プリシャス対リュウソウジャー五人の戦闘は、終始前者の優位に進んでいた。破壊力とスピードの両方に長けたプリシャスの容赦ない猛攻撃に、ひとり、またひとりと打ち倒されていく。とりわけ騎士たちを追い込んでいたのが、彼のコピーしたエバーラスティングクローの一撃だ。マックスリュウソウレッドの切札そのままの必殺技は、あらゆる強竜装の剣技をも遥かに凌ぐ。
「アハハハっ、もう終わりぃ?」
「舐めんじゃねえクソがっ、ボルカニックディーノスラァァッシュ!!」
メラメラソウルの鎧を纏ったリュウソウブラックが、必殺の一撃を放とうとする。しかしそれもまた、エバーラスティングクローと正面からぶつかり合う運命にあった。
──その結果として、彼もまた砂礫を舐める運命に陥れられていた。
「あーあ、やっぱりこんなもんかぁ」
肩をすくめつつ、言い放つプリシャス。前回の戦いよりは歯ごたえもあったが、やはり同等の力をもつ者相手でないとおもしろくない。カツキたちが相手では、腕は良くとも扱う力が物足りないのだ。
「リュウソウレッドは来ないみたいだし……キミたちももう用済みだ、さっさと消えちゃいな」
双刀を振り上げるプリシャス。口惜しいながらここまでかと思われたそのとき、「待て!!」と大きな声が響いた。
「──!」
「あ──」
「エイジロウ、くん……!」
太陽を背に堂々と立つ赤毛の少年。彼は生まれつき鋭く尖った歯を剥き出しにして、不敵な笑みを浮かべていた。
「みんな、遅れちまってすまねえ!俺も無事、試練クリアしたぜ!」
「そうか……!」
「んも〜っ、ハラハラさせてぇ……!」
「悪ィ悪ィ!──あとは、俺がコイツをブッ潰す!」
名指しされたプリシャスは、露骨な嘲笑を浮かべて応じた。
「へぇ、この前完膚なきまでに叩き潰された割に、随分な自信じゃないか?」
「男子三日会わざればなんとやら、ってな。──試してみるか?」
「ははっ、いいよ。どこからでもかかってくるといい」
エイジロウが獰猛な笑みを表情から消した。水を打ったような静謐。それを伴として、彼はマックスリュウソウチェンジャーを構えた。
「──マックスリュウソウ、チェンジ」
『マックス!ケ・ボーン!!』『ワッセイワッセイ!『オォォォォ!!マァァァックス!!!』──!?』
元々の音声をも呑み込む勢いで叫ぶ声。エイジロウの姿が一瞬通常のリュウソウレッドを経由し、マックスリュウソウメイルが全身を覆い尽くしていく。
「………」
互いの武器を構え、巌と化したかのように微塵も動かず対峙する騎士と騎士。蟲一匹も存在しえない死の大地に、ただ風の音ばかりが響く。
ややあって、それがもがり笛のようにひときわ高い音をたてたときだった。
「──うおぉぉぉぉぉッ!!」
「ハハハハハ、ハアァァァ!!」
互いに砂塵を巻き上げながら駆け出す。一気呵成に距離を詰め──ゼロ距離に至った瞬間、その武装を振り下ろした。
「ッ!」
爪と刃が何度もぶつかり合い、火花を散らす。息を詰めながら、次の呼吸に移る間もなきまま衝突を繰り返す。
どちらも一歩も引かぬ戦い。──いや、
「くっ、やはりエイジロウくんが押されている……!」
態勢を整えようと藻掻きながら、テンヤが口惜しげにつぶやいた。腕力では互角であっても、プリシャスは明らかに余裕をもって双刀を振るっている──三日前と変わらぬ構図。
「……あの試練は弱点を浮き彫りにし、今後の成長を促すためのもの。乗り越えたからって、いきなり見違えるように強くなれるわけじゃないんだ」
彼らが真に強くなれるかどうかは、今後の経験次第。ただ、今ここでプリシャスに二度目の敗北を喫すれば、今後などというものはなくなってしまう。
エイジロウだってわかっているはず。しかし彼は、劣勢にもかかわらず動揺したり焦っている様子は微塵もなかった。
(何か考えがあるのか、エイジロウくん……?)
エイジロウは勢い重視なところもあるが、考え無しの猪武者ではない。むしろ幼い頃から己の在り方について考え続けてきて、ああいうパーソナリティを会得するに至ったのだ。
彼ならきっと、プリシャスの実力と奸智を打ち破ってくれる──そんな期待が、テンヤの胸に湧く。
「ぐぁ……っ」
しかしついに踏ん張りきれなくなったマックスリュウソウレッドは、弾き飛ばされて地面に転がった。
「なぁんだ、何か秘策でもあるかと思ったのに。期待して損したよ」
「……ッ、」
「ま、いいや。遊んでくれたお礼に──今度こそ、自分の技で串刺しになるといいよ!」
プリシャスが野獣のように姿勢を低くし、双刀を構える。──来る!ギリリと歯を食いしばりながらも、マックスリュウソウレッドは正面から迎え撃つ姿勢をとった。
「エバーラスティング……クロー!!」
跳躍すると同時に、猛烈な勢いで錐揉み回転しながら迫ってくるプリシャス。──まだだ、まだ早い。
「エイジロウくん……っ」
「エイジロウ……!」
仲間たちの憂慮の声が耳に飛び込んでくる。大丈夫、俺は死なない。
(限界は、超えるためにある)
だから、
「──ふっ!」
「!?」
プリシャスがトップスピードに到達し、目前にまで迫ったところで──マックスリュウソウレッドは、横に転がる形でその一撃を避けた。完全回避はかなわず、鎧の一部を損じる結果にはなってしまったが、致命的なダメージではない。動ける。そのたったひとつの事実こそが、勝利の糸口となる。
「うおぉぉぉぉぉぉ──ッ!!」
仕留めそこねたプリシャスが着地すると同時に、彼は全力でもって攻勢に打って出た。無論相手もすぐさま態勢を整え、それを迎え撃とうとする。しかしそんな行動、意味はないのだ。
「──ぐぅッ!?」
刹那響く、プリシャスのうめき声。マックスリュウソウレッドの猛攻を前に、彼は防戦すらままならない状況に追い込まれている──
「なんだ、一体どうなって──」
「!、そうかわかったぞ!エバーラスティングクローには弱点があったんだ」
「弱点?」
テンヤ、それにイズクとカツキもその事実に気がついた。エバーラスティングクローの使用直後は、著しく鉾となる爪の強度が落ちると。
プリシャスにもまた、同様の事態が起こっている。それを逆手にとり、マックスリュウソウレッドは猛攻撃を仕掛けているのだ。
「今なら、僕らも……!」
「わーってらぁ、立ててめェらぁ!!」
痛む身体を押して、五人が一斉に立ち上がる。エイジロウひとりに任せてはおけない、同輩あるいは先達として、彼の起こした波を乗りこなさなければ、ともに戦う資格はないのだ。
『ブルー!』『ピンク!』『グリーン!』『ブラック!』
『イタダキモッサァ!!』
「「「「「モサ・クインティプル、ディーノスラァァッシュ!!」」」」」
レッドを除く五人の刃が、剣波を生み出して標的に襲いかかる。マックスリュウソウレッド以外眼中になかったプリシャスにとって、これは完全なる不意打ちだった。
「ぐわあぁっ!?」
結果として、まともにその合体奥義を浴びたドルイドンのナイトは吹き飛ばされた。6,500万年ぶりの地球の砂の味が、彼を蝕む。
「やった……!」
「エイジロウくん、今だ!!」
「!、おうよっ!!」
実のところ、エイジロウは葛藤していた。相手にエバーラスティングクローを撃たせ、それを反撃の火口とするところまではいい。しかしこちらから同じように技を撃った際、追い込みきれずに躱されてしまえばふたたび形勢が逆転してしまう。
しかし仲間たちが先んじて攻撃を当ててくれたことで、そのリスクはほぼなくなった。これで心おきなく、攻められる──!
「ッ、少しはやるようだね……。なら──遊びはここまでだっ!」
しかしプリシャスは、早々に戦線放棄を選んだ。正確には、切札を投入してきたというべきか。
「ウ゛オ゛オオオオオオ────ッ!!」
「!?」
彼が投げ捨てた小瓶から、天に頭がつかえるのではないかと錯覚するほどの巨竜が姿を現す。──"
「ッ、出やがった……!」
「──ハハハハっ、これでキミたちも終わり……いや、それともこの試練も乗り越えてみせるのかな?」
「楽しみにしているよ」──そう言い残して、プリシャスは忽然と姿を消した。
主が去り、もはや宇宙恐竜を止める者はない。ここで獲物たちを喰らい尽くせば、今度は人里を蹂躪しはじめるのだろう。
なんとしても、敗けられない。今度こそここで、必ず討ち滅ぼすのだ。
「っし、こうなりゃ騎士竜総進撃だ!!」
スケールの圧倒的に異なる宇宙恐竜相手に、小細工は通用しない。──総力戦だ。
「ティラアァァァ!!」
ティラミーゴ、トリケーン、アンキローゼ、タイガランス、ミルニードル、モサレックス。そしてディメボルケーノにシャドー&シャインラプター、パキガルー。十体の騎士竜が砂塵を巻き上げ駆けてくる姿は、これ以上ないほど頼もしく壮観な光景であった。
「どうするん、またナインナイツでいく?」
「アホか丸顔、この前どうなったか忘れたンか」
ギガントキシリュウオー・ナインナイツ。成長に成長を重ねた弩級マイナソーをも打ち倒した強力な切札だが、無理な全合体となるため騎士竜たち、とりわけ合体の中心になるティラミーゴとモサレックスに大きな負担がかかるのだ。
「それで倒しきれなかったら、僕らには打つ手がなくなってしまう」
「〜〜ッ、じゃあどうするん?」
「──俺に考えがある」
「エイジロウくん?」
「とりあえず俺らはスリーナイツだ。あとモサレックス、おめェタイガランスとミルニードル両方と合体できるか?」
「何?──ムゥ……」
「やるだけやってみよう、モサレックス。イズクとカツキもいいか?」
「もちろん!」
「けっ」
──竜装合体!!
ティラミーゴにトリケーンとアンキローゼが合体し、キシリュウオースリーナイツが誕生する。封印を解かれたときよりとっていた由緒正しき?形態である。
それに対し"こちら"は、正真正銘初めての合体フォーメーションとなる。キシリュウネプチューンの右腕をタイガランスが、左腕をミルニードルが構成する。海と風、ふたつのエレメントの加護を受けたその姿。名付けて、
「「「キシリュウネプチューン、スリーナイツゲイル!!」」」
「──グオ゛ォォォォォッッ!!!」
"獲物"の存在を認めた宇宙恐竜は、ひときわ恣意的な唸り声とともにその巨腕を振り下ろした。
「ッ!」
二騎のスリーナイツは持ち前の身軽さにより、その攻撃を難なく躱してみせる。いずれもスピードに長けた形態、大人と子供ほどに体格差のある相手といえど……いやだからこそ、その攻撃の軌道を読んでしまえば、回避も容易い。
「っし、今だみんな!!」
レッドの呼びかけに応じ攻撃に打って出たのは、"彼ら"だった。
「愚か者めがあぁぁぁぁ!!」
「オラオラァ!!」
ディメボルケーノが火を噴き、パキガルーから射出されたチビガルーが連続パンチを放つ。さらにシャドーラプターが暗黒物質弾を発射し、宇宙恐竜を大きく後退させることに成功した。
「グウゥゥゥ、オ゛ォォォォッッ!!」
怒った宇宙恐竜が彼らに標的を移そうとすると、
「てめェは俺らだけ見てろぉ!!」
Wスリーナイツが前面に出、牽制する。──そう、二大ナイトロボの役割は囮。宇宙恐竜をある程度追い込むまでは、後衛にいる三体の騎士竜に攻撃を委ねるのだ。
「グオォアァァァ!!」
「ギャアギャアうるせえんだよ、恐竜もどきがァ!!」
キシリュウネプチューンスリーナイツゲイルの左腕──ミルニードル部分が無数の針を発射し、宇宙恐竜を攻めたてる。ほとんどはその巌より硬い皮膚に弾かれてしまうが、何度も同じ箇所に命中すれば突き刺さるものもあった。
「よしっ、こっちに向いた!」
「今だ、遠慮しねえでどんどん攻めろ」
「遠慮などするものかー!!」
三騎士竜による攻撃が続き、宇宙恐竜の動作が徐々に鈍ってくるのがわかる。あと少し、あと少しで一気に──
「!?──みんな、下がるティラァ!!」
「!、ティラミーゴ?」
ティラミーゴの呼びかけに皆が反応したときには、宇宙恐竜の周囲を円形に砂塵が覆っていた。
刹那、凄まじい衝撃。明滅する視界。一瞬意識が飛びかけたものの、エイジロウはマックスリュウソウメイルの加護によって己を保った。
「ッ、今の、は……」
霞む視界が鮮明になっていく──と、彼は驚愕させられた。宇宙恐竜の周囲一帯、真白い巌が剥き出しになっている。おそらくは衝撃波か何かで砂がことごとく吹き飛ばされてしまったのだろう。言葉にすれば容易いが、砂漠というこの地の特性すらも無に帰すほどの攻撃だったということだ。
(だとしても……本当の戦いは、こっからだぜ……!)
敗北は許されない。騎士として以前に──自分自身として。
一方、怒り冷めやらずフウフウと荒い吐息を繰り返す宇宙恐竜。砂埃の向こうにうっすらと覗く倒れた騎士竜たちの姿を認めて、彼は舌舐めずりをした。遊びの時間は終わりだ、あとは九匹まとめて、中のリュウソウ族もろとも喰らい尽くすのみ──
「……!?」
一歩を踏み出そうとしたとき、ふと気がついた。一、二、三、四、五、六、七──足りない、二体も。
不意に、背後から殺気が迫る。振り向いた宇宙恐竜の視界に映ったのは、竜頭を突き出し迫る紅蓮の竜騎士の姿だった。
「ガアァアッ!?」
すれ違いざまにその一撃を受け、後退を強いられる宇宙恐竜。直後、かの竜騎士は仲間たちを守護するように立ちふさがった。
「──っし、今だシャインラプター!」
姿を隠していたシャインラプターが現れ、癒しの光を振りまく。それを浴びた騎士竜たちの傷が治癒し、たちまち体力を取り戻していった。
「なるほど……!ここまで見越しての陣形だったか」
「おうよ!そんで、本番はここからだぜ!」
相手を出し抜いたところで満足していては本末転倒、敗北までの時間が延びるだけだ。
この意表を突いた直後を最大限に活かし、これまでにない必殺の一撃を叩き込む!
「連携攻撃だ、まずは頼むぜシャインラプター!」
言うが早いか、レッドと息を合わせたキシリュウオーが跳躍する。そしてシャインラプターの頭上から急降下したところで、彼女の後頭部の角によって思いきり弾き飛ばされた。
勢いのまま向かうは、シャドーラプターのもと。やはり同じようにして弾き飛ばされる。次は、パキガルーのもとへ。
「遠慮なくブッ飛ばしちゃうぜ〜!──ディメボルケーノっ!」
チビガルーのパンチが炸裂し、次はディメボルケーノ。
「うむ……!──兄弟、ショートっ!!」
「良かろう!」
「次は……カツキ、ミルニードル!」
「チッ、受けたらぁ!!──デクっ、タイガランス!!」
「了解!オチャコさん、アンキローゼ!」
ショートとモサレックス、カツキとミルニードル、イズクとタイガランス。そうして次々とキシリュウオーは仲間たちのもとを経由していく。ただ押しやられているのではない、彼らのエネルギーを少しずつ分け与えてもらっているのだ。
「よ〜しっ!──テンヤくん、トリケーン、決めちゃって!!」
いよいよ大トリ、テンヤとトリケーンのもとにキシリュウオーがやってくる。剣角を構えるトリケーン。そこに足をついたキシリュウオーを貫かぬように支え、そして、
「──Go!!」
宇宙恐竜めがけて、力いっぱい押し出した。
「うおぉぉぉぉぉぉ────ッ!!」
「ティラアァァァァ────ッ!!」
貰ったエネルギーを発露させながら、高速で突撃していくキシリュウオー。紅蓮のボディが炎を纏い、さらに赤く染まっていた。
「終わりだ──」
「──ダイノフューリー、メテオールインパクトォ!!」
吶喊とともに──キシリュウオー自身が、宇宙恐竜のボディを貫いた。
「!!!!???」
悲鳴をあげることもできず、目を白黒させる宇宙恐竜。その頭部がわずかに傾き、後方を見やる。そこには地面を滑走しながら着地するキシリュウオーの姿があって。
そう──宇宙恐竜の胴体には、キシリュウオーと同じ大きさの風穴が開いていた。それは彼の命を奪うのに十分すぎるもので。
"死"が訪れたことを最期に知覚しながら、宇宙恐竜はその場にゆっくりと崩れ落ちる。そして次の瞬間にはひときわ大きな爆発を巻き起こし、跡形もなく消滅するのだった。
「勝った勝ったティラ!!」
「おう!やったなティラミーゴ!!それに、」
「──皆も、ありがとな」
間違いなく、全員の力で勝ち取った勝利だ。
*
「まさか本当に宇宙恐竜を倒してしまうとはね……」
一部始終を彼方から観察しつつ、プリシャスは独りごちた。背後に控えるワイズルーは露骨に溜飲が下がったような様子でいるが、かの上位者の視線がこちらに向くと慌てて口笛を吹いて誤魔化した。
「楽しい遊びができそうだ……──ワイズルー、」
「ホ、What?」
「彼らはこのあとどう動くと思う?長らく戦ってきたキミの見解を聞かせてよ」
言葉尻は穏当だが、その手にはワイズルーの心臓を封じ込めた符が握られている。苦々しいものを感じながらも、彼はそれに応じた。
「……ヤツらはずっと北上を続けている。このまま北の地へ向かう可能性が高いだろう」
「北へ!そうかそうか、それは好都合!」
北には配下のドルイドンたちが跋扈している。彼らと合流し、リュウソウジャーにさらなるゲームを挑む──それもまた、面白い。
「なら、ボクらも北へ向かうとしようか。──ついてきてくれるよね、ワイズルー?」
「……フン、言われなくてもそのつもりでショータァイム!!」
リュウソウジャーとの戦いはもとより継続するつもりだったのだ、プリシャスの"
一方で、
「……オレは、無視かよ……」
名前すら呼ばれなかったクレオンは、密かに鬱憤を溜めていたのだった。
*
戦い、おわって。
帰りを待つコタロウのもとに合流したリュウソウジャー一行は、バザールで購入した寒冷地用の衣装に衣替えを行っていた。もっとも砂漠の真っ昼間にそんな恰好をしていたら熱中症を起こしてしまうので、夜の間に海沿いまで移動する手筈になっている。
「さて、皆準備は良いだろうか!?」
「は〜い」
「マスター、エイジロウくんがまだでーす」
「遅っせぇぞクソ髪ィ!!」
「ちょっ、待ってくれ……こーいうの着慣れてなくて……──っし!できた!」
仲間たちにわずかに遅れて、エイジロウも着替えを完了した。バザールで当初選ぼうとしたような半裸の衣装ではもちろんない。茶褐色のボトムと前開きベスト。漆黒のアンダーウェアの大部分はベルトや鉄製の肩当てや腕当てで覆い、首元は粗縫いの赤いマフラーで覆っている。仲間たちよりは明らかに軽装だが、ところどころが毛皮に包まれ、断熱性は確保されていた。
「おまたせ、いいぜ!」
「よし……じゃあ、行こう!」
いよいよ彼らは、氷雪に閉ざされた北の地へ向かう。跋扈するドルイドンからかの地を解放し──そしてはじまりの神殿に封じられた伝説の剣を手に入れ、故郷を取り戻すのだ。
(見ててくれ親父、ケント、タマキセンパイ)
必ず、成し遂げてみせる。
決意とともに、少年たちは一歩を踏み出した。
つづく
「ぷてらあどん?」
「十番めの騎士竜ティラ!!」
「キミにヤツらの抹殺を頼みたいんだ」
次回「凍てつく翼」
「あれが騎士竜……。感動だなあ」
今日の敵<ヴィラン>
宇宙恐竜(スペースドラゴン)
分類/宇宙怪獣
身長/482.3m
体重/25000t
シークレット/プリシャスが宇宙の彼方にあるとある惑星にて発見し、従えたドラゴン型宇宙怪物。騎士竜たちさえ比較にならないほどの巨体をもち、彼が通った跡は草ひとつ生えぬ死の大地と化し、放っておくと星そのものを喰らってしまうと云われているぞ!
ひと言メモbyクレオン:こんなヤツいたらマイナソーいらなくね?オレの存在意義……。