なんだかんだ言われている彼女も周囲の環境から振り回されている感じがしましたので、こうなりました
私はハッピーミーク
桐生院家所属のウマ娘だ
とはいっても、現在のウマ娘というものが活躍できる環境は本当に少ない
規模が少ないレースと賞金
その少ないパイを奪い合うウマ娘とトレーナー達
だが、あまり人気のないレース故にスポンサーも少ない
当然それに比例して賞金も少ない
そんな中、それでも勝つ為にウマ娘を育てようとするトレーナー達
だが、その為のノウハウが無い者達とノウハウを豊富に持っている桐生院の様な名家では当然だが、知識という一点でも大きな差がある
加えて、桐生院などのウマ娘を代々育てていた家は独自にトレーニング設備を保有している事が多く、育成の環境においてでも埋めがたい差があった
知識に加えて効果的なトレーニングを有する者とそうでない者。 ウマ娘とトレーナーがどれだけ力を尽くしたところで、容易に埋められる差ではなかった
故に勝敗は余程のことがなければ覆る事はない
だから観客も増えないし、人気も出ない
観客からすれば、わかりきったレースであるなら当たり前であるだろう。勿論、番狂わせがないわけでも無いが殆ど起きない
『このままではこの業界に未来はない』
桐生院などはこの事を理解してはいたが、長年の間これをどうにもできる者は現れなかった
そこには、例えどの様な形であったとしても一つの世界において『名門』と呼ばれている事に満足してしまった者たちが多く居た事が影響していたのだ
ところが、近年勢力を持ち始めた秋川家の秋川やよいを中心にウマ娘達の育成組織『トレセン学園』を作る話が出てきた
実のところ、秋川本家が衰退するウマ娘によるレース事業に参入する為にトレセン学園を作ったという側面も存在する
口の悪い関係者は『金持ちの道楽』という者もいたが
しかしである。トレセン学園というウマ娘に一定のトレーニングを行える施設ができる事は大きかった
今までは個人の裁量の範囲内でしか行えなかったトレーニングやその設備の確保。ウマ娘の食事の確保も出来るのだ
この辺りも新規のトレーナーがレースへ参入する事を阻む大きな要因だったのは言うまでもないだろう
画一的なものであれば、そこまでの不公平感は生まれない
あとは、ウマ娘やトレーナーによるトレーニング次第と言える
そして、ウマ娘達によるウイニングライブ
今までのウマ娘によるレースに比べると話題性もある。ライブというものにより、集客も見込めるだろう
見目麗しいウマ娘達によるライブともなれば、若年層の新規ファンを呼び込む事も期待できる
となれば、それに便乗しようと言うスポンサーが現れるのは必然だった
そしてハッピーミークが所属する桐生院においても、それは一緒だった
いや、寧ろ今までの事を考えれば桐生院が今後のウマ娘関連の先駆者となろうとするのは当然の流れでもあったのだろう
当代当主の一人娘、桐生院葵は桐生院の教えを受け継ぎ、トレーナーとしては一流である
ウマ娘の指導者として、桐生院が長い間培ってきた知識を幼い頃から葵は教え込まれてきたのであるから、当然とも言えるだろう
しかし、以前トレセン学園訪問の際にもあったが、日常生活においては桐生院葵という人物は世間知らずである
誤解されがちだが、別に桐生院葵がモノを知らないのではない
「ねぇ、ミーク
またトレセン学園に行けないかな?」
そら来たぞ
ハッピーミークは内心でため息をつきながら
「無理。というよりこの前迷惑かけたのに何考えてるの?」
「で、でもあの時は初めてだったから」
恐らく葵は『現代のシンデレラ』ことアグネスタキオンに会いたいのだろう
前回の訪問では秋川理事長や生徒会からの組織的な説明しかなかったからだ
本来ならば、色々施設の説明や在籍するウマ娘との交流を予定されていたのだが、駅と通用門で余計な時間を使い過ぎた結果こうなった
「勝手に訪問しても迷惑になるだけ。葵も来年からは正式にトレーナーとして活動する事になる。
もう少し、自覚するべきだと思う」
「ううっ、でも」
「葵が気になるのも仕方ない事だとは思う。でもシンデレラの件はデリケートな問題。興味本位で迂闊に触れるなんて、あってはならない」
葵は落胆しながら
「はぁ。そうよね。
この前、キチンとしてたらなぁ」
「後悔する位なら、もう少し考えて行動してほしい
もう葵は子供じゃないから」
「そうよね」
葵は沈んだ様子で部屋に戻っていった
だが気づいているのだろうか?
彼女が迷惑をかけた少年こそがシンデレラの相手だった事に
知るはずもないだろう
ハッピーミークは内心自嘲した
桐生院家において、葵に
それは葵の担当ウマ娘であるハッピーミークも例外ではなかった
桐生院葵は今年まで大学生であり、来年からはトレセン学園所属のトレーナーになることが決まっていた
一応トレセン学園のトレーナーになる為には試験を突破しなければならないが、そこについては誰も心配していない
葵のトレーナーとしての力量は確かなのだから
トレーナーとしての英才教育を受けるその一方で、大学生活においても、必要以上に同級生との交流は許されず、基本は桐生院の家での教育が主であった
彼女が友人としている者達は桐生院家が認めた者のみである
桐生院葵という女性に対して、桐生院という家が求めるのはトレーナーとしての実力のみだった
ところが、トレセン学園ができた事で少し状況が変わった
葵がトレセン学園に所属すれば、そのままハッピーミークの担当になる
そして、トレセン学園に所属するトレーナーは狭き門をくぐり抜けることの出来る才能の持ち主ばかり
そして葵は言うまでもなく、日常生活においてはポンコツである
トレーナーとしての葵と付き合えたとしても、私人としての葵に付き合える者はそう多くはないだろう
ましてや、それが異性なら尚更
確かに葵は容姿端麗であり、頭脳明晰と言っても過言ではない
見た目に釣られる者も出て来るだろう
だが、果たして一般常識はあっても、生活知識の無い葵とプライベートで付き合える男がどれだけいるだろうか?
まして、多感な年頃の娘をトレーニングしているトレーナーだ。誰が好き好んで休日にまで付き合うのに疲れる葵と時間を作ろうとするのだろうか?
そんな男はよっぽどの世話好きか、葵を真剣に見ている者になるだろう
それが桐生院本家の狙いだった
トレーナーとして一流であり、不器用ながらも人を思いやれる。そんな葵であり、悪意は一切ない。
一度懐に入れてしまえば、早々見捨てれるとも思えない。その程度で見捨てるなら、最初から興味を持つわけないのだから
そして、一緒にいる時間が長くなれば長くなるほど情が湧く筈だ
必要なら、適当な障害を用意する事も本家ならやるだろう
そして、葵とトレーナーが結ばれた瞬間、桐生院本家の野望は成就する事になるだろう
仮に葵を取り巻く環境から、本家を敵視するのであれば、それもまた彼らからすれば問題にならない
本家を敵視したとして、葵は間違いなく本家の被害者なのだから
自分たちが敵視される『程度』で葵がトレセン学園のトレーナーと結ばれるのであれば、彼等は躊躇わないだろう
仮に本家が葵の彼氏と争ったとして、本家が勝てばあらゆる方法を駆使して彼氏を桐生院に取り込むだろう
万一本家が没落しても、問題ないと判断するだろう
本家の人間が望むのは『桐生院』という血が絶えぬ事なのだから
本家を没落させたとなれば、葵は唯のトレーナーとなる。間違いなく彼氏は放っておけまい
そして、2人の間に子供が生まれたならば、性別関係なくその子には桐生院の血が流れている
2人がトレーナーから離れたとしても、問題ないだろう
どれだけトレーナー業から離れたとしても、2人がトレーナーであった事は事実
子供に親の話をする時に果たして『トレーナー』『ウマ娘』と言う単語を使う事なく、子供の疑問を解決できるだろうか?
そして、子供は少しでも疑問に持てば調べるだろう
そうなれば、誰かが2人の事を話すだろう。『純粋な善意』で
そして、両親に憧れを持つならば必ずトレーナーへの道を一度は目指すだろう
そうなれば、『滅んだ旧家』である桐生院の血筋である子供をメディアは放っておかないだろう
どこまで行っても、このままなら葵は
この事はミークの前に桐生院に居た先輩のウマ娘より聞いていた
この様なおぞましい考え方が出来るのが名家というものであるのなら、ハッピーミークは名家など滅ぼしてしまえと考える
確かにポンコツでどうしようもないほどに抜けている葵だが、ミークはそんな葵が嫌いではない
というより、嫌いになれる筈がないのだ
確かに私生活ではどうしようもなくポンコツで、ミークや周りを困らせてばかりだ
それでも桐生院葵という人間はトレーナーとして立派にミークを導いてきた
それだけば、誰であろうとも否定させない
かの組織を利用するようで悪いとは思うが、ハッピーミーク個人で桐生院に逆らう事は無理である
失敗すれば、葵の人生に関わる事は出来なくなる事は間違いないだろう
そしてミーク自身、自分のピークは恐らく3年程度だと考えている
となれば、引退したウマ娘となったミークが葵の側にいる事を許されるとも思えない以上、時間的猶予は少ない
仮に輝かしい結果を残そうとも、ハッピーミークはどこまでいっても桐生院のウマ娘
どのように立ち回ったとて、桐生院の思惑の上を行く事は難しいだろう
かの組織はウマ娘を中心に名家であるメジロ家に何故か国会議員も名を連ねていた
ウマ娘もまた、桐生院に育てられてきたミークから見ても実力者ばかり
来年以降、間違いなく名前が売れるだろう
そうなれば、社会的影響力も有する事になる
葵の未来を守るため、ハッピーミークはたとえ恨まれようとも手を選ぶ事は出来ないのだから
ただ願えるならば、あのポンコツでも優しいトレーナーに幸せな未来を
それがハッピーミークの願いであり、祈りであった
桐生院本家の狙いはウマ娘関連の業界において、名を残す事と
桐生院の血を絶やさない事
その為ならば、彼等はどんな手でも取ります
ハッピーミークが例の組織に加わったのもこう言う理由からでした
記念小説の内容
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タキオン
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ゴルシ
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ダスカ
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会長
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オグリ
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タマモ
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ウオッカ
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過去話
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早く本編書け