彼と彼女の歩く道   作:ノイフェル

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という訳で、バクシンできたので、投稿します


完結しても、まだ続くんじゃよ? 



では、どうぞ


アフターストーリー
 いざ!征かん


 では時系列を戻して、タキオン達4人の慰安旅行について語ろうと思う

 

 

淑女達の提案を受けたトレセン学園理事会は直ちに持ち得る全ての権能(コネや財力など)を行使して、僅か半日で全ての準備を終わらせたのである

 

 

 

これには、流石のマックイーンも

 

 

 

た、確かに全力を傾けるとは言っていましたが、ここまでしますの?

 

 

と引き攣った顔をしていたとか、何とか

 

 

なお、前日よりメジロの暴走特急ことゴールドシップをトレセン学園のタキオンの研究室(マッド達のおもちゃ箱)にこう、げふんげふん

 

もとい招待する事により、後背の憂いを断つ事に成功した

 

 

流石のアタシもこんな扱いされるのは初めてだぜ

 

 

と、ゴールドシップは苦笑いしていた

 

 

 

なお、その眼前には

 

 

良いですか?グラスワンダーさん

今日から明後日の夕方まで此処の守りを崩しては駄目ですよ?

 

 

はい

 

 

と明らかにヤバそうなオーラを纏っているサイレンススズカとグラスワンダーが居たりする

 

付け加えると、グラスワンダーは原作と異なり、示現流の教えを一定の水準まで修めた事を祝してトレセン学園近郊の商店街に住むとある人物から模造刀を貰っており、それを常に帯剣していた

 

 

それに対して、スズカは無手であるが、それにも関わらずスズカに軍配が上がるという理不尽な現実であったりする

 

 

 

なお、念のために研究室の周辺には仮設テントを建てて、そこに必ずスズカ、ブルボン、ライスの中の一名とエルコンドルパサー、タマモクロス、スーパークリーク、オグリキャップの中からも一名が常駐する厳戒態勢であったりする

 

 

更にこれに加えて、メジロ本家よりの増援がトレセン学園周辺に待機しており、その異様ともいえる雰囲気に周辺で待機している記者たちも気を引き締め直したり、本社からの増援を要請したりしていた

 

 

 

 

言うまでもなく、学園の外についてはメジロが主体となった大掛かりな陽動作戦であるし、学園内については『その場のノリ』であった

 

 

会長不在時のトレセン学園生徒会最高責任者は副会長であるナリタブライアンであり、彼女はこういったバ鹿騒ぎは大好きであった事から承認された

 

 

なお、ストッパー役のエアグルーヴはまさに『頭痛が痛い』といったありさまであったのは言うまでもないだろう

 

 

 

 

学園はゴールドシップが意図した状況ではないが、学園外の状況はゴールドシップがアグネスデジタルに『落とされて』から自宅に帰って当主に直談判した結果、実現したものだったりする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな騒動など、どこ知らぬ顔でタキオン達は東京駅に着いていた

 

 

 

さて、これからどうだったかな?

 

流石に緊張するな

 

確か東海道新幹線でしょ?何番線だっけ?

 

18番、19番線だな

しかし、わざわざグリーン車とは恐れ入るわ、ホント

 

 

初めての新幹線による旅に興奮を隠しきれないタキオン。逆に不安を隠しきれないルドルフと彼がいるなら万事OKのタイシン

 

事前の調べが足らないせいで不機嫌な彼という有様であった

 

 

なお、タイシンは彼と手を繋ぎ、タキオンとルドルフは彼の服の後ろを少し掴みながら彼に着いて行ったりしている

 

 

 

なお、彼は事前に調べた為にグリーン券の値段を知っており、居た堪れない思いがいっぱいであったりする

 

 

(おいこら、なんだよ1人15000円って?てか、なんで岐阜?もっと近場で良かったじゃん!いや、ボクの金なら気にしないけどもこれ全部理事会の人達のポケットマネーなんですけどぉ?!)

 

 

と彼は内心絶叫していた

 

 

 

 

元々彼は小市民であり、その性根もガラスやノミどころか『プレパラートの心臓』と評されるほどに小心者であった

 

あくまでも彼が今までやってこれたのは、アグネスタキオンという少女の為だけを想って一心不乱に行動していたからであったのだ

 

 

ちなみにプレパラートとは理科の観測器具である顕微鏡の対象を固定する本当に脆いガラスの事である

 

 

 

 

話を戻そう

 

 

東京駅を19時過ぎに出ると、目的地の最寄駅である岐阜羽島には21時過ぎに到着する予定だ

 

 

停車駅は東京駅を出て、品川、新横浜、三島、静岡、浜松、名古屋。そして降車駅である岐阜羽島となる

 

 

 

 

 

その後2キロほど歩き、羽島市役所前駅より名鉄竹鼻線で名鉄岐阜駅に向かうルートであった

 

 

これはタキオン達が夜の散歩を希望した事によるものであり、本来なら名古屋駅で大垣行きの通勤快速なりに乗り換えた方が分かりやすかったりする

なので、リアルに東京から岐阜に行くときには気をつけてね?

 

 

羽島市役所前には30分ほどあれば着くであろうから、21時47分の笠松行きに乗る予定である

 

 

つまり岐阜に着いたら既に22時くらいになっているというわけで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着いたねぇ

 

だねぇ

 

日頃から使わないものを使うと、少し疲れるな

 

そうやなぁ、大丈夫か?タイシン?

 

ごめ、ちょっと辛いかも

 

顔色の悪いタイシン

 

 

 

やはり疾く走れるウマ娘故か自身の力でなく受動的に動くものに対しては人と感覚が違うらしい

 

以前、イベントの服の関係で知り合ったミスターシービーさんもエレベーターは苦手だと言っていたしなぁ

 

 

 

とはいえ、岐阜駅に到着する時刻は知らせているわけで

 

 

 

 

トレセン学園一行様ですね

お迎えにあがりました

 

 

だからさぁ

理事会の人達は少しは自重しようよ、ホント

 

 

俺は人知れずため息をつくしかなかった

 

 

 

 

 

なんでも、此処は理事会のメンバーの1人御用達のホテルらしく、食事なども全てルームサービスにて対応しているそうな

 

しかも、このホテルは深夜12時までディナー?のルームサービスを受け付けており、至れり尽くせりであった

 

 

 

 

チェックインしようとサインしようとして、俺は固まった

 

 

待て、どういう事だこれは?

 

 

 

 

 

 

トレセン学園一行

 

分かる

 

 

4名

 

そうだな

 

 

部屋数

 

1つ

 

 

何でやねん!

 

 

 

急いで、秋川理事長にメールを送る

 

 

すると

 

 

 

 

 

 

発信者

 

秋川やよい

 

 

件名

 

すまん!

 

本文

 

どうやら彼等が間違えて(・・・・)部屋数を一つとしてしまった様だ!

 

・・・・・本当に済まないが、今日はそこに4人で泊まって欲しい

 

 

 

 

 

 

 

 

落ち着け

 

フロントの人も、やよいさんも悪くない

 

 

 

だが、敢えて言わせてもらおうっ!

 

 

 

 

計ったな!理事会ぃぃぃぃっっ!

 

何とか鋼の精神で大声を出す事なく済ませたが、ありえねぇだろうがよ!

 

6人部屋をわざわざ指定しておいて、それで他の部屋の予約を忘れただとぉ!

 

そんな言い訳、良いわけ(・・・・)ないだろうがぁっ!

 

 

 

 

 

 

とはいえ、タイシンの調子が悪い以上遅滞行為は認められないし、時間が時間である

 

ましてや、俺たちは学生の身である

幾らトレセン学園の公認といっても、騙りと判断されるのがオチ

 

更にルドルフとタイシンは今後メディアへの露出も増える事を考えれば、問題行動などもっての外

 

 

 

 

 

というわけで、私達が泊まる部屋に来たわけだ

 

あ、ああ。そうだな

 

とりあえずタイシン寝かせてくるわ、タキオンとルドルフは何か頼んどけよ?

時間が時間だしな

 

やれやれ。ならば道中でファストフードを買えば良かっただろうに

 

それはどうなんだよ?

俺とタキオンはともかくとして、ルドルフとタイシンは栄養バランスにも気を遣わなきゃならんというに

 

 

 

 

 

そう苦笑して、俺はタイシンを抱き抱えて寝室へと向かった

 

 

 

勿論、やましい事などなかった

当たり前だが

 

 

 

 

 

ごめん、アンタの負担になってるよね、アタシ。こんなんじゃ、ダメなのに

 

 

ナリタタイシンは心優しい少女だ

タキオンと別居する様になってからも、時間を見つけては俺の事を心配して学園に来ているボクを探してくれた

 

 

そして、いつもその真っ直ぐな目を優しそうに細めて

 

アタシはさ、そんなに優しくないからはっきり言うけど。このままじゃ、アンタが先に参っちゃうよ。勿論、スズカ達やルドルフにタキオン。それにアタシもアンタに会いたい。それでもアンタが傷つくのは見たくないの

 

 

と事あるごとにボクの心配をしてくれた

 

 

 

だから

 

 

大丈夫。タイシンはいつもボクを支えてくれているんだから、たまにはお返しさせてよ

ボクだって一応は男なんだから、さ

 

 

 

と眠りについたタイシンの頬を撫でた

 

 

 

 

このくらいはセーフでしょ?

 

 

 

 

 

 

リビングに戻るとタキオンとルドルフが苦笑していた

 

というか、料理が来るの早すぎないか?

 

 

 

テーブルには作りたてと思われる料理が並んでいた

 

 

 

 

これはトレセン学園理事会が事前にサイレンススズカからトレーニング内容に沿ったメニューの候補一覧を入手して、予約の際に併せてホテル側に送った為であったのだ

 

ここはそれこそ、社会的地位の高い人物が好んで使うホテルである

 

 

客のプライバシーを守るのは当然として、叶う限りの客のニーズに応えることがこのホテルの経営理念と言えるので、この対応も当然と言えたし、そうでなくては困るのだ

 

高いだけのホテルに用はない。

欲しいのは、一流であるというプライドとそのプライドを持つに相応しいきめ細やかな対応ができる事

 

それだけのホテルであればこそ、トレセン学園理事会も安心して送り出せたのである

 

言い方は悪いが凡百のホテルに彼女達を泊めるなど許せるはずもなかったのである

主にプライバシー関係とセキリュティ関係の信頼性において

 

 

 

ふむふむ。興味深いねぇ

 

どうした?タキオン

 

興奮するタキオンと意味が分かっていないルドルフ

 

 

実は俺も驚いていた

 

 

 

 

この食事。間違いなく、栄養管理に気を付けながらも、このクオリティに仕上げてる!

 

 

流石は理事会が推薦したホテル

 

脱帽するわ、いやほんとに

 

 

 

 

 

 

その日はダウンしたタイシンの事もあり、早く就寝することにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日土曜日

 

 

人通りが多くなると予想される為、朝の6時半にホテルをチェックアウトする事とした

 

幸い、タイシンの体調も回復した為に今日の予定には支障がない様である

 

 

今日訪れる予定なのは、先ずオグリキャップの故郷でもある笠松

 

 

そこでトレセン学園の現役生徒であるアグネスタキオン、シンボリルドルフ、ナリタタイシンとの交流イベントとなる

 

 

トレセン学園は来年度、いや正確には来年の2月より一部の生徒達が順次デビューする事となっている

 

 

 

その際、候補となったのは地元府中、大井、中山、阪神、京都、函館、中京に今日の最初の目的地である笠松である

 

 

 

学園生徒であるオグリキャップに所縁の深い笠松ならば、何かあった場合にも笠松側とトレセン学園側の連携がしやすいとの理由から、当面は学園生のデビューは笠松にする事と決まった

 

距離的な問題こそあるが、デビュー戦という一番プレッシャーのかかる舞台だから特にウマ娘に理解がある笠松となったそうだ

 

 

選ばれなかった他の候補地については、当事者であるウマ娘に一任されるが引退ライブや節目のイベント会場にするという事での決着を見た

 

 

 

しかし、向こうからの提案とはいえ朝早いともいえるであろう7時にお邪魔しても良いのか?が甚だ疑問だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくお越しくださいました。私は此処笠松の管理をしております、重里と申します

 

 

あ、はい

私は『トレセン学園トレーナー部門教育係』をしている者です。浅学非才の身でありますが、今後ともどうか宜しくお願いします

そして、今日は急な訪問にも関わらず、ご丁寧な対応ありがとうございます

此方が

 

初めまして。トレセン学園所属『研究担当』アグネスタキオンといいます。今日は宜しくお願いします

 

朝早くの訪問にも関わらず、懇切丁寧な対応ありがとうございます。トレセン学園生徒会長シンボリルドルフです。今後、様々な面でお世話になると思いますが、御指導御鞭撻の程宜しくお願いします

 

ナリタタイシンです。今日はありがとうございます

 

 

笠松競バ場

つまり、来年の2月にルドルフとタイシンが連続してデビューする所に着くなり、奥の部屋へと通された

 

 

あの、ワタシは別に良いと思うんですが?

 

 

あ、ハイ

ダメですか、そうですか

 

 

 

 

とりあえず席を外そう(前述的撤退)しようとしたら、タキオンとルドルフに袖を掴まれて、タイシンに後ろから抱きつかれた

 

ので!

諦めました!

 

 

 

 

笠松の総責任者である重里は興味深そうにこの施設を回っている4人を部屋の窓から見ていた

 

 

 

なるほど

彼女達がオグリの言っていた友人達、か

 

そして、彼がそうか

 

 

 

 

 

嘗てオグリキャップというウマ娘の少女は此処笠松の近くの家で生まれた

 

 

生まれたばかりのオグリは他の赤子と比べて体重が軽く、更にウマ娘である事から、重里の前任者へと病院から連絡があった

 

 

此処はその当時から既に小規模ながらも行われていたウマ娘達によるレースの会場の一つであった為に、ウマ娘の身体に詳しいドクターがいた為であったのだろう

 

 

今もって全容が解明されていないウマ娘という存在

 

しかもそれが、赤子となると病院としても迂闊な事は出来なかった

 

 

 

 

そんな周囲の心配を他所にオグリはすくすくと育っていった

 

同じ歳のそれと比べて軽かった体重も、彼女自身が好き嫌いなく沢山の物を食べる為に解決した

そして、オグリは走る事が大好きだった

 

 

いつも金華山(岐阜駅の北にある山。有名な岐阜城があるところでもある)の麓まで走ってきたり、各務原(かがみはら)の方へと散歩に出かけたり、関ヶ原の方まで走っていったり、一宮の方まで楽しそうに駆けていったりしていた

 

金華山は笠松から見ても北側に位置し、各務原は方角的には東で大垣は西、一宮は南に位置する

 

 

 

金華山までの距離は約12キロであり、各務原は約9.5キロ

大垣は約20キロで一宮、こちらでは尾張一宮と呼称するが、そこまでは約11キロ

 

 

楽しそうに走る彼女の姿は笠松のみならず、これらの地域でも頻繁に目撃されており、その愛らしい姿から好意的に見られていた

 

 

時たま、大垣を越えて関ヶ原に行く事があったそうで、その際には大垣からは長閑な田園風景も見られる事から特に彼女は気に入っていたらしい

 

 

しかし、だいたいそういう時には彼女が帰ってくる時には何かしらのお土産を持って帰ってくる

 

というのも、楽しそうな彼女を見た農家の人達がこぞってオグリに野菜などを手渡してくるそうだった

 

 

彼女としては申し訳ないと思っているのだろうが、優しい彼女は相手の好意を断りきれず、困り果てた顔で笠松に帰ってくる

 

 

その頃には地元のローカル局でオグリキャップの事を何度か報じていた事も手伝い、彼女が地元笠松を盛り立てようと日々トレーニングに明け暮れている事が知られる様になった

 

 

彼女は野菜などを貰ってしまい、その申し訳なさから暫くそちらに行かなくなっていたが

 

 

 

 

笠松競バ場に

 

 

 

もしもし

オグリちゃんは元気かしら?

そう、最近姿を見ないから心配してたのよ

また近くに来たら寄って欲しいって彼女に伝えてもらえないかしら?

 

とか

 

ウチのカミさんが、オグリちゃん来ないなぁ。って言ってましてね?

もし良かったら、たまにでも良いんで顔だけでも見せちゃくれませんか?勿論、彼女が忙しいのなら無視してくれても良いので

 

 

と言った電話が競バ場にも頻繁にかかってくる様になった

 

 

 

しかし、彼らも分かっているのか

ひと月経っても彼女の姿が見えない時にしか電話してこない

 

 

 

そして、いつからか

 

笠松に大量の野菜などや多額の寄付が寄せられる様になったのだ

 

 

 

 

オグリキャップ、頑張れよ!

 

オグリちゃん。無理はしないでね?

 

オグリのお姉ちゃん。頑張ってね!

 

 

などと添え書きのされた物が

 

中には子供のものと思われる、豚の貯金箱などがあり、オグリはそれを今でも笠松の自室に大切に保管している

 

 

 

そんな彼女はいつしか

 

『笠松の星』や『美濃の希望』などと呼ばれ始めた

 

 

 

すると地方局もその噂を聞きつけて、オグリにインタビューをする事になり、それがまた彼女の人気に更なる燃料を投下する

 

 

そしていつしか、此処笠松競バ場は隣の中京競バ場にも勝るとも劣らない活気を見せる様になっていったのだ

 

 

 

他の競バ場と決定的に異なるのは

 

 

レースが無くとも、その活気が失われる事がない

事だろう

 

 

 

 

笠松の英雄はウマ娘にして、ウマ娘にあらず

 

と評されたオグリキャップは彼女やトレセン学園が思う以上の影響力を持っていたのだ

 

 

 

 

 

 

そのオグリキャップの紹介である

 

重里氏は僅か2日の間に来る人物であるアグネスタキオン、シンボリルドルフ、ナリタタイシン。更に形式上とはいえ、トレセン学園の代表として訪問する彼について可能な限りの情報を調べ上げた

 

 

 

オグリよりいつもの様に1日の最後に連絡は来るものの、それのみで判断する訳にはいかなかったからである

 

 

 

 

 

オグリキャップは純粋である

 

 

それ故に真実を的確に見抜く力に長けている

だが、だからこそ人の裏を読むことを好ましく思っていない。

 

それは彼女の何よりの大切なものであり、重里は勿論の事、彼女を見守ってきた笠松の者達は不満に思う事はない

 

というよりも、それは自分たち大人の役割だと彼等は常に思っていた。

 

 

 

 

勘違いされがちではあるが、ウマ娘というものは本来臆病で警戒心が高い生き物である

 

 

感覚が優れるが故に、周囲に怯え

人と違うからこそ、憧れる

 

だが、そのうちにそれは

理解されないなら、自分で居場所を作る

人と違っても、理解されなくともいい

 

 

と変わりゆく

 

 

世間で有名なウマ娘の殆どが自己主張が強いウマ娘であるのは

 

 

声を上げ続けなければ、自分の居場所がない

 

と思っているからだと重里は考える

 

 

実際、幼い頃のオグリとて、周囲に怯えて生活していた時期はあったのだから

 

 

 

 

重里は今回の訪問で見極めるつもりだった

 

 

彼女達の未来と自分達の未来は交わるのか、否か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがオグリキャップの故郷か

 

正確には違うらしい

彼女の出生地は此処よりも東にある山県(やまがた)市だそうだ

 

此処から遠いの?そこ

 

聞いた話では高速で1時間かからないとか何とか

恵那(えな)や関市の方らしい

 

関市か。確か刀剣の町だったかな?

 

正確には鍛治が古くから盛んな土地だろうな

刀剣の町というのならば、どちらかというと備前長船(おさふね)だろうよ

 

 

確か岡山だったか?

 

 

せやな

岡山県南部の旧長船町。現在は長船町、邑久(おく)町、牛窓町が合併して瀬戸内市らしいがな

なお、有名な焼き物である備前焼の生産地である備前市に隣接してるそうだ

 

 

授業でも出てきたね、その名前

 

今でこそ地方都市だが、鎌倉時代より続く由緒正しい刀剣の町だったそうだ

これは中国山地から良質の鉱物が採れた為と、長船にクヌギが自生していた事から、たたら製鉄が容易に行なえた事と、主要街道である山陽道と主要航路である瀬戸内に面していた事が理由らしいな

 

時間があれば行きたいところだが、流石に無理だろうな。今回は

 

 

ま、キミの歴史談義は今度聞くとしよう。しかし、中々に規模の割には立派な設備だねぇ

 

タキオンは彼の話題を遮った

 

こうなると、この人が面倒くさくなるのを知っているからである

 

 

そうだな。彼の話は今日のホテルででも聞くとしよう

 

 

彼が肩を落としているのを見たルドルフは彼をフォローする

 

 

やれやれ。あまり彼を甘やかさないでくれないかな?ルドルフ

 

いや、普段アタシ達が散々甘えてるんだから偶には良いんじゃないの?

 

そのルドルフを若干責めているタキオンに反論するタイシンであった

 

 

いいかい?彼は普段はその事を隠しているが、彼もまた『趣味人』だ。彼の好きなこと、つまり歴史談義などに付き合っていては1日など直ぐに終わってしまうよ

 

 

タキオンはその時の事を思い出しているのか、苦い表情をしていた

 

 

所謂『趣味人』もしくは『オタク』や『マニア』と呼ばれる者はとにかく自分の好きな事を語らせると話が長い

 

ほんっとーに長いのだ

 

 

その例に漏れる事なく、彼もまた豊富すぎる知識があるからこそ、他人の視点を求めて、しっかりと話をしてしまう

 

なお、タキオンが覚えている限りでは2日目の朝までの記憶がある

 

 

 

なお、タキオンの従姉妹であるデジタルに『ウマ娘ちゃん』を語らせると最低でも半日は覚悟しなければならない

 

げに恐ろしきは、ヒトの業であった

 

 

 

 

長い時間ありがとうございました。来年の2月からよろしくお願いします

 

トレセン学園としては、今後各地の競バ場との緊密な連携を模索していきたいと考えております

勿論、其方の意思次第ではありますが、是非ご検討下さい

本日はお忙しい中、ありがとうございました

 

ありがとうございました。今度宜しくお願いします

 

色々と参考になったよ!ありがとうございます

 

 

 

 

 

なるほど、彼女達ならばオグリと共に新しい未来を創れるだろう

 

重里はそう呟くと徐に受話器を取った

 

 

 

 

この日、トレセン学園の方針に疑問を持っていた為に協力を渋っていた各地の競バ場から、来年からのレース開催への全面協力の話が相次いで学園理事長に届く事となった

 

 

 

 

 

さて、昼前だがどうするよ?

 

確か、今日の宿は大津だったね?

 

 

誰もいない公園でのんびりと談笑する4人

 

 

 

滋賀県の県庁所在地である大津市

 

京都市に隣接する都市であり、日本最大の湖である琵琶湖沿岸の都市でもある

 

交通の便としては、新幹線こそ止まらないものの、兵庫県姫路市からの新快速の停車駅の一つであり、滋賀県における中心的役割を担う都市である

 

新幹線が停車しないのは、2つ西の京都駅が新幹線の停車駅である為に新幹線特有の速度を殺しかねないとかなんとか言われているらしい

 

 

百人一首の10番目である

 

 

これやこの

 

行くも帰るも

 

別れては

 

知るも知らぬも

 

逢坂(あふさか)の関

 

 

の中にある逢坂の関とは滋賀の大津と京都の山科の境目にある関所と言われている

 

旧国名では大津は近江国であり、山科は山城国。つまり、古の都である京に至るための関所だったそうである

 

 

 

 

 

琵琶湖かぁ、絶景なんだろうなぁ

 

さて、どうする?在来線でのんびりと行くか?それとも新幹線で行くか?

でもルドルフ。また岐阜羽島まで行くの?それとも名古屋まで戻んの?

 

どうするべきかな?これは

 

一応言っとくと、米原まで出れば本数は少ないけど新幹線はある

とはいえ、岐阜から米原までの直通は数が少ないらしいから、殆どが大垣から大垣鉄道に乗り換えらしいぞ?

 

ふむ。確か関ヶ原はその区間にあるのだったな?

 

そやね

聞くところによると、関ヶ原駅には当時西軍と東軍で参陣してた主要武将の名前が書いてあるとか、なんとか

 

ふーん。じゃあ、彦根城も近いって事?

 

あ”!?

 

 

 

和やかに会話していた筈が、いきなり彼の雰囲気が激変した

 

え、なに?

 

ナリタタイシンも困惑していた

タキオンより、彼は歴史。とりわけ安土桃山、つまり戦国時代が好きだと聞いていた

ついでに最近世間で脚光を浴びている彦根城を話題に選んだタイシンは決して悪くない選択の筈、だった

 

 

 

ただ一点

 

彼が偏執的なまでの徳川嫌いでなければ

 

 

そ、それより安土は確か南近江だったはずだろう。やはり何か残って

 

ないよ

 

ふむ?

 

え?何で

 

安土には遺構も殆ど残ってない

そう言った

 

 

 

 

天下を戦国期において、初めて手にかけたのは間違いなく織田信長であろう

 

 

大勢力を誇っていた相模の伊勢氏(北条氏)の本拠である小田原城が少なからず現存しているのは、かの秀吉による『小田原征伐』において秀吉が支城を落とすことに専念しており、積極的に攻め寄せなかった事も多分に影響している事と思われる

 

更に北条氏を下した後にも廃城としなかったのは、北条氏の後に関東移封された徳川氏に対する牽制もあったのではなかろうか?

 

事実、戦国期における屈指の民生国家であった北条氏は領民より慕われていたとされ、一説にはその北条氏の影響を嫌ったが故に徳川家康は本拠を小田原より発展していなかった江戸に定めたという説もあるくらいだ

 

 

ある意味では幸運に恵まれた小田原城であったが、安土城はそうではなかった

 

記録によると織田信長が安土城を本拠としたのは琵琶湖という天下屈指の水運を抱える湖を望みながらも、京に近く、西は山城東は美濃とどちらにも影響を持てたからではないか?と思っている

 

そして、安土城は戦城(いくさじろ)ではなく、どちらかといえば現在の政庁的な要素が多かったらしい

 

城下には巨大な南蛮新教すなわち、キリスト教の教会に戦没者を祀る寺社や町人たちの街もあったとされる

 

 

更に言えば、此処は旧六角氏の本拠地である観音寺城の至近であり、滅んでなお、近江において影響力を残していたそれへの対策であった可能性もある

加えて、その頃の織田の戦域は西は播磨、北は能登や越中、東は信濃や駿河であり、隣接する大和筒井や遠江徳川は同盟関係にあった

 

 

つまり、戦を意識しなくとも良かったのではなかろうか?

 

 

 

 

 

ところが1582年、本能寺により織田信長は明智光秀に討たれ、更に嫡男であった織田信忠もまた京にて命を落としたとされる

 

 

その後の混乱期において、安土城の象徴でもあった天主(誤字ではない)などの一部の建物が消失しその後暫くはそれでも城としての機能は果たしていたとされる

 

しかし、時は織田の時代から羽柴、豊臣の時代へと移り変わり、秀吉の甥である豊臣秀次が八幡山城を築城し、そこを拠点とするにあたり、安土城は廃城となったそうだ

 

 

 

現在でも安土城の調査は終了しておらず、その全容を伝えるのは太田牛一の『信長公記』や宣教師ルイス・フロイスのイエズス会への報告資料、公家であり、織田家との付き合いのあった山科言継(やましなことつぐ)の『言継卿記』などのごく限られた資料に留まる

 

なお、儒教学者である小瀬甫庵(おぜほあん)による『太閤記』も存在するが、これは彼以外にも様々な著者がおり、かつ他の現存する資料との矛盾が頻繁に指摘されることから資料としての信憑性に疑問が残る

 

 

 

 

ふぅん、中々興味深いね。これは

 

ある意味では滋賀の発展に寄与したと言っても過言ではない織田信長とその安土城だけど、謎が多いんだよなぁ

 

しかし、よく知っているね。流石に授業だけでは調べられないだろうな

 

時間だけは余るほどにあったからな

それにやよいさんからは態々Wi-Fiまで用意して貰ってたし、暇がありゃ調べられるってもんさ

 

ホント、アンタって凄いよ

 

行動力と実現力については規格外だからね、彼は

 

企画を立てました。しかし、規格(・・)外でした

なんちって

 

っっ!!

ポカポカ

 

 

ふとした拍子に思い付いたダジャレを披露する彼と、それを聞いて涙目になりながら、彼をポカポカ叩くルドルフであった

 

 

 

やれやれ。人目がないからと言って、気軽にルナちゃんにならないで欲しいのだが

 

ルナわるくない

 

不貞腐れるシンボリルドルフ

そこにはいつもの覇気や、凛々しい佇まいなど無かった

 

 

 

 

 

 

 

で、名古屋に戻るんだよね?ルナしたルドルフ?

 

そ、そうストレートに言わなくても良いだろうに

 

あまり外でルナしないで欲しいものだね。流石に困るよ?

 

 

 

 

と2人ともルドルフを責めているが、はっきり言おう

 

 

 

 

 

 

お前さんたちも似たようなもんでしょうが?

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず彼女達は岐阜駅まで行き、快速にて名古屋へ向かった

 

 

 

 

ふむ、此処が名古屋か

 

やはり中京最大の都市だな。非常に栄えている

 

ねえ

 

家電量販店なら、太閤口にあるぞい

 

 

名古屋で一度下車した一行は〇〇グカメ〇に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

ふふん♪

 

機嫌が良さそうだな、タイシンは

 

まさか、大須にまで来ることになろうとは

 

やれやれ。どうにも私はあの地下鉄というものは合わないようだね

 

 

〇〇グカメ〇に目的の品が無かった事で意気消沈するタイシンを見かねた彼は市内の大須ならそういうものがあるかも知れないとタイシンに提案した

 

 

幸いにも大須に行くための地下鉄はかなり利便性が高く、僅か20分足らずで到着できた

 

そこのとあるビルでタイシンは探していたレトロゲームを見つけ、即購入

 

 

当初の目的の品こそ確保できなかったが、タイシンは満足していたわけだ

 

 

 

ちなみに彼の左腕に抱きついたまま、耳と尻尾をご機嫌そうに忙しなく動かしていたりする

 

 

 

というわけで、ナリタタイシンである事が周囲へとバレる事がなかったという副次的効果をもたらす事になる

 

 

 

 

 

なにせ、タイシンの纏う空気は

 

触んないで

 

というものであるからだ

 

 

 

ま、実際は学園内どころか、彼のアパートですらイチャイチャしているわけなのだが、知らない事って幸せだと思うの

 

 

 

 

なお、そんなタイシンにも後年ファンが出来るわけで

 

 

 

 

今日も我らが姫は絶好調やな!

 

この

「アンタ達なんてどうでもいい」って対応が癖になる。ならなくない?

 

わかりみが深すぎる

 

お前は俺か?

 

こんなタイシンちゃんやけど、トレーナーの前だとねぇ

 

あれは脳みそ破壊されるわ、タイトレてぇてぇ

 

トレタイではないのか?

 

というか、あのトレーナーってスズカさん達のトレーナーじゃなかったか?

 

ヒェッ!

スズカさんの!マジでかよ!

 

サイレンススズカという、グラスワンダーすらも慄くトレセン学園最強の修羅の貫禄よ

 

あの、ジャパンカップでの尊い絡みをもう一度!

 

 

 

 

と一部ノイズが入っていたが、タイシンのファンは割とコアなファンが多い

 

 

 

ちなみに彼ら彼女達は彼とタイシンの関係については、否定しない

 

それどころか、寧ろもっと供給してくれ!と切望していたりする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからって、これひどくない?

 

新幹線に乗ったタイシンは膨れていた

 

 

確かに名古屋では彼と多少(・・)イチャイチャしたかも知れないが、全然普通のはずだ

 

 

 

注意

 

トレセン学園に所属しているウマ娘たち全員に言えることだが、彼女達は日常見せられている

 

タキオンする

ルドルフする

タイシンする

に加えて

 

お兄ちゃんする

兄貴する

ゴルシする

 

 

更には

 

オグリする

フラッシュする

 

と言った数々の行動を見た結果、些か(・・)距離感がバグっていたりするので学園所属のウマ娘と対応する時には注意が必要だったりするのであった

 

 

 

 

 

 

余談ではあるが

 

 

トレセン学園とは『世間一般の常識を教えるところ』でもある事をふと思い出した(・・・・・)秋川理事長は

 

 

平和だから、ヨシッ!

 

 

と考えるのをやめたとか何とか

 

 

 

 

 

 

 

では、何故タイシンが憤っているのかというと

 

 

や、確かにさ。ルドルフは岐阜で、アタシは名古屋で甘えたよ?でも、そこはジャンケンでしょ、普通は

 

目の前には彼の肩に寄りかかってリラックスしているタキオンの姿があったのだから

 

羨ましくなんかない。羨ましくなんて、絶対ない

 

 

と隣で小さく呟いているルドルフがいたが、2人はスルーしていたりする

 

 

席順は通路側に彼、その奥にタキオン

彼の向かい側にタイシンでその奥がルドルフとなっている

 

 

つまりはそういう事だ

 

 

岐阜でルナしたルドルフ

名古屋で盛大にタイシンしたタイシン

 

となれば、次は自分の番だとタキオンが主張したとて、誰が責められようか?

 

 

 

因みにルドルフとタイシンはその横暴に全力で抗議した

 

 

 

しかし、相手は七色に輝く薬品(ゲーミング式ドラッグ)を懐から2人にだけ見えるようにしたタキオンである

 

 

しかも、2人が協力しあったとしても、最終的な勝者は1人

 

 

つまり、タキオンを退けたところで隣の相手が敵になるだけである

 

 

 

そして、タキオンは彼がいる状況下においては、比喩抜きで『ゾンビ戦法』が可能なのだ

 

実質残機無限である

 

 

 

 

という訳で、タイシンとルドルフは絶対に負けられない戦い(席順決めのジャンケン)をしたのだが

 

 

 

 

 

 

結果は見ての通りである

 

 

 

 

その結果、シンボリルドルフはルナちゃんから元に戻ったと思ったら、ションボリルドルフへと変化してしまった訳である

 

 

とはいえ、ナリタタイシンはルドルフに同情しない

勝負の世界とはそういうものなのだから

 

 

 

 

 

 

 

注意

 

唯の席決めのジャンケンです

ついでに勝者はその勝敗の有無を問わずに確定しています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、大津に着きました

 

 

 

待ちたまえよ。私と彼のラブラブ描写はどうしたというのかな?

 

 

こらこら、舞台裏に来るんじゃありませんよ

 

 

ふぅん?

 

 

 

 

 

 

 

 

一時混線した事をお詫び申し上げます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、慰安旅行後編に続きます!

 

 




慰安旅行前編となります


後編は明後日くらいには投稿できたらと思っております




ではご一読ありがとうございました

 閑話需要ありますか?

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