彼と彼女の歩く道   作:ノイフェル

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騒動は未だ解決に遠く


 あらがうものたち

 報道機関としての存続を実質奪われた企業は株式会社である

 

 

そして、何処からか会社の窮状が漏れた

 

 

 

当然のように株主達は激怒し、株主総会の開催を要求した

 

 

 

この会社の不幸は例年株主総会は7月か8月に行なう事にしていた事であった

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上が現在の状況となります」

 

専務(生贄)からの株主達への説明が終わると

 

 

「ふざけるな!」

「警告があったのに、何故真剣に受け取らなかった!」

 

 

といった怒号が会場のあちこちから浴びせられた

 

彼等からすれば、一流企業であったこの会社の株券は安全なものであった

 

それが僅かひと月もしない内に紙屑同然となれ果てようとしているのである

 

怒るのも道理だった

 

 

 

「一つお伺いしたい

仮に我々(株主)に損害を与えた場合、経営陣がそれを補填してくれるのだろうね?」

 

会社の株を起業当初より保有している一人の株主が声をあげた

彼が言っているのは、起業当初は株主がつかなかった為に当時の社長が株主達にした約束の事である

 

 

 

この発言に対して、経営陣は明確な答えを出すことを躊躇った

 

 

仮に株主達の損害を補填したとなると、その額は莫大なものになる事は疑う余地もない

 

 

 

更にこれから続出するであろう退職者達にも退職金を支払う

 

 

 

これに加えて、実弾(賄賂)を使って各方面への交渉もしなければならない

 

 

 

 

 

 

規模が縮小されるのであっても、再起は出来る

 

元手があるのならば

 

大企業であるこの会社をそこまで追い詰めた時点で他の報道機関の頭も冷えるだろうから、最悪の事態(倒産)だけは避けれるのではないか?

 

 

それが会社の役員会議で役員から出た意見であった

 

 

 

 

 

 

 

つまり、会社としては平身低頭してでも廃業にならない道を模索する。必要ならば、現在の役員や管理職の人間の中からもリストラしてでも

 

 

 

その上で社員達に理解を求める。何れ来るであろう再起の時まで耐え忍ぶ事を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ただ待っていたのでは事態が好転する可能性はとても低い事は明白

 

その為にある程度以上の資金を保持せねばならない。買収するにせよ、他の企業に働きかけるにせよ、お金は必要なのだから

 

 

 

 

 

必要ならば会社の起業した会長の一族の資産すら手をつけてでも、再起を図るつもりだったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、株主総会において、株主達の被害の補填などをしてしまえば、かなりの資金を失う事になる

 

それは会社存続や再興の為に使うべき資金の枯渇を意味し、社内からも諦めの空気が出てくる事に繋がりかねない

 

 

 

大企業といっても、大量の社員達が一斉に退職しようものならば、その対処に莫大な資金を充てざるを得なくなる

 

 

更には、退職者の数が膨大になれば、円滑な手続きができる可能性もかなり低くなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この企業は日本屈指の企業である

 

 

 

そんな会社が事務手続きでまごつけば、ただでさえ存続が危惧されているこの会社の未来が危険視される事にも繋がろう

 

 

しかし、手続きに人員や資金を割けばその分、会社存続の為の工作が遅れる事になりかねないし、使える資金が少なければ効果も見込めなくなるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、総会で現在問題視されている『株主の利益確保』を行なった場合、貴重な対応の時間や資金を奪われる事が明らかと言えたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株主総会に出席する会社役員達は内心、頭を抱えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼等は些か以上に自分達に都合の良い考え方をしていると言わざるを得ないだろう

 

 

 

第一に、彼等は『法を犯した』

言わば犯罪者の様な者である

 

 

一応、他の報道機関も擁護する動きを見せているが、その中でも明らかな温度差が生じていた

 

 

 

 

 

先ずはトレセン学園の配信を受けて、速やかに関係改善に舵を切った者達。

彼等は頭を下げ、示談金を提示し、トレセン学園並びアグネスタキオンの周辺での強引な取材行為は今後一切しないことを自身の報道にて世間にも伝えた

 

 

当事者であるタキオンの彼氏はいくら憤懣やるかたない様子であっても、彼もタキオンの今後がかかっていると説得された。故に今後次第であるが、交渉の席に着く事に渋々同意した

 

 

 

 

 

 

次に報道機関の中でも一際大きい、件の会社に対する苛烈とも言える措置を政府が下した事で方針転換を行なった者達。

 

 

本音を言えば、不愉快極まりない話である。が、その為だけに会社を潰せるか?と聞かれたならば、彼等は首を横に振らざるを得ない

 

政府から各種権利を剥奪されるという事は、「お前達にこの権限を与えるのは不安がある」と言われているも同義であり、報道の自由などと誤魔化している場合ではない

 

まして、業界でも大手である企業が既に槍玉に上がっているとなれば、政府の本気度も察せられる

 

 

 

彼等は内心を必死で押し隠しながら、トレセン学園側への謝罪を行うべく、トレセン学園のスポンサーに接触しなければならなくなった

 

明らかに遠回りであるが、彼等にはトレセン学園にコンタクトする方法がない

 

正確にはどのルートを使えば『トレセン学園』や『政府』が許してくれるか判断がつかなかったのだが

 

 

 

既に彼等は警告を無視している。であればこそ、これ以上のミスは文字通り『企業(生命)の危機』を招く事を今更ながらに認識していた

 

 

既に彼等と取引のあったスタジオや、制作会社の一部は距離を取りつつある事も彼等の危機感を煽っていた

 

 

 

 

 

加えて自分達の番組で起用していたコメンテーターの芸能人が名誉毀損と訴えられた事も大きかった

 

 

当人は謝罪会見を開いた者もいれば、自身が所属する事務所を通じて謝罪のコメントを発信した者もいた

 

 

 

 

知名度のある自分達が『とりあえず』謝れば問題は解決する

 

その様な考えをもっていた芸能人も少なくなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところがである

 

 

その『形ばかりの謝罪』に対して、一部のウマ娘擁護団体やウマ娘、その身内などが激怒したのである

 

 

 

 

 

「自分達にとっての希望を散々振り回しておいて、その言い様はなんだ!!」

 

ウマ娘に少なからず関わっている者達にアグネスタキオンと彼の情報が少しだけとはいえ、提供されていたのはそれだけウマ娘を取り巻く環境が厳しいものだったからである

 

彼女達は自分達と世間がどれだけ上手くいっていなかったかを発信し、その上で『現代のシンデレラと王子様』の関係が奇跡的なものであるかを世間に広めていった

 

 

 

 

 

これはSNSなどにより拡散され、『シンデレラ』と言う名称だけで騒いでいた者達は如何にこの問題が複雑なのかを漸く理解した

 

切り取りや偏向報道しか情報源のなかった世論は当初、メディアや芸能人に同情的だったが、これを知り一変する

 

 

 

 

 

 

そうなると人気商売である芸能事務所やプロダクションは、形ばかりの謝罪を行なった芸能人達に対してのペナルティを検討しなければならなくなった

 

一方でその様な事実を隠したままに報道番組でコメンテーターをさせていた報道機関に対して、抗議をする事になっていく

 

 

 

報道機関はトレセン学園への連絡の道筋を構築する一方、逆風となりつつある世論への対策や芸能事務所などへの対応に忙殺される事となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後は政府のしている事を声高に非難し、自由な取材と報道は自分達の正当な権利であると主張する者もいた

 

 

政府のやり方を切り取り、捏造し、脚色を加えてどれだけ違法性があるのかを自局の息のかかった法律家などに解説させ、政権にダメージを与えようとしていた

 

 

 

政府が制裁を加えた当初は世論も味方になりつつあった

 

 

更に大手である企業が許可取り消しとなるのであれば、空くであろう放送の枠を取得するべく様々な交渉を密かに始める事となる

 

 

当然ながら制作会社、スタジオの一部はこちらと距離を取ろうとしたのだが、「今後の付き合いはない」と恫喝してそれを封じ込めた

 

 

 

 

更に他の報道機関が自粛しつつあったアグネスタキオンや彼への強行取材や居住するマンションへの侵入を試みる事も行なう事で視聴率を稼ごうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それもマンションの住人が入った隙を狙ってマンションに不法侵入した記者が警察により逮捕された事で風向きが変わった

 

 

マンション管理会社とマンション住人は共同で会見を開き、不法侵入を助長させたとして侵入した記者の所属する会社を訴えたのである

 

 

 

何せ、情報をリークした人物もタキオン達の部屋までは知らないし、エレベーターは住人の持つ鍵か、管理人の部屋からの操作でないと起動しない

 

 

当然だが、侵入に成功した記者は各階を走り回り、2人の部屋を特定しようとした

 

 

 

住人からすれば、セキュリティのしっかりした物件だからこそ、高い賃料を払っているのであって、それが脅かされるなど論外だった

 

 

 

 

 

 

 

 

此処に来て初めてマンションの住人達は2人が受けていたモノを実感したのだ

 

 

それまではどちらかと言えば他人事であったが、いきなり当事者となったのだ

 

 

 

住人の怒りは尋常なものではなかった

 

 

 

 

だが、それ以上に激怒していたのは管理会社である

 

前述した通り、このマンションはセキリュティの高さが保証されているからこその高い賃料であり、本来なら部外秘であった筈のアグネスタキオンとその彼氏を此処に住まわせる判断の理由もそこにあったであろう事は間違いない

 

ところが出入りしていた業者の管理不足と従業員の自覚の無さにより、漏らしてはならない筈の個人情報とも言えるものを流出させてしまったのだ

 

それに加えての今回の一件ともなれば、最早管理会社としての信用にも関わってくるし、常識的な考えを持つ大人としても許容範囲を超えていた

 

 

確かに賃貸契約とはどうしても貸している管理会社の方が強くなりがちではある

だからとて、住人の感情を無碍にし続ければいざと言う時に必ずどこかで問題が起きる

 

 

 

マンションの担当者はこの事態を重く見て、管理会社の上層部へと改めて報告と要望を上げる事になる

 

 

 

 

 

その結果が管理会社と住人による合同会見という形にあらわれる事になったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイワスカーレットとウオッカはウオッカの自宅に集まっていた

 

 

 

 

「どうすれば良いのよ!お姉ちゃんとお兄ちゃんが危ないのにっ!」

 

「畜生、スカーレットの両親も私の両親も役に立たねえ!

兄貴が危ないってのに!」

 

 

 

 

如何にダイワスカーレットがアグネスタキオンの従姉妹であり、ウオッカが彼の妹分であろうとも、どうにかなる話でもなかった

 

 

特にダイワスカーレットの両親はアグネスタキオンの両親の事を良く思っておらず、アグネスタキオンにも良い感情を持っていない

 

 

精々が「厄介事ばかり起こしてくれる」という不満がある程度であり、タキオンの為に動く気など到底なかったし、ともすれば自分達の娘であるダイワスカーレットが余計な事をしないか心配していた

 

 

 

親からしたら隠しているつもりなのだろうが、元々子供は感覚が鋭い上にスカーレットは五感が優れたウマ娘。そこに兄から教えてもらったヒトの見方まで加わって両親の思惑など見通せていた

 

 

 

事にスカーレットはタキオンと彼の身内であるからして、彼女が抱える不満は相当なものになっていた

 

 

 

 

 

 

 

翌日、そんな2人の元に訪問者が現れる事になる




もう少しだけ続くんじゃよ


信じられるかい?

まだ一年目の夏前なんだ、これ


ウマ娘の小説なのにトレーナーが桐生院葵嬢以外出てきてない不思議(白目

少し閑話挟んでも良いですか?

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