【完結】僕のリュウソウアドベンチャー   作:たあたん

158 / 164
49.宿命の子供達 3/3

 

 エイジロウを除く五人とヤバソードの戦闘もまぎれもない佳境を迎えようとしていた。

 

「ディーノソニックブロー!!」

「コズミックディーノスラァッシュ!!」

 

 次々と放たれる必殺の一撃に、ヤバソードは耐えきれず地を転がった。回復力が尋常でない彼だが、波状攻撃にそれが追いつかなくなりつつあるのだ。

 

「よし……!次は五人で一気にいこう!」

「命令すんなクソメガネ!!」

 

 条件反射的に反駁するカツキだが、誰よりも早くその用意をしている。この危険な存在は、何をおいても倒さねばならない。

 

「はぁああああ──!」

 

 五人がいよいよその構えをとろうとしたときだった。

 

 突如傍らから衝撃が襲ってきて、彼らを弾き飛ばしたのだ。

 

「ぐううっ!?」

「ッ、まさか──」

 

 そのまさか──砂塵を纏いながら、プリシャスが舞い戻った。そしてその背後には、

 

「なんだ、あれは……!?」

「!、もしかして、あれが──」

 

「──そう、これがエラス様だ……!」

 

 エラス──その禍々しいオーラは、プリシャスにまで伝播しているようだった。突然の黒幕の出現に、皆、息を呑むしかない。

 

「さあヤバソード、ボクらの女王を連れてきてあげたよ……!」

「!!、エラス、サマ……!」

 

 見境なく暴れるだけだったヤバソードが、エラスの存在に強く反応している。本能的な危機を探知したカツキが、「とっととブッ殺すぞ!」と声を張り上げる。仲間たちもそれでようやく我に返ったのだが、攻撃を仕掛けようとした瞬間にプリシャスが叫んだ。

 

「エラス様、貴女の生み出したヤバソードをお助けください!!」

 

 その声に反応し、エラスが動き出す。球体を包む触手の一本が伸び、ヤバソードの背中に突き立てられる。

 

「ガッ!?」

 

 ヤバソードが苦悶の声をあげると同時に、五人の剣撃が放たれる。膨大なエネルギーが接触した瞬間、ひときわ大きな爆発が起きる。

 

「やったか……!?」

 

 そう思ったのもつかの間、

 

「──ウゥオォォォォォ……!!」

 

 炎を吸収しながら、ヤバソードがたちまち巨大化していく。あちこちがひび割れ、そこから瘴気が噴き出していく。以前の巨大化と比較しても、尋常でない姿。

 

「ウゥゥゥ……」

「さあヤバソード、全部まとめて叩き潰してしまえ!!」

 

 プリシャスが高らかに声を張り上げる。それに応えるようにヤバソードが発したのは、

 

「滅ボス……!リュウソウ族……──ドルイドン!!」

「──え?」

 

 リュウソウジャーもプリシャスも、その言葉の意味を一瞬理解できなかった。しかし他ならぬヤバソードの行動によって、否が応でも思い知らされることとなる。

 

「グガァアアアアア──ッ!!」

 

 咆哮とともに大刀が振り下ろされる。それはリュウソウジャーの面々ばかりか、当然のようにプリシャスをも巻き込んだ。

 

「なっ、何をするヤバソード!?」

「ドルイドン、消エロォォ!!」

 

 いちばん近くにいたこと、そして迂闊に声を張り上げたことが災いしてか、ヤバソードの標的はプリシャスに絞られたようだった。吹き飛ばされた五人は、竜装を解かれたこともあって静観するしかない、呆然と。

 

「どう、なっているんだ……?」

「エラスが何かしたとしか思えないが……」

 

 状況からすればそれは間違いない。しかし客観的に見ればそうでも、感情の面では理解しがたかった。傀儡なのではと疑いたくなるほどにプリシャスの思い通りに行動していたエラスが、こんな突然、彼を排撃するようなまねを。

 

 そしてヤバソードの猛攻を間一髪かわし続けたプリシャスの心は、思いもかけぬ反抗への困惑から覚め、激昂へと移り変わっていた。

 

「ヤバソードォ……!貴様ァァ!!」

 

 振り下ろされる大刀。その衝撃を逆利用してプリシャスは高く跳び上がった。ヤバソードの胸のあたりにまで上昇したところで、手持ちの魔符を投げつける。

 

「ガッ……!?」

「……ッ、」

 

 苦悶の声をあげるヤバソード。符に心臓を吸い取られたのだ。それを手に着地したプリシャスは、勿体ぶる余裕もなくぐしゃりと握りつぶした。

 

「グギャアァァァ……!!?」

 

 悲鳴とともに、ヤバソードの身体が縮んでいく。彼のプリシャスに対する叛逆劇は一分ともたずに終わった。それは確かだが、爪痕の深さとはまったく比例していない。

 

「ハァ、ハァ……──どういうつもりだ……エラスゥ!!??」

 

 プリシャスが激昂するのも、このときばかりは無理もないと思えた。あまりにも唐突に過ぎるエラスの裏切り。いったい何を考えているのか、目も口も何もない球状のオブジェクトからはいっさい読み取れない。

 ひとつその方法があるとすれば──エラスに操縦された、ヤバソードの行動だった。

 

「グウゥ……!ドルイドン、滅、ボス……!!」

 

 背を向けるプリシャスに、容赦なく斬りかからんとする。しかし心臓を握られている以上、それはプリシャスではなく彼自身の命を燃やし尽くすも同然の行為だった。

 

「──ハアァッ!!」

 

 符を手放すと同時に、プリシャスは薙刀を一閃した。

 

「!!!!!!」

 

 声にならない悲鳴をあげて、ヤバソードが前のめりに倒れ込む。びく、びくっと痙攣する身体。やがて完全に動かなくなると、その身体は跡形もなく消滅していった。

 

「フー……フー……!」

「──……、──………」

「──エラスウゥゥゥ!!!」

 

 怒りのままに、女王とまで形容した相手にも襲いかかるプリシャス。しかし次の瞬間、エラスの身体から光の矢が放たれて。

 

「──!?」

 

 それを浴びた瞬間、プリシャスの中に膨大な何かが流れ込んできた。刹那が悠久にも思えるほどの凄まじい情報の奔流に、彼は発狂したかのように頭を抱えてのたうち回る。

 困惑したままその光景を見ているしかない五人──そこに、いよいよ"彼ら"が駆けつけてきた。

 

「──皆っ!!」

「あ、エイジロウくん……と──んんっ!?」

 

 マックスリュウソウレッドと、リュウソウスカイブルー。後者の存在など知るよしもない一同は、ただただ驚愕するほかない。

 

「誰その人!?……その子?」

「その体格、まさかと思うが……」

「──コタロウだぁ!」ピーたんが割り込んでくる。「っていうか、コタロウにヘンなのが取り憑いて、オレの力で勝手に竜装しちゃったんだよぉ!」

「ヘンなのではない!──私は先代のリュウソウグリーン、トシノリだ!」

「え、ええぇっ!?」

「ア゛ァ!?」

「し、信じらんねーかもしんねーけど本当なんだ!だいたい、コタロウがこんなナイスミドルな声なわけねーだろ?」

「まあ、それはそうだが……」

「ナイスミドル……ゴホン!」咳払いしつつ、「キミが今のリュウソウグリーンだね。HAHAHA、こうして話ができて光栄だよ!」

「えっ?あ、あぁ!こちらこそこ、光栄でしゅっ」

 

 力強い握手に翻弄されるイズク。カツキなどは「ンだこの展開!?」と唸っているが、無理もない。

 

「さて、キミたちとはもっと話したいこともあるが……」

 

 蒼穹の騎士の視線が、敵陣へと向く。敵陣といってももはや、あらゆる生命からかけ離れた"ドルイドンの女王"を除けばプリシャスしかいないが。

 よろよろと立ち上がった彼は──頭を押さえたまま、笑いだした。

 

「くくくく、ははははは……っ!──そうか、そういうことか……!わかりましたエラス様、ボクらの使命……!!」

「……!」

 

 狂ったように笑いながら、プリシャスが襲いかかってくる。竜装が解除されている五人を守るべく、勇猛と蒼穹の両騎士が応戦した。

 

「はははは、あははははっ!!」

「ッ、こいつ……!」

「──エイジロウ少年!なんでもいい、私にリュウソウルを貸してくれ!」

「なんでもって……じゃあこれ!」

 

 まともに確認している暇はない。プリシャスの薙刀を防ぎつつ、レッドは手持ちのリュウソウルを投げ渡した。

「感謝する!」と応じながら、彼は──これまたエイジロウの貸した──リュウソウケンに装填し、

 

『クサソウル!モワッモワ!!』

「え、」

「あっ」

 

 嫌な音声を聞いてしまった。聞き間違いだと思いたかったが、そうでないことはリュウソウケンより発せられた薄茶色のガスが教えてくれたのだった。

 

「臭、っせえぇぇぇ!!?」

「HA…HAHAHA……よもや、こんなソウルを……」

 

 悶絶するふたりだが、その効力は当然プリシャスにも及ぶ。思いもよらぬ攻撃に、彼は苦悶の声をあげながら後ずさった。

 

「ゴホ、おぇ……け、結果オーライ……!」

「何が結果オーライだアホ」

「次はもう少し王道のソウルで頼むよ……」

「う、うっス!……じゃあ、これ!」

「む、カタソウルか!」

「大事に使ってくださいね、親友の形見なんで!」

「責任重大だね……。──では、遠慮なく!」

 

 カタソウルが発動すると同時に、怒り心頭のプリシャスがふたたび斬りかかってくる。今度は全身をダイヤモンドのごとく硬質化させた蒼穹の騎士が、その一撃を弾き返した。

 

「ぐぅ……!?」

「HAHAHAHA、そんなものは効かない!」

 

 そして、もはや言うまでもないことだが、弾き返すだけがカタソウルの用法ではない。その硬さは、まま攻撃にも転化できる。

 

「せーのでいくぜっ、マスターグリーン!!」

「オーケー!──はぁっ!」

 

 息を合わせて、刃と爪とを同時に振り下ろす。薙刀で防ごうとしたプリシャスだったが、息のぴったり合った同時攻撃にはかなわず武器もろとも大きく弾き飛ばされたのだった。

 

「く、……そ……くそくそくそくそくそぉっ!!」

「おめェの負けだ、観念しろプリシャス!!」

「今こそ、二百年の無念を晴らす!」

「ふざけるなぁっ!!」

 

 びりびりと空気を震わせるような声。エラスを背に気を吐く彼からは、ある種の悲愴感のようなものすら漂っていた。

 

「お前らリュウソウ族はボクらの邪魔をしていい気になって……!自分たちのほうがよほどこの星にとって害悪であることに気づきもしない!!愚かで哀れな、唾棄すべき存在なんだよ!!」

「な……」

 

 プリシャスが何を言っているのか、エイジロウたちには理解ができなかった。この星を蹂躙し大勢の生きとし生けるものを苦しめてきたドルイドンより、自分たちのほうが害をなしていると?

 

「苦し紛れの戯言だ、いちいち聞く耳もってんじゃねえ」

 

 冷たく切り捨てたカツキが、そう言って前に出てくる。そうかもしれない。いやしかし、プリシャスの言動にはあまりに真に迫るものがあって。

 彼はなおも続けてこう言った──「エラス様が教えてくれたんだ」と。

 

「エラス様がおつくりになったのは、ボクらだけじゃない……!──リュウソウ族!!お前らこそ最初に生み出された被造物(クリーチャー)だったんだよ!!」

「……!?」

「なん、だって……!?」

「嘘だ……そんなの!」

 

 リュウソウ族の少年たちの間に動揺が広がっていく。エラス、唐突に現れた敵の親玉。そういう認識だった彼らにとって、プリシャスの言葉は荒唐無稽ですらあった。にもかかわらず、一笑に付せない何かがエラスからプリシャスを通じて流れ込んでくるようだ。

 

「信じるかどうかは好きにすればいいさ……。──でもボクは信じるよ、エラス様の仰せを!この星の守護者として生み出したリュウソウ族、お前らは身勝手な進化を遂げ、他の生物までもを巻き込んだ争いを繰り広げ、この星そのものを傷つけた!だからエラス様はボクらドルイドンを生み出したんだ……!この星に蔓延る悪性生物どもを駆逐し、秩序と平穏を取り戻すためにねぇ!!」

「そん、な……」

 

 そんなはずは、しかし──揺れ動く少年たちに追い打ちをかけたのは、魂の上では遥かに年長の先代だった。

 

「……おそらく、プリシャスの言っていることは真実だ。私は魂だけの存在だから、他者の魂の揺らぎには常人より敏い」

 

 だから、少なくともプリシャスが本気でそれを信じ、自分たちに突きつけようとしていることは間違いない──トシノリは、そう続けた。

 

「じゃあ、本当に……」

 

──リュウソウ族がかつて相争い、星を傷めたことはまぎれもない事実だ。

 

「ボクはエラス様の意志をかなえる……!お前らリュウソウ族も、お前らに似せて繁殖した人間どもも駆逐する!!それが……ドルイドンの使命だぁッ!!」

「!、使命……」

 

 自分たちが胸に刻んできたのと、同じ言葉。それとともに、プリシャスはふたたび向かってくる。既に武器は手元になく、丸腰のまま。

 

「ッ、プリシャス……。それがおめェらの使命だっていうなら、俺たちは──」

 

 リュウソウジャーの……騎士の、使命は。

 

──そのとき、不意に蒼いスポットライトが辺りを包み込んだ。

 

「ッ!?」

「なんだ……!?」

 

 

『ジャスト ア モォォォメントゥ!!!』

 

 既に厭というほど聴いてきた声だった。声だけではなく、降り立った姿まで。

 

「呼ばれなくても、ジャジャジャジャーン!!」

「な……ワイズルー!?」

「生きていたのか……!?」

「やっぱなァ……」

 

 カツキの射殺さんばかりの視線に貫かれ、エイジロウはぶるっと震えた。倒しきれていなかったのではという懸念が的中してしまったのだから無理もない。

 しかしワイズルーの目は、リュウソウジャーには向けられていなかった。

 

「ワイズルー……邪魔だ、そこをどけぇ!!」

「HAHAHA、随分と様変わりしてしまったなプリシャ〜ス?──ンン〜、ゴホン!」

 

 咳払いをしたワイズルーが、不意に真面目な雰囲気を纏う。

 

「今日はプリシャス、貴様に伝えたいことがあって来た!」

「ッ、」

「それはつまり、エラスさ──」

 

 ワイズルーがそこまで続けたときだった。

 

「──確かにエラスさまはァ、リュウソウ族を駆逐するためにドルイドンを生み出した!でも、そのドルイドンが今度はこの星を征服しようとしだしたから、どっちも駆逐しようとしてるんだーっ!!」

 

 今度はクレオンが地中から現れた。どろっと溶けた不定形の塊が、見慣れた菌類怪人の姿を取り戻していく。

 

「!、それでヤバソードは、プリシャスのことも攻撃したのか……」

 

 テンヤが手を打つ。尤も納得できるのはその事実のみで、現況すべてについては混沌の中にあるままだが。

 

「ちょ〜っとクレオォン……?」ワイズルーがにじり寄り、「ぜ〜んぶ喋っちゃったでしょ……。もうっ、ここは私の崇高な推理を披露する見せ場だったのに!!キャメラどっち?あ、こっち……──もうイヤっ!!」

 

 あらぬ方向にズバッとシャウトするワイズルー。相方の奇行にはすっかり慣れっこのクレオンは鼻白むこともなく、「サーセン!へへっ」と頭を掻いている。

 「ふぅ」と息をつきつつ、ワイズルーはふたたびプリシャスのほうを振り返った。

 

「……もう、良いのではないか。プリシャス?」

「……何?」

 

 地面からそっと何かを拾い集める。──それはヤバソードの心臓を閉じ込めた符だった。プリシャスがばらばらに切り刻んでしまい、もはや原型をとどめてはいない。本来の持ち主が死んだことは、その瞬間を目撃していなくとも明らかだった。

 

「これ以上、観客が減ってはつまらない。奪い、奪われるばかりの戦いは、もう終わりにしよう」

「……!」

 

 その言葉に驚愕したのはプリシャスばかりではなかった。リュウソウジャーの面々、とりわけ最後に彼と剣を交えたエイジロウは。

 

「ワイズルー、おめェ……」

「……リュウソウレッド、キミが最後に言ったことが心に残ってね」

「俺の……?」

 

──人間もリュウソウ族もドルイドンも、心のありようはそう違うもんじゃない。

 

──お互いもっと早くそれに気づければ、争わずに済んだかもしれねえのにな。

 

「深手を負いながらも生き延びた私は、傷を癒すついでに人間に化けて様々な街を回った。……人間が蔓延る星というのも、案外おもしろいものだったのだな」

 

 蹂躙に邁進していた頃には考えもしなかった。──あるいはマックスリュウソウレッドに敗れたとき、自分は一度死んで生まれ変わったのかもしれない。刹那の楽しみのために争い続けるなど愚かだし生物として惨めだ、そう思うようにすらなってしまった。

 

「贖罪などという気持ちをもつほど殊勝ではないが、この戦いを終わらせたいとは思っている。……プリシャス、おまえももう一度考え直すべきだ。この星から人間を狩り尽くしたあとに、何が残るのか」

「ッ、でも、エラス様の……使命は……」

「──使命じゃねえ、自分のやりてぇことを考えろよ」エイジロウが口を挟む。「たとえば……心臓を奪らなくても対等に付き合える仲間をつくる、とかさ」

「対等に……」

 

 「ここ、ここにいる!」と盛んに自分を指さすワイズルー。クレオンもそれに追随する。その滑稽だが親愛を感じる所作に、彼らの言葉を完全に受け入れたわけではないプリシャスも心に巣食った氷が融けていくのを感じていた。──ガンジョージは死に、ヤバソードは反抗したために自ら殺めた。そしてエラスには人類殲滅のための駒としかみられていないことが明らかになった今、ワイズルーたちの言葉に悪夢から覚めたような思いだったのだ。

 

「ほら、」

 

 差し出される手。それが決め手となって、プリシャスも手を伸ばそうとする。あの、プリシャスが!

 これは歴史的な瞬間かもとリュウソウジャー、トシノリは思った。ドルイドンにも人間的な感情はある。そこに優しさや情が芽生えたならば、それは自分たちと何も変わらない。

 

 そして手と手が重なりあおうかという瞬間、

 

「──危ないっ、プリシャスさま!!」

 

 唐突にそう叫んだクレオンが、その背中を庇うように割って入る。何事かと顔を上げた一同が見たのは、その先で不気味な光を放つエラスだった。

 まさかと思った瞬間、光が触手へと姿を変えて襲いくる。それはクレオンもろともプリシャスを貫通した。

 

「アッ!?」

「う゛っ!!?」

「クレオン、プリシャス!?」

 

『……この星を、創り直す……』

「え……」

 

 クレオンが奇妙な言葉を発したのは一瞬のことだった。はっと我に返ったように辺りを見回し、恐る恐る自分の身体を見下ろす。

 

「げえぇっ、やっべえ貫通しちゃってる!どどど、どうしよぉ!?」

 

 軟体が災いしたか……いや、クレオン自身の身体のことを思えば幸いといえたのかもしれない。

 エラスの触手はプリシャスのみを捕らえ、その身を引きずっていく。そしてそのまま、ずるんと体内に取り込んでしまった。

 

「な……!?」

「た、食べた!?」

 

 その身体からドルイドンを生み出すことばかりか、その逆にまで及ぶとは。信じられない思いで見つめていると、エラスが変化をはじめた。

 球体だった身体が縦に長く伸びてゆき、手足らしきものが生え出づる。ところどころプリシャスにも似ていながら、より悍ましく禍々しい姿へと変わっていく。

 

「なんだ、いったい何が……」

「!、嫌な予感がする……!皆、ここは──」

 

 トシノリが退避を促そうとしたときだった。

 

『この星を、創り直す』

 

 エラスの身体から眩い光が放たれ、エイジロウたちを、否、世界すべてを呑み込んでいった。

 

 

 つづく

 

 

 





「やさしい夢に浸るには、ちーっと早ぇんじゃねーの?」
「俺たちに、皆の幸せを奪う権利があるのか……?」
「私はこれからも、みんなと一緒に笑いあいたい……!」
「俺たちは歴史の上に立ち、生きていく!」

次回「新世界へ」

「それが、俺たちの騎士道だッ!!」


今日の敵‹ヴィラン›

ガンジョージ・ツヴァイ
(各データはガンジョージと同一)
シークレット/ガンジョージの死と入れ替わるように現れた、まったく同じ姿をしたドルイドン。能力もガンジョージと変化はないが、知能は遥かに高く、流暢に喋るぞ!
ひと言メモbyクレオン:なんかコイツ、ゴホン!……この人タンクジョウさまに似てない?気のせい?


ヤバソード

分類/ドルイドン族キング級
身長/194cm〜47.5m
体重/291kg〜712.9t
経験値/909
シークレット/エラスにより、ガンジョージ及びツヴァイに続いて生み出されたドルイドン。ドルイドン最上位のキングクラスではあるものの、破壊衝動に支配されており、まともな意思疎通すら不可能な有様だった。最終的にはエラスの意志のままプリシャスにさえ牙を剝いたが、その末路は……。
ひと言メモbyクレオン:まともに喋らないわ見境なく暴れるわ……ドルイドンっつーよりマイナソーみたい……あっ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。