彼と彼女の歩く道   作:ノイフェル

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 諦めない者達の話

往生際が悪いとも言う


 蠢く者達

一部メディアによる過熱報道については、総理を始めとした政府首脳の断固たる対応により、ひとまずの鎮静化を見た

 

 

 

 

 

だが、それにより被害を被ったものもいる訳で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宜しいのですか?

 

 

構わん。あくまでも『シンデレラ』と『トレセン学園』にかかる事項などと言ってはいるが、その線引きは曖昧だ。その2つについては特に状況が悪化しているからこその此度の措置に過ぎん

 

そうであるが故にその『外』にまで気は回るまいよ

 

 

 

 

 

 

とある密室でよからぬ事を話す男2人

 

 

片方は見るからに偉そうな態度を取っており、もう1人はそれに気を遣っているかの様な態度をとっている

 

それもそのはず、偉そうな男は国会議員であり、もう1人はその秘書なのだから

 

 

とはいえ、本来なら『触れるべからず』である筈の件に首を突っ込むなどあり得てはならない事である

 

だが、彼には確かな勝算があった。これを明るみにさせない程度の権力()もある

 

 

 

 

そして、その人物の言う事は間違いではなかった

 

 

 

 

急な事態であったが故に、普段と異なり強硬な対策をしなければならなかった。とはいえ、時間をかけて議論していない為にその対策自体がかなり穴のある物なのは、ある意味では仕方のない事ではあるだろう

 

総理はあくまでも非常手段としてのものであり、これに関しては事態が終息次第撤回すると共に、総選挙にて民意を問うつもりであった

 

 

 

どの様な理由があったとしても、彼のした事は間違いなく専制政治のそれであったのだから

 

だが、そんな事を知らない者達からすれば、現政権による言論弾圧とも取れなくもなかったし、知っていてもわざとそう受け取った者達もいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この男はそれにより明確な被害を受けたものであり、与党議員の地位にある人物だった

 

 

 

彼はトレセン学園による来年からのウマ娘達のレース。それによる利権の一部を享受する予定。いや問題がなければ、それはほぼ間違いない未来であったのだ

 

ところがである。その肝心の放映権を持たせる予定の企業が今回の件により、実質的な営業停止処分を受けてしまったのである

 

 

 

現在、超党派である総理が率いる派閥がウマ娘関連においては主導権を握っており、彼も立場上その処分に異をとなえることは出来なかった。

明らかに逆らってはならない流れだったからである

 

今度当該地である府中の補選が行われる事になり、ウマ娘擁護派と否定派による決選となる事が報じられている

 

 

 

 

というより、彼がマスコミに対して府中の前議員への疑惑を吹き込んだのである。府中はトレセン学園の所在地であり、今後様々な利権の絡む所となるのは明白である

 

 

 

そんなところに、良識派気取りの人間を置いたままでは動き辛くなるのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現総理は若いからか、理想に傾倒する節があると彼は思っていた

 

それは一般論としてなら悪くないのかも知れないが、彼ら既得利権を持つ者と密接に繋がっている者からすると、邪魔でしかない

 

 

 

彼を総理に推した理由は前政権までに続いた利権政治からの脱却を『建前上』掲げたからに他ならない

 

 

実際、現政権になってから徐々にではあるが、世論も政権に味方する風潮へと変化していった

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らにとっての誤算は総理となった男の手腕を見誤っていた事にあった

 

組閣の際にある程度の素案を彼らは総理に提出したのだが、総理はそれを一蹴。若手や現状を打破するべきとの危機感を持つ人間を閣僚に据えたのである

 

 

一応、何名かは党の重鎮クラスを内閣に入れたのではあった。が、それはあくまでも党の執行部に対する気遣いの様なものであれこそ、その人物には優秀な次官をつけるなどして、行動に掣肘を加えていた

 

 

 

 

 

 

国民は地味ながらも、堅実で誠実な手腕を振るう総理を支持し、そのままの勢いを以てトレセン学園に関する様々な政策を実施していた

 

 

記者会見のみならず、配信チャンネル等も活用して可能な限り民意を得ようともしていた為にトレセン学園建設について問題となる事はなかった

 

 

 

 

 

 

だが、彼をお飾りの総理としようとしていた者達からすれば、好ましくない事態であったともいえよう

 

 

実績をあげ続けた結果、与野党の垣根を越えた超党派ともいえる派閥を総理は率いる立場となった為に、彼らの総理に対する影響力は落ちる一方だったのだから

 

 

 

 

それに加えての先の騒動である。

これについては、世論を二分しかねない程の騒ぎとなっていたが、自身の首すらかけて彼は苛烈とも言える措置に踏み切った

 

 

 

 

 

それ自体の是非はさておき、総理の強すぎる影響力に懸念を持っている者達はこれを機に追い落としにかかる事とした

 

ついでに彼が臨時措置としているものを上手く利用しようとする者も多く出ていたりもする

 

 

 

 

 

 

だが、これ以上のマスコミによる強引な報道はトレセン学園。それを支持している総理への同情的な風潮を生みかねなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、彼はある事を思いついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当によろしいのでしょうか?アグネスタキオンの従姉妹であるウマ娘の情報を漏洩させるなど

 

 

ふん、問題あるまい。あくまでもアグネスタキオンの周囲とトレセン学園に対する取材行為については問題視されておるが、アグネスタキオンとやらの従姉妹まで取材行為を禁止されている訳ではなかろう?

 

 

は、はぁ

 

 

 

とにかく、それなりに強引な取材をする所にそれを持ち込め。それで色々と動き出すだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

与党政治家であり、表向きは総理支持派である彼である。が内心では、自分達の権利を壊そうとしている総理への反発はかなりのものであった

 

であればこそ、数少ない総理の弱点となるであろうマスコミへの強硬な措置とウマ娘関連のスキャンダルは逃すべきではない。そう彼の派閥の上役へと提案し、それを実行した

 

 

 

 

彼は元官僚上がりの議員であり、『一応』実務者としては有能との評価を受けていた

 

 

だからこそ、一部の役人や役所に対して多大な影響力を有しており、それを利用しての今回のリークとなったのだ

 

 

 

 

 

更に報道関係者に対しても党幹部ほどではないにせよ、一般的な国会議員よりは遥かに強い繋がりを持っている

 

 

これにより、自身にとって不都合な人間の情報を集め、『何故か』その情報がマスコミへと渡り、その人物が辞職に追い込まれる事もあったりもする。

 

いつもの事

 

今回とて、彼にとってはその程度の認識しかないものであった

 

 

 

 

 

 

 

そして彼の思惑通り、『偶然』とある筋よりアグネスタキオン(シンデレラ)の従姉妹にウマ娘がいる情報が某メディアにもたらされた

 

 

 

この会社は強引な取材を展開しておきながらも、常にグレーゾーンギリギリの取材を行なう事で有名であり、それ故に特ダネともいえるこの情報に食いついた

 

だが、このメディア企業は狡猾であり、自社で雇い入れている専任の法律家と協議してどの様な方法であれば『問題にならない』のかを検討し始める

 

 

彼等としては勿論大スクープであるこの一件を逃したくない気持ちはあったが、だからといって会社を潰す気など毛頭なかった

 

 

既に実質的廃業となった会社と異なり、彼らは要人との關係深化を望む必要性を感じていなかった。とはいえ、それでも情報をリークしてもらえる程度の関係は維持していたが

 

 

確かに政治家などと結びつく事により、自分達の立場を守るのも悪くはないだろう

 

だが、政治家とは世論という極めてあやふやなものの支持があってこそ初めて成り立つものだ

 

現政権までに与党はかなりの年数主流派であった事は間違いない

 

 

だからとて、それが崩れないなどと誰が断言できるのか?

だいたい、その様なグレーゾーンに手を出している政治家というのは後ろ暗い事をやっているものばかりではないか?

また政治家としての能力にも疑問符がつく

 

 

政治家といっても、職を失えばただの人に戻るだけ

もしかしたら、どこかの組織の顧問などになるかも知れない。がそれとて、組織側としては元いた政党などへの影響力を期待してのものである事は疑いようもない

 

 

 

 

政治家をクビになるにせよ、落選するにせよ、その原動力となる民意を蔑ろにする者にマトモな未来()はないのだから

 

 

 

 

 

故にこそ、彼等は常に議論し続けるのだ

『違法と合法の境目のギリギリ』を

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その魔手は届くこととなる

 

 

 

アグネスタキオン(シンデレラ)その彼(王子様)の大切なダイワスカーレット(宝石)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、ウオッカはスカーレットと共に近くのショッピングモールに出かけていた

 

 

ウマ娘である2人は目立つ為に必ず帽子を被っていた

スカーレットからすれば、甚だ不愉快であるが大切な2人(アグネスタキオンとお兄ちゃん)から贈られたティアラは彼女の自室の宝石箱に入れていた

 

 

というのも、間違いなく高価な品であり、かつ一点もの(オーダーメイド)である事は明白なティアラ。

そんなものをつけて歩いたとなれば、周囲の興味を引くどころか余計なもの(悪意)すらも引き寄せかなない

 

 

 

 

そして、それはウオッカも同じであった

 

折角の宝物であるが、そうであるが故に彼女も日常生活での使用は躊躇われた

 

 

だからであろうか、それとも共通の秘密の話題を共有する為なのか、トレセン学園に行って以降の2人の仲は良くなっていった

 

 

 

 

それは2人の両親や同級生達にとって、歓迎すべき事ではなかったのだろうが

 

そんな事は2人に関係なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません。今、インタビューよろしいでしょうか?」

 

目的地のショッピングモールに向かう道中、スカーレットはそう声をかけられた

 

 

「わ、私ですか?」

 

 

スカーレットは戸惑っていたが、ウオッカは少しばかり嫌な感じを覚えた

 

 

 

 

 

そもそも、街頭インタビューならばもっと人通りの多い所を選ぶだろう。

 

ここはどちらかといえば、人通りの少ない路地

 

 

 

 

 

しかも、インタビューなどと言っているが、明らかにスカーレットを狙っていたようにウオッカには見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウマ娘というのは、感覚が一般人のそれより優れており、ウオッカは殊更その傾向が強かった

 

 

 

 

 

 

その感覚が警告するのだ

 

 

 

 

逃げろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイワスカーレットにインタビューしようとしている記者は内心でほくそ笑んでいた

 

確かにカメラ『は』用意していない

 

 

 

何せバカな同業者達が余りにも情けない取材行為をしたことにより、世間からの風当たりは明らかに強くなっていたから

 

 

 

だが、所詮はウマ娘といったところで取材慣れしていない上に経験も致命的に不足している子供である

 

 

取材を始めたら、ポケットに入れているレコーダーを起動すれば事足りる

 

 

名刺については渡す気はない

 

 

 

 

会社で違法行為ではないとの事だったが、態々リスクをおかす必要などありはしないのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

あの、すんませんけど急いでるんで

 

 

と、ダイワスカーレットに同行していた娘が口を挟む

 

思わず舌打ちをしたくなりそうなのを堪えた

 

 

 

 

いえいえ、お時間は取らせませんので(口を挟むな!)

 

いや、んな事言ってもこっちには関係ないと思うんすけど

 

 

その後彼は何とか引き止めようとしたのだが

 

 

 

 

 

そ、そうよね。ごめんなさい

 

と、ダイワスカーレットとその娘は去ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くそっ!余計な事言いやがって、ガキが!

 

彼はその場で悪態をついた

そう、ついてしまったのだ

 

 

 

 

 

此処は裏路地であり、人通りは『殆ど』ない

 

 

そして人通りの滅多にない所で大の大人が子供2人を必死に引き止めようとしていたのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、傍から見ればどう見えるのだろうか?

 

ましてや2人とも迷惑そうにしていたのを記者の男が引き止めていたのである

 

 

 

そして、人通りの少ない所での押し問答は近所の人間からすると怪しい事この上ない

 

 

 

今の世間はマスコミ関係者に対する視線は非常に強い

 

 

 

 

 

 

少しお時間よろしいですか?

 

そんな声が記者の男にかかるのは当然であった

 

 

 

 

 

 

 

 

その場は何とかなった記者であったが、彼はマスコミ関係者でありながら、理解していなかった

 

 

 

 

 

 

現代社会の情報ネットワークの恐ろしさを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカーレットにインタビューを試みた会社では既に大騒ぎとなっていた

 

 

警察からの注意などどうでも良かった

 

だが、執拗にインタビューしようとする記者の事がネットにアップされていたのだ

 

 

 

しかもご丁寧に子供2人にはモザイクをかけた上で

 

 

 

このモザイクは動画をサイト運営側がかけたものだったが、記者にはかけられていなかった

 

 

 

 

この取材は特ダネとなる事がほぼ確定していた為に、万が一にも取材できない事を回避するべくベテラン記者き担当させていた

 

 

 

だが、この動画により記者が明らかになるとネットでは大炎上

それだけならば問題なかった。だが、彼はそれなりに関係者の間では有名な記者であった為に所属会社も程なく特定された

 

 

 

問題となったのは、取材を断っている2人に対して執拗に取材を求めようとしている場面が写っていた事である

 

 

 

 

 

件の記者は諦めずに何とか取材するべく、2人を追いかけていたのだが、当然会社からの連絡を受けて帰社した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、事はそれだけにとどまらなかった

 

 

妹分であるウオッカより、タキオンの彼はこの件で相談を受けたのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アグネスタキオンとその周辺が怒りを露わにするのに時間はかからなかった

 




とりあえず、入院してるので暫く更新出来そうにない

少し閑話挟んでも良いですか?

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