【完結】僕のリュウソウアドベンチャー   作:たあたん

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6.決戦!タンクジョウ 2/3

 

 クレオンは果敢にも、ケルベロスマイナソー(兄)を連れて再び河川の上流に姿を見せていた。

 

「さァて、いい加減リュウソウジャーのガキどもも全滅した頃だし……。ケルちゃん兄、今度こそ毒ブチ込んじまえ!」

「ケルルルゥッ!!」

 

 意気軒昂、河川に顔を突っ込もうとするマイナソー。その牙から毒が染み渡れば、オルデラン村だけでなくこの東の大地にある街を全滅させることも夢ではない。そしてそれは、タンクジョウにとって殊勲級の功績となる筈だった。

 しかし、

 

「やはりここだったかッ、クレオン!!」

「!?」

 

 まさか!?慌てて顔を上げたクレオンの前に、ふたりの少年が現れた。

 

「げえぇっ、リュウソウレッドにリュウソウブルー!?まだ動けたのかよ!!」

「ああ動けたよ!」

「俺たちの間で感染させただけでは満足しまいと思っていたが、その通りだったな!」

 

「毒でやられねえうちに……俺らの目的、果たさせてもらうぜ!──リュウソウチェンジ!!」

「リュウソウチェンジ!!」

『ケ・ボーン!──リュウSO COOL!』

 

 竜装を遂げると同時に、突撃する──レッドのみ。

 

「うおおおおおおッ!!」

「エイジロウくん、俺のところへ追い込んでくれ!オモソウルで動きを止めて捕える、倒してはダメだぞ!」

「わかってるってッ!」 

 

 カタソウルを竜装し、ケルベロスマイナソーの牙を防ぎつつ攻めたてる。そうして敵愾心を高めさせたところで、今度はテンヤから借りたハヤソウルを装填した。

 

『ハヤソウル!ビューン!!』

「っしゃあ!いくぜぇぇ──!!」

 

 勢いのままに走り出す。とはいえハヤソウルを使い慣れていないエイジロウでは、テンヤやイズクのように全力全開というわけにはいかない。普通に走っているだけで弾丸のように流れていく景色は、頭ではわかっていても心がついていかない。実戦で使うには不十分なのだ、普通なら。

 しかし今回、ハヤソウルを利用して攻撃することではなく、ハヤソウルを使うことそのものに意味があった。

 

「ほらほらっ、どしたぁッ!?」

「ケルルルゥ……ッ、──グガァアアアッ!!」

 

 目の前で高速反復横跳びを目の前でかまされ、ケルベロスマイナソーはついに暴発した。唸りながら齧りつきにかかるも、当然のように逃げられる。

 

「──犬は速く動くモノを追わずにはいられない。その習性は……マイナソーでも変わらない!」

 

 すべて、騎士になるにあたって教え込まれたこと。その知識をフルに活用して戦ってこそ、ブルーパラディンズ──叡智の騎士の真髄なのだ。

 

 ついにレッドが、ケルベロスマイナソーを目の前にまで連れて来ていた。

 

「テンヤ、頼む!」

「うむッ、オモソウ──」

 

 オモソウルを装填しようとしたときだった。なんの前触れもなく、衝き上げるような苦痛が体内から襲いかかったのは。

 

「ぐ、がぁ……ッ!?」

「テンヤ!?」

 

 たちまち竜装が解け、テンヤはその場に蹲った。とてもではないが、再び立ち上がって戦えるような状態ではない。

 

「フヘヘヘヘっ、おまえの症状のほうがオモソウル〜!」

「クソっ、舐めやがって……!」

 

 作戦は、破綻した。しかしあとがない以上、撤退という選択肢はありえない。いつ毒が文字通り牙を剥くかもわからない中、エイジロウは剣を振るい続けるしかなかった。

 

(イズクが、信じて待ってんだ……!絶対に、獲る!!)

 

 

 *

 

 

 

 そう──満身創痍の状態で、それでもイズクは意識を保って作業を続けていた。

 

「よし……あとは、マイナソーの一部が揃えば……!」

 

 既に薬をつくる準備は完了している。あとは、エイジロウたちの帰還を待つだけ──

 

「かえ、せ………」

「!」

 

 そうなると、気にかかるのは昏々と眠り続けるコタロウ少年のこと。薄く見開かれたままの瞳から光る雫がこぼれるのを、イズクは見た。

 

「……コタロウくん、」

 

 彼の事情については、エイジロウたちから聞いていた。

 

 マイナソーによって精神を支配されたこの少年は、"返せ"のひと言でしか己の抱えているものを吐き出すことができない。その奥底には、10歳の子供としては甚だ深い哀惜と憤懣が存在するのだろう。

 

「きみは──」

 

 そのときだった。にわかに扉が開いて、筋骨逞しい上半身を晒した少年が入ってきたのは。

 

「!、かっちゃん……?」

 

 名を呼ぶ幼なじみを忌々しげに睨みつけつつも、カツキはベッドの傍にどかりと座り込んだ。その視線が、コタロウに向けられる。

 

「………」

 

 カツキは何も言わない。イズクに背を向けたまま、眠る少年をじっと見下ろしている。──そういえば彼が昨夜、コタロウとふたりで何か話していたことを思い出した。一度はリュウソウケンの鋒を向けてはいても、少なからず思うところはあるのだろう。そういう、不器用な少年なのだ。

 

「……信じよう、かっちゃん。エイジロウくんたちはきっと、やってくれるよ」

 

 返答は無かったし、必要とも思わなかった。

 

 

 *

 

 

 

 独りになったエイジロウは、それでも懸命にケルベロスマイナソーと戦い続けていた。

 

「カエセェェッ!!」

「ッ、ぐぅ……!」

 

 倒してはいけない相手とはいえ、苦戦を強いられている。双子として生まれたことといい、それだけ宿主……つまりコタロウの想いが強いのだろうか。彼は聡明な少年で、だからこそ懊悩を抱え込んでしまっているように、エイジロウには思われたのだ。

 だから、吐き出せと言った。思うままを、自分にぶつけて良いと。

 

 でもこんな発露のしかたは、コタロウだって望んでいないはずだ。

 

「俺が、必ず──ッ!?」

 

 救うと公言することすらも許さず、猛毒は無慈悲に牙を剥いた。

 

「ぐぅ、あぁ……ッ」

 

 耐えがたい苦痛に、例に洩れず竜装が解ける。その場に片膝をついたエイジロウを見下ろし、クレオンがげらげらと嗤った。

 

「やっと効いた!これで全滅だなァ、リュウソウジャー!」

「くっ……エイジロウ、くん……!」

 

 見かねたテンヤが立ち上がろうとするが、すぐに態勢が崩れる。毒が回るのが遅かったぶん、その症状の進行が劇的なのだ。エイジロウもきっと、立てなくなるまでに時間はかからないだろう。

 

「まだ、終わってねえんだよ……!──遊んでねえでかかってこいッ、マイナソー!!」

「こいつうっっっっぜ!とどめ刺しちゃえ、ケルちゃん!!」

「ケルルルッ!!」

 

 クレオンもマイナソーも、エイジロウの挑発にあっさりと引っ掛かってくれた。前者が相変わらず指示を出すだけで自分が引導を渡そうという意欲がないのも幸いする。

 

「カァエーセェェェ!!」

 

 向かってくるケルベロスマイナソーに対し──エイジロウは、躊躇うことなくリュウソウケンをその場に捨てた。一見すると、自棄になったとしかとれない行動。

 当然の帰結として、マイナソーの牙がエイジロウの左腕に突き立てられた。

 

「ぐ、う……ッ!」

 

 駆け上る鋭い痛みに、顔を歪めるエイジロウ。しかしこの瞬間こそ、彼の狙い通りでもあった。

 

 突き刺さっていないもう一方の牙の根元を、右手で掴んだのだ。

 

「ケル……!?」

「う、おぉぉぉぉ──ッ!」

 

 掌に力が込められ、牙からぐぐぐと嫌な音がたつ。慌てたマイナソーは退こうとするが、喰らいついた手の筋肉が硬直して牙が抜けない。ならばと爪を振り下ろそうとするが、

 

「させ……るかぁッ!」

「!?」

 

 余力を振り絞ったテンヤが背後から組みつき、マイナソーの動きを封じる。その屈強な身体は、じたばた暴れてもびくともしない。テンヤは日頃からの自己鍛錬に感謝を捧げた。

 そして、

 

「うお、りゃぁああああ──ッ!!」

 

 牙が──抜けた!

 

「グァアアアア!?」

 

 激痛にもがくケルベロスマイナソー。その際の瞬間的なパワーによってふたりとも弾かれてしまうが、構わなかった。もはや目的は達せられたのだ。

 

「てめェの牙、貰ったぜ……!」

「ふ、ふん!そんなんでケルちゃん弱体化させたつもりか?歯なんてまた生えてくるんだよ!」

 

 強がるクレオンだったが、自分がまったく的外れなことを言っているとは思ってもみなかった。いわば毒の塊である牙から、毒消しをつくり出すことができるなどと。

 そして彼にとっての想定外が、さらに襲いかかった。

 

「う、ウウウ……、アオォォォンッ!!」

 

 ひときわ情けない声を発したかと思うと、ケルベロスマイナソーは口を押さえて逃げ出してしまったのだ。

 

「え、ちょっ待てよ!?川に毒ブッ込むチャンスなのに……ああっ!」

 

 「タンクジョウさまに怒られちゃうよ〜!」と叫びながら、慌ててケルベロスマイナソーを追いかけていくクレオン。怯えたマイナソーの操縦方法まで、彼は習得していなかった。マイナソーは基本的にオーダーメイドであり、つくった傍から注文者のドルイドンに預けているのだ。今回のようなケースは特例だった。

 

 クレオンとマイナソーが逃げ出したことは、エイジロウたちにとって幸いだった。もしも彼らがこのまま毒の混入を強行しようとしたら、今の彼らでは止めきれなかっただろう。

 

「これで……みんなを……うぅっ」

 

 だが、それまでだった。意識せずとも張り詰めた心が弛む。それと同時に身体から力が抜け、ふたりはその場に倒れ込んだ。

 

「エイ、ジロウ、く……っ」

「……ッ、」

 

 もう、まともに声も出ない。這ってでもと思うが、ここから村まで辿り着けるわけがない。

 

(せっかく……手に入れたのに……!)

 

 痛恨の念ともども、意識が混濁していく。眠るまいという努力も虚しく、これ以上はないくらいに重くなった瞼は閉じていった。

 

 

──懐かしい景色だった。

 

 ああ、ここは麗しき生まれ故郷だ。未だ離れて数日と経っていないのに、この地で無邪気に暮らしていたことが遠い過去のように感じる。

 

 そうだ、幼いころ、ケントやトモナリたちと遊んでいたときに足を挫いてしまったことがあった。まだひ弱だったエイジロウは立ち上がることもできなくて、でも周りも同年代の子供ばかりだったからどうしようもなくて。

 そんなとき、ケントが大人を呼んできてくれたのだ。その背におぶられ、エイジロウは家へ帰ることができた。

 あれは誰だったのだろう。親父?マスターレッド……タイシロウさんだったような気もする。どちらにしても貴重な記憶であるはずなのに、思い出せないのがもどかしい。

 

 ああでも、ひとつだけ覚えていることがある。逞しくて、大きな背中。そこから伝わってくるささやかなぬくもりと揺らぎが、幼いエイジロウを安心させたのだ。ちょうど、今のように──

 

 

 わいわいがやがやと、大勢の騒ぐ声が耳に入ってくる。

 そうした外からの刺激に触発され、深みにはまりかけていたエイジロウの意識は再び浮上へと至った。背中のざらついた感触と、その奥から響く「ティラァ」という声。

 

(……ティラミーゴ?)

 

 身体が重く心臓は早鐘のように打っているが、それでもエイジロウは頭を働かせて状況の把握に努めた。まず自分、そしてテンヤが横たえられているのは、相棒ティラミーゴの背の上のようだった。そして眼下にはぽつぽつと点在する建物と、群がる数十人の村人たちの姿。──オルデラン村だ。

 

「ティラミーゴ……おめェが、連れてきてくれたのか……?」

「ティラっ!」

 

 ティラミーゴは元気よく返事をすると、身体を屈めてエイジロウたちを宿の中へ滑り落とした。村人たちは相変わらず興味半分、警戒半分という様子でティラミーゴのことを観察している。とりあえず、外敵とは思われていないようで安心した。本当は自分の相棒と紹介したいが、のちの機会に回すほかない。

 

「ま……待ってたよ、ふたりとも……!」

 

 息も絶え絶えの様子で、イズクがにじり寄ってくる。自分たち以上に顔色が悪い。それでも立ち上がれるというのは、見かけによらず凄まじいバイタリティだとふたりは思った。

 

「こ、これを」

 

 そう言って、裸のままの牙を差し出す。もう皆毒に感染しているのだから危険も何もないのだが、イズクはそれを一応手巾で包むようにして受け取ると、早速調剤に取りかかった。

 

「おいてめェら、立て」

「へ……?」

 

 傍らにいたカツキがしっかりした声で言い放つものだから、エイジロウたちは一瞬呆気にとられてしまった。

 

「コイツの邪魔になンだよ、早よしろ」

 

 流石にか細いが、毒に侵されているとは思えないしっかりとした声だ。感心していたら、立ち上がったカツキはなんとコタロウをひょいと肩に担ぎ上げてしまった。いや、だからバイタリティ!

 

「わ、悪ィ……」

「あ?」

「俺ら、立てねえから……這っていくわ……」

 

 息も絶え絶えにエイジロウがそう言うと、カツキは目を丸くしたあとで盛大に鼻を鳴らした。とことん見下されても、今度ばかりは反論できなかった。

 

 

 果たしてカツキに続いて隣の部屋に移動したあと──それなりに上背のある少年ふたりが揃って床を這う様はこれ以上ないほどに滑稽であった──、彼らには薬の完成を待つよりほかになかった。

 

「うぅ……ごめん、わたしだけなんもできんくて………」

 

 ベッドから起き上がらないまま、オチャコがかすれた懺悔の言葉を発する。彼女は純粋な腕力だけでいえばエイジロウたち以上で、ひと晩じゅう野駈をしてもからから笑っていられるタフさの持ち主なのだが、体格は女性らしく小柄である。毒の効き目も強く出てしまっているだろうことは想像に難くなかった。

 

「は、てめェが起きてようが死んでようが、大勢に影響ねーわ」

 

 対するカツキがこんなことをのたまう。「本当に口が悪いなきみは」とテンヤが怒るが、床に寝そべったままでは格好もつかない。

 そんな中、どうにか壁に背中をつけて座ったエイジロウは、コタロウのことを気遣わしげに見守っていた。

 

「……コタロウはさ、」

 

 そのつぶやきに、皆の視線が集中する。

 

「ただ、お母さんを世界に奪られたくなかっただけなんだよな」

 

 だって、彼は子供だったのだ。何かに依らねば生きてゆけない子供。その唯一無二の対象である母が世界のもので、そのためなら自分を置いて消えてしまえるというのは、アイデンティティを揺るがすことであってもおかしくはない。世界のために、大切なものを不幸にする──その理不尽を許せないとしても、仕方のないことなのだ。

 その果てに、子供を卒業して独りで生きていくという結論に達したコタロウは、健気だが立派な心根をもっているとエイジロウは思う。亡母と相通ずる勇者の性といったら彼には不本意なのだろうけれど。

 

「……コイツは、自分だけがかわいそうなんじゃないとわかっとる」

「!」

 

 カツキのつぶやきは、彼なりにコタロウという少年を見ているのだと感じさせるものだった。

 

「俺ぁデクみてーに命は平等だなんて綺麗事は言わねえ。……コイツの命には価値がある。だから斬らなかった」

「……今は、それでも良いよ」

 

 その選別をする権利が自分たちにあるとは思わない。けれどカツキは、それ以上に絶対的な救済の権化と五十年以上も行動をともにしていて、自分を曲げなかったのだ。ここで言い争ったところで、考えが変わるはずもない。

 けれど同時に、その強固な意志のもとに戦ってきた少年の姿は、とてもまぶしくも思えたのだ。

 

 

 毒が身体を着々と蝕んでいくのを感じながら、過ぎてゆく時間に苛まれる四人。勢いよく扉が開かれたのは、それから暫くしてのことだった。

 

「みんな、完成したよ……!」

 

 イズクだった。薬瓶を手にもっている。その赤ん坊のように大きな瞳は喜色に輝いていて、先ほどまでの憔悴が嘘のようだった。

 

「待たせてごめん。万一のことを考えて、自分で効き目を確かめてたんだ」

「なんと……自分を実験台にしたのか……!?」

「安全かわからないものを、他人に使わせるわけにはいかないからね」

 

 理屈としては間違っていない。間違っていないのだけれど──

 エイジロウはカツキのほうを見遣った。彼は渋い表情を浮かべているが、何も言わない。イズクに明らかな大義名分がある状況では、何を言っても意味がない、いや逆効果なのだ。かっちゃんを言い負かしたのだから、自分が正しい──そう思わせてしまったら。

 

「さあみんな、飲んで!あ、自分で飲める?」

 

 カツキは当然、自分でそれを飲み下した。エイジロウとテンヤも。オチャコだけは自力で動けそうもないので、真っ赤になりながらもイズクが飲ませてやった。

 そうして、効果が出るまで数分。会話もなく時を過ごしているうちに、気づけばみんな、うつらうつらしてしまっていたらしい。

 

 はっと目が覚めたときには、全身を覆う苦痛と倦怠感が嘘のように消えていた。

 

「おはよう。体調、どう?」

 

 覗き込むようにして、イズクが訊いてくる。

 

「お、おう……スゲーすっきりした」

「うむ……!これほどの薬をつくるとは、きみは薬師としてもやっていけるな!」

「デクくん、ありがとう!やっぱり"頑張れって感じ"やね!」

 

 三人、とりわけオチャコの言葉にデクは破顔した。まろい頬をほのかに染めて「えへへ」と照れ笑いを浮かべている。当然、カツキがそれを見咎めないはずもなくて。

 

「コイツをつけあがらせんじゃねえ!特に丸顔、コイツは"なんもできねー木偶の坊"だ、間違えんな」

「はああ?自分もデクくんの薬もらったくせに!だったらてめーで助かればええやん」

「ア゛ァ!!?」

 

 オチャコの容赦ない言葉に眦を吊り上げて怒るカツキ。一触即発というところで、

 

「かえ……う、ううっ」

「!」

 

 ひときわ大きく響く、コタロウの声。皆の視線がそちらに集中する。──彼だけは、マイナソーを倒さない限り救うことはできないのだ。

 

「……俺、コタロウの笑った顔が見てぇ」

「!」

「だから……救けようぜ、みんな」

 

 「けっ」と、カツキの冷たい声が響く。

 

「御託はいらねえ。騎士は剣を振るうだけだ」

「……そうだな!」

 

 

 彼らはそれでしか、人を──世界を守れないのだから。

 

 

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