宜しければご参加下さい
前回の話は割と反応が怖かったです
では、どうぞ
シンボリルドルフの件があって暫くして、初夏を迎えようというある日のこと
「待てタイシン、どこへいくつもりだ!」
「待ってよータイシン!!」
ナリタタイシンは激怒していた
同室であるスーパークリークに余計な事を吹き込んだ男に
男は生徒会室に居ると聞いた
あの男の自宅にまで押しかけるつもりは、ない
だからこそ、この機会を逃すつもりは無かった
ビワハヤヒデとウイニングチケットを撒いたナリタタイシンは生徒会室のドアをノックした
「ああ、入っていいぞ
覚悟してから入ってこい」
「は?」
中から聞こえてきた返事にタイシンは一瞬言葉を失った
どうゆう事。此処は生徒会室のはず、間違っても私の部屋じゃないし、アグネスタキオンの研究室でもない。オグリキャップやメジロマックイーンの居る食堂でもないだろうし、エアグルーヴの花壇に踏み入る訳でもない
なのに何を覚悟しろと言うのか?
補足するとアグネスタキオンは現在、専用の研究室を与えられている。何故か機材や薬品の類は潤沢にあるという噂だ
何故噂かというと、タキオンの彼氏が出てきた時に七色に輝いていたのをタイシンも見た
しかも、平然としていたのだ。アイツは
鏡を見てないのかと思ったが、メジロマックイーンに「大丈夫ですの!」なんて聞かれた時も「大丈夫、いつもの事」って流してたから知っている
明らかにヤバい
次のオグリキャップとメジロマックイーンのいる時の食堂
語るまでもないが、トレセン学園一の健啖家であるオグリキャップに学園一のスイーツ好きなメジロマックイーン
2人が揃うと歴戦の勇者揃いのトレセン学園食堂職員も名誉の戦死が相次ぐ地獄絵図と化す
危ない
最後のエアグルーヴの花壇については
一度、ウイニングチケットが花壇に踏み入る事があったのだが、その場を見たビワハヤヒデとタイシンはその記憶を封じている
ただ一つ
花壇に踏み入る事だけは何があろうとも、しない
3人の中で犯してはならないタブーとなった
流石にこれらの様にはならないと判断したタイシンは生徒会室に入った
「失礼しま、す」
我が目を疑った
まず、エアグルーヴが蹲っていた
この時点で明らかにヤバい雰囲気しかしない
「え」
次にナリタブライアン
普段の凛々しい態度は一緒だが
「あのさ、ブライアン」
「なんだ、タイシン」
聞くべき事で無いのはわかる
ナリタタイシンというウマ娘の持つ直感が叫んでいる
「あれに触れるな」と
だが、それでも聞かねばならない
ナリタタイシンは意を決して
「何でウエディングドレスなのさ」
疑問を口にした
時は少し遡る
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
トレセン学園生徒会室で生徒会メンバーと彼は沈黙していた
「待て、何故貴様まで黙っているのだ!」
「や、ノリで」
「貴様という奴は」
エアグルーヴは頭を押さえた
「しかし、何故これが此処にあるんだ?」
「ふむ、タキオン君との婚姻衣装というなら祝福するが?」
「何故かと言われましてもねぇ
ルドルフ、大丈夫だ。今はまだその予定はない」
「そうか
では私にかな?」
シンボリルドルフは冗談混じりでウインクして見せた
「か、会長!?」
「おいおい」
2人は慌てる。何せシンボリルドルフというウマ娘は今まで冗談を言うようなものでは無かったのだ
「ふむん、それだとちと丈を直さんといかんのっすよ、ルドルフさんや」
「そうか。それは残念だな」
微笑みながらシンボリルドルフは彼に視線を送る
「では何なんだ、これは?」
「うん、ウチの地元からの贈り物です!」
「地元がこんなものを送ってくるのか」
彼の答えにブライアンは驚きを隠せない
当たり前だろう。どこの世界に中学生へウエディングドレスを送りつけてくる大人がいるというのか
「ん」
「何?私だと?」
「そ、タキオンと殆ど身長変わらないだろ?」
「それはそうだが、胸周りが」
「でぇじょうぶた!タキオンの将来性を見て作ったらしいからな!」
「やめてさしあげろ」
酷い話である
僅か半年足らずでそこまで身体的成長は見込めないというのに
3人はウエディングドレスの一点を見て、揃って目頭を隠した
「酷い」
「これが大人のする事か?」
「タキオン君は大丈夫かい?」
「大丈夫、一日中ハグしたら落ち着いた」
「それは大丈夫といえるのか?」
「い、一日中、だと」
「中々情熱的だね」
実際にはそれなりに大変だった
何せ、目を真っ赤にして暴れようとするタキオンを無力化する為に、彼は右腕を2時間に渡って噛みつかれていたのだから
以前の甘噛みではなく、歯を突き立ててだ
多少とはいえ出血したが、タキオンの為ならその程度問題にならない
落ち着いたタキオンは傷口を舐めるという割とアブノーマルな一幕もあったが、彼の不動の精神力で耐え切った
そしてその後しっかりイチャイチャした訳だが
実は薄手の長袖の下にはその傷がはっきり残っているのだが、そこまで語る必要性を感じてはいなかった
寧ろタキオンにつけられたこの傷も、タキオンからの物と思えば愛おしくすらあった
「それで、私か」
「無理強いはしないよ」
「ブライアンどうするのだ?」
「しかしウエディングドレスか
やはり女子としては憧れるものだな」
結局、ブライアンはエアグルーヴの手伝いの元着替えてみた
「ふん」
「へー」
「流石だな、ブライアン
良く似合っているな」
此処までは平和だった
だが
「しかしどうにも分からん
貴様とタキオンが釣り合うとは
ーーーっ!」
気が緩んだのかエアグルーヴは彼の地雷を踏んだ
「エアグルーヴ?今何つった。俺とタキオンが釣り合わねえって?」
とある傾奇者はいった
『人間にゃ触れちゃいけない痛みがある』と
エアグルーヴはそれに触れたのだ
「いや、すまん!他意は無かった」
エアグルーヴはらしくなく言い訳をする
何せ顔を伏せて、無言であるにも関わらず物凄い圧を感じるのだ
「覚悟はいいな?」
その時、3人には彼の目が怪しい光を放った様に見えた
「エアグルーヴそこの文の構成は『こうせい』よ」
「や、やめっ」
エアグルーヴはジリジリと後退するが
「残念だな。唾液を『たえき』っても無駄」
「っ!」
遂に壁際まで追い詰められた
「す、すまん!」
そして
エアグルーヴの耳元で
「言い訳して『いいわけ』?」
と囁いた
しかも妙に艶のある声で
「ーーーーーっっ!!」
エアグルーヴは床に蹲った
ちなみに
「おい、奴はドSという奴か?」
少しだけ引くブライアンと
「くっ、グルーヴめ、あんな美味しい役を!」
と少々おかしな事を言っている生徒会長がいたとか何とか
そして、彼は何事もなかった様にソファーに座るとルドルフと雑談を始めた
なおルドルフの尻尾ははちきれんばかりに振られていた
そんな中にナリタタイシンは入ってきたのだ
そりゃ、ナリタブライアンだって覚悟しろ位は言うだろう
そして
「ちょっと良い?」
タイシンは漸く目的の相手の前に立つ事が出来た
彼は
名称不明のウマ娘に少しだけ目を配った
耳と尻尾から軽度の興奮状態
顔と各部の状況より怒りと推察
腕部、脚部
中度の疲労状態にあると推測
結論、怒りによる興奮状態。放置すると故障の可能性が濃厚
と判断した
「良いも何も名前も知らない人の言う事を君は聞ける?」
「っ!
うるさい!」
精神状態も不安定。これは興奮状態との相関関係を認めず
彼は嘗て友人よりこう言われた事があった
「何かさ、お前って怖いよ」と
詳しい話を聞くと、アグネスタキオンに自分全てを捧げている様に見えて怖いとの事だった
彼はその友人の言葉が理解できなかった
タキオンは大切な幼馴染で好きな女の子だ。それを守ろうとするのが、そこまでおかしいのか?と
そこで彼は小説などを読み漁った
そしてある小説に巡り会えた
そこには愛の為に自身の想い人の為にならば、それこそ禁忌すら厭わず行なう男の姿があった
彼は憧れた。アグネスタキオンというウマ娘を守る為に何も出来ない無力な自分を変えたかった
家事が出来てもタキオンを守れない
タキオンを守る為にどうしたら良いのか?
そこで彼が考えたのはタキオンの姿を見ただけで彼女の体調や精神状態を把握できるならば、彼女を守れるのでは無いか?と
その為に、彼は自分の体を実験台にした
どの様な状態の時にこうなるのか?
どの様なダメージを受けたならば人はおかしくなるのか?
全て、タキオンの為に
それだけが幼い彼の願いだった
人は言うだろう
「狂っている」と
「間違っている」と
だからどうしたというのか?
タキオンは親に見捨てられ、自分は親を捨てたのだ
あの日タキオンは彼に言った
「君が壊れているなら、私もとっくに壊れているさ
壊れているもの同士、お似合いだろう?」
そして
「地獄に堕ちるなら、私も一緒さ。君だけを独りにはしない。だから私を独りにしないで」
彼は止まらない。タキオンがいる限り
タキオンは止まらない。彼がいる限り
「なに」
ナリタタイシンは目の前にいる男が目を伏せたのを見て、背筋が凍る様な感覚に陥った
しかし、ナリタタイシンというウマ娘は強いウマ娘だ
だからこそ
見てしまった
光も何もうつさない空虚な瞳を
「ーーーーーっっっ!!!」
ナリタタイシンはその場に座り込んで動けなくなった
ナリタブライアンもエアグルーヴも隣にいるはずのシンボリルドルフも見ていない
あの空虚な瞳を
「ありゃりゃ、腰抜かしたのかな?」
「そのようだが?」
突然様子がおかしくなったナリタタイシンに疑問を持つルドルフだったが
「ま、連れてくわ。今日はこれで帰るなぁ」
「ああ」
「気をつけてな」
彼はナリタタイシンを抱き抱えて生徒会室を後にした
「アンタ、何なの?」
震える声でタイシンは問いかける
「何だろうなぁ」
「真面目に答えろ!」
タイシンはこの男が怖い
それでも、何かしないと終わる気がした
致命的な何かが
エアグルーヴを撃沈したイケボイスは母親の仕込みです
基本タキオン専用ですが、今回初めてタキオン以外に使用しまひた
やったぜ
では次回も宜しければご覧ください
タイシンの説得はうまくいく?
-
いく
-
いかない