インフィニット・ストラトス~蛇を宿した者~   作:*.❀Mikagura✿.*

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はぁい、お久しぶりです
mikaguraです〜
これからまたちまちま投稿できるよう頑張りマース


第2話

午後。

 

 IS学園アリーナ。

 空調の効いた格納庫には、無数のISが並んでいた。

 その中で、一人の少年が大きなため息を吐いている。

 

「……面倒だなぁ」

 

 ヨミ・ボーデヴィッヒが入学して二日目。

 早くもIS実習の時間だった。

 

「何が面倒なの?」

 

 隣から声を掛けられる

 

「シャル」

「うん」

「ボク様、飛ぶのは嫌いじゃないんだけど」

 

 ヨミは格納庫の奥を見る。

 

「着替えるのが面倒」

「そこ?」

「そこ」

 

 シャルロットが苦笑する。

 

「軍人なのに?」

「軍人だからって、面倒なものが面倒じゃなくなるわけじゃないよ」

「それもそうか」

 

その少し離れたところでは、ラウラが自分のIS装備を確認していた。

ヨミはそれを眺める。

 

「ラウねぇさん」

「なんだ?」

「終わった?」

「ああ」

「じゃあ手伝って」

「何をだ?」

「ボク様の着替えー」

「分かった」

 

 ラウラは迷いなくヨミのところへ向かった。

 ヨミの装備を確認し、ベルトの位置を直す。

 

「少し緩い」

「そう?」

「動いた時にずれる」

「じゃあお願い」

「ああ」

 

 ラウラは手際よく調整していく。

 それを見ていた一夏は、思わず呟いた。

 

「……ラウラって、ヨミには本当に甘いんだな」

「そうだね」

 

 シャルロットも頷く。

 

「普段のラウラとは全然違うよ」

「聞こえているぞ」

「すみません」

「ヨミは私の弟だ。当然だろう」

「当然なのか……」

 

 一夏は少し遠い目をした。

 そこへ山田真耶がやってくる。

 

「皆さん、準備はできましたか?」

「はい」

「では、本日は専用機の確認を行います」

 

 その言葉に、一夏が反応した。

 

「専用機の確認?」

「はい。織斑君の場合は白式ですね。そしてラウラさん、シャルロットさんも専用機があります」

 

 真耶は資料を見る。

 

「そしてヨミ君にも専用機があります」

「……」

 

 ヨミが少しだけ顔を上げた。

 

「三機」

「え?」

「ボク様の専用機」

「三機!?」

 

 一夏が叫ぶ。

 ヨミは面倒そうに頷く。

 

「そう」

「なんで!?」

「必要だったから」

「いや、普通一機だろ!」

「そうなの?」

「そうだよ!」

 

 ヨミは首を傾げる。

 

「でもボク様、三機作ったし」

「作った!?」

 

 今度はシャルロットまで驚いた。

 

「ヨミが?」

「うん」

「ISを?」

「うん」

「自分で?」

「うん」

 

 一夏が頭を抱える。

 

「情報量が多すぎる……」

 

 ヨミは気にせず格納庫を見る。

 

「ティアマト」

 

その名を呼ぶと格納庫の奥に一つの巨大なISが姿を現した。

 

 深い藍色、そこへ薄い碧色と翠色が走る。

 二対四枚の翼、巨大な尾、全身を覆う重厚な装甲。

 

 龍騎士

 

 そう表現するのが最も近い。

 しかし、その美しい外見とは裏腹に。

 圧倒的な威圧感があった。

 

「……なんだ、あれ」

 

 一夏が呟く。

 シャルロットも言葉を失っている。

 ラウラですら、僅かに目を細めた。

 

「ティアマト」

 ヨミが言う。

 

「ボク様が作ったIS」

「これを……一人で?」

 シャルロットが尋ねる。

 

「うん」

「どうやって?」

「頑張った」

「説明になってないよ」

「細かいことは気にしない」

 ヨミはティアマトを見る。

 その表情は、普段より少しだけ真剣だった。

 

「こいつは防御型」

「防御型?」

「うん。とにかく頑丈」

「……頑丈ってレベルなのか?」

 一夏が巨大な装甲を見る。

 

「装甲厚すぎないか?」

「厚いよ」

「そこは否定しないんだな」

「だって厚くしたから」

 ヨミは淡々と答える。

 

「壊れるの嫌だし」

「理由がヨミらしい……」

 そしてヨミは別の格納スペースを見る。

 

「次」

 深い緑色のISが姿を現す。

 ティアマトとは違い、より攻撃的で龍人を思わせる姿に尾を持ち、手足には龍を思わせる装甲。

「ヤマタノオロチ」

 ヨミが言う。

 

「こっちは火力型」

「名前からして凄そうだな……」

 一夏が呟く。

 

「まあ、強いよ」

「ティアマトより?」

「うん」

「そんなあっさり……」

 ヨミは三機目を見る。

 

「最後」

 そこにあったのは、他の二機と比べれば遥かに小型のISだった。

 

 グレーと薄紫。

 シンプルなカラーリング。

「スティル・ファリヴァール」

 

「これは……」

 シャルロットがじっと見る。

 

「打鉄とラファール・リヴァイヴを参考にして作った」

「ヨミが?」

「うん」

「また……?」

「これもボク様が作った」

 ヨミは少しだけ嬉しそうだった。

 

「こいつは特に大事」

「どうして?」

「色々と思い入れがあるから」

 ヨミは手首を見る。

 そこには、銀色と薄紫色の二色で編まれたミサンガがある。

 

 ラウラの髪色。

 そして、自分の髪色。

 ラウラがそれを見る。

「……大切にしているな」

「うん」

「そうか」

 ラウラはそれ以上聞かなかった。

 その代わり、ヨミの頭を軽く撫でる。

 

「よくやったな」

「……ん」

 

 ヨミは少しだけ目を細める。

 一夏がそれを見て呆れる。

 

「本当に甘いな……」

「何か言ったか?」

「何でもありません」

 真耶が資料を確認する。

 

「ではヨミ君、三機のうちどれを使いますか?」

「今日はティアマト」

「分かりました」

 

 ヨミは待機状態の指輪を見る。

 右手の人差し指。

 そこにある指輪。

 

「じゃあ、行ってくる」

「頑張って」

 シャルロットが手を振る。

 

「無理はするな」

 ラウラが言う。

 

「大丈夫」

 ヨミはアリーナへ向かう。

 

 そして。

 指輪が光ると深い藍色の装甲が一瞬でヨミの身体を覆う。

 巨大な翼、龍の尾、重厚な装甲。

 その姿は、まさに龍騎士。

 

「……すげぇ」

 一夏が呟いた。

 

 ヨミは空中へ浮かぶ。

「ティアマト、起動」

 四枚の翼が広がった。

 

 ズンッ。

 

 空気が震える。

 しかしヨミ自身はいたって平然としている。

『模擬戦を開始します』

 アリーナに機械音声が響く。

 

 ヨミは軽く首を回す。

「……さて」

 その声は、まだ普段通りだった。

「ボク様、早く終わらせたいんだけど」

 

 その直後。

 24基の龍頭型ビットが展開する。

 【壱之首】

 さらに12基のソードビット。

 【弐之首】

 そして12基のシールドビット。

 【参之首】

 

 合計48基

 

 それらがヨミの周囲を旋回する。

「…………」

 一夏は絶句した。

「……これ、本当に学生が使うISか?」

 

 シャルロットも苦笑する。

「たぶん違うと思う」

 

 ラウラは腕を組む。

「ヨミらしいな」

 

 アリーナの中央で、ヨミは静かに敵機を見据える。

「行くよ」

 

 次の瞬間。

 24基の【壱之首】が一斉に散開した。

 まるで龍の群れ。

 敵機の視界を埋め尽くす。

 

「なっ……!」

 相手が反応する。

 その隙を狙って。

 【弐之首】が突っ込む。

 そして、ヨミ自身も銃剣型武装を構えた。

「そこ」

 

 一閃

 

 勝負は決まり模擬戦は終了。

 ヨミはゆっくり着地する。

 

「終わった?」

『終了しました』

「そっか」

 ヨミは欠伸をする。

 

「帰ろ」

 その様子を見ていた一夏は。

「……本当に二人目の男なんだよな?」

 

 ラウラが答える。

「ああ」

「なんか俺とは色々違いすぎないか?」

「ヨミだからな」

「それ、説明になってないぞ……」

 ヨミはそんな二人の会話を聞きながら、ティアマトを待機状態へ戻す。

 

 指輪へと戻った機体を眺めるヨミは

「……よし」

 満足そうにそう呟いた。

 この時

 ヨミも

 ラウラも

 シャルロットも

 そして一夏も

 まだ知らなかった

 この三機のISがヨミ自身が

 これから始まるIS学園での日々に、少しずつ大きな変化をもたらしていくことを。

 

 ただ今は

「……お腹空いた」

 ヨミのそんな一言だけが、アリーナに響いていた。

 

第2話・終




ずっと投稿しておらずすみませんッスゥ…
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