シリアスの箸休めにござる
シンボリルドルフは今緊張していた
どれだけか?
そう聞かれたならば、トレセン学園生徒会長に任命されるより
そう即答するだろう
先日、アグネスタキオンの従姉妹であるダイワスカーレットとその友人であるウオッカがトレセン学園に来た
それ自体は問題ない
ないどころか、次代のウマ娘と交流出来たのはシンボリルドルフとしても嬉しい限りである
ゴールドシップ?
生徒会のエアグルーヴと致命的に合わないので、生徒会室には来ない
交流出来たのは非常に喜ばしい事であった
ブライアンとグルーヴとの模擬レースも良かったと思う
その後の『トレーニング大好き三人衆』とのトレーニングが無ければ、もっと良かったのだが
別に彼女達のトレーニングメニュー自体を否定するつもりは毛頭ない
ないのだが、空き時間を見つけてはトレーニングに励む3人に比べて後輩2人は環境が整っていない。ルドルフの場合はそもそも時間が足りないのも事実
出来る範囲で効率的なトレーニングをしていると自負しているが、彼女達程のトレーニングをしているかも問われるならば、否であろう
一応、3人の中では『比較的』常識的なサイレンススズカに任せようと言う話もあったが、アグネスタキオンより頼まれた為に断りきれなかった
まぁ、済んだ事なのだが、問題はアグネスタキオンが何故か1日だけ彼氏を貸してくれると言ってきたのだ
いや、待ってくれ
どういう理屈だ、それは
おかしくはないとおもうんだがね?
先日の件で生徒会メンバー、特にルドルフ君には負担をかけた。だから彼と一緒に居て気晴らししてはどうかな?
そう言う話さ
という事で、何故か日曜日に生徒会室で待ち合わせをしているのだ
というか、彼は一応部外者なのではなかっただろうか?
ルドルフは首を傾げた
実のところはアグネスタキオン、トレセン学園公認サークル『アグネスタキオンを愛でる会』の暗躍があったりする
この学園において、理事長と生徒会を味方につければ大概の事は上手く回るのである
故に彼についての処遇は電光石火の如き速度で決まった
理事会を通す案件であるが、現在のトレセン学園最大の広告塔でもある『シンデレラの王子様』の懸案であるかま故に即座に採決された
まぁ、生徒会でナリタブライアンが協力者なので仕方ないとも言えなくもないが(その組織の副会長である事をルドルフ本人は自覚してない為)
「おっす、ルドルフ
元気かー?」
あ、ああ
おはよう
「うん?」
どうした?
いきなり目を細めた彼にルドルフは驚いた
「うし、まずはマッサージするか」
は?
ルドルフは間抜けな声を出すしかなかった
つまり、私の背中部分に異常が見られるということか
「あくまでもプロじゃねぇから、確定ではないけどな」
彼の説明を受けたルドルフは内心驚いていた
そういえば、初対面の時のレース?の感想をブライアンとグルーヴに聞いた時も言っていたのを思い出した
「奴は身体能力で勝てないことなど最初からわかっていたのだろうな。その上でエアグルーヴの冷静さを奪い、私からも背を見せる事でいつしか冷静さを奪った。そう見えたな」
「ぐ、否定できんなそれは。と言う事はあの不自然にコースを走ったのも」
「推測だが、最後に奴は私たちの側を逆走で通り抜けた。あの為の物だったと思うが」
「あの男の洞察能力はとんでもない水準という事が」
2人に話を聞くと、苦々しそうに話をしてくれた
当然だろう。ウマ娘の中でも同年代では上位の実力者である筈の2人が一般男子に出し抜かれたのだから
「あのなぁ、ルドルフ
基本的にウマ娘だろうが、なんだろうが隠せないものって幾らでもあるんだよ?
筋肉の動き、緊張。視線の動きや意識の動き方」
いや、言っている意味は分かるが
「伊達にタキオンの幼馴染やってないんだよ。剣道してたのだって、視線や呼吸による動作の影響を調べる為だったしな」
そこまでか
実際、剣道のみならずとも視線を追う事はスポーツ全般で有効とされている
先手を取るに越した事はないが、後手の場合でも相手の行動をある程度予測出来ていれば対応し易くもなる
「お客さーん、だいぶ疲労が溜まってますよ?
少しは休んではどうですかねぇ?」
ふざけて声をかけてくる彼だが、決して遊んでいるわけでないのは他ならぬ私には理解できていた
明らかに疲労感が和らいできたからである
休めるものならそうしたいけど、そうもいかないさ
「程々にしとけよ?
ルドルフみたいなのは、溜め込みすぎて潰れる事もあるだろうからな?」
流石にそこまではないと思うけど
「ルドルフは期待を力を変える事が出来る
でもな、悲しい事に頼れる者を見つけた者の中には、自分で何かをする事を厭う様になる者もいるのさ?」
そういうものなのか?
「誰しも失敗は嫌がるものだろ?
なら、自分より優秀なものに託したくなるもんさ。ついでに責任も押し付けられるからな」
勿論、彼の言う事は極論である
が、間違いなくそういった者は少なからず存在する
その様な輩にルドルフの労力を費やすのは勿体ないと彼は思っていた
分かった。心に留めておくとするよ
ルドルフも彼の気遣いが分かった為に素直に答えた
「さて、マッサージは一通り終わったし、どうするよ?」
ふむ、どうしたものかな?
実はルドルフにも彼に頼みたい事はある
あるのだが、あまりにも恥ずかしい事である為に言い出せなかったのである
が、ルドルフは失念していた
目の前にいる男は些細な仕草から相手の内面を読み取る事に長けている相手だと言う事に
更にルドルフは知らない事だが、彼女と昔のアグネスタキオンには共通点が多い為に、かなり正確にルドルフの本心を理解してしまえるのであった
「あれか?
たかいたかいがご所望か?」
っぐ!
な、ナンノコトカナ?
「そっかそっか
よしよし、そう言う事ならお兄さんに任せておきなさい」
ルドルフの動揺を見抜いた彼は以前見せた満面の笑みを浮かべながらルドルフに近づいてきた
ま、待て。その笑顔はなんだ?
は、話し合おう、話せば分かる
さしものシンボリルドルフとて、この状況の彼に抗するのは危険と判断して、海軍将校に射殺された某総理みたいな言葉を発する
「問答無用☆」
様式美と言わんばかりに定型句を満面の笑みで放つ
そして
「はーい、ルドルフちゃん。たのちいでちゅかー?」
ーーーーーーっっっっ!!!
いつぞやの光景が再現された
しかも、明らかに今回の彼は楽しんでいる
輝く様な笑みを至近距離から直視したシンボリルドルフ(恋愛レベル最低値)に抗える筈もなかった
待て、よく考えれば恥ずかしがらずとも良くはないだろうか?
ルドルフの脳裏にふとそんな疑問が浮かび上がる
今日は日曜日
校庭ではいつもの3人と1人が自主練習をしているが、この校舎内にいるものはルドルフと彼のみ
ならば、彼に見られることさえ許容して仕舞えば、甘えたい放題ではないのだろうか?
生徒会長としての威厳?
そんなものは月曜日まで何処かは投げ捨てておけば良い
そう判断したルドルフは
んーーー♪
久しぶりに〇〇としての自分を見せる事にした
それから、30分程たかいたかいをして貰ったルドルフは昼ごはんの時間である事に気づいた
「ん?飯か」
そうだな、食べに行かないと
内心では落ち込んでいるルドルフだったが
「弁当持ってきたから、食べるか?」
この前の裁縫と言い、偶にしてる料理講習会と言い女子力高すぎやしないかい?
シンボリルドルフは彼の弁当を食べながら、愚痴をこぼした
「ん?
どうだろうなぁ。たまにタマモクロスとしてるよ、確かに」
シンボリルドルフとて、女子である以上はある程度の家事能力は有している。いるのだが、明らかに彼と比べると負けている気しかしなかった
曲がりなりにも好意を寄せている男子が自分より家事能力に秀でているというのはルドルフとしても複雑な思いにならざるを得なかった
「気にすんな」
いや、普通に落ち込むんだがね
と言いながらも、箸は止まらないルドルフだった
尚、ミートオムレツが気に入った様である
そして、昼からルドルフのお願いにより膝枕からの耳掃除となった
ウマ娘にとって、自身の耳というのは大切なものであり、尻尾と耳を勝手に触られた場合、警察沙汰になるレベルの事であったりもする
その耳掃除を彼に頼んで、その後は彼の膝枕で半日を過ごした
かなり昔の話とはなるのだが、耳をウマ娘が触らせる事は婚前交渉という意味を含んだ行為という事をアグネスタキオンから聞いたシンボリルドルフは顔を真っ赤に染めたらしい
というわけで会長は甘やかされましたとさ
お気に入り三百件突破とか、たまげたなぁ(白目)
という訳でアンケートを実施しますので、よろしければご協力ください
記念小説の内容
-
タキオン
-
ゴルシ
-
ダスカ
-
会長
-
オグリ
-
タマモ
-
ウオッカ
-
過去話
-
早く本編書け