携帯止まってたけど、何とか回復できたし、コロナにかかってたけど回復出来たからヨシッ!(現場猫)
暫くシリアス路線となります
彼は彼女が何を言っているのか、全くわからなかった
彼女は言っている
「お前は誰だ」
と
それには胸を張っていえるだろう
アグネスタキオンの彼氏だと
「違う。確かにアンタはアグネスタキオンの彼氏なんだろう。けど、それ『以外』のアンタはいるのかって聞いてんの」
ナニヲイッテイル?
幼い頃から同じ時を過ごしたアグネスタキオン
彼女は自分にとっての目標であり、希望であり、道標でもあった
目標であるからこそ、己を磨いた
彼女の傍にいれるように
希望であるからこそ、守りたかった
本当は弱い彼女を支える為に
道標だからこそ、彼女の輝きを失わせたくなかった
彼女が沈んでいるところなど見たくもないから
昔の彼にとってはタキオンが1で、その他は例外なく0だった
それのどこがおかしいと言うのか?
弱い自分がこの手に抱えきれるモノなど多くはない
その後、タキオンの従姉妹であるダイワスカーレットという少女もその範疇に入った
タキオンの希望だから。という理由で
しかし、此処で彼の中に疑問が生じた
ありえないとは思うが、タキオンとスカーレットが対立した場合はどうすれば良いのか?と
タキオンの側にいるのが正しいだろう
だが、優しい彼女はスカーレットを思って心を痛めるだろう
スカーレットの側にいれば、スカーレットは守れてもタキオンの心は傷つくだろう
そしてアグネスタキオンという少女はそれを隠せてしまう
彼の中で少しずつ歯車が狂い始めた
そして、トレセン学園という新たな環境に身を置いたタキオンはその輝きを更に増した様に見えた
それ自体は歓迎すべきだろう
問題とすべきは、己の感情が徐々にコントロール出来ていなくなっている様に感じれる事だ
そもそも、外野が何を言おうともタキオンの耳に入らないのであれば、それは全て些事であった筈
ところがトレセン学園に来た初日から、生徒会メンバーとのあのやり取り
まるで幼い頃の自分ではないか
弱く、タキオンを守るための術も知らず、ひたすら足掻いていたあの頃の自分
そして、彼はかつてのタキオンによく似た少女に出会う
バカなやり取りをして、くだらない話をして、そして
それを自覚した時、彼の中でナニカガ壊れた
アグネスタキオンにとって、ウマ娘達にとって『理想の人物』という虚像が無くなれば、彼には何も残らない
彼の中にあるのは、ただアグネスタキオンの為に
それだけなのだ
呆然とする男
ナリタタイシンは目の前の男がここまで無防備な所を見た事がない
タイシン自身はあまり人付き合いを好んでいない事もあってか、チケットやハヤヒデ経由の話ではあるが、基本的にこの男はアグネスタキオンの側以外では気を抜かないと聞いていた
様々な噂を聞いたことがあるが、とても噂の様な頼りがいのある人物には見えなかった
寧ろ、道に迷っている子供のような印象すら抱く
彼はとりあえず目の前の少女を保健室に連れて行った
「ちょっ」
彼女をベットに寝かせると、彼は逃げるようにその場を後にした
ナリタタイシンは腰が抜けていた自分を叱責した
『此処で動かないとか、絶対に駄目』
タイシンは強迫観念にも似たそれに突き動かされた
動かない?
ふざけるな。私は、ナリタタイシンはそう言った周囲の声に反発してきたのでは無かったのか?
体格が小さいから、パワーがないから、スタミナがないから
そんな周りの声に反発して、このトレセン学園でナリタタイシンというウマ娘を認めされるのでは無かったのか?
その為に連日トレーニングに明け暮れていたのでは無いのか?
確かにこの男とタイシンは多分、そりがあわないのだろう
だからといって、自分の知人の恋人がおかしくなっているところを放置できる程にナリタタイシンというウマ娘は薄情でも、無情でもない
だから
「この、待てっての!」
走れ
走れ
走れ!
目の前の男がどうではない
そして、アグネスタキオンの友人であるために
タイシンのスタートが遅かったとしても、あの男は生徒会のエアグルーヴとナリタブライアンを攪乱したとはいえ、走りで上回った規格外である
にも関わらず、タイシンが保健室を出た時にはまだ視認できる所にいた
そして、タイシンの姿を見て怯えるかの様に男は校舎の裏側へと走っていった
今の時間で校舎裏にいるのは、エアグルーヴと自主トレーニングをする自分くらいである事は他ならぬタイシンが良く知っている
「待てっての!」
タイシンは上履きのままで校舎裏に駆けて行った
男は混乱していた
何故、僕は此処にいる?
タキオンの為と言いながら、タキオンの傍に居ないではないか?
タキオンの姿を求めて、彼は校舎裏へと来ていた
誤解されがちであるが、彼は決して社交的でも明るい性格でもない
寧ろ、内向的で閉鎖的な性格であった
それを
そうしなければ、幼い頃のアグネスタキオンを取り巻く状況をどうにも出来なかったから
『いや、違うだろ?』
と彼の中のもう一人の自分は囁く
『お前が自分を偽ったのは、
彼は必死に否定する
『そうだよなぁ
違う
『アグネスタキオンの両親も、お前の両親も、周りの大人達も、同級生達も、お前にとっては邪魔だったんだろ?
だから、お前は自分にアグネスタキオンを依存させた
そうすりゃ、お前は
違う
『違わねぇよ。じゃなきゃ、もっと惚れた女を周りに理解させる様に動けた筈だ
断じて、逃げる様に
違うっ!
僕はただ、タキオンと一緒に居たかった
ただ、
『は
だから、自分の好きな女を自分に縛りつけたってのか?
自分一人じゃ、何も出来ない奴が?』
内なる自分は嗤う
『そもそも、お前の今出来ている事はお前が心底嫌っている大人たちによって手に入れたもんだろうが?
笑って欲しいなら、簡単だろ?
お前が消えりゃあいいんだよ』
き、える?
『そうだ!
お前は嘘の塊だ!そんな醜いモンが傍にいたら、アグネスタキオンの邪魔だろう?
自分が何なのかも分からないお前如きがアグネスタキオンの傍に居る資格なんてないんだよ!』
資格、ない?
僕がタキオンの傍にいると、タキオンのじゃまになるの?
彼が呟くと
「ふざけないでよ」
誰かの声がした
ナリタタイシンは男を追いかけていると、男が急に頭を抱え出したのを見た
そして、焦点の合わぬ目でぶつぶつと何かを呟いていた
殆ど聞き取れなかったが
「タキオンの傍にいると、タキオンの邪魔になるの?」
という言葉だけは不思議とはっきり聞こえた
「ふざけないでよ」
という訳で支離滅裂な彼でした
実は彼の内面はボロボロだけどだったというお話
バッドルートの方が早く書き終わってたのはここだけの秘密(小声)
また、のんびりこうしんしますので、宜しければお付き合いください