまき散らされる。その威力はハジメの殺気をゆうに超える。
そんなものを当てられれば、誰でも危険人物だと感じるだろう。それは、魔法も変わらない。ユエの周りに黒い靄が発生した。魔法陣が起動したのである。
その魔法はユエの意識を奪い、別な心を作り出す。ユエとは全く違う別の誰かになり替わる。そうすることで、所有者に一切の抵抗をさせることなく”敵”を排除することができる。
魔法が刻まれたものに絶望を、敵には終焉を。そのような目的で作られたそれが、再び牙をむく。
「始まった!ハジメ、真由美さん、シアちゃん下がって!」
「分かった。頼むぞユーマ」
「必ずユエちゃんを連れ帰ってきてね」
「どうか二人ともご無事で」
「ありがとう。任せて!」
ユーマは再びユエの方を見る。
(この魔法を作った人物が誰なのかはわからない。でも、この魔法から何となく感じるんだ。憎しみを、かつての海神島のミールのような激しい憎しみを)
「今、私がその憎しみから解放する。これが私の、祝福だ!」
ユーマside
さて、大見栄切ったからには絶対に成功させなきゃね。
『其方よ』
(ん?どったのじっちゃん。これからちょいと仕事こなさなきゃなんだけど?)
『かの者を蝕むあの魂、どうやって御すつもりだ?』
(あ、やっぱり魂なんだ、あれに使われてるの。)
『どちらかと言えば思念体に近いものだ。人間でいう憎悪、憎しみの感情を増幅し、内包しているのだろう。そしてそれがある種の人格を形成している。まるで心のように』
(そこまで分かるんだ。まぁでもおおよそ予想通りかなー)
『最初から分かっていたという訳か?』
(うんまぁ、あくまで推測だったけどね。この世界の技術背景を考えると、強力な自己暗示とか催眠とかはまだ解明されてない。そしてそれがなければ魔法で再現することすらできやしない。それなのに当の本人には記憶がない、つまり催眠状態の様なものに陥っている。
そこまで考えたらもう答えは一つしかないよね。別の人格を用意すればいいんだよ。俺が真由美さんの体に入っていた時みたいにね。)
『なるほど。確かにそこまで条件が絞り込めているなら想像はできるか。それで、どうやってかの者を助けるのだ?』
(心があるなら話は簡単。その心を消してやればいい。そうすればユエの人格が前面に出てくるから制御することが可能になる。後は当人に魔法を改造してもらえばいい。人の命が使われているなら私もためらったけど、思念からできたものなら心置きなくやれる。)
『そこで其方の力の出番という訳か』
そう、同化の力。フェストゥムが使った力。心に侵食し相手を同化する。でも、これは賭けだ。もしユエの体ごと同化するのであればこの方法はできない、あとは魔法陣を破壊するしかない。
『我とて細かい未来を観測できるわけではない。ただ、今のところは成功するようだぞ。其方の検討を期待する』
(そう言ってくれてありがとう。さて、やりますか!)
私は前を向く。その目には今にも突撃せんとするユエの、いや魔法陣に組み込まれた憎しみの心が映っている。
(憎しみは確かにわかる。でも、憎しみは特定の人物にのみ向けることを許される。不特定多数には向けちゃいけないんだ。だから、止めてあげる。あなた達の憎しみを。)
右手を前に突き出す。その腕が金色に輝く。そして目の虹彩の色が金色に変化する。準備万端、お決まりのあのセリフを私は口にする。
(あ な た は そ こ に い ま す か ?)
右手の輝きが増す。それと同時にユエに張り付いていた鎧が苦しみはじめ、その体が翡翠色の結晶に包まれる。
憎しみの塊が、心のようなものが今同化されたんだ。
三人称side
ユエをおおっていた黒い鎧が翡翠色の結晶体に包まれた。それを見たハジメはあろうことか、ドンナーを取り出した。シアがそれを見て慌てて止める。
「ちょっとハジメさん!?何をしようとしてんですか!」
「今すぐあれを止めさせる!あの野郎、俺との約束を破りやがった!絶対に殺す!」
「そんなことユーマさんがするわけないじゃないですか!ユーマさんは絶対に約束を破ったりするはずがないじゃないですか!きっとあれも作戦の一つなんです!だから抑えて・・・・・・・・」
「どけ!邪魔をするな!」
「いいえどきません!私はユーマさんを信じてます!必ずユエさんが戻ってくるって信じてます!ハジメさんは、ユーマさんが信用できないんですか!?」
「できるはずがねぇだろ!真由美の中に生まれたぽっと出の別人格、そんなものをおいそれと信じられるほど甘くはねぇ!」
「じゃあ今までの行動は何ですか!あのお互いに信用していたようなあの行動は嘘だったと!?」
「そうだ!真由美が戻ってくるかどうか確かめる必要があったからな、利用させてもらった!だがな、真由美が戻ってきた。そうすればあいつは用済みだ!心配だったのさ、やつが真由美の体に戻ってまた乗っ取るかもしれないってな。
でもその心配はなくなった!あいつはそのまま残っている。これで邪魔なアイツを消すことができる!確かに奴の力は魅力的だがあいつは俺の元クラスメイトより信用できねぇ!」
ハジメは最初っからユーマを信用などしていなかったのだ。ただふりをしていただけで、利用し続け、用済みになれば切り捨てる駒。それがハジメがユーマに抱いていたものだった。
「そんな・・・・・・・・そんな風に思ってるなんてっ!」
シアは激昂した。自分が見たあの光景は嘘だったのだと暗につきつけられて、頭に血が上っていたのだ。シアはドリュッケンを取り出した。ハジメを止めるために。
真由美はただ手を前で合わせ目をつぶっている。まるでシスターが祈りをささげているように。その時、うめき声のようなものが聞こえた。
ハジメとシアは驚いて上を見上げる。声を上げたのはユエ・・・・・・・・、ではなくユーマだった。見るとユーマの体もほとんどが翡翠色の結晶に覆われている。
頭しか見えない状態であったのだ。対してユエの方は、翡翠色の結晶は消えており、その鎧の見た目が変化していた。白をメインカラーに赤が混ざったような見た目の鎧に変化していたのだ。
(見た目はまんまドッ〇ブラス〇イザー by作者)
「ん・・・・・・・・んぅ?」
ユエが目を覚ました。いまいち状況が把握できていないだろうか?辺り一帯を見回している。
「ユエッ!」
「ハジメッ!」
その眼下でハジメがユエのことを呼ぶ。ユエはハジメの方を向き鎧を着たままハジメの方へ降りていく。そしてそのまま抱き合った。
「ユエ、いったい何があったんだ?」
「声が、した。私の姿をした何かが、私の体をよこせって。でも、そのあとにユーマの声がした。『君はまだここにいろ。そっちに行っちゃだめだ』って」
「何っ!?」
「ユーマ、『そのままそれを否定しろ』って言った。『まだここにいるって叫べばいい』って。だから、まだ私はここにいるって叫んだ。そしたら目が覚めた」
「じゃあ、アイツは本当にユエを助けるつもりで・・・・・・・・じゃあなにか?俺は恩人を手にかけようとしたのか?」
ハジメはようやく、自身が何をしようとしていたのかを知った。ユーマはちゃんとハジメの約束を守っていたのだ。そしてきっちりユエを取り戻し新たな戦力まで与えてくれた。
「これで分かりましたよねハジメさん。ユーマさんは約束を守るひとだって。だから、信じてあげましょうよ。」
「シア・・・・・・・・、あぁ。お前の言うとおりだったよ。あいつを信じれてやれなかった。これからはもう少し信用することにする。」
「全く。素直じゃないんですから・・・・・・・・」
ハジメは確かに認識を改めた。シアはそう確信した。そんな中、ユエが口を開く。
「ん?真由美。さっきから動いてないけどどうしたの?」
「確かに。ユーマさんのことなら真っ先に止めそうな真由美さんですけど・・・・・・・・」
その時真由美の口が開いた。
「ハジメっ!真由美を連れて皆と逃げろ!」
それは、真由美の声で喋ったが真由美が言った言葉ではない。ユーマのものだった。
「ぐ、うっ!まさか、ここまできついとはね・・・・・・・・ぐぅぅっ!」
ユエが解放された直後、ユーマは突然襲い掛かってきた”何か”の痛みと戦っていた。その時の彼女の体は翡翠色の結晶に覆われていた。
『大丈夫か其方よ!?』
「ゼ、ゼウスのじっちゃん・・・・・・・・、珍しいじゃん。心配してくれるなんて」
『そのようなことを言ってる場合ではなかろう!どういうことだ・・・・・・・・、我が与えた力が所有者に牙をむくなぞあり得んはずだ・・・・・・・・』
「元々、こういう力だけどね。こいつは・・・・・・・・」
『・・・・・・・・どうするつもりだ?』
「なに・・・・・・・・、簡単な話だよ。これを・・・・・・・・、抑え込む!」
『無茶な!そのようなことをすれば其方の体がどうなるか!』
「問題ない。この程度、本来の持ち主だってやってのけたこと。私にできないなんてことはない!」
(真由美さん、体を借りるぞ)
(大丈夫なのですか!?)
(君たちの方が心配だ。私は大丈夫だから)
(・・・・・・・・分かりました。)
真由美の体とユーマの体が”同期”した。ユーマはそのまま口を動かす。
「ハジメッ!真由美を連れて皆と逃げろ!」
視線を向ければ驚いたようにハジメたちは固まっている。
「もたもたするな!いいから逃げろぉ!」
ハジメはそれを聞いて、ユエを抱いたまま走る。シアは真由美を担いで走っていく。
(行ってくれたみたいだね。さぁ、始めるぞ!)
ユーマはもはや体の部位がわからないくらいの結晶に包まれた両腕を両側に突き出した。
「私は、あなた。あなたは、私だ。だから、憎悪に身をゆだねるんじゃなくて、自分のしたいこと、願ってみてよ。選んで、みてよ」
ユーマはそう言った。するとユーマの体を包んでいた翡翠色の結晶体が全て砕け散り、辺りには緑色が混ざったようなワームスフィアが広がった。
それと同時にあたりに原因不明の突風が吹き荒れ、草木が大きく揺れ始める。避難していたハジメたちはその光景をまじまじと見つめていた。
「一体、どうなったんだ?」
「分かりません。私にも何が起きたのかさっぱりです」
「でも、ユーマは帰ってくる」
「そうです。彼が帰ってこないわけありません!」
「真由美・・・・・・・・」
真由美ははっきりと言い切る。ハジメたちも、ユーマなら大丈夫と謎の確信があった。そしてそれは確証となる。ワームスフィアが晴れるとそこには、目を瞑ったユーマが両手を前に突き出し何かを掬い上げるような格好のまま立っていた。
「ユーマ君!」
真由美はいの一番にユーマの元へ駆け出す。そのままの勢いでユーマに飛びついた。
「おっとっと。どうしたんですか?真由美さん」
「私、心配だったんですよ?ユーマ君が戻ってこないんじゃないかって。でも、信じてました。必ず帰ってくるって」
(今、”俺”のこと君付けで呼んだ?)「それはそれはご迷惑をおかけしましたね。でも大丈夫ですよ。”俺”はまだここにいます」
「はい!・・・・・・・・、あれ?ユーマ君。今、自分のこと俺って言いましたか?」
「えっ、俺そんなこと言いましたっけ?・・・・・・・・、あ。ほんとだ」
「でも、良かったのかもしれません。あなたは本来・・・・・・・・」
「おーい、ユーマ!大丈夫かー!」
真由美は何かを言いかけた。が、その時ハジメたちがこっちに走ってきた。
「ユーマさん。おかえりなさいですぅ!」
「ん。私も無事に帰れた。ありがとう」
「それは良かった。頑張った甲斐があったよ。シアさんも、ただいま」
2人が声をかける中、ハジメはユーマの前に出て、頭を下げた。
「どうしたのハジメ?」
「俺はお前に謝らなくちゃいけない。俺はお前を信用できてなかった。あまつさえを前を道具と切り捨て、殺そうとした。お前は分からなかったかもしれないが、謝らせてほしい。本当にすまなかった!」
ハジメは深く頭を下げた。そしてハジメはユーマに何を言われてもいいように覚悟を決めた。罵倒されてもしょうがないことを未遂とはいえ自分はしたのだから。しかし・・・・・・・・
「なんだ、そんなことか。別にいいよ。気にしてないし。というか、気づいてたし」
ユーマから返ってきた返事は、馬頭でも恨み言でもなく、只の許しの言葉だった。
「なん・・・・・・・・、で?」
「いや、当たり前だろ?こんなぽっと出の得体のしれないものに信用を持てなんて無理な話だろ。というか、”俺”も無理だ。それにハジメは用心深くて、身内を大事にする人種だ。そう思ってても不思議じゃない」
「それでも!」
「だから、もういいって。大切な人を守りたい気持ちの裏返しだろ?むしろそれは今後ずっと大切にしなくちゃいけないものだと思う。目で見たものすべてが真実じゃないのが世の常だ、気にする必要はない」
「ユーマ・・・・・・・・、お前ってやつは全く。優しいな」
「優しさは唯一の取り柄だからな。さて、ユエちゃんも無事に戻ってきたことだし、俺たちも行こう。ライセンに」
「ん?ユーマ、言い方変わった?」
「一人称のことか?いつの間にか変わってた。でも、なんかしっくりくるし、戻さないことにするよ」
「確かにな。それにお前の見た目がようやく真由美と区別つくようになったしな。白髪の方がユーマ、黒髪の方が真由美だ」
「成程・・・・・・・・、覚えたですぅ!」
「そりゃどうも。じゃ、各自準備済ませたら行きましょうかね。トイレとかはすませときなよー!」
こうしてユーマたちは無事に仲を取り戻し、ライセン大峡谷へと向かうのだった。
そんな言葉がピッタリな光景がライセン大峡谷の谷底に広がっていた。ある魔物はひしゃげた頭部を地面にめり込ませ、またある魔物は頭部を粉砕されて横たわり、更には全身を炭化させた魔物など、死に方は様々だが一様に一撃で絶命しているようだ。
当然、この世の地獄、処刑場と人々に恐れられるこの場所で、こんなことが出来るのは・・・・・・・・
「一撃必殺ですぅ!」
ズガンッ!!
「・・・・・・・・邪魔」
ゴバッ!!ズシャッ!!
「うぜぇ」
ドパンッ!!
「どいてください!」
ズガンッ!!
「帰りな、お前たちのいるべき
ギュワァァァ!!!
ハジメ、ユエ、シア、真由美、ユーマの五人である。ハジメ達はブルックの町を出た後(ユエシアのファンらしき人々の見送り付き)、魔力駆動二輪を走らせて、かつて通った【ライセン大峡谷】の入口にたどり着いた。
そして現在は、そこから更に進み、野営もしつつ、【オルクス大迷宮】の転移陣が隠されている洞窟も通り過ぎて、更に二日ほど進んだあたりだ。
【ライセン大峡谷】では、相変わらず懲りもしない魔物達がこぞって襲ってくる。
シアの大槌が、その絶大な膂力をもって振るわれ文字通り一撃必殺となって魔物を叩き潰す。攻撃を受けた魔物は自身の耐久力を遥かに超えた衝撃に為す術なく潰され絶命する。餅つきウサギも真っ青な破壊力である。
ユエは、空の上から魔物を魔法で屠っていく。ユエ自身の魔力が膨大であることもあるが、魔晶石シリーズ(ユーマがユエの鎧を使えるようにする作戦が失敗した時にハジメが渡すつもりだった指輪の形をした外付け魔力タンク)
に蓄えられた魔力が莫大であることに加え、ユーマが解放し、その術式を同化し改変したことで、性能が大幅アップしたあの白い鎧:モナートアーマーによる増幅効果で威力が跳ね上がり
尚且つ空を飛びながら撃てるというアドバンテージによる攻撃はまるで弾切れのない爆撃だ。
攻撃の届かない高硬度から超高温の炎がノータイムで発動し振ってくるので魔物達は一体の例外もなく炭化して絶命する。(なお漆黒の鎧の時に使っていた鎌状の武器はハジメが鉱石で同様の武器を作っている)
ハジメは、言うまでもない。魔力駆動二輪を走らせながらドンナーで頭部を狙い撃ちにしていく。魔力駆動二輪を走らせながら〝纏雷〟をも発動させ続けるのは相当魔力を消費する行為なのだが、やはり魔力切れを起こす様子はない。
真由美は元々魔力をあまり消費していない。ユーマが作ったアーマー、アーバレストの持つ火器、ボクサーは、本来の銃同様に火薬で撃ちだす方式なので魔力を使わない。超越する者による高速機動もそれを助長している。
真由美の”超越する者”による高速機動から繰り出される必中の弾丸により魔物は攻撃する間もなくその命を散らしている。
ユーマは、もう語るまい。彼女がルガーランスをひとたび上にかかげれば、あたり一面を翡翠色の結晶が覆い、魔物を同化する。魔物は攻撃はおろか一歩も動くことができずに虚無へと還っていく。
その姿はまるで某白いパイロットの寿命を治締めるやべーやつのようであったとここに記しておく。
谷底に跋扈する地獄の猛獣達が完全に雑魚扱いだった。大迷宮を示す何かがないかを探索しながら片手間で皆殺しにして行く。道中には魔物の死体が溢れかえっていた。
「はぁ~、ライセンの何処かにあるってだけじゃあ、やっぱ大雑把過ぎるよなぁ」
洞窟などがあれば調べようと、注意深く観察はしているのだが、それらしき場所は一向に見つからない。ついつい愚痴をこぼしてしまうハジメ。
「まぁ、大火山に行くついでなんですし、見つかれば儲けものくらいでいいじゃないですか。大火山の迷宮を攻略すれば手がかりも見つかるかもしれませんし」
「ごめんなさい。大体の位置はなんとなくわかりますけど、詳しい位置まではちょっと・・・・・・・・」
「真由美さんは場所がなんとなくわかるんでしたっけ?」
「えぇ、魔力がなんとなく違うので・・・・・・・・」
真由美は元来感覚が鋭敏だった。特に大気など、肌で感じるものへの感覚がとても鋭いのだ。それがあってか、魔力の微妙な違いを感じることができるのだ。
「でも、あの解放者たちが魔力の隠ぺいをしてないとは思えないんだけどな」
「私が感じているのは、人が発する微量の魔力の残滓なんです。本当に微量なので、どんなに感覚が優れていても気づくのは不可能ですし、どんなに気を付けようとできてしまうものなんです」
「それを感じ取れるとか、真由美さんも大概チートだよね」
「あら?ユーマ君ほどではないですよ」
「・・・・・・・・そのユーマ君ってのやめません?一応俺女なんですけど・・・・・・・・」
「ユーマ君が俺って言うのがいけないんですよー。俺って言うのやめたら考えてあげます」
「ありゃりゃ、クォレハダメミタイデスネ」
「まぁ確かに、ユーマさんも大概やばいですよね。なんですかその大きい槍。ちょっと振り上げるだけで敵が結晶に変わって砕け散るとかどうかしてると思うんですけど」
「いや、これはあくまでおれの能力であって、この槍の性能じゃないよ。ただ敵に突き刺すか、ハジメのドンナーみたいに刀身開いてプラズマ弾撃つかぐらいしかできない」
「いやいやいや、十分強いじゃないですか!」
「まぁでもそんなこと言ったらここにいるメンバー大概やばい奴らだと思うけどね。一撃必殺、百発百中のガンマンに度を越えた動体視力と反射速度を一時的に発揮できて、思い浮かべたことが現実に起こるとかいうブラックボックスの塊のアーマーを使う秀才に
膨大な魔力を持ってて空飛べる鎧持った魔法の天才に拳の一撃だけで周囲の地面を数m単位で陥没させられる獣人とかもうね。勝てる奴いるのかと」
「某鮒の能力使える人外も追加な」
「おいハジメ!確かにその通りだけど人外っておかしくない!?」
「あのね、今だから言うが、ザインとニヒトの能力が使えて多分レゾンの能力が使えてSDPも使えると思われるお前が人外じゃないわけがない。まず人間は腕飛ばされても復元しねぇよ」
という他愛もない話をしつつ、内心魔物の多さに辟易しつつも、更に走り続けること三日。
その日も収穫なく日が暮れて、谷底から見上げる空に上弦の月が美しく輝く頃、ハジメ達はその日の野営の準備をしていた。野営テントを取り出し、夕食の準備をする。
町で揃えた食材と調味料と共に、調理器具も取り出す。この野営テントと調理器具、実は全てハジメ謹製のアーティファクトだったりする。
野営テントは、生成魔法により創り出した〝暖房石〟と〝冷房石〟が取り付けられており、常に快適な温度を保ってくれる。
また、冷房石を利用して〝冷蔵庫〟や〝冷凍庫〟も完備されている。さらに、金属製の骨組みには〝気配遮断〟が付加された〝気断石〟を組み込んであるので敵に見つかりにくい。
調理器具には、流し込む魔力量に比例して熱量を調整できる火要らずのフライパンや鍋、魔力を流し込むことで〝風爪〟が付与された切れ味鋭い包丁などがある。
スチームクリーナーモドキなんかもある。どれも旅の食事を豊かにしてくれるハジメの愛し子達だ。しかも、魔力の直接操作が出来ないと扱えないという、ある意味防犯性もある。
調理器具型アーティファクトや冷暖房完備式野営テントを作った時のハジメの言葉だ。まさに無駄に洗練された無駄のない無駄な技術力である。
ちなみに、その日の夕食はクルルー鳥のカレーである。クルルー鳥とは、空飛ぶ鶏のことだ。肉の質や味はまんま鶏である。この世界でもポピュラーな鳥肉だ。
一口サイズに切られ、先に小麦粉をまぶしてソテーしたものを各種野菜と一緒にカレールー(ユーマの自作したもどき)で煮込んだ料理だ。
肉には少し辛いスパイスの風味があり、匂いもカレーそのものである。口に入れた瞬間、それらの風味が口いっぱいに広がる。
肉はホロホロと口の中で崩れていき、ルーがしっかり染み込んだジャガイモ(モドキ)はホクホクで、ニンジン(モドキ)やタマネギ(モドキ)はルーの味をしっかりさせながら本来の味を舌に伝える。
ユエが目覚めてからユエのファンを作ったというあの商店街でたまたま見つけたお米(もどき)もふっくらたけていて実に美味しい。(これらは全てユーマが作り、他のメンバーからの反応も良かった)
大満足の夕食を終えて、その余韻に浸りながら、いつも通り食後の雑談をするハジメ達。テントの中にいれば、それなりに気断石が活躍し魔物が寄ってこないので比較的ゆっくりできる。
たまに寄ってくる魔物は、テントに取り付けられた窓からハジメが手だけを突き出し発砲するか、ユーマが手を掲げて同化するかして対処する。
その日も就寝時間となった。最初の見張りはユーマである。ユーマはユエの漆黒の鎧に入っていた思念体を同化してからというもの、睡眠や食事をあまりしなくなった。
人としてはどうかと思うが見張り番としてはこれほどの逸材はいない。いつものように外に出て敵を見張ろうとすると、シアがテントから出て来た。
どうやらお花を摘みに行ったようだ。そしてしばらくするとシアの声が聞こえた。
「ユーマさん!皆さん!大変ですぅ! こっちに来てくださぁ~い!」
と、シアが、魔物を呼び寄せる可能性も忘れたかのように大声を上げた。何事かと、ハジメとユエは顔を見合わせ同時にテントを飛び出す。
シアの声がした方へ行くと、そこには、巨大な一枚岩が谷の壁面にもたれ掛かるように倒れおり、壁面と一枚岩との間に隙間が空いている場所があった。シアは、その隙間の前で、ブンブンと腕を振っている。その表情は、信じられないものを見た! というように興奮に彩られていた。
「こっち、こっちですぅ! 見つけたんですよぉ!」
その見た目はまさしく迷宮への入り口だった。
という訳でユエちゃん超強化&ユーマの見た目変化+一人称変化+人外化の回でした。えっ?見た目変化は技能であっただろ、いい加減にしろって?こまけぇこたぁいいんだよ。ぁちなみに姿変化ですが、本編ではまだ語られていない(駄作者が書き忘れてただけ)ので次回かきますけど
ユーマの技能じゃなくて真由美さんの技能になってます。真由美さんの技能使ってた時に発現したんだし当り前だよなぁ。本文中だとユーマはまだ気づいてない感じになってますけど、次回気づきます(おそらく多分メイビー)それとそれと、某鮒ことファフナーのアニメに関してですが
ハジメの世界でもやっており、ハジメはこのアニメを見ています。だからユーマの技能の元ネタが鮒だって知ってんだね(ガバガバ推理)ザインニヒトのアーマーを着て戦闘しないのは単に敵がアーマー着るほどでもない程度に弱いためです。設定で追加しておきますが
アーマーを着ていないときの同化能力の出力は、おおよそ3分の一程度です。まぁ同化って力弱めても十分チートだし威力劣っているように見えるわけがないよね(支離滅裂)という訳で次回、久々にアーマーが登場するかも。ではさようならー!
光輝君の死んでからの処遇について
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死んでから死体がいろいろ利用される
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新たな光輝君として生き返らせる