『存在』と『虚無』の力は神をも屠る(更新停止、凍結中&新シリーズ作成中)。   作:狩村 花蓮

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『存在』と『虚無』の力は神をも屠る 前回までの3つの出来事。一つ、真由美は亡を生み出し、仮面ライダーに関することはすべて一任した。2つ、恵理と竜太郎が仮面ライダーになった。3つ、ハジメと真由美は奈落へと落ちてしまった。


第七話 奈落へと落ちたふたり

三人称side

 

「うっそ・・・・・・・だろ?」

 

龍太郎が信じられないといわんばかりの顔をして言った。

 

「真由美さんとハジメ君が・・・・・・・・落ちた?」

 

恵理が絶望したような声で言った。そう、真由美とハジメは奈落へと落ちてしまったのだ。クラスのみんなを守った立役者の二人が。

 

清水、恵理、龍太郎の眼には、穴に落ちそうになる自分たちを床がある方に押し出して、笑顔を向けたまま落ちていく生々しい光景が焼き付いている。

 

あの時、声は聞こえなかったが真由美は確かに言ったのだ。”生きて”と。

 

「くぅぅっっ・・・・・・・・くっそがぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

清水はありったけの声で叫んだ。彼の頭の中では様々な光景が駆け巡る。そして、ここでああすれば失敗しなかったのでは?という疑問が、彼の頭の中を埋め尽くす。

 

そしてそれは彼だけではなかった。香織もまた、ハジメと真由美が落ちるその光景を、まるでスローモーションのように緩やかになった時間の中で、ただ見ていることしかできない香織は自分に絶望していた。

 

香織の頭の中には、昨夜の光景が繰り返し流れていた。

 

月明かりの射す部屋の中で、ハジメの入れたお世辞にも美味しいとは言えない紅茶モドキを飲みながら二人きりで話をした。あんなにじっくり話したのは初めてだった。

 

夢見が悪く不安に駆られて、いきなり訪ねた香織に随分と驚いていたハジメ。それでも真剣に話を聞いてくれて、気がつけば不安は消え去り思い出話に花を咲かせていた。

 

浮かれた気分で部屋に戻ったあと、今更のように自分が随分と大胆な格好をしていたことに気がつき、羞恥に身悶えると同時に、特に反応していなかったハジメを思い出して自分には魅力がないのかと落ち込んだりした。

 

一人百面相する香織に、同室の雫が呆れた表情をしていたのも黒歴史だろう。そして、あの晩、一番重要なことは、香織が約束をしたことだ。

 

〝ハジメを守る〟という約束。ハジメが香織の不安を和らげるために提案してくれた香織のための約束だ。奈落の底へ消えたハジメを見つめながら、その時の記憶が何度も何度も脳裏を巡る。

 

そして、最初こそ嫉妬を向けていたが、何度か話すたびにそんな気持ちはなく、不思議と引き込まれるようなそんな感覚がする、学校随一のお人よしである、真由美。普段こそハジメと同じような感じではあるが

 

頼まれたことはやるし話しかければ答えてくれる、ハジメと似たような感じの彼女。ハジメと話した後意を決して彼女にも伝えに行ったあの光景が、死なないでと約束したあの記憶が、今はただ、絶望という形で浮かび上がる。

 

どこか遠くで聞こえていた悲鳴が、実は自分のものだと気がついた香織は、急速に戻ってきた正常な感覚に顔を顰めた。

 

「離して! 南雲くんと真由美の所に行かないと! 約束したのに! 私がぁ、私が守るって! 離してぇ!」

 

飛び出そうとする香織を雫と光輝が必死に羽交い締めにする。香織は、細い体のどこにそんな力があるのかと疑問に思うほど尋常ではない力で引き剥がそうとする。

 

このままでは香織の体の方が壊れるかもしれない。しかし、だからといって、断じて離すわけにはいかない。今の香織を離せば、そのまま崖を飛び降りるだろう。

 

それくらい、普段の穏やかさが見る影もないほど必死の形相だった。いや、悲痛というべきかもしれない。

 

「香織っ、ダメよ! 香織!」

 

雫は香織の気持ちが分かっているからこそ、かけるべき言葉が見つからない。ただ必死に名前を呼ぶことしかできない。

 

「香織! 君まで死ぬ気か! 南雲も真城も、もう無理だ! 落ち着くんだ! このままじゃ、体が壊れてしまう!」

 

それは、光輝なりに精一杯、香織を気遣った言葉。しかし、今この場で錯乱する香織には言うべきでない言葉だった。

 

「無理って何!? 2人は死んでない! 行かないと、きっと助けを求めてる!」

 

誰がどう考えても南雲ハジメと真城真由美は助からない。奈落の底と思しき崖に落ちていったのだから。

 

しかし、その現実を受け止められる心の余裕は、今の香織にはない。言ってしまえば反発して、更に無理を重ねるだけだ。

 

龍太郎や周りの生徒もどうすればいいか分からず、オロオロとするばかり。そんな時、香織に近づいてその顔を叩く男の姿があった。

 

そう、それは真由美とハジメの友人であった、清水幸利その人だった。その目に涙を浮かべながら、立っていた。その光景にクラスメイトは驚く。

 

「清水!お前、香織になんてことを!」

 

光輝は空気も読まずに清水を糾弾する。

 

「うるせぇぞ馬鹿光輝!てめぇは黙ってろ!」

 

清水は、普段の清水らしからぬ言動で叫んだ。その威圧するような叫びに光輝はひるむ。清水は香織の両肩をつかみ、持ち上げ、顔を近づける。

 

「なぁ、香織さん。僕だって・・・・・・・・”俺”だってなぁ、信じたくねぇんだよ!あいつが!あいつらが!こんなおれの友達になってくれたハジメと真由美が!こんなとこで死んじまうなんてなぁ!信じたくも・・・・・・・・ねぇんだよ!」

 

香織はその言葉を聞いて清水の方へ目線を向ける。彼の顔は涙と鼻水でもうぐしゃぐしゃだった。

 

「でも、俺たちが今ここでどんなに叫んでもアイツらを助ける方法はねぇ!俺たちに出来んのは、ここから無事に脱出して、アイツらの無事を祈ることしかねぇだろぉが!あいつらが作ってくれたチャンスをここで無駄にする気かあんたは!」

「しみず・・・・・・・・くん。」

「守れなかった、アイツらを守れなかった俺たちは!もう立ち止まることなんて出来ねぇんだよ!だから、ここで泣き叫ぶんじゃなくて、前に進もうとしろよ!それでもハジメを好きに・・・・・・・・真由美に嫉妬するほどの恋心を持った女なのよかぉ!あんたはっ!」

 

その言葉を聞いて香織はハッとする。清水の言ってることは支離滅裂だが、彼はこう言いたかったのだ。”後悔するぐらいなら、信じて先に進め”と。今なら清水の言っていることがわかる。ハジメを信じているなら、香織は前に進むべきなのだと。

 

そして、そのことを自覚した彼女はそれで糸が切れたのか、気を失う。清水は両肩をつかんでいた腕を放し、雫に香織を預け、集団の中に戻っていく。”変身しながら”

 

《ショットライズ!・・・・・・・・シューティングウルフ!The elevation increases as the bullet is fired.》

 

彼はそのまま列へと行き、そこで腰を抜かしながら何か独り言をつぶやいている檜山の頭をつかんだ。そのまま彼は檜山を持ち上げる。

 

「いててててててて!?何するんだよ清水っ!」

「うるせぇぞ三下ぁ!もうテメェのタネは割れてんだよ。テメェだろ?あの緻密に操作されて床を砕いた炎弾を撃ったくそ野郎ってのはぁ!」

 

そのまま、清水は檜山の腹を蹴って近くの壁に叩きつける。

 

「おい清水!香織だけじゃなくて檜山にまで手をかけるのか!?」

 

また光輝がずれた発言をする。でもまぁ今回の発言に正当性がないかと言われればそうでもない。他のクラスメイトもそうだ。誰も”あの二人を手にかけた犯人が同じクラスメイトだった”とは想像できなかったのだ。

 

しかしそこに一石を投じる人物がいた。

 

「そうだな。俺も見てたぜ。あいつが風属性魔法じゃなくて火属性魔法を使ってたとこはな。」

「僕も見てたよ。いやはや、滑稽だったね。欲に目がくらんだかい?」

 

龍太郎と恵理だった。

 

「龍太郎、それに恵理。二人まで何を言い出すんだ!」

「光輝、すまねぇな。少しうるせぇから黙っててくれるか?俺はいま無性にはらわたが煮えくり返ってるんだ。」

「僕も同じ意見だね。僕の敬愛する真由美に手を出したんだ。その所業は万死に値する。」

 

2人もベルトを装着し、変身する。

 

「なぁ檜山。お前に残された道は二つに一つだ。文字通りな。」

「なななな何をするるるるる気だお前えぇぇぇ!」

「ここでの野垂れ死ぬか、俺たちにここで肉塊に変えられるかだ。」

 

もう清水には、我慢できるほどの理性は残っていなかった。某一方なんちゃらさんの口調のようになってしまうほど、どうしようもなく檜山に対してブちぎれていたのだ。

 

檜山はその怒気に縮こまり、ろれつが回らなくなっていた。それは他のクラスメイトもそうだ。腰を抜かすものもいれば、目をそらすものもいる。

 

檜山はその殺気に当てられて口を開けず、ガタガタと震えていた。

 

「答えねぇか。・・・・・・・・はぁ、モォいい。テメェさっさと死ねよ。おい龍太郎、これ使え。」

 

そう言って清水はアタッシュショットガンを龍太郎に投げ渡した。

 

「サンキュー清水。お前いい奴だな。」

「ここで言うか?まぁ俺もお前が嫌な奴でないことを知れてよかったって思ってるけどな。」

「ちょっと二人とも、ここは友情を深め合うところじゃないでしょう?」

「おぉッとそうだった。このクズをどうにかしねぇとな。」

「私怨でクラスメイトを殺す奴は、もういらない。だったら死んだほうがいい。」

 

そう言って清水と恵理はベルトからショットライザーを取り外し、龍太郎はアタッシュショットガンを展開した。

 

《バレット!》

《ダッシュ!》

《リボルバー!》

 

清水と恵理はショットライザーを檜山に向け、龍太郎はガトリングヘッジプログライズキーをアタッシュショットガンのスロットに差し込む。

 

《Progrizekey confirmed.Ready to utillize》

 

龍太郎は銃身を折りたたみ、再度展開する。

 

《チャージライズ!フルチャージ!》

 

「あばよ三下ぁ(檜山)。せいぜい自分の行いを悔いながら死ね!」

 

清水はそういい、ショットライザーの引き金を引いた。恵理と龍太郎もそれに合わせて引き金を引く。

 

《バレットシューティング》

《ダッシュラッシング》

《ブラスト!》

《ガトリングカバンバスター!》

 

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

それが檜山の断末魔だった。三人が放ったそれぞれのエネルギー弾はプログライズキーに記録された動物の形を取り、それぞれのやり方で檜山の体を破壊していった。

 

そしてそれは大爆発を起こし、檜山は跡形もなく吹き飛んだのである。後に残ったのは檜山が所持していたであろうステ―タスプレートのかけらだけだった。彼の存在を示すものは、跡形もなく消えたのだ。

 

跡形もなく吹き飛んだ檜山を見て実感がわかないのか他のクラスメイトは唖然としている。すると、光輝がまたもや近づいてきた。

 

「おい清水!何故だ!何故檜山を殺す必要があった!お前は自分が何をしたのかわかってるのか!?」

「まだわかんねぇのかよ?俺は、アイツを、殺意を持って殺した。それだけだ。」

「殺しは立派な犯罪だぞ!ましてやクラスメイトを手にかけるなんて、お前はどうかしてるぞ!」

「あいつは二人も手にかけてんだぞ?お前、それを分かって言ってんだろうな?檜山のことは棚に上げてやれ人殺しだのやれ犯罪者だのほざいてんじゃねぇぞ、この勘違いの無責任野郎。」

「お前な!」

「ほら、真由美さん・・・・・・・・いや、真由美も言ってただろう?人殺しをする覚悟はあるか?ってな。これがそうなのさ。俺はあいつを殺す覚悟をした。もちろんそこにいる二人もだ。文句あっか?」

「人を殺すことに問題があるといってるんだ!なぜおまえは平然と人を殺せるんだ!?」

「”戦争だから”だよ、馬鹿野郎。俺は死なずに地球に戻りてぇからな。後ろから刺してくるかもしれねぇ奴は例えクラスメイトだろうが殺す。そういうもんなんだよ戦争ってやつは。」

「訳が分からない!俺たちは戦争をしているわけじゃないんだ!俺たちがしてるのはただの人助けだ!」

「いいや違うね。俺たちは戦争をしてるんだよ。テメェが無責任なこと言ってクラスメイト全員を巻き込んだせいでこうなった!この世界について書いてある本にはこう書いてあったよ。魔人族って言うのは人の道からから外れた異端児だってな。

その本質は人間と変わらねぇ。つまりだ、俺たちは人間相手に戦ってるんだよ。これは立派な戦争行為だ。くそったれで、血で血を洗う戦争なんだよ!分かってるのか!」

「それは違う!俺は魔人族を打倒し、人類を守る!」

「はぁ・・・・・・・・もぉいいわ。こいつに何話しても聞きそうにねぇしな。俺は帰る。メルド団長殿、さっさと帰ろうぜ。」

「あ、あぁ。お前たち、撤収するぞ。」

 

メルド団長は部下に指示しながら、クラスメイト達を撤収させていた。幸い、真由美が残したヒューマギア”亡”が道を切り開いていたおかげで誰もケガすることなく迷宮から脱出できた。

 

しかし、クラスメイト達の心に、大きな影を落とす結果となったのは誰の目を見ても明らかだろう。

______________________

 

「うー・・・・・・・・うーん?ここ・・・・・・・・どこ?」

 

真由美は真っ暗闇の中、目を覚ました。近くから水の音が聞こえることから、川の近くにいるのだろう。

 

「あれ?私一体何でここに・・・・?」

 

周囲は薄暗いが、かろうじて見えるようになってきた。目が慣れて来たのだろう。

 

「弓は・・・・・・・・駄目か。完全に壊れてる。同化しても直せないだろうなぁ。予備のナイフもどっか行っちゃってるっぽいし・・・・・・・・はぁ、しばらく素手か・・・・・・・・」

 

彼女の得物である弓型のアーティファクトは、半ばから折れており、修復は不可能だった。予備のナイフも持ってきてはいたがポーチごとどこかへ行ってしまったらしい。

 

「多分ここは奈落。檜山が落としてくるのも本編通り・・・・・・・・亡は大丈夫だろうか?まぁ色々する混んでおいたし問題はないとして・・・・・・・・そういやハジメはどこいった?」

 

周囲を見回すが、人影はおろか、生物の痕跡一つ見えない。すると突然、耳をつんざくような音が聞こえた。銃声である。

 

「今の銃声・・・・・・・・まさかハジメ?・・・・・・・・!?」

 

再び銃声が聞こえた。今度はマズルフラッシュ*1がしっかりと見えた。

 

どうやら銃を使って何かと戦っているようだった。真由美は急いで音が鳴った方へと向かう。途中、地面が整備されていないのもあって何度も転びかけたが構わずに走り続けた。

 

ウサギのような魔物に襲われもしたが、同化ケーブルを突き刺して同化することで排除。そしてしばらく進んでいくとそこには、髪が白くなり、片腕がなくなっている少年がいた。

 

その前には、大きなクマのような魔物が倒れていた。全身から煙を出しながら。死因は感電死。よほどの大電圧を受けたのだろう。そしてそこに立っている少年こそまぎれもなく・・・・・・・・

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・っ、そこにいるのは、ハジメ?」

「あん?・・・・・・・・お前真由美か?」

 

南雲ハジメその人だった。

*1
銃を撃った時に、発射火薬が銃口付近で燃焼することにより発生する閃光




という訳でここまで読んでいただき誠にありがとうございます。檜山はここで抹殺することにしました。まぁ性格クズは生かしておく必要ないよね(ニッコリ)清水の口調は某一方なんちゃらさんのを参考にしてみました。まぁ、多分大体の男子って口悪くなるとああいう言い使いすると思うんだ(偏見)

ってなわけで短いですが今回はここまで、次回はヒドラ戦前まで行けたらいいな。感想書いてくれると嬉しいです。ではまた次回お会いいたしましょう。さよなら

光輝君はどうするべき?

  • 主人公たちを邪魔し続ける
  • 改心させる
  • いっそのこと殺す
  • 魔人族の手先になる
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