というか、お気に入り数が洒落にならないので怖いですが、どうぞ
ナリタタイシンは自分の中に生まれた感情を制御しきれなかった
目の前の男は事もあろうにアグネスタキオンといる事が邪魔になると言ったのだ
このトレセン学園で誰がそんな事を思うと言うのか?
あり得ない
確かに噂では警備員の詰所には常にブラックコーヒーが5ケース程ストックされているだの、そこに配置される警備員はコーヒーが飲めなければならない決まりがあるだの聞いた事はタイシンもある
だが、独り身の警備員達とて、あの二人については好意的に見ているとチケットやハヤヒデから聞いたことがある
では、男の学園立ち入りを認めた学園の理事会?
それもないと断言できる
確かに目の毒になる程にバカップルであるが、ウマ娘と一般男子の新たな可能性を秘めた二人を許容しない理由ことない
理事会といったところで、トレセン学園の責任者であり最大の出資者である秋川家の人間である秋川やよい理事長の意向は無視できる筈もない
ならば、私達ウマ娘?
それこそ、あり得る訳がない
もし、反発があるのであれば学園としてスタートした直後に男を呼んだまで講演会の様なモノした時に出席する筈も、あの怪しげな組織に続々加入する筈もない
メジロマックイーン?
アグネスタキオンの親友であり、男とも直接やり取り出来る数少ないウマ娘
そして、なによりも二人の関係を守ろうとしている。それこそ、実家であるメジロ家の力を使ってでも
ビワハヤヒデ?
アグネスタキオンの近しいウマ娘であり、何よりある意味ではアグネスタキオンと同じ様にデータを集める事好きな同好の士
ウィニングチケット?
人情家の彼女が友人の恋路の邪魔をする筈もない
サイレンススズカ?
ミホノブルボン?
ライスシャワー?
トレーニング狂いの様に見えて、実は相当の恋愛スイーツ脳の彼女達が2人の関係を邪魔させるとでも?
寧ろ邪魔するモノを排除する側だろう
タマモクロス?
まずない
なんだかんだで腹もちの良いメニューを一緒に考えているとも聞く
では、そのオグリキャップ?
それも考えにくいだろう
なんだかんだ言って、彼女であるアグネスタキオンも複雑な顔をする程に彼の食事を気に入っているのだから
ならば、マンハッタンカフェ?
確かに
だが、マンハッタンカフェとて散々愚痴ってはいるものの、アグネスタキオンの研究にも興味がある訳だし、彼の所有している本も気になるならしい
自他ともに認める読書家であるカフェにとって、タキオンの彼氏は色々とお世話になっているとも聞いている。
だからこそ、ありえないだろう
いつも気苦労の絶えない生徒会メンバー?
確かにエアグルーヴは少しばかり当たりは強い様に見えなくもない
だが、タイシンは一度だけ聞いた事があった
エアグルーヴが花を育てている花壇。その一部はあの男から種を貰ったと
ならありえないだろう。彼女も義理堅い性格をしているのだから
ナリタブライアン?
エアグルーヴから聞いた話では、どちらかといえばあの男と一緒にエアグルーヴをからかったりしてくると良く愚痴を聞く
となれば、そこまでの悪感情を持っているとは思えない
確かに厳格そうな彼女であれば、特例措置の相手に対して良い感情を抱くとは考えにくいだろうが(生徒会室での一部の会長関連の話はエアグルーヴも話せなかった)
だが、ある程度トレセン学園に貢献している男を嫌うほど、シンボリルドルフというウマ娘は考えなしとも思えないが
ナリタタイシンは蹲る男の前で思考の海に沈んでいた
アグネスタキオンはウマ娘である
ウマ娘というモノは何故か第六感にも優れている者が多くいる
アグネスタキオンもその例に漏れない
そして、アグネスタキオンにとって文字通り『人生の殆どを共にした』彼関連でのこの直感というものは十分に信用出来た
ふむ、嫌な予感がするね
いつものように、目的のための
そして
おや?あれはナリタタイシンくんじゃないか
ふむ?
珍しい事もあるものだね。彼女があそこまで余裕なくしているなんて
廊下の奥から校舎の裏に駆けて行ったナリタタイシンを見たタキオンは首を傾げた
ナリタタイシンという人物は確かに人付き合いが良い方ではない。だからとて、周囲の輪を乱すような事をする訳でもないし、人の意見にもある程度は耳を貸す
はっきり言えば、色々とアウトな実験もするタキオンより余程にマトモであると常々思っていた
だからこそ、そんなナリタタイシンが靴を履き替える事すら惜しんで校舎裏に向かった事は気がかりであった
そして、あの表情。あれは追い詰められて逃げている顔ではない
追い詰められていたとしても、『何か』を追いかけている顔である
校舎裏に回ったアグネスタキオンは目を疑った
いつも飄々として、
そのそばにナリタタイシンが居たが、彼女が彼に何かをしたとは思わなかった
「〇〇。どうしたんだい?」
男は自分の側から聞き慣れた声が聞こえた為に、その方向を向いた
アグネスタキオンは目を疑った
いつもの彼でなく、それこそ小学生の頃。それもタキオンと一緒に遊んでいた頃の彼の顔をしていたからである
「タキオン。僕、タキオンの傍に居ても良いのかな?」
耳を疑った
話をタキオンはゆっくりと聞いた
ナリタタイシンはその場を離れようか?と視線で問いかけてきたが、タキオンはいて欲しいと返した
今の彼は間違いなく普通ではない
確かにタキオンは彼の彼女であるし、一番近しい者だと断言できる
だが、だからこそ見えないモノもあるとも考えている
タイシンには悪いとは思うが、付き合って欲しいというのが、タキオンの本音であった
話を聞いて、タキオンはどれだけ彼に負担をかけていたのかを今更ながらに痛感した
そして、どうしたら良いか迷った
恐らく、このままの環境であるならばタキオンは良くても彼は潰れるのではないのか?
であれば、どうするのか?
彼と別れるのか?
タキオンの冷静は部分は彼と別れるべきと言う
彼は今までタキオンを支え続けてくれた
だが、彼の人生をこれ以上おかしくするのは耐えられない。と
だが、タキオンの女の部分は言う
彼と別れたくない。と
タキオンにせよ、彼にせよ根本的に自己犠牲型の人間なのだ
彼の方が些か以上に自己犠牲な上に献身的といえなくもないが
「あのさ、タキオン
アンタ達恋人同士だけど、私達も頼りなよ?
それとも、私達は当てに出来ない?信用出来ない?」
そんな事はない
「ならさ、もっと頼りなよ
いつも自分で解決しようとしてる私が言うのもおかしいけど、少なくともこの学園関係者の中にアンタ達を助けようとしない奴がいると思ってんの?」
だが
「ああ!もう、まどろっこしいな!
少なくとも、私はアンタ達の事を応援してるし、羨ましいとも思ってる!
もっと頼りなよ」
そう、か
アグネスタキオンにとって、トレセン学園は確かに救いであったのかも知れない
だが、救いであると同時に彼の生活を壊してしまった要因でもあったのだ
確かに彼は一緒に来てくれた。それ自体は凄く嬉しい
それでも、ふとした時に思うのだ
タキオンは家族から見放されていた
だが、彼はそうでは無かったのだ
実は一度だけ、トレセン学園宛に手紙が届いていた
彼の従兄弟からの物だった
文面はただ一言
兄貴を返せ
だった
この時、アグネスタキオンは知ったのだ
家族から疎まれていた
知らなかったでは済まされない
何が『現代のシンデレラ』だ
自分は〇〇という人間を不幸にしただけではないのか?
そんな思いが常に頭の片隅にあったのだ
依存し合っていながらも、何処かでおかしかったのがタキオンと彼の関係であった
そうさ、私はバカで愚かな女でも良い
それでも
「〇〇。そのままで構わないから聞いてくれ
私はどれだけ君が辛くても、君にいて欲しい。浅ましいと言ってくれても構わない
でも、私には君が必要なんだ。好きなんだ
一緒に生きて、一緒に死んでくれないか?」
我ながら本当に度し難いものだと思う
大切ならば、守る為に力を尽くすべきであり、それでも守れないならば自分から離せば良いだけの事
だが、アグネスタキオンにとっての彼は世界と同じであり、彼を欠かした世界に価値を見出せるとは思えなかった
「タキオン
僕もタキオンと一緒に居たい。タキオンが許してくれるなら」
そして、2人は泣きながらキスをした
ナリタタイシンは部屋に戻った後、あの2人について考えていた
多分、一般的にはあの2人はおかしいのだろう
だがタイシンにはあの2人を否定出来なかった
恋人もいないし、そんな候補もいないタイシンであるが、それでも素直に羨ましかった
そして、タイシンは一つの決意をした
翌日、メジロマックイーンにナリタタイシンはとある話を持ちかける事になる
その頃、トレセン学園の外側で一つの騒ぎが起こっていた
『現職国会議員による不正取引?』
ある新聞の一面にそんな記事が掲載される事になる
実は彼の家族側から相当恨まれているタキオンでした
両親はある程度事情を知っていますし、叔父や叔母も知っていますが子供達はそんな事知りませんので
これから、色々と悪意に晒される事になりますが、純愛ですし、パッピーエンド(当社比)になるので、許して?
彼のシンボリルドルフの呼び方
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ルナ
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ルドルフ