トレセン学園を始めとした一連の計画は『国家プロジェクト』です
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とある男は頭を抱えていた
現在『現代のシンデレラ』と『王子様』の住宅が発覚した事で大きなニュースとなっていた
『普通』なら問題にならない
だが、彼は件の2人が居住するマンションに出入りする業者である
付け加えるならば、2人の情報を漏らした人物の所属する会社の社長だった
マスコミから英雄視されている情報提供をした男であったが、会社からすればとんでもない事をした人物でしかない
例のマンションに搬入している業者は2人が入居した事を明かしてはならないという契約を結んでいたからである
今回漏洩させた男は偶々外せない用事があった担当から『個人的』に頼まれてヘルプした
頼んだ側からすれば、彼も部外秘である事を承知していると思って頼んだのである
だが、事が事だけに知る人間を絞らなければならないと判断した現場サイドはあくまでもマンションに関わる人員のみに周知させたのだ
更に言えば、仕事のヘルプも上司を通した場合は手続きが煩雑な為に個人的に頼んだ訳
そして、そんな事を知らない彼はSNSで発信してしまったのである
当然ながら、SNSでも『いや、それ言っていいの?』『それバラしちゃ駄目な奴では?』と言ったコメントが多数寄せられた
だが、自分の発言が思いの外反響を生んだことで彼は調子にのってしまった
その結果、マスコミへの情報のリークという最悪の行為をしてしまう事に繋がってしまう
当然、会社には政府や同じマンションに出入りしていた業者、更にトレセン学園やそのスポンサーからは特大のクレームが入った
殊更トレセン学園の秋川理事長の怒りは凄まじく、トレセン学園にも納入していた会社であったが、即座に契約違反をしたとして出入り禁止となった
これに加え、学園のスポンサーや今後拡大するであろうウマ娘関連のレース場などで決まりかけていた仕事も全てキャンセルとなる事に
会社としても、漏洩させた彼を即座に解雇すべきだったが、まるで情報を漏らした彼が正しいかの様に偏向報道をするメディアとそれに踊らされる世論によって、彼の解雇は不当であると言う風潮が生じてしまう事になった
寧ろ、情報を隠そうとする政府やトレセン学園が悪いかの様な報道も相次ぎ、今まで抑えられてきた報道も自由にすべきとの論調が強まった
だが、この好き勝手な報道に怒りを示した者が現れた
2人が居住するマンションの管理会社である
このマンションは多くの住民が居住しており、マンションとして居住者のプライベートを守るのは当然であるとコメントを出した
その上で居住者の個人情報を漏洩させた事は紛れもない契約違反であり、それを擁護するなどあってはならないと強い口調で訴えた
更にトレセン学園周辺の有力者や町内会、中学校からも相次いでコメントが発せられた
しかもこれはマスメディアを通す事なく、SNSや配信チャンネルを通してのものであり、一様に『大の大人が子供達のプライベートを暴いて騒ぐのは余りにもおかしい』と発信した
中学校に至っては
マスコミの強引な取材によりタキオンの彼氏が当然の権利である中学校にすら通えなくなった事実を公表したのである
これにはマスコミ側も慌てた
何せタキオンの彼氏が中学校へ通えなくなった理由は正しく其処にあったから
マスコミ側は世間の知りたいであろう話題を調べるのは当然の権利であると主張した
だが、このコメントは悪手であった
これに対し、放送倫理会は『公人でもない唯の一般人に対しての過剰とも言える報道は問題がある』と発言し
弁護士連盟からも『個人の権利を侵害する行為を正当化できる理由は存在せず、現在の過熱報道は違法性が高いと判断出来る』というコメントが発せられた
これに対して、マスコミ側はアグネスタキオンの母親が役所から親権剥奪されていた事を都合の良い脚色をして報道
そもそも、子供2人をトレセン学園に送り込んだ事自体を問題にしようとした
その翌日である
トレセン学園の公式チャンネルにおいて、一つの配信がされようとしていた
皆様、おはようございます
最近話題になっているアグネスタキオンの彼氏です
何と渦中の彼氏が配信に顔を出したのである
彼を中心として、右には秋川理事長と駿川秘書。左には生徒会長であるシンボリルドルフとトレセン学園警備主任という配置
話題になっている事について、当事者として発言します
曰く、転校予定の中学校に対する強引な取材攻勢
トレセン学園付近での座り込みによる周辺住民やウマ娘達に対する配慮のなさ
自分達の地元に対する無思慮な取材
近隣の駅での執拗な関係者探し
加えて、相談もなく勝手にアグネスタキオンと彼の姿を報道した事
その上で語る
自分とアグネスタキオンが付き合っている事がそこまで問題なのか?
問題であるならば、キチンとしたルールに基づいて此方に連絡する事はなかったのか?
報道の自由を謳いながら、自分達の自由を阻害しているのは許されるのか?
そして、最後に
自分達は幸せになってはいけないのか?
と無表情で言い残した
秋川やよいは
「本学園の目的はウマ娘の円滑な社会進出の一助としてのものであり、これは今も問題となっているウマ娘やそれに関わる者達に対する答えを見つけようとするものでもある
報道各社は彼とアグネスタキオンの事を面白おかしく報道するが、この様な事を行なう権利が果たしてあるのだろうか?
また、この2人について世間が知りたがっている為にこの様な強引な取材を行なったとの事であるが、知りたがっているからと無法な取材を正当化するのであれば、それは既に報道する人間としての良識すら失っているのではないかと私は思う」
と語り
「本校生徒であるアグネスタキオン並び、協力者である彼へのこの様な常軌を逸した取材並び報道をした各社に対して、トレセン学園は関係する企業や組織と連携して『余す所なく』然るべき手段を講じる事をここに宣言します」
と続ける
警備主任は
「今後、トレセン学園に来校する業者に対しては今回の件から移動は勿論、行動についても制限する事も検討します」
と言い
最後に
「トレセン学園生徒を代表して申し上げる
今回の一件については、甚だ残念であります。生徒会長として生徒達の安全面から、今後もトレセン学園内における取材行為の一切を認めない事を此処に宣言します」
とシンボリルドルフは締めくくった
トレセン学園からの一方的な通告にも聞こえる配信に対して、一部の報道機関は漸く自分達が行なったと事を自覚し、顔色を変える事になる
しかし、大多数のメディアはトレセン学園の記者を入れない配信は明らかに報道の自由に反するとして、トレセン学園側に対して会見を開く様に強く求めた
勿論、アグネスタキオンの彼氏も会見の場に出す事も当然の様に主張したのである
ところが、事態は彼等の予想だにしない動きを見せた
まず、アグネスタキオンと彼の情報を漏洩させた人物が所轄の警察に任意同行を求められる
任意のために彼は断った
すると、会社に対して強制捜査の手が入ったのである
この事を聞いたマスコミ各社は警察の横暴を非難したが、それに対して警察側は
「アグネスタキオンの彼氏より彼と会社に対して、プライバシーの侵害という名目での訴えがあった」
と語った
まさか、実際に裁判沙汰になると思っていなかった彼は直ぐに国選弁護士を通じて示談を申し入れたが、タキオンの彼は一蹴した
会社側は全面的に非を認める事により、示談が成立したが
更にアグネスタキオンと彼の写真を勝手に雑誌やTVで報道した各社に対しても、彼氏は全力で殴りかかった
偏向報道に便乗して、タキオンに対してあらぬ事を言ったコメンテーターや自称識者に対しても名誉毀損という形で殴りつける
一部の冷静さを取り戻した報道関係者は速やかにアグネスタキオン達への謝罪とトレセン学園側への弁明を始めた
冷静さを保っていた理事長や秘書。生徒会長や政治家、近所の人達はまだ良かった
しかし、彼はアグネスタキオンを傷つけたメディア関係者に対して容赦する姿勢を一切見せなかった
あくまで漏洩させた人物のいた会社についても腹を立てていたが、それでもギリギリ許せる範囲と自分に言い聞かせた
こうなると、マスコミ各社は生き残りをかけて裁判で争うか、報道を通じて彼の方から折れる様に仕向けるしかなかった
彼等からすれば、当然の権利だったから
ところがである
報道各社が自分達で取材し、報道できるのはあくまでも『許可』があるからである事を彼等は失念していた
争う姿勢を見せていた大手報道機関に対して、とある通告がなされたのは騒動から半月が過ぎようかという頃であった
放映権並び電波権などの剥奪
それがその報道機関に下された処置であった
再三放送倫理会等よりの警告や勧告が成されたにも関わらず、無視し続けたかの企業に対する制裁であった
その槍玉に上がった企業は人海戦術により、アグネスタキオンと彼の姿を捉え、無許可を以ってテレビに流したところであった
最初、この通告を受けた企業側の担当は笑い飛ばした
「できる筈がない」と
通告をしに来た役人は言い放ったとされる
「あなた方は未来を殺そうとしている
故にあなた方が殺されるのですよ」と
冗談と受け取っていた担当は余りにも物騒な物言いに違和感を覚えた
役人の顔をじっと見つめるが、気付いてしまった
目が笑っていないのである
それに気付いた瞬間、担当は渡された書類に目を通した
愕然とした
放映権は勿論、取材行為に関する権利も一切が剥奪されるという前代未聞の勧告であったからである
「馬鹿な、こんな事をして」
許されるものではない
そう言いたかった
「倫理会から警告を受けていた筈
その際に通達されていた筈ですよ?改善が見られない場合、最悪の処置を講ずる事となる。と」
勿論、政府首脳や与野党でこの判断について紛糾した
この国でも有数の規模となるこの会社を倒産に追い込めば、大量の失業者が溢れる。更に順調な政権運営にも必ず影響が出る
だから、もう少し穏便な手段で妥協すべきではないのか?と
だが、総理は一切の躊躇いなくこの非情な手段を決定した
「ではどうする?
彼氏の憤懣を放置して、あの様な無法を許すというのかね?
それならば、トレセン学園の意味がなくなるだろう
優先すべきはどちらかね?
ウマ娘と共存できるモデルを潰し、未来を殺すか?
それとも、あの無法集団を一度叩き直すか?
選びたまえ
ただし、心したまえよ?モデルを潰したのであれば、今後ウマ娘達との関係修復はほぼ不可能になる事を」
閣僚を集めた閣議で総理はそう言い放った
更に超党派の会合でも総理は一人一人に決断を迫った
この期に及んで判断も出来ない者は国民の代表者たる資格なし
そう告げて
結果、僅差ではあるがウマ娘との未来を守る事が決定された
今回の役人もまた、選択を迫られ即答した人物であった
それ故に一切の容赦も慈悲もない
担当はやっと事態の深刻さを理解して
「直ぐに会社と協議します」と話す
だが
「勘違いなさっている様だから訂正しよう
これは決定事項だ。覆せる等という考えは捨てる事だな
期日は上半期の終わり。今が7月の末。そういう事だ」
「そんな!既に来季の番組編成も終わっているんですよ!」
担当は悲鳴をあげる
番組編成も来年の分すら既に取り掛かっている所すらあるのだ
それを全て無駄にしろというのか?
「下請けや孫請けの企業に対しては、審査の上で適正な価格を支払う。問題ないだろう?」
担当は理解せざるを得なかった
最近になって、今まで協力してきた制作スタジオの幾つかが、来年の打ち合わせを拒否してきたのはこれを知っていたのだと(担当の勘違い。余りにも目に余る報道が過ぎた事で、同一視される事をスタジオ側が嫌っただけ)
「早々に会社に知らせるといいでしょう」
役人の冷たい言葉に
「わかりました」
担当はそう言うしかなかった
担当はそれでも自分達の会社ならばどうにか出来ると信じていた
しかし
「その結論は覆らない、と」
弱々しく電話の相手に確認する
「総理を始めとして、特に財務相に総務相の怒りは尋常ではない
警察庁長官も苦虫を噛み潰していた。これ以上の説明は必要かな?」
「・・・・これより報道を是正致します。私を始めとした経営陣も全て入れ替えましょう。それでも」
痛みを堪える様に絞り出した
「残念だが、そのレベルを超えてしまったのだよ
総理は自身の政権の進退をかけてでも、この結論は譲るまい」
「 」
絶句するほかなかった
今の総理は40代という若さで総理の座に上り詰めた、歴代史上最年少の総理である
だからこそ、余り強引な政策を好まずに堅実とも言える政権運営をしてきた
それ故に支持率も安定しているが、下手をうてば政権がひっくり返る事もあり得る
にも関わらず、この様な決定を下した事で漸く気付いた
今の総理が掲げる『ウマ娘との共存社会』にどれだけ総理が情熱を傾けていたのかを
いつもの様に賄賂などによる買収攻勢も手遅れである
時間も足りないが、それ以上に
政治家達や主要役人達への踏み絵は済ませているのだから
「私も総理にせめて今年度末まで待つ事を提案したのだが」
それだけの時間があれば、この苦境もどうにか出来る可能性はあった
最悪の場合は『殉教者』になって貰えば良いとすら考えているからだ
「明日の国会は荒れますな」
「最悪、内閣不信任案が出される事も覚悟しておられる
止められぬよ」
仮に不信任案が可決されれば、解散からの総選挙となる
そうなれば風向きは変わるかも知れない
「だが、否決されるだろうな。貴様らが下手をうち過ぎた」
電話の相手は静かに怒っていた
トレセン学園建設の際に電話の相手は様々な手を使って自身の支持母体へと便宜を図るつもりだった
それが失敗しても、来年から始まる様々なウマ娘によるレース。その放映権等に口を出すつもりだった
だからこそ、『シンデレラ』だの『王子様』だのに拘ろうとする報道各社に苛立ちを募らせていた
実際、幾度となく警告もしていたのだ。『これ以上踏み込めば、フォローも出来ぬ』と
だが、それを無視し続けてのこのザマである
例え彼が総理に直接意見できる立場であっても、既に全てが決まってしまっている
派閥の切り崩しを図ろうにも、時間がない上に今回は議員全員の意見を確認されている。故に意見を変えることは困難を極めるのだ
如何に『総理のご意見番』等と呼ばれていても、覆せない。下手をすればその立場から追われる事も普通にあり得る
「何とか私どもでも足掻いてみます」
「無駄だと思うがな。精々最後の株主総会で吊し上げられると良い」
この会社は自分の祖父から受け継いだものである
どれだけ法的に危ない時も政権幹部と繋がっている事で難を逃れてきた。
だからこそ、今回もそう出来ると確信していた
「確信ではない。唯の慢心だったか」
会社の会長職にある老齢の男は自室で小さく溢した
というわけで、マジギレした彼の逆襲とそれ以上にキレ散らかしている総理でした
続きは明日か明後日にでも
記念小説の内容
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タキオン
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ゴルシ
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ダスカ
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オグリ
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タマモ
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ウオッカ
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