ユグドラシルのサービス終了後、日常生活に戻る鈴木、取り残されるオバロ。取り残されたオバロはベルセルクの世界へと飛ばされる。飛ばされた場所はグリフィス中心に蝕が広がろうとしており、危機感を持ったオバロは転移して撤退。グリフィスと襲ってきたキャスカを掴んだまま脱出……という流れ。
グリフィスは魔人にならないし、キャスカはグリフィスに取られるんで、僅かにでもそいういう描写が嫌いな人は回避。また、オバロの旅立ちの前触れの話なので、ガッツはほぼでない。
わかりやすくシールケをヒロインにさせたいお話。触れる程度でそこまでいきませんが。鈴木悟成分がないのは単純に作者の趣味。
超大型仮想ゲーム”ユグドラシル”。十数年に渡った人気コンテンツも過疎化から逃れなく、サービスを終了しようとしていた。
その最終日、豪華絢爛な宝石を身に付け、ローブを羽織ったマジックキャスターの骸骨モモンガと久々にログインをした不定粘液のスライムヘロヘロは最後の会話をしていた。
「正直ここがまだ残っているなんて思ってもいませんでしたよ。モモンガさんがギルド長として、俺たちがいつ帰ってきても良いように維持管理してくれていたんですね。感謝します」
「……皆で創り上げてきたものですからね。誰が戻ってきても良いように維持管理していくのはギルド長としての仕事ですから!」
それから二言三言会話を続け、「睡魔がやばいので……アウトします。最後にお会いできて嬉しかったです。お疲れ様でした」。その言葉を最後にヘロヘロはログアウトする。モモンガはヘロヘロの疲れを察して、笑顔の感情アイコンで見送った。
誰もいなくなった後、モモンガはヘロヘロを引き止める言葉を零し、過去を回想。思い出がモモンガの脳裏に過ぎる。
またね。いつか会いましょう。幾たびも聞いた言葉だけれども、実際に起こることはほどんどなかった。実際、地球の環境は終わっており、気軽に遠出して会うのは現代の人間が船で地球の裏側に行く苦労に匹敵するほど難しい。仕事もほとんどが機械化され、仕事も取りあいだ。それを投げ捨てるだなんて愚かである。
理解はしている。理解はしているが、モモンガはもう仲間とは会えないやるせなかから素手を机に叩きつけた。破壊不能のオブジェクトにダメージ表記の数値が浮かび上がる。
モモンガは溜息をつき、席を立つ。サービス終了までまだ時間はある、どうせ最後なら普段しないことをしよう。そう思い立って、モモンガはギルド内の宝物庫へと向かった。
自身が創ったNPCと会い、宝物庫からワールドアイテムなど贅沢に持てるだけの物やかつての仲間の装備を纏ったゴーレムを持ち出す。ある程度宝物庫から外へ運び出すと、転移をしてそれらを第8層へと持ち込んだ。
ギルドは地下1層から10層まであり、第8層は約41人で1500人の連合した敵対ギルドを追い払った伝説のある場所である。最終防衛ラインであり、ギルドナザリックが誇る最硬の守りだ。
モモンガはギルド内最強のNPCルベドと、自分以外を模したゴーレムを配置。自身は最強だと思う装備やアイテムをありったけ所持して一息ついた。
世界が一区切りされた場所には自分がいて、目の前には嘗ての仲間達とルベドがいる。ほぼほぼ、第7層を突破された時の再現だ。モモンガが創った、仲間たちと似てないゴーレムだが、モモンガはそこに仲間がいると錯覚する。少し前までいたヘロヘロもそこにあった。
「嘗ては41対約1500人。だが今は1対40人おまけにルベド、俺の立場が絶望的なのは変わらないな」
伝説を打ち立てたギルドだからこそ、本拠地に乗り込む何処かしらのパーティーメンバーがいると思っていた。だが、遂に現れることはなく、ギルドの周囲に他プレイヤーが立ち入ることもなかった。
過去の遺物。
現在進行形でプレイヤーたちの記憶の隅となってしまったギルドだ。最後くらいはと思ったが、だいぶ長い間挑戦者は現れていない。
そして、仲間が過去の物だと示すなら……モモンガは目を瞑り、覚悟を決める。
「アインズ・ウール・ゴウン、ギルド長モモンガ! 仲間の門出を祝福するべく、仲間の分身たちよ、見事俺を倒してみせろ!!」
モモンガは目を開き、ゴーレム達を威圧すると、『スタートアップ』とゴーレムたちを起動させる。モモンガの指令を受け取ったゴーレムやルベドたちはモモンガを倒すべく、それぞれ構える。モモンガは様々なアイテムや能力を発動し、雄たけびをあげて嘗ての仲間達に挑んだ。
数十秒だろうか。数分だろうか。大小様々な魔法が、技がモモンガへと向かっていき、輝く。星々が自己主張するように幾つもの攻撃を迎撃し、押し返しもしたが、モモンガたった一人では荒れ狂う暴力の力を抑え込むこともできなかった。
何時しかモモンガのライフポイントは0になり、モモンガは視界が暗転した。
気がつけば、仮想世界から現実世界へと戻っている。モモンガ……鈴木悟は仮想世界にダイヴする箱型の機器の中で目覚めた。
「……夢は終わり、残骸の栄光も今となっては幻か……もう寝よ」
時刻を確認すれば0:00:01を過ぎている。今日の朝4時には起床しないといけない。仕事に差し支える。
鈴木悟は諦めて現実に戻り、憂鬱だと呟いて床に就いた。
先ほどまでの明かりはなく、暗闇に囚われた第8層。徐々に闇が侵食し、人が、物が、空間が、真っ黒となる。それらが溶けると、形をなくして融解し、地面に落ちた。
黒いコールタール状の液体は中央に這いずるようゆっくりと移動を始め、中央に集まった液体は宙に浮遊し、形を成す。
最初こそ巨大な液体の塊は、凝縮して小さくなり、黒いシルエットを生み出すと、次第にそれらが着色され、一体のオーバーロードとなった。
鈴木悟の抜け出た骸。オーバーロードは何もない闇の中、ただ一人闇に身を任せ、真っ暗な中を揺らめく。
「鈴木悟は行ったか……」
何もない虚空で一人ごちるオーバーロード。聞いてくれるNPCやプレイヤーはそこにはいない。
「中身のないオーバーロードとなった訳だが……これはどういうことなんだろうな?」
理解不能な現状だった。
側の中にいた人格が抜け出て消えた感触がある。オーバーロードは自身が鈴木悟でないのを理解している。何せ、
操られるのが嫌だとかいうのではなく、それが当たり前だった。抜け出たのなら、側の役目は終わり、データーとして消える運命。それなのに、急に自我に目覚め、何もない闇の中に放り出されたのだから困惑するばかりだ。
「私と同じか、NPCでもいればまだ相談ができはしたのだが……見渡す限り真っ黒だ」
オーバーロードの周囲には何もない。どこまでも暗く、境界線すら確認できない。
種族の特性もあって、オーバーロードは視界の利かない闇の中でも辺りは見えた。自身が生まれた意味はわからないが、いつまでも漂っていても仕方がない。オーバーロードは身を任せるのは止め、その場に立つ。
「相棒というべきプレイヤーはいなくなったが……ふむ、自力で歩くのも悪くはない。親元から旅出って自立した気分とでもいうのかな?」
自立もなにも、今まさに一人で生きていかないといけないわけだが。それはともかく、オーバーロードは素直に自身の誕生を祝福した。少なくとも喜ばしいことには間違いはないのだから。
その後、オーバーロードは死の支配者の風貌に似合わず、スキップ気分で闇の中の探索を行う。
意気揚々と歩き続け、闇が続き、それでも飽きずに歩き続けた。そして、それからどれだけ時間が経過しただろうか。オーバーロードは足を止める。
「これだけ進んでも出口は見えないか。当然後ろも……変わらぬ景色だ。全くどれほど歩いたのだろうな?」
オーバーロードは後ろを振る返ったが、相変わらず黒だった。
歩くのを止めたオーバーロードは他にできることはないかと、何も持たない両手の内、片手の平を前に出し、<ファイヤーボール>と呟く。すると、オーバーロードの体から掌に力が集まり、凝縮し、火炎を纏った弾が直線状に放射された。
弾はどこまでも続くと、移動臨界点を向かえ、膨張し大爆発。オーバーロードの10倍の体積はあろう爆炎だった。爆発の余波が、オーバーロードのローブを激しくはためかす。
「ギルド武器は装備していないんだがな……マシキマイズとブーステッドでも上乗せしたかのような馬鹿らしい威力だ。素で上位天使を殴れるんじゃないか?」
メラゾーマではなくメラだ、は良いことである。素の第三位階らしき魔法でも、上級天使に通用するだろう。しかし、これが郊外でなくて良かった。あるかはわからないが、街中で無闇に力を振るえないことを理解する。
けれど、今は闇の中だ。誰にも気を使う必要はない。オーバーロードは今度は極力威力を抑えてもう一度と、無詠唱でファイヤーボールを放とうとし……
――唐突に、世界が切り替わった。
オーバーロードはその感覚を自覚した。闇の世界から別の場所へと飛ばされたことに。更に、無詠唱で発したファイヤーボールを中断させることが間に合わないことにも。
オーバーロードは慌てて炎の塊を握りつぶし、体を業火で炎上させた。
そして次に起こる展開。オーバーロードは炎から生まれたかのごとく、体に炎を燈し、辺りを灼熱で包んでは現世は出現する。
目の前には鷹を模した兜をかぶるやせ細った病人が地べたに這い蹲ってそこにいた。
病人はグリフィスという。這い蹲っているのは壊れた馬車から投げ出されたからだ。加えて、最悪なことに蝕の刻という一部の現実世界が幽界に取り込まれようとしていた。簡単に言うと、これから地獄が起こる。
けれど、グリフィスにとって目の前の異形こそが地獄の使者だった。グリフィスは後ろへ後退し、仲間の方へ「来るなっ!!!」と叫ぶ。オーバーロードはグリフィスが叫んだ方へ視線を移すと、馬から飛び降りた男女二人と、その後ろにはグリフィスの仲間の一団が迫っていた。
オーバーロードは周囲の人間より、拡がりつつあるおどろおどろしい世界の方が気になった。凄まじい違和感を覚えたといってもいい。オーバーロードはすぐさまこの場を脱出しなければならない危機感に襲われた。
急なことで即席の判断が迫られる。助け出せるのはそう多くない。オーバーロードはこれまでの常識に則って行動。グリフィスを片手で軽々持ち上げ脇に差し込むと、目の前に到達したおとこガッツの剣撃を素手で払い、続いてくる女キャスカの斬撃を体で受け止めると、女の肩を掴んで<グレーター・テレポテーション>でここではない見渡せる限りのどこかへと念じて、跳んだ。
ガッツが体勢を立て直し、次の攻撃を食らわせようとする時には、ガッツの前から異形と親友と想い人が姿を消した。後のことは、異なる未来に大変珍しいことだと魔の物が嗤い、ガッツのみ魔の刻印を受け、一団は異形から死と恐怖を贈られることとなる。
本来魔の物に加わるはずだったグリフィスを抱え、蝕により陵辱を受けるはずだったキャスカを連れ去ったオーバーロードは知らぬ場所へと着地する。座標は高く、下界が見渡せた。人のいない、どこかの山頂へと跳んだのだ。
また、極々僅かだが遥か遠くの方から異質な気配を感じ取る。つまりは、ファイヤーボールの時と同じで、使用者の想定を大きく上回って魔法が行使されたのだった。
オーバーロードは褐色の女性キャスカを突き放し、病人たるグリフィスは丁寧に地面においてやる。
開放されたグリフィスにキャスカは信じられないとばかりに目を疑い、けれど、油断はならないとグリフィスを守るべく、両者の間に割って入った。キャスカの剣がオーバーロードへと向けられる。
「先ほどの危機から脱出して、感謝の一つもないというのは悲しいな。円滑な話し合いをするのに、礼儀はしっかり守らんと」
流暢に人の言の葉を喋る異形にキャスカは一瞬呆ける。だが、すぐに表情を変えて鋭くオーバーロードを睨みつけた。
「お前があのおぞましい世界と一緒に出現したのを見たんだ、どう説明をするっ!」
「痛いとこを突くな。確かにああいった展開で誤解を産んでも仕方ないんだが……今周りを確認してみろ、不浄な気配や化け物は私以外にはいないだろう? これで少しは誤解を解いてはくれないか」
他にもいくらか言葉を説くオーバーロード。けれども、キャスカは気が動転しているようで落ち着くには時間がかかりそうだった。そこへ、大人しかったグリフィスがようやく事情を飲み込んで話しに参加する。
「キャスカ、落ち着くんだ。俺がベへリッドから呼び出してしまった存在は恐らく生易しいものじゃない。助けてくれたのは事実なんだろう。そして、今何も持たない俺たちに貴方は対価を求めたりするのか?」
「ははっ、君の方が彼女より肝が据わっているようだ。君の問いに答える前に一つだけ……私のような者は珍しくなかったりするのかね」
「冗談を。異形の者とは出会ったことはあるが、それこそ妖精と同じで風の噂に聞くくらいだ」
「ほう、妖精か。実物もしくは、それに類する品があったりするかね?
「妖精の粉というものがある。滅多に出回らない品だが、既存のどの治療薬にはない即効性がある話だ」
「ならば一つ案を提示しよう。いやなに、そう身構えることはない、人を治療する術があるのだ」と、オーバーロードは話ながら虚空に手を突っ込み、四次元空間に手を入れた。それから手を引き戻し、麻袋から巻物を取り出すと、取り出し終わった麻袋は空間の中へと戻す。
オーバーロードは巻物を手にしつつ、「この巻物なのだがね、とある奇跡が込められているのだよ。この奇跡が君にどの程度恩恵があるのか知りたい。この治験こそが君に求める対価なのだが、何か異論はあるかね?」
「この朽ちた身体が治るのか……?」
「治る保障はできん。しかし、失敗したとしても君にデメリットが降りかかることがないのは保障しよう」
さあ、どうする。と、オーバーロードは反対の手をゆっくりと差し出した。
聞きに徹したキャスカはグリフィスを止めるかどうか迷う。そもそもグリフィスが一人馬車で飛び出したのは自分たちの憐れみであったせいだ。治るなら治したいが、相手は化け物。まるで悪魔の取引だ。信用できるはずもなかった。
しかし、キャスカが悩んでいる間にもグリフィスがキャスカを押しのけ、オーバーロードの手を握り返した。
「では、契約成立だな」とがらんどうの中に灯る赤い光が怪しく輝き、オーバーロードはグリフィスの手を放す。次に、巻物を開き、第6位魔法<大治療>を発動。淡い緑の光がグリフィスの体を徐々に修復し、人の手によって無残にされた身体がみるみる内に治っていった。
しかし、代償もある。巻物の使用回数は一度っきりなのだ。巻物に込められた魔法の力がなくなると、同時に巻物も消失した。オーバーロードは、既知の効果に満足する。効果が大きくもなければ小さくもない。いつも通りだ。
オーバーロードの心中はさておき、奇跡の力により自由に体を動かせるようになったグリフィス。頭に被った兜を捨て、体を広らくと、山頂の大自然をその体で受け止めた。
喜びを体で表すグリフィスに、オーバーロードは「悪い取引ではなかっただろう?」と仰々しく笑う。グリフィスは幾らか体を動かしてから、オーバーロードに感謝の言葉を述べた。話に置いていかれたキャスカはぽかんと二人のやり取りを眺めているしかなかった。
「……しかし、私たちが巻き込まれそうになったあの不穏な次元な何なんだろうな。君は心当たりはあるかね?」
「グリフィスでいい。心当たりとすれば俺が所持していたベへリッド。旅の中で行商人から買ったものだ。卵の形をした物に幾人もの人の顔が張り付いた品なんだが、俺が絶望の淵にいると目から流血してね。不穏な世界が広がると共に貴方が俺の目の前に現れたんだ」
「少なくとも、私はペリドットの中に囚われたことはないな。出来過ぎだと思うだろうが、偶然が重なったのだろう。あれは私が管理するものではない。恐らく、あの事象は私の手に余るもの。悪いことは言わない、あの場所に戻るのはやめておけ。せっかく拾った命だ、無駄にはすることはあるまい」
「貴方はあのベへリッドが起こした事象が何なのかわかるのか?」
「超越者の気配が4つと、それ以上の何かがあるようにも感じた。物語のドラゴンのように、個で山を崩せる力がないのなら、あの世界に潜む者と接触しないことを奨めよう」
「山をだと……? ゾットですら手が余ると言うのに、それ以上の奴がいるというのか……」
「ひとまず、グリフィス君の体調も気になる。今この時は回復したかもしれないが、何らかの不調があるのかもしれない。君たちを人里まで護衛をしようと思うのだが、どうかね?」
アフターフォローをしようとオーバーロードに申し出られたグリフィス。オーバーロードの提案にやぶさかではないグリフィスであったが、一つの事実がオーバーロードの申し出を躊躇わせた。
躊躇気味であるグリフィスの様子に合点がいったオーバーロードは言葉を続ける。
「おっと、失礼。この風貌では人間に怖がられてしまうな」と、言うが早いか、手を振るうと金と紫の刺繍が入った漆黒のフルプレートアーマーを着込んだ男となった。首から下がる赤いマントがめいいっぱいに広がる。
「これで問題はないかね?」と問うと、グリフィスは「私たちから何も出せないでいいなら、よろしく頼む」とオーバーロードに頭を下げた。グリフィスの心情を理解できるオーバーロードはもちろんだと笑った。
それから野宿を挟み、町のある人里に下りた3人は、店で簡単なものを売り払ってから宿を取る。もちろん3人の相部屋ではなく、グリフィスキャスカの二人部屋とオーバーロードの一人部屋だ。
ようやく安全な場所で一息つけた3人は、グリフィスとキャスカの部屋にてこれからのことを話す。
「ここまでの道中、特に何事もなく歩けたな。明日以降、私はこのパーティーから外れるとしよう。今後君たちが健やかな生活を送れるよう祈る」
「ああ、ここまで護衛を買って出てくれたことに感謝する。あと、興味ついでに聞かせて欲しいのだが、貴方はこれからどうするんだ?」
「私か。そうだな、例の超級の化け物たちが気になるし、ベへリッドも調べておきたい。現地に戻って現状確認をし、あちら側の世界の化け物がこちらに友好的でなかった場合は始末を考えなければならんだろう。快楽破壊主義者が蔓延する世界は私の好みではないだ」
「おぞましい世界が現出した場所へ行くのか」
「そうだとも」
「厚かましい願いなのだが、ついででいい、俺の仲間たちにグリフィスはここにいると伝えてくれないか? 俺たちはこの国の何処かに住居を構えようと思う」
オーバーロードたちが辿り着いた場所は、蝕が発生した場所より国外を超え、遠く離れた国だった。
「ああ、いいとも。仲間とすれ違うかもしれんし、賢い選択だ。何より、野宿の最中に聞いた君に起こったことを考えるならしばらくの療養は必要だとも。だが、グリフィス君の仲間が歴戦の強ものたちといえど、あの渦中に巻き込まれたのは人間だ。期待はしてくれるなよ」
グリフィスは重く頷き、ガッツたちの特徴を話し、オーバーロードに仲間への生存報告をお願いをした。
「あと、ずっと聞きそびれていたんだが、貴方の名前を聞かせて欲しい。恩人の名前を知らないというのも失礼だった」
「名前か、そうさな……」
固有名称を尋ねれたオーバーロードは言葉に詰まり、言うか言わないかの素振りを見せて誤魔化す。
(鈴木悟、モモンガ……どちらも論外だ。私は彼ではない。この先名乗る名前でもある。奇怪なネームはいただけない。オーバーロードというのも種族名で単調過ぎるし、さてどうするか……)
今すぐ名前を考えるのも困るものでなかなか思い浮かばない。一瞬、ダークウォーリアが頭によぎったが中二病的で、頭の中から掻き消した。ゼータ、などは戦闘メイドたちに付けられた名前であるし、出てくるのはギルド内にいる名前や、ユグドラシルにいるモンスターたちの名称ばかり。
あれは駄目、これは駄目と詰まってない脳みそをフル回転させ、ギルドの名称に辿り着く。アインズ・ウール・ゴウン、自身の中にいた彼が仲間と共に立ち上げお世話になった居場所。オーバーロードにとっても価値観の基準となる場所だ。今となっては見ることもできないであろうギルド、オーバーロードは一つの名前だけ貰うことに決めた。
「……アインズだ。ただのアインズ。頼むから討伐依頼など出さんでくれよ、これでも小心者なのだ」
「誓って口外しない。もう一つ夢があることに気づいたんだ、アインズ殿を敵に回すようなことはしないさ」
「よろしく頼むよ」
オーバーロード……アインズはその場を離れ、室内から出る。残ったのは部屋の主である、グリフィスとキャスカだけだ。廊下から足音が遠ざかっていく。二人っきりになったことで、ようやくキャスカが口を開いた。
「ガッツたちを探さなくてよかったの?」
「ああ、今まで走ってきて少し疲れた。それにキャスカまで失うのは怖い、しばらく甘えさせてくれないか?」
グリフィスが見せた弱さにキャスカはしどろもどろになり、グリフィスがキャスカの手を握って懇願すると、キャスカはグリフィスを拒否することができず、頷き受け入れた。時期も悪かった。ガッツを跳ね除け、病人のグリフィスと一緒にいると決めてしまった。グリフィスに縋られると、床に伏せっていた風景が過ぎり、キャスカは拒否できなかったのだ。
その翌日、グリフィスとキャスカに見送られ町を発ったアインズ。前日とは違い、グリフィスとキャスカの距離感がやけに近くなっていたのが印象的だった。
以上、キャスカNTRグリフィス魔人回避エンドです。今後二人はほぼ登場せず、アインズが数ヶ月でガッツに合流し、数年後ガッツとアインズはグリフィスたちの住居を割り出し、ガッツはグリフィスとキャスカに二人目の子供がおり家庭を作っていることにショックを受け失恋(第一子がガッツの子だと理解して育ててるグリフィス)。ガッツは復讐専念して、そんなガッツはアインズにお労しやされ、魔女っ娘シールケ生えてゴッドハンドを倒す物語。プラスしてフラットなアインズ。特にギルドの仲間がどうだとか言わない今楽しきゃいいやのエンジョイ勢。殺すときは殺す。人間味は薄く淡白。趣味に生きる人。能力をフルで発揮すると目立ちすぎるのでほどほどに潜伏。これは私の好みの問題。一部の層への不快なレベルでの超人精神・化物精神を設定するのに、人間味強すぎるのは困る。積極的に助けたりして目立ってしまう。基本的に話を動かすのはガッツ、アインズはサポートくらいで。
キャスカOUTアインズINの性質上、ガッツはファルネーゼに捕まらずフラグを圧し折られ、セルピコとよろしくやってなEND。パックとイシドロくらいっすかね合流できんの。私の場合はイシドロをパーティーに加えさせませんが。街で頑張れ!さよなら!また会おう!的な。ガッツのヒロインはわかりやすくシールケでいいんだよ。
なお、クソ雑魚文章、構成力、畳み力で完結できる気がしないので、一話短編です。