オルデラン村と東の草原地帯の境目には、大地を潤す長大な流れが広がっている。北部の山脈から南海にまで流れ込むそれは、周辺地域の人々にとって重要な水源、生活用水であった。
ゆえに魔物たちは、この川に目をつけたのだ。
「この川に毒を流せば、あの村の人間どもは一気に全滅!そうなりゃリュウソウジャーは絶望ってねぇ!」
「オルルルゥ、カエセェ!!」
村の上流にて、クレオンとケルベロスマイナソーはそんな企みを露にしていた。自らのペットを粉々にされた怨念は、必ず晴らす。そのために彼は今、死の商人の領分を超えて自ら動いているのだ。
「よーし、やっちゃえケルちゃん!!」
指示を受けたマイナソーが、川に迫っていく。その牙が水に浸かれば、そこから猛毒が浸透していく。明日の今ごろ、オルデラン村には死体の山が築かれているはずだ。リュウソウジャーの連中がそれを見ることになるかどうかは、彼らの体力次第だが。
「ぐふ、ぐふふふ……!」
噛み殺しきれない笑いを、クレオンが洩らしたときだった。
「──ノビソウルっ!!」
「!?」
紅く輝く刃が鞭のようにケルベロスマイナソーに巻きつき、そのまま投げ飛ばした。肉厚な身体がそのまま、創造主に衝突する。
「うぎゃあ!?」
見事に下敷きになり、蛙の潰れたような声を発するクレオン。何が起きたかを考えるまでもなく、複数の足音が迫ってくる。
「見つけたぜクレオン……!」
「あ、お前ら……リュウソウジャー!?」
"勇猛の騎士"リュウソウレッドと、"威風の騎士"リュウソウブラック。ふたりしかいないようだが、いずれにせよ今のクレオンには脅威だった。
「ど、どうしてここが……ってか早くどけよケルベロスマイナソー!!」
「オルルゥ……!」
マイナソーを退かし、慌てて立ち上がるクレオンに対し、エイジロウはニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。尤も今は兜に隠れているので、それを知覚する者はないが。
「へん、こっちにゃキケソウルとクンクンソウルがあるんだよ!」
「貰いモンだろうが、威張んな」
「いっ、いいだろ別に!」
エイジロウがクンクンソウルで嗅覚を、カツキがキケソウルで聴覚を強化し、マイナソーの行方を辿った。そしてここに行き着いたわけである。
「お、おのれ厄介な〜……!こうなったらケルちゃん、やっちまえィ!!」
「カエセェエエッ!!」
号令を受け、ケルベロスマイナソーが大口を開けて向かってくる。その牙から猛毒が滲み出すことは無論、わかっている。それでもエイジロウ──リュウソウレッドは、あえてその場に踏みとどまった。
「ンな齧りつきたきゃ、齧らせてやる!──ただしっ!」
『リュウ!ソウ!そう!そう!──この感じィ!!』
『ガッチーン!!』
「──この、カタソウルをな!!」
「グワアァッ!!?」
ダイヤモンドのような鎧の前には、ケルベロスマイナソーの牙も無力だった。むしろ牙にヒビが入り、悶え苦しんでいるありさまだ。
「オ、オルルルゥ……!」
「えっ、おっ、どうした?大丈夫か!?」
表向きこそマイナソーを慮るような言葉を吐くクレオンだが、すっかり腰が引けてしまっている。その少年じみた言動に違わず、彼は荒事に対した経験が少ないのだ。
「てめェも死ねぇ!!」
「!?」
すかさずリュウソウブラックがクレオンに迫る。慌てて後退するクレオンの鼻先三寸を、刃が掠めた。尤も彼に人間のような鼻の意匠は存在しないのだが。
「逃げんなゴラァ!!」
「や、やべェ……クレオンピーンチ!」
この危機を乗り切る方法は、ひとつ。
「タンクジョウさま、ヘル〜プ!タンクジョウさまァ〜〜!!」
クレオンとマイナソーしかいないので妙だと思ったら、タンクジョウも近くにいるのか?身構えるふたりだったが、かのドルイドンは彼らの予想だにしない形で姿を現した。
「ウオオオオ……!!」
「なっ……でけぇ!?」
エイジロウが洩らした通りだった。──見上げんばかりに巨大化しているのだ、タンクジョウが。
「来たなリュウソウジャー……!どうせ短い命の貴様らだが、邪魔立てするなら容赦はせん。今ここで葬り去ってやろう……!」
「ッ、てめェの思い通りになんかさせるか……!──カツキ、あいつは俺に任せてマイナソーを!」
「指図すんなクソが!元々そうするつもりだわ!」
吼えるカツキだが、ふたりの方向性が一致しているなら問題はない。巨大タンクジョウめがけて走り出すエイジロウを見送ることもなく、カツキは再び目の前の敵へと斬りかかっていった。
*
「ティラミーゴ、頼むっ!!」
「ティラアァ!!」
山中に身を潜めていたティラミーゴが、即座に駆けつける。彼は騎士竜の中でも図抜けた戦闘能力をもっていて、単騎でもマイナソーを撃滅することができる。しかし相手はタンクジョウだ、どこまで通用するか。
(それでも、やるしかねえ……!)
ティラミーゴの体内に呑み込まれると同時に、そのボディが人型へと変化する。戦うための姿、キシリュウオー。
「俺とキシリュウオーの力で、噛みちぎってやる!──いくぜっ!!」
胸部の竜頭が分離し、右腕に装着される。その噛みつきはキシリュウオーの必殺技でもある。エイジロウの言葉は大袈裟ではない。ないけれど。
「……無駄だ。俺がこの姿となった以上、貴様には一歩も近づかせん!」
タンクジョウの発言もまた、大袈裟ではなかった。
──その胸元から、大砲が現れたのだ。
「な……!?」
思わぬ武装にエイジロウが面食らうと同時に、砲弾が解き放たれ、キシリュウオーに嵐となって降りそそぐ。
そう、獄炎の嵐として。
「ぐうううう……!」
凄まじい衝撃に、歯を食いしばって耐えるほかない。幸いにして直撃は避けられたものの、鋼鉄の身体とはいえキシリュウオーも生身だ。その灼熱だけで、ダメージは免れない。
「俺は大地のエネルギーを得てこの姿たりえている……!今までの俺とは思わないことだ」
「ッ、それがてめェの本気ってわけかよ……!」
「そういうコト、だッ!!」
先ほどの砲撃は挨拶代わりにすぎなかった。吸い上げた地力から生成した砲弾は、弾切れを起こすこともなく連続で放出される。
「ッ!」
素早く跳躍、宙返りを駆使しながら砲弾の群れをかわしていく。直撃を浴びればその時点で危うい。絶対に命中をとらせるわけにはいかないのだった。
しかし止まぬ鉄屑の雨を前にしては、攻勢に転じることもかなわない。
「流石に独りじゃきちィか、キシリュウオー……」
キシリュウオー、つまりティラミーゴの威勢良い声は返ってこない。しかし直接戦っている彼のほうが、状況はよほど正確に把握しているだろうと考えられる。いずれにせよ、このままではジリ貧だと。
ならばいちかばちかで打って出るべきか、それとも──
そのときだった。タンクジョウの背後から、青と桃とが躍りかかったのは。
「ヌゥッ!」
その不意打ちを受けながら、タンクジョウは腕力のみで彼らを投げ飛ばしてみせた。空中で態勢を整え、キシリュウオーの両翼に着地する。
「トリケーン、アンキローゼ……!」
「すまない、待たせたエイジロウくん!」
原理はわからないが、騎士竜の体内にいる者同士は声が通じあう。頼もしいテンヤの声が届き、エイジロウの胸は弾んだ。
「ってか、私らに何も言わないで行っちゃうんやもん!気づくの遅れるに決まっとるやん!」
「それは……悪ィ、イズクとコタロウを看てるヤツが要ると思って」
それに、カツキが良い顔をしなかった。彼の機嫌を損ねて独りで先行されるよりはと思ったのだが、ふたりが来てくれなければ追い詰められていただろう。
「フン、三匹揃ったところで同じことだ!」
「そいつぁどうかな?──皆いくぜ、竜装合体だ!!」
「「応っ!」」
"竜装合体"──トリケーンとアンキローゼがキシリュウオーの両腕を覆う鎧と化し、出力を何倍にも増幅させる。
その名も、
「「「キシリュウオー、スリーナイツ!!」」」
「俺たちの騎士道……見せてやるッ!!」
「小僧どもが……!調子に乗るな!!」
死闘は、ここからが本番だ。
*
一方のカツキ──リュウソウブラックも、クレオンとマイナソーの二体を相手に揺らがぬ優勢を保っていた。尤もクレオンは逃げ回ってばかりいるので、実質的には一対一も同然なのだが。
「おらァ、どうしたァイヌ野郎がァ!!」
「オルルルッ!?」
振り下ろされる刃をいなしつつ、懸命に噛みつこうとするケルベロスマイナソーであるが、様々なリュウソウルを駆使するブラックを前にしてはかなわない。毒に侵されるとわかっていてそれを許すほど、彼は甘くも未熟でもないのだ。
「雑魚が、育つ前にブッ殺してやる……!」
「いやクチ悪ィな、おまえ!?」
自分のことを棚に上げて叫ぶクレオンだが、もはや彼にできることはない。攻めるにしろケルベロスマイナソーを庇うにしろ、痛い目に遭うのは自分なのだから。
「ブットバソウル……!」
切り札たるリュウソウルを鍔に装填し、
『リュウ!』
一回、
『ソウ!』
二回、
『そう!』
三回、
『そう!』
四回。
『──この感じィ!!』
『ブットバソウル!ボムボムー!!』
漆黒に劫火の意匠をあしらった鎧が、リュウソウブラックの右腕に装着された。
「カ……カエセェエエッ!!」
自棄になったのか、いちかばちかのつもりなのか、人間じみた叫びとともに真正面から向かってくるケルベロスマイナソー。
ならばこちらも、真正面から叩き斬るだけだった。
「はあぁぁぁ、──ダイナマイトォ、ディーノスラァァァッシュ!!!」
赤熱する刃が振り下ろされると同時に、
──BOOOOOOOOM!!!
ひときわ大きな爆発が、ケルベロスマイナソーを呑み込んだ。
「け、け、ケルちゃああああん!!?」
色をなくすクレオンだが、リュウソウブラックのダイナマイトディーノスラッシュを受けて無事だったものはいない。
爆炎が晴れて黒煙を残すばかりとなったとき、そこに立っていたのはリュウソウブラックただひとりだった。
「……てめェこそ返せや、コタロウの魂」
吹きすさぶ風に、呑まれてしまうほどのか細い声だった。
「さあ、次はてめェだ」
「く、くっそぉぉぉ……!──こうなったら!」
「こうなったら?」
「──逃げる!」
言うが早いか、クレオンの身体がどろりと融けた。
「!?」
呆気にとられるカツキの前で、液状化したボディがどんどん地面に吸い込まれていく。いや、自ら侵しているというべきか。
それで合点がいった。クレオンは身体を液体にして地下に潜ることで、夜警に気づかれることなく村への侵入を果たしたのだ。
「待てや粘菌ヤロォォ!!」
がなりたてながら、クレオンが消えた大地めがけて刃を叩きつける。BOOOM、と再び爆炎が発せられ地表を灼くが、クレオンの悲鳴らしき声は聞こえてこない。既に熱の届かない地中深くにまで潜ってしまったか。
「ッ、クソが……!」
あのドルイドンは少なくとも、マイナソーを生み出す元凶のひとりであったはずなのだ。仕留めていれば、と悔恨が心を支配する。
しかし逃げられてしまった以上かかずらっても仕方がない。──戦いはまだ、終わっていないのだ。
*
キシリュウオースリーナイツとタンクジョウのシングルマッチは、両者一歩も引かずに推移していた。
「ヌウゥゥッ」
「うおおおっ!」
ナイトソードとルークレイモアの剣戟においてはまさしく互角、どちらが勝るとも劣らない激戦である。ゆえに決着は見えないのだけれど、しかしリュウソウジャーは攻めあぐねていた。
「フンっ」
力の入った唸り声とともに火を噴く砲頭。至近距離でもお構いなしにぶっ放されるそれは、キシリュウオーの大いなる脅威となっていた。斬り結んでいる途中でも回避に移らねばならず、そのために姿勢も大きく崩れるのだから。
「ッ、厄介な……!」
「こっちにも飛び道具があれば、対抗できるのに……!」
三人揃って歯を食いしばる。オチャコの使用できる攻撃魔法なら遠距離でも通用するが、相手のスケールが違いすぎる。これほどの"でか物"が相手になるほど強力な魔法は、リュウソウ族でいえばマスターやそれに準ずる高位の者でなければ扱えない。
結局彼らは、騎士としての戦い方を継続するほかない。そしてそれは、今度こそジリ貧に追い込まれることを意味してもいた。
「所詮は小僧と騎士竜三匹……。貴様らの力では、何も守れはせん!」
「ざけんな!俺たちは、目の前の命をあきらめたりしない!!」
だから、最後の最後まで喰らいつく。それだけだ。
「──突っ込むぞ!」
スリーナイツのスピードをもって、一気呵成に。いちかばちかですらない無謀な賭けだが、もうそれしかない──!
「百万年早ぇわ、カス!!」
そのとき響いたのは、既に耳慣れてしまった少年の罵声だった。
同時に無数の長大な針が飛来し、ことごとくタンクジョウに突き立てられる。ぐうう、とうめき声をあげて後退する巨躯。
それをもたらしたのは、夜の闇に黄色い瞳だけを光らせた漆黒の騎士竜だった。
「ミルニードル……!──カツキ!」
マイナソーは倒したのか、なんて聞くことはない。今は彼らが援軍に来てくれたという事実を受け止めるのみだ。
「おいてめェら、キシリュウオーの指揮を俺に寄越せ」
「なんだと!?」
「ちょっ……救けに来てくれたのは嬉しいけど、横から出てきて……!」
これがイズクのように「一緒に戦おう」と言ったなら、テンヤもオチャコも諸手を挙げて歓迎しただろう。しかしカツキはそういうことを言えない少年である。
救いはわずかながらも一対一で言葉をかわしたエイジロウが、彼の意図を汲んだことだった。彼が了承すれば、「エイジロウくんが言うなら」という空気も生まれるのだ。
「……竜装合体!」
キシリュウオーの頭部が椎ごと剥がれていく。そこに、ブラックリュウソウルを媒介にしたミルニードルがするりと滑り込む。むろん彼の夜に溶け込むボディは、キシリュウオーの胴体を上から包み込んだ。──たちまちキシリュウオーは、英雄然とした姿を失い刺々しいダークヒーローへと早変わりを遂げたのである。
名付けて、
「キシリュウオー、ミルニードル!」
名より実をとる傾向は、数少ない幼なじみふたりの共通点だった。
「また合体か……!鎧一枚被ったところで、付け焼き刃だと思い知れ!!」
白みはじめた戦場で、タンクジョウは気炎を吐いた。言葉だけではなくて、実際に砲弾を撃ち出しながら。
「それしか言えねえンか、てめェは!」
せせら笑うように言い返すと、カツキはキシリュウオーミルニードルを前進させた。砲弾を浴びることも厭わない態度に、同じく体内にいるエイジロウたちは少なからず慄く。
「おまっ……ヒトにあんなこと言っといて、自分もそのまま突っ込む気かよ!?」
「うるせェ黙っとれ!!──これが俺とミルニードルの戦い方だ!」
そのままと言っても、まさか砲弾を身体で受けるようなまねはカツキもしなかった。キシリュウオーミルニードルは両肩から無数の針を飛ばし、迎撃を試みているのだ。
長大な針とぶつかりあった砲弾は誘爆させられ、無数の紅蓮を有明にばら撒く。とはいえその衝撃は、キシリュウオーのボディを通してエイジロウたちにも伝播するのだが。
「ッ、マジで無茶すんな、おめェ……!」
「………」
返答はない。無茶とも思っていないのだろう。──イズクが彼の言う通りの少年だとしても、自分だって大概ではないか。
それでも現実、決定的なダメージを受けることはなく、キシリュウオーは再びタンクジョウに肉薄した。
「それで勝ったつもりか!」
もとよりタンクジョウ自身は近接戦闘に長けているのだ。間合いを詰められたなら、ルークレイモアを振るうだけだ。
だが、それこそカツキの望むところだった。両腕に掴んだナイトメイス、それをがむしゃらに振るう、振るう、振るう。
「グゥ、これは……!?」
そこでタンクジョウは初めて気づいた。──パワー負けしている、自分が。
「はっ、スリーナイツで互角だったんだ。俺のミルニードルが付いて敵うワケねえだろうがぁ!!」
「ぐおお!?」
間もなく、ルークレイモアが弾き飛ばされた。胴体にメイスが掠り、火花を散らしながら後退する。細かくも鋭い刃のついたメイスの一撃は、タンクジョウの堅牢なボディをも穿ってみせたのだ。
「馬鹿な「おらあ!!」──ガアァッ!?」
たじろぐタンクジョウが態勢を立て直すより先んじて、タックルが浴びせられる。これを為したのはカツキではなく、エイジロウだった。
「てめェクソ髪、何勝手に──」
「ミルニードルなら、こういうこともできるだろ?」
「ッ、」
カツキは思わず言葉に詰まった。エイジロウのそれは、やや乱暴な形ではあるが、自分の想定していたものと共通していたからだ。
「チッ……二度と手も口も出させねえ。──ミルニードル!!」
漆黒の鎧騎士が、漆黒のメイスを振り上げる。それはタンクジョウにとってギロチンにも等しいものであった。
「死ねぇぇッ、ニードルクラッシャー!!!」
目にも止まらぬ勢いで叩きつけられるメイス。もはやタンクジョウに防ぐ手立てはない。鎧が爆ぜ、大きく弾き飛ばされる。
──そしてそのまま、崖を転がり落ちた。
「ぐおおおおおッ、おのれェェリュウソウジャアァァァ──!!」
奈落の底へと消えていくタンクジョウ。その姿を見送ることもなく、朝日を背に佇むキシリュウオーミルニードルだった。
*
ケルベロスマイナソーを討ち、タンクジョウをも下した。確かな勝利を得て村へ戻った四人だったが、待ち受けていた現実は非情だった。
「なんで……元に戻ってねえんだよ……?」
呆気にとられたような、目の前の光景を受け入れられないエイジロウの言葉がすべてだった。
「カエセ、カエ……セ……」
「ッ、うぅ、あ……っ」
コタロウは呪詛と化した言葉を吐き続けていて、イズクはマイナソーの毒に苦しみ続けている。
「ま、マイナソーは倒したんだよね?ねえ!?」
オチャコの問いは、もはやカツキの耳には入っていない。──彼の目にはもう、苦しむ相棒しか映っていなかったのだ。
「デク……っ、ンな顔して寝てんじゃねえッ、デク!!」
「う゛、うう……っ。か、……ちゃ………」
イズクの顔色は最後に見た夜よりも明らかに悪くなっている。かすれた声で呼ばれる名前に、カツキの心臓がどくりと跳ねる。
「ご……めん………」
「……!」
そして──イズクの手が、力なく床に投げ出された。
「デク────ッ!!!」
つづく
「まだ、終わってねえんだよ……!」
「ここで決着をつけるか、リュウソウジャー!!」
「この星を守るために、おまえを倒す!!」
次回「決戦!タンクジョウ」
「――コタロウ、大好きだよ」
今日の敵‹ヴィラン›
ケルベロスマイナソー
分類/ビースト属ケルベロス
身長/181cm
体重/272kg
経験値/109
シークレット/三つ首の幻獣"ケルベロス"に似たマイナソー。通称"地獄の番犬"。その牙は猛毒を宿しており、噛みつかれたら最後、どんな屈強な戦士でも二日ともたないと言われているぞ!
ひと言メモbyクレオン:せっかくイイ作戦立案したのに、リュウソウジャーのガキどもにやられちゃったねぇ〜。でもなんで元に戻らないんだろうねぇ〜?ぐふ、ぐふふふふ!