東条トレーナーは未『とうじょう』
いつも以上にキャラ崩壊してるけど、許して許して
桐生院葵は困っていた
恐らくは人生で五指に入るほどのピンチだろう
まず、携帯を実家に忘れた
今日という日を楽しみにしていた為か、昨日はあまり寝付けなかった
お手伝いさんに起こされて、慌てて出てきたからだろう
更に地図も持ってない
まさか携帯を忘れるなんて誰も思わなかっただろう。だからこそ、地図を持って行かずとも、問題無いと思われたとて不思議ではない
そして、桐生院葵は所謂箱入り娘というものである
何処へ行くのにも必ず誰かが同行していたし、送迎もされていた
だが、今回は来年からトレーナーとして働くかもしれないからと、家族やミークを説得して電車で目的地に行くことにした
現在、トレセン学園ではトレーナーの為の寮を建設中であり、葵もそこへと入寮する予定であった
となれば、いつまでも家を頼ってられない
葵とて大学を出た立派な大人なのだから
そう意気込んで、トレセン学園の最寄駅まで来たものの、彼女はトレセン学園の詳細な場所が分からない
トレセン学園程大きい施設ならば、バスがあるんじゃない?
そう思われる方もおられるかも知れない
しかし、仮にバスを出すとすれば外部から通勤する者達で溢れかえるのは容易に想像がつく
では、トレセン学園直通のシャトルバスにすれば良いかというと、それは非常に難しい
何故ならば、シャトルバスという事は乗り込む者がトレセン学園関係者と周囲に宣言している様なもの
となれば、トレセン学園周辺から排除した報道関係者が今度はシャトルバスのバス停付近に群がるのは容易に想像できる
そもそもトレセン学園や警察、政府がマスコミに対して過剰ともとれる対応をしたのは、勿論ウマ娘たちの安全の為であるのは間違いない。だが、それともう一つ『周辺住民への配慮』という面も含まれていた
トレセン学園は広大な敷地を持つ
そして、将来的にはウマ娘たちによるレースの為に日夜トレーニングに励む場所になる
そう、『日夜』なのだ
勿論、深夜にトレーニングはさせないつもりだが、それでも熱心なウマ娘の中にはギリギリまでトレーニングしたいと言うものもいるだろう
となれば、照明は必要になる
トレーニングしていて、怪我などとなれば一大事だから
そして、基本的に負けず嫌いであるウマ娘ならば1人や2人程度で収まるとは思えない
そうなってくると、大規模な照明を使用するのが望ましい
だが、トレセン学園は土地買収の事情により、周辺に住宅地がある
これはトレセン学園という施設が出来ることに伴う様々な需要の増加を見込んで出来たものでもあった
トレセン学園はその用途より広大な敷地を有している
となれば、その建設期間もそれ相応の時間を要した
基礎工事とて、一般的な住宅でも一日や二日で終わるものではない
掘削、残土搬出、型枠形成、型枠の為の基礎路盤の構成等、様々な作業を必要とした
元々存在する建物の流用も当初は検討されたが、トレセン学園は特殊な用途の施設であり、併設する設備もまた多岐に渡る
ウマ娘のスピード強化の為の長距離のレーストラック
スタミナ強化用の屋内プール
パワー強化のトレーニングジム
根性用の坂路
ダート訓練用のダート
トレセン学園の生徒の為の食堂
生徒の健康管理の保健棟
ウマ娘の数が数である為に、保健室で無く保健専用の棟を用意しなければならないことになったのだが
これだけ多様な施設を内包するものがあるはずもない
となると、既存の建造物の解体から始まるのは道理である
解体と簡単に聞こえるかも知れないが、境界面での養生、それに伴う外部足場の設置
解体用の重機の搬入、建物の調査。主に石綿の有無は解体方法が変わる為に最優先で行なわれる
有無の確認であった場合には専門の業者へと撤去の依頼。それに並行して内装の解体
それが終わってから、漸く建物の解体が出来るのだ
多数の重機による解体
それに伴う粉塵拡散防止のための散水
建物を下げると共に外部足場、養生の撤去
解体したコンクリートガラとそれ以外の仕分け
ガラの搬出
建物は出ている部分だけでは無いため、地中の基礎の掘り起こしと破砕
これに現場状況報告用の写真撮影
解体終了後は整地
軽く挙げたが、これだけの作業を解体するには必要とするのだ
早くても1ヶ月。長ければ一年かかることもある(あくまでも作者の経験によるので、正確なものではない)
その上で前述の基礎工事
更に建物本体の建設となれば年単位の大型プロジェクトになる
では、すぐそばでそんな大型プロジェクトが進行していて、他の空き地を不動産会社等が放置するか?
するわけがない
大勢のウマ娘が生活する施設
そこに伴う需要の大きさは想像を絶する事になるのは容易に想像できる
そして、その施設は広大さから完成は遅い
ならば、それに先行して建物を造ろうというのは不思議ではない
一戸建て住宅レベルならば、作るだけなら半年もいらないのだから。勿論工法により差がある事をここで明言させていただく
そして、大型のスーパーや中規模の商業施設が出来れば、その周りにもまた需要が生まれる
つまり、建設当初こそ周辺にそこまで住宅が存在しなかったトレセン学園であるが、正式稼働する頃には立派な住宅地が出来ていたのだ
これにはトレセン学園のプロジェクトに関わってきた者達も頭を抱えた
ウマ娘の為の施設だったが、周辺住民への配慮も必要になってきたからである
一応は住民もウマ娘の教育施設という事は事前に周知されていた。だからといって住民感情を無視する訳にもいかなかった
その為、トラブルの元にもなりかねないマスコミの学園周辺からの排除は優先すべき課題だったのだ
たとえ、それが多少の生け贄を必要になろうとも
言ってしまえば、トレセン学園は最早ウマ娘関係者だけに影響を与えるものでなくなってしまっていたのだ
そりゃ、政府も強行策の一つや二つ取りたくもなるだろう
同じことはシャトルバスを運用した場合の駅前バス停でも懸念されたのだ
駅前である
そんなところでマスコミが大勢居座ったら?
通勤の邪魔である
生活にも影響が出るだろう
取材攻勢をしようものなら、間違いなく不満が噴出する
そして、その矛先はマスコミとトレセン学園に向かうだろう
どれだけトレセン学園がマスコミに要請しようとも、実例のある通りに彼等は『スクープ』の為ならば、穴を見つけるだろう。強引な手段に出てくるかも知れない
そうなった場合、鎮静化は困難を極めるだろう
対応に追われている時にも不満は蓄積する
そして、いつかは爆発するだろう
いや、爆発するならば『まだマシ』だろう
爆発しなければ、トレセン学園、ひいてはウマ娘に対する感情が悪化する公算は高い
一度根付いた感情を払拭するのは容易ではないし、払拭するのにも長大な時間を要する事になるだろう
故にトレセン学園へのバスの設置は見送られたのだ
それにより葵は途方に暮れているわけだが
人に聞けば良い。そう思われるかも知れないだろう
普通ならそれが正しい
しかし、トレセン学園周辺からマスコミは排除された
マスコミ各社の上層部には警告がなされた
だが、それでも諦めない『悪い意味での』記者というものは一定数存在していた
彼等の中には最寄駅に待機している者もいるだろう
だから迂闊にトレセン学園への道を聞くことも出来ない
彼等は耳と勘が良く、それこそそれだけで見ればウマ娘に匹敵しうる者もいるのだから
実家に電話するのが一番である
だが、箱入り娘である葵は『公衆電話』というものを知らなかった
ミーク曰く「・・・・・箱入り娘でなく、ただのポンコツでは?」との事であったが、ある意味では間違っていないだろう
このまま、家に帰るのか!
いい歳をした者が迷子になったと自白するのか!
どうする!桐生院葵!
「どうしましょう」
だが、
「こんちは
桐生院葵さんすよね?」
「え?」
声をかけられた葵が振り向くと
「ども」
悪戯っぽい笑みを浮かべた少年がいた
時を少し巻き戻す
葵が出て行って少し経った桐生院家では大騒ぎになっていた
「あの、ポンコツ娘がっ!」
ハッピーミークは激怒した。必ずやあの無知蒙昧な箱入り娘をどうにかせねばならないと改めて決意した
そもそもハッピーミークは桐生院家の教えを受けたウマ娘であり、来年トレセン学園に入学するウマ娘だ
だが、担当トレーナーとなる桐生院葵はトレーナーとしての能力はともかく、他が壊滅的だった
物を忘れるのは当たり前
道に迷う。訳の分からない物を買ってくる
何もない所でこける
トレーナーモードでない桐生院葵はハッピーミークが世話していると言っても過言でなかった
どちらがトレーナーか最早わからない
だが、何故か無駄に行動的な上に勢いで動き回る。今年で21になったとは思えない程に私生活での葵は頼りなかった
ミークは目の前にある葵の携帯を見て察した
『あのバカ、忘れて行ったな?』
ミークは不機嫌そうに葵の父親の部屋に向かった
あんなでもトレーナーだからなぁ
ミークより話を聞いた父親はトレセン学園の秋川理事長に連絡を取り、娘は駅で立ち往生しているだろうから、どうにかしてほしいと頼み込んだ
秋川やよいは困った
そりゃそうだ。来年トレセン学園にトレーナーとして来る者が迷子になったなど笑い事にもならない
駅にいるとの事らしいが、仕方ないので了承する
桐生院とてスポンサーだから
だが、いざ迎えを出そうとしても適任者がいない事に気がついて頭を抱える事になる
やよいとたづなは顔が売れているから、無理
ウマ娘?ウマ娘と歩いている者に奴等が食いつかない筈がない、却下
他の職員?
トレセン学園のサイトに情報載せてるから無理
トレセン学園は情報規制の対価として、トレセン学園職員の情報のみサイトに掲載していた
流石にアグネスタキオンの件で無茶をしたと反省している政府からの要請だった
やよいも全く餌を与えないなら早晩暴発しかねないとして、職員に通達した後に掲載に踏み切った
だが、これではトレセン学園関係者から迎えが出せない事になる
流石にそれは色々とマズイ
頭を抱えていたやよいにあるサークルの事が浮かぶ
情けないとは思うが、名誉顧問に頼む事にした
ついでに新しいタキオンの写真も欲しいと思っていた
だが、顧問への連絡手段は会長であるマックイーンからのみ
会長を呼び出そうかと考えていると
「理事長、失礼します
シンボリルドルフです」
別の会長が来た
用件は直ぐに終わった
ふと思った
「質問っ!」
「?何でしょうか?」
「アグネスタキオンの彼氏の連絡先を知っているか?」
恐る恐るたずねる
「ええ、何かあった際の為に」
そこでめちゃくちゃ頼み込んだ
シンボリルドルフは頭を抱えた
だから彼はトレセン学園の人間ではないのだがなぁ
ため息が出る
仕方ないので電話する事にした
ああ、突然すまない
実は
わかった。色々と迷惑をかけるな
礼は不要?ふふっ、ありがとう
では通用門で待っているよ
シンボリルドルフは電話を切ると通用門に向かった
その時の彼女の尻尾と耳はご機嫌そうになっていたと目撃したウマ娘は話す
「よ」
「やぁ」
簡潔な挨拶
普段のシンボリルドルフならば決してしない事である
しかし彼女も彼も気にしない
「はーん、二十歳超えてんのに、何てぇか頼りないねぇ」
「うーん、そこは明言しないでおこうかな?」
「それ、言ってるも同じだろ?」
「さて、どうだろうね」
ルドルフは柔らかい笑みを浮かべた
「しっかしなぁ、生徒会長ってのは便利屋かなんかなの?」
「ある意味ではそうかもしれないね」
「はーん?ご苦労様なこって
あんま、無理すんなよー」
彼はそう言うと、ルドルフの肩を軽く叩いて通用門から出ていく
その手にルドルフから渡された桐生院葵の写真を持ったままで
「無理するな、か」
シンボリルドルフは彼が叩いた肩を優しく撫でる
まるで愛おしい何かを愛でるかのように
時は桐生院葵と彼の出会った時に戻る
「あの、貴方は?」
明らかに自分よりも年下と思える相手。しかも葵は見たこともない
困惑するのも当たり前だった
「・・・・・」
彼は無言で紙を差し出した
桐生院葵さん
ボクは桐生院家から貴女の迎えを要請されたトレセン学園から派遣された者です
追伸
ハッピーミーク、激おこ
と書いてあった
葵は顔を青くした
携帯を忘れて行ったのがバレたのだと察したのだ
彼の後をついていく葵だった
なお
(葵の顔色が『あおい』。微妙)
と彼は平常運転だった
通用門で少しトラブルになった
「え?トレセン学園発行の証明書は?」
「あ、はい、すいません!」
トレセン学園内に入校する際には学生証、職員証が必要である
臨時の場合にはトレセン学園発行の証明書が必須であった
彼の場合はトレセン学園理事長直筆の書類にトレセン学園生徒会発行の書類。若しくはトレセン学園関係者同伴が求められる
彼を特別優遇していると非難される事がない為の措置であった
ところが、葵はその証明書を涙目になって探している
(おーい、社会人〜)
彼の葵に向ける視線が冷たくなったとしても、誰も責めることは出来ないだろう
桐生院葵は泣きたかった
トレセン学園に着いたのは良いが道中、年下の少年は明らかに不機嫌そのものだった(マスコミ関係者が道中張り込んでいたから)
会話一つなかった(話をすれば、食いついて来るのが周りにいたから)
とどめに入校の為の証明書がカバンの中にある筈なのに出てこない
警備員は彼に気の毒そうな視線を送った
何せ明らかにトレセン学園の用事で振り回されているのが、第三者から見ても分かるから
必死で書類を探す女性に、段々表情が死んでいく少年
気の毒である。相方に視線を向けるとやはり彼女もそうらしい
だが、トレセン学園は出来たばかりだ。勝手な判断は許されない
(坊主、すまねぇ)
彼は力になれない自分に腹が立った
「もうすぐ着きます」
「うん」
ハッピーミークは激怒していた
何と葵はトレセン学園に入校する為の書類すら忘れて行ったのである
「慣れないオシャレなんかするから」
自宅ではジャージやフリースといった格好で動き回る葵である
書類なんかもバインダーに入れてそのまま持ち歩くのが常だった
ところが、今日トレセン学園に行く前日はきちんとミークも用意を手伝ったにも関わらず、鞄を変更した
それは別に良いだろう。寧ろ歓迎すべき事だ
ミークの怒りが少し落ち着いてから葵の部屋を掃除していると、用意した鞄があった
明らかに中身が減っていたので、彼女が別の鞄に入れ替えたのだとすぐわかった
非常に良い兆候だ
ミークはそう思っていた
しかし、何となく鞄の中を見てみると
明らかにあってはならない筈の封筒が残っていた
いや、まさか、流石に
ミークの中で否定の言葉が乱舞した
だが
待て、いや、やりかねない、寧ろやる、それが桐生院葵
といったしてはならない筈の肯定の言葉が否定の言葉を駆逐した
頼むから、思い違いであってくれ
ミークはそう願いながら、封筒を開けた
トレセン学園入校証明書
この文字が見えた時点でミークは封筒に書類を戻した
「車、出して」
ミークの抑揚のない声が虚しく響いた
車を選んだのは、電車で行った場合、駅前でウマ娘であるミークは非常に目立つからだ
折角トレセン学園に混乱させないようにお願いしたのに、ミークがそれを無駄にしてはならないと判断した
その位の冷静さは残っていた
だが
「あのポンコツどうしてくれようかっ!」
ハッピーミークの歴代最大となるであろう怒気は隠しきれなかった
運転する家政婦は祈る
せめてトレセン学園では何もない事を
「あの、いつまでかかるの?」
少年が声をかけてきた
そこには隠しきれない失望の念があった
「す、すいません、すいませんっ!」
葵も鞄の中に無いのは理解していた
では、どうする?
電話する?携帯がない
おとなしく帰る?道がわからない
堂々巡りであった
そこに
「ばか」
彼女の相棒の姿があった
ハッピーミークは葵に書類を渡したが、明らかに好意的でない雰囲気にため息が出た
事の些細は車の中で葵の父親から聞いた
トレセン学園側としても葵の迎えを出すのに苦慮していた事
なんとか生徒会長の個人的な誼を通じて迎えを出せた事を
ところがそこまでして迎えに行った葵がまさかの書類不所持
これで怒らない筈がない
ミークなら怒る
間違いなく
目の前の少年は感情を完全に消した顔をしている
初対面のミークでも分かる
これはヤバいと
だが、何もしない訳にもいかない
「私はハッピーミーク。葵の家のウマ娘
今回は葵がご迷惑をかけて、ごめんなさい」
頭を素直に下げる
実はミークとてそこまで対人スキルは高くない
言葉足らずは百も承知だ
それでも謝らない選択肢はない
「ま、良いっすけど」
それだけだった
トレセン学園内を歩く桐生院葵とハッピーミーク
それを先導するのは少年だった
「・・・・・」
無言である
葵は色々と聞きたそうな顔をしているが、ミークが腕を掴んで止めた
ミーク自身も色々と疑問がある
何故トレセン学園校内に普通に入れる?
何故迷いなく歩いている?
何故周りに興味を持たないのか?
すぐそばではウマ娘達がトレーニングに励んでいる
時折、少年に頭を下げるウマ娘もいる
訳が分からなかった
「会長ー、入るぞー」
そう言って彼は無造作に扉を開けた
部屋の名前は『生徒会室』なのだが
シンボリルドルフ、ナリタブライアン、エアグルーヴは目を疑った
入室してきた彼は彼女達から見て明らかに激怒していたからだ
『何をやった!』
思わず彼と一緒に入室してきたウマ娘と女性を内心責めたとしても、許される筈
アグネスタキオンは校庭のベンチでマックイーンとオグリキャップ、タマモクロスののんびりしていた
「ゴールデンウィークの合間の授業はしんどいなぁー」
「そうですわね。ですが、研鑽を積まねばならない身としてはありがたいですわ」
「そうだな。タマの言うことも分かるが、私は授業があった方がいいな」
「いやいや、オグリ君。君は放課後の料理研究会の試食がしたいだけじゃないのかい?」
「さて、どうだろうな?」
「それ答えてるやろ!」
女3人よれば姦しい。とは良く言ったものである
「かい、いえ、マックイーンさん」
「あら、スズカさん。どうされましたの?」
そこにサイレンススズカがやって来た
「実はさっきこも、いえタキオンさんの彼氏を見かけたもので」
「ほぅ?
彼が此処に来ているのかい、スズカ君」
「ええ、先程見かけましたので」
「ほな、探してみるか?」
「うん。手伝おう」
「オグリキャップさんは、彼のクッキーが欲しいだけでは?」
「ははは
彼のデザートも美味しいからね、分かるとも!オグリ君」
「では私もお手伝いしますね」
こうして
『タキオンの彼氏を見つける』緊急クエストが始まった
報酬はタキオンの笑顔と彼特製のクッキーである
マックイーン、タマモクロス、オグリキャップにサイレンススズカ。アグネスタキオンは彼を探すべくベンチを後にした
「あ、かいいえマックイーンさん
向こうに行きましたよ!」
「ありがとうございます」
「しかし凄いね、マックイーン君
さっきから沢山のウマ娘から彼の行き先を教えて貰っているが」
「ええ、まぁ」(言えませんわ!会員に彼の行方を見つける様にメールを一斉送信したなんて!)
現在はアグネスタキオン非公認組織である『アグネスタキオンを愛でる会』は入学式直後の講演会等の影響も手伝って爆発的な拡大を見せている。特に学園トップである理事長と駿川秘書、生徒会のナリタブライアン副会長の参加は大きかった
これにより、タキオンの目を逃れての広報活動も活性化した結果、結成より僅か数日でマックイーンの予想を遥かに超える勢いで大きくなっていた
だが、参加するものは鋼の掟たる『アグネスタキオンと彼を見守る』(名誉顧問未承認)を何よりも守る淑女であり、鋼の如き結束力を有していた
「おや?」
「いましたわね」
「どうしたんだい?」
「うおっ、タキオンか」
突然後ろから抱きついて来たアグネスタキオンに彼は動揺した
「おや?何やら不機嫌そうだね?」
「別に」
「隠さなくてもいいさ
ふむ、そうだ!あっちへ行こう!」
タキオンは何かを思い付いたのか、彼の腕を引っ張って行った
「尊みが過ぎますわね!」
「ああ、ありゃかなわんわ」
「うん、羨ましいな、あれは」
「ええ、本当に」
近くの物陰から2人を見つめるマックイーン、タマモクロス、オグリキャップにサイレンススズカであった
その先には
「タキオン、恥ずかしいんだが?」
「おやおや、いいじゃないか
私と君はトレセン学園公認の仲だろう?」
アグネスタキオンに膝枕されて、照れている彼の姿があった
彼は仰向けに、タキオンは嬉しそうに彼を見下ろしていた
「おい、節度はどこいった?」
「さぁてね?
君の好きな漫画で言うなら『休暇を取ってベガスにでも行っている』んじゃないかな?」
「そっか、なら仕方ないな」
「そうだとも、仕方ないのさ」
タキオンと彼は顔を見合わせて笑った
「写真を撮りたいですわ!永久保存間違い無いですわよ!」
「落ち着きぃ、マックイーン!
気持ちは分かるけどな!あかんで!」
「む、カメラか」
「私、無音カメラあるので撮っておきます?」
「そうだな、その方が顧問も喜ぶだろうし」
「ちょい、待ちや!なんでスズカは無音カメラなんて持ってんねや!」
「それは」
「なるほど、サイレンススズカだけにか?」
「ええ♪」
「スズカさん!会長権限で撮影を許可しますわ!
オグリキャップさんはタマモクロスさんを押さえなさい!」
「はい、わかりました♪」
「了解だよ、会長」
「待ちぃ、オグリ!スズカもやめんかい!
マックイーン何でそんなに満足そうなんや!
あかん!ツッコミが追いつかへん!」
というやり取りがあったとさ
切りどころがなかったので長くなった
皆様、アンケート協力ありがとうございます
おかげさまでお気に入り登録百件を超えました
信じられるか、まだこれ投稿始めて1週間経ってないんやぞ
投稿したから、投降します
オサラバッ!
ゴルシのライバル
-
ダイワスカーレット
-
ウオッカ
-
ツインターボ
-
トウカイテイオー
-
ハルウララ
-
カレンチャン
-
マヤノトップガン
-
ゴルシにライバルなんていらないだろ!