「はっ……ブッ殺ォす!!!」
カツキ──リュウソウブラックの苛烈なひと声により、戦いの火蓋は切って落とされた。
並んで走り出す、グリーンとブラック。相対するマイナソーもまた、「ホシイィィィ!!」と叫びながら地面を蹴った。
その接触まで、コンマ数秒。
「はっ!」
「オラァ!!」
その瞬間、ふたりは同時にリュウソウケンを振るっていた。目にも止まらぬ速さ。マイナソーもまた、鋭い爪を振り下ろしたのだけど。
ブラックの刃がそれを弾き返し、がら空きになった胴体をグリーンが切り裂いた。
「グアァァッ!?」
太い悲鳴とともに、吹き飛ばされるマイナソー。しかし彼、あるいは彼女は空中で姿勢を整えると、四肢を使って着地してみせた。
しかしその間に、ふたりの騎士は次なる攻撃の用意を整えていた。
「ハヤソウル!」
『リュウ!ソウ!そう!そう!──この感じィ!!』
ビューン、と気の抜けるような音声とともに、グリーンの右腕に黄金の鎧が装着される。
「──ふっ!」
駆ける、疾風の騎士。その姿が一瞬視界から消え、代わって一陣の風だけを場に残していく。
次の瞬間、グリーンはマイナソーに肉薄していた。
「グアァッ!?」
防御もできず斬られるマイナソー。しかし一撃では終わらない、グリーンは坑内を縦横無尽に駆け抜け、砂塵を巻き上げ、ハヤソウルの効果が切れるまで攻撃を繰り返していく。
そんなグリーンが"疾風"であるなら──彼はまさしく、"威風"だった。
「ブットバソウル……!」
『リュウ!』
一回、
『ソウ!』
二回、
『そう!』
三回、
『そう!』
四回。
『この感じィ!!』
『ブットバソウル!ボムボム〜!!』
ブラックの右腕に"竜装"したのは、漆黒に炎のようなオレンジの意匠があしらわれた鎧。質実に豪奢が調和したようなデザインは、生身のカツキと通ずるところがあった。
「はっ……オラァ!!」
跳躍するブラック。彼の手にする刀身が赤熱するのを、エイジロウたちは見た。
そしてそれが振り下ろされた瞬間、
──BOOOOM!!
爆炎が、マイナソーを呑み込んだ。
「すごい……。ハヤソウルを、僕以上に使いこなしている……!」
「それにカツキ……くんが使ってるリュウソウル、見たことないやつや……」
「………」
珍しいリュウソウルすら、自分自身の手指と変わらず自在に扱っている。──年齢はそう変わらなくとも、経験が違う。彼らは間違いなく、場数を踏んできている。
「……ッ、」
だからこそ、負けたくない。彼らと肩を並べたい。そんな欲求が、エイジロウの心を占めようとしている。
「けっ、雑魚が」
「まだ成長してないからね……。──決めよう!」
鍔に手をかけるふたり。それが必殺技の発動シークエンスであることは初見でも察知したのだろう、マイナソーは抵抗手段に打って出た。
「ホシィ……ッ、ホォシィィィッ!!!」
咆哮と同時に、額のルビーが閃光を放つ。暗い坑内が再び純白に染まり、視界が失われるのはもはや、既定路線と言うほかなくて。
しかし風を纏う騎士たちは、まったく動揺してはいなかった。
「かっちゃん、正面。一時の方向!」
「はっ、──ノビソウル!」
『ノビソウル!ビロ〜ン!!』
ブラックのリュウソウケン、その刀身がしなり、伸びる。それはグリーンの指定した通りの方向へ叩きつけられ、
マイナソーに、直撃した。
「ホシィイッ!?」
倒れ込むマイナソー。ルビーが再び輝きを失い、視界が戻ってくる。
「は、馬鹿のひとつ覚えが。──死ねぇぇッ!!」
地を蹴り、駆け出すリュウソウブラック。その刃が、いよいよマイナソーを両断しようとする──
──そのとき刃とマイナソーとの間に、巨大なオブジェクトが割り込んだ。
「!?、ぐっ!」
「かっちゃん!?」
呻きながら後退するブラックを、咄嗟に受け止めるグリーン。いったい何が起きたのか──それは推量するまでもなく、彼らの目を引きつけた。
「他人様の陣地で勝手をするとは、躾のなっていない騎士どもだ」
「!、おまえは……」
「──タンクジョオォォォッ!!!」
振り向いたタンクジョウが見たのは、鬼神のごとき勢いで斬りかかる勇猛の騎士の姿だった。
「ふんっ」
振り下ろされるリュウソウケンは、当然のごとくルークレイモアによって受け止められた。
「リュウソウレッド……ちょうどいい、この傷の礼、しなければならないと思っていたところだ……!」
「黙れ!!てめェらドルイドンのつくったマイナソーのせいで、また人が苦しんでるんだぞ!何も感じねえのかよ!?」
「感じるさ。──このうえない喜びと満足をな!!」
激昂するリュウソウレッド。しかしリュウソウルもなしの状態でのパワーは、タンクジョウに分がある。
次の瞬間、押し負けたレッドも後方へ弾き飛ばされていた。
「エイジロウくんっ!」
「大丈夫か!?」
「ッ、くそ……!」
さほどのダメージはない。だからこそ悔しかった。このドルイドンを相手に、自分ひとりの力はまだ及んでいない──
「人間が苦しんでいる?──元はと言えば自業自得だろう、マイナソーは連中の浅ましい欲望から生み出されるのだからな」
「浅ましい、だと……!?」
怒りを含んだ声で訊き返したのはブルーだった。それに対し、タンクジョウは意外なものを見聞きしたかのように肩をすくめてみせる。
「このカーバンクルマイナソーが"ホシイ、ホシイ"と五月蝿いのは、生贄の人間がこの鉱山から生み出される富に執着しているからだ!違うか?」
「……!」
「金が欲しい、もっと食いたい、女と寝たい……。人間の欲望など、所詮そんなモノ。そしてそんな浅ましい連中だから、我々の喰い物にされるのだ!はははは、ははははは──」
「──うるせえ……!」
「!」
唸るようにそう言い放ったのはエイジロウでも、カツキでもなかった。
騎士たちの視線が、その声の主に集中する。変声期を越えてもなお、子供のような甘さを残した柔らかな声色。さありながら、誰より烈しい言葉を発した疾風の騎士。
「人の想いは、そんな浅いものじゃない……!」
「イズク……?」
「あの人が富を、金を求めるのは、家族に少しでも良い暮らしをさせてやりたいと願っていたからだ!それを踏みにじって、あまつさえ浅ましいと嘲う資格は……誰にもない!!」
「浅ましいのはドルイドン……自分の力を誇示することしか考えられない、お前たちのほうだっ!!」
それはリュウソウグリーンの、イズクの魂がこもった叫びだった。その颶風のような咆哮が、仲間たちの心を打った。
「おめェの言う通りだ、イズク!」
人間という生き物を、リュウソウ族の村に生まれ育ったエイジロウたちは知らない。それでも彼らは文明を作りあげ、隣人とともに暮らし、家族を慈しんで生きている。それを守りたいと、今は心から想うのだ。
「馬鹿な」それを嘲笑うタンクジョウ。「貴様とて卑しい欲望の持ち主のひとりだろう、リュウソウレッド。同胞を殺した俺への憎悪、所詮そんな動機で戦っているのだろうが。格好つけるな!」
まだ取り繕う余裕があるなら、今度はここにいる貴様の仲間全員無惨に殺してやる──そんな言葉を吐いて、エイジロウを挑発する。正義ぶった仮面を、剥ぎ取るために。
タンクジョウはひとつ、思い違いをしていた。エイジロウたちリュウソウ族の騎士は常に、守護者たることを第一に生きるよう教えられて育ってきたのだ。
「確かにてめェは憎い。……けど、今はみんなを守ることのほうが大事だ!どっちにしろてめェは倒す、そうすりゃ仇討ちもできるんだからな!!」
「ッ、舐めた口を……!──同胞のところへ行くがいい!!」
余裕を失ったのはタンクジョウのほうだった。ルークレイモアを振り上げ──投擲する。巨大な大剣がまるで意志をもっているかのように喰らいついてくるのだけれども、もはやそれを脅威には感じない。
「カタソウル!!」
『リュウ!ソウ!そう!そう!──この感じィ!!』
『カタソウル!ガッチーン!!』
再び煌めく、友の形見。その力を得たリュウソウケンは、ルークレイモアを容易く弾き飛ばした。
「何……!?」
「もう一度、叩き切ってやる!!」
"アンブレイカブルディーノスラッシュ"──タンクジョウに深傷を負わせた一撃を、再び放たんとするリュウソウレッド。その構えを目の当たりにしたタンクジョウは……認めたくはないが、焦燥に駆られた。
「ッ、同じ手を喰うか!──カーバンクルマイナソー!!」
「ホシィイッ!!」
タンクジョウを庇うように前に出たカーバンクルマイナソーが、再び眩い閃光を放つ。視力を奪われる。
「同じ手はどっちだよ」
それをあざ笑ったのは、威風の騎士だった。
「マイナソーを先に片付ける……!──ツヨソウル!!」
『リュウ!』
一回、
『ソウ!』
二回、
『そう!』
三回、
『そう!』
四回。
『この感じィ!!』
『ツヨソウル!オラオラ〜!!』
白銀の鎧を纏い、
『それ!』
一回、
『それ!』
二回、
『それ!』
三回、
『それ!』
四回。
『その調子ィ!!』
「デク、──上だァ!!」
「────、」
今度はカツキが、"それ"を指し示してくれた。
「──マイティ、ディーノスラァッシュ!!」
白一色の空間の中で──グリーンの振るった必殺の一撃が、頭上から飛びかからんとしていたカーバンクルマイナソーを直撃した。
「グガァアアアッ!!?」
ひときわ大きな悲鳴をあげ、吹き飛ばされるカーバンクルマイナソー。その身体が傍に転がり落ちてくるのを認めて、タンクジョウは絶句した。
「何……!?」
「──次は貴様だ!」
「!」
叡智の騎士と剛健の騎士が、次は自分たちが仕掛けるのだとばかりに剣を構える。彼らの攻撃を耐えぬいたとしても、敵は五人だ。──やられる?自分が?
その可能性を実感して愕然とするタンクジョウ。認められない、誇り高きドルイドンであるこの俺がリュウソウ族の小僧ごときに敗けるなど!
そのときだった。致命傷を負って斃れたはずのカーバンクルマイナソーが、唐突に起き上がったのは。
「!?」
「ホ……シィ……、ホシイ……!」
「ホシィイイイイイ──ッ!!!」
宿主のエネルギーが、一気に注ぎ込まれた。
そのために膨れ上がっていく器──カーバンクルマイナソーの肉体は洞穴の天井をも突き破り、見上げんばかりに巨大化した。
「ッ、育ったか……。──覚えていろリュウソウジャー、次こそは必ずッ!!」
「!」
瓦礫の向こうへ消えていくタンクジョウ。追う……わけにはいかなかった。物理的にも、精神的にも。
「巨大化……村を襲ったマイナソーと同じか!」
「成長したんだ……エネルギーを吸って!」
「じゃあまさか、宿主の人は……!」
「うるせえ丸顔、アレはまだ完全体じゃねえ!」
「丸顔やめぃ!!」
まだ間に合う──そう信じ、彼らは騎士竜たちの名を呼ぶ。
「ティラミーゴ!!」
「トリケーン!!」
「アンキローゼっ!」
「タイガランス!!」
「ミルニードルっ!!」
山中深くにいた鋼鉄の竜神たちが、待ってましたとばかりに駆けつける。彼らは体内に、相棒たるリュウソウジャーを格納することができる。
そのスペースに乗り込み、巨大マイナソーと戦闘開始だ。
*
「俺たちスリーナイツの力、見せてやる!」
「ふたりは援護して!」
「ア゛ァ!?俺らに指図すんな!!」
当然のごとくブチ切れるカツキであったが、
「スリーナイツ……そうか、キシリュウオー!──かっちゃん、彼らの言う通りにしてみよう!」
「てめェまでナニ言ってやがるデク!!」
「伝説のキシリュウオーの力、見たいんだ!お願いっ!!」
「〜〜ッ!」
幼なじみに「お願い」とまで言われてしまうと、どうにも弱いカツキである。それに彼自身、キシリュウオーを見てみたい気持ちがないではなかった。
結局タイガランスとミルニードルが一歩引き、スリーナイツを構成する三体の騎士竜が飛び出した。
「あんがとよイズク、カツキ!一気に竜装合体だッ!!」
「「おう!!」」
「気安く名前で呼ぶな」という罵声──どちらのものか言うまでもない──を聞き流しつつ、エイジロウはティラミーゴたちに合体を指令した。
──それぞれのリュウソウルが騎士竜たちに装填される。駆けるティラミーゴがキシリュウオーとなり、並走するトリケーンとアンキローゼが変形してキシリュウオーの両腕に喰らいつく。
「完成、」
「「「──キシリュウオー、スリーナイツ!!」」
「いくぜぇッ!!」
勢いにまかせ斬りかかるキシリュウオー。しかしカーバンクルマイナソーはすんでのところでその一撃をかわすと、再び額の宝石から光を放った。
「ッ!──?」
身構えるエイジロウたちだったが、光ったのは一瞬のこと。怪訝に思ったのもつかの間、
マイナソーの姿が、忽然と消えうせていた。
「何!?奴は、どこへ──」
「──リュウソウジャー、上だ!!」
「え!?」
顔を上げたキシリュウオーの眼前に、その獣めいた姿が迫っていた。
「ッ、ンの──!」
咄嗟にナイトソードを振り上げ、爪の一撃を受け止める。それは存外に重く、キシリュウオーは半ば吹き飛ばされるように後退を強いられた。
「テンヤ、オチャコ、大丈夫か!?」
「あ、ああ。しかし、こいつは──」
態勢を整えきらないキシリュウオーに対し、着地を遂げたカーバンクルマイナソーは再び閃光を放った。咄嗟に顔を背けるも、再びその姿が消えている。
「また消えてもうた!?」
「やはり、速いんだ!閃光で目眩ましをして、その間に移動している……!」
それがカーバンクルマイナソー本来の力なのだろう。執着していた坑内から外に飛び出したことで奇しくも、その真価が発揮されている──
「ッ、次はどっから来るんだ……!?」
当然、先ほどのように頭上にはいない。後方はタイガランスとミルニードルが守ってくれている。ならば、どこから──
「あ──」
その可能性に思い至ったのは、残念ながら寸分遅かった。
地中から飛び出した前肢が、キシリュウオーの脚を捕えたのだ。
「なッ!?」
「うそ……!」
「やっぱり、下か……ぐうぅぅッ!」
ただ捕えているだけではない。鋭い爪が脚部に食い込み、キシリュウオーを少しずつしかし確実に蝕んでいる。
「おのれ……!早くマイナソーを倒さなければ、あの人が……!」
焦るが、どうにもならない。それどころか、このままでは穿たれる──そんな危機感に晒されたときだった。
「ガォオオオッ」
咆哮とともに、翠の虎がマイナソーに齧りついた。
「!!」
慌てて前肢が離れて地中に引っ込み、かと思えばカーバンクルマイナソー本体が少し離れた場所に飛び出した。梃のようだ、と思いつつ。
「大丈夫、みんな?」
「イズク……サンキュー、助かったぜ」
そのときだった。タイガランスが、何かを乞うような唸り声をあげたのは。
「タイガランス……?──そうか、わかったよ!」
「?、どうしたん?」
「僕らも、合体させてほしいんだ!」
その要請に、エイジロウたちが驚くのも無理はなかった。
「なんと、スリーナイツ以上になれるのか!?」
「同じ騎士竜なんだ、できるよ。──やろう!」
できると言うなら、やらない手はない。エイジロウは「おうよ!」と声をあげた。
「ありがとう。じゃあ行くよ、タイガランス!」
「ガォオオオッ!」
咆るタイガランス。同時に装填されたグリーンリュウソウルが、彼とキシリュウオーとを絆ぐストリングスとなった。
「竜装合体!!」
グリーンの声とともに、タイガランスが変形する。同時にキシリュウオーの頭部が椎ごと外れ、その翠を迎え入れた。──そう、翠の鎧がキシリュウオーの半身を覆い尽くしたのだ。
名付けて、
「キシリュウオー、タイガランス!!」
「おおっ、なんかますます力が増した感じや!」
「うむ、すごいぞ!ありがとうイズクくん!」
「お礼なんて良いよ。──仲間、なんだから」
「!、イズク……」
獲物を狙う猛獣のように、姿勢を低くし身構えるキシリュウオータイガランス。その姿に恐れをなしたらしいカーバンクルマイナソーは、再び従来の戦法──つまり、閃光を発してその隙に姿を晦ます──に打って出ようとする。
しかしタイガランスの力を加えたキシリュウオーに対して、そんなものはもう通用しない。
「舐めんなよ」
唸るようなイズクの声とともに、数少ない脚部の追加部位が蒸気を吐き出した。世界が白に染まるのが、それと同時。
しかし次の瞬間にはもう、キシリュウオーはマイナソーの目前にまで迫っていた。
「!?」
「はぁ──ッ!」
タイガランスの尾が変形したナイトランスを、一気呵成に突き出す──!
「ホシィイイッ!!?」
その一撃をまともに浴び、吹き飛ばされたカーバンクルマイナソーは岩肌に激突した。
「おお、すごい……!マイナソーより速く動いたぞ!」
タイガランスの最大の武器は、スピードだ。視界を潰されたとしても、敵が逃げる前に仕掛けることができる。
速攻、あるのみ。
「一気にとどめだ!──タイガランスっ!」
再び、ジェット噴射。磔にされたマイナソーは動けない。──終わりだ。
「「「「タイガーソニック、ランサー!!」」」」
肉薄と同時に、ランスを──振り下ろす!
「ホ……シィイイイイ──ッ!!?」
それが、カーバンクルマイナソーの断末魔となった。
劫火が魔物の身体を粉々に吹き飛ばし、体内に溜め込んだエネルギーが解放される。
それが風に漂いながらもオルデラン村のほうへ向かっていくのを認めて、四人はほっと胸を撫でおろした。
──そう、四人は。
「時間かかりすぎだわ、シロウトども」
「な!?」
背後から響いたもうひとりの騎士の声に、少年たちは鼻白むほかなくて。
「〜〜ッ、だから援護してって言うたやん!」
「してやるとは言ってねえ。帰んぞミルニードル」
「ちょっ、かっちゃん……!──ごめんね皆っ!」
さっさと山を降りていくミルニードルを、慌てて分離したタイガランスが追いかけていく。その光景を、呆然と見送るスリーナイツという光景。
「あ、あの男は……!信じられん!!」
「は、はは……」
ぷりぷり怒る仲間たちを両隣に、これは先が思いやられると苦笑するほかないエイジロウなのだった。
*
「おのれ、リュウソウジャー……!」
せっかく手に入れたマイナソー、そして橋頭堡を棄ててまで逃げ延びたタンクジョウは、怒りと屈辱に震えていた。──敗北したのだ。彼は、二度も。
「駄目なのか、ルークのオレでは……!あんな小僧の騎士どもにすら、かなわぬと云うのかぁッ!!」
激昂し、むやみに剣を振るうタンクジョウ。しかし次の瞬間、何もなかったはずの空間をぬるりとしたものがよぎった。
「!?」
勢いのままに斬りつけてしまい、緑色の液体が弾け飛ぶ。ぎょっとするタンクジョウだったが、彼の行動には良くも悪くもなんの意味もなかった。
「荒れてますねぇ、タンクジョウさまァ」
少年のような声が響く。弾けた液体が寄り集まり、菌類に似た魔人となった。
「連中にやり返したいですか?悔しがる顔、見たいですよねぇ?」
「……当たり前のことを言うな、クレオン」
「へへへっ。そう言うと思ってぇ、チョベリグ〜な作戦考えてきましたァ!」
「あいつらのタイセツなオトモダチ、使っちゃいましょう」──嘲るような声で言い放つクレオンの目は、オルデラン村の方角へ向けられていて。
そこには静かにリュウソウジャーの帰りを待つ、コタロウ少年の姿があったのだ──
つづく
「カエセ……!」
「宿主が死ねば、マイナソーは消える……!」
「……大切なんだな、あいつのこと」
次回「命の価値」
「俺たちは、目の前の命をあきらめたりしない!!」
今日の敵‹ヴィラン›
カーバンクルマイナソー
分類/フェアリー属カーバンクル
身長/157cm〜39.8m
体重/175kg〜463t
経験値/305
シークレット/富をもたらすという伝説の霊獣・カーバンクルに似たマイナソー。額のルビーの輝きで敵を翻弄しつつ、小柄な体躯を活かして鋭い爪による攻撃を仕掛けるぞ!
実は額のルビーこそが本体という説もあり、動物系を総称したビースト属でなくフェアリー属に分類されているのもそれが原因と思われる。
ひと言メモbyクレオン:コイツがいるだけでめっちゃ儲かるんだって!なのにタンクジョウさまってば、戦わせるコトしか頭にないんだもんなァ〜。マイナソーは用法用量を守って正しくお使いください!