【完結】僕のリュウソウアドベンチャー   作:たあたん

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13.出航!南へ 3/3

 

 ナイトレイダーとなった幽霊船は、接岸するや再び黒衣の骸骨の群れを地上へ解き放った。今度は短剣を持つ者のほか、弓矢で遠距離攻撃を仕掛けてくる個体もいる。リュウソウメイルに守られている以上、単なる矢など脅威にはならないが。

 

「馬鹿のひとつ覚えかよ、──まァこっちもそうだけどなァ!!」

 

 珍しく卑下めいた台詞を吐きながら、カツキ──リュウソウブラックはブットバソウルで攻撃を仕掛けた。ほうぼうで爆発が起き、骸骨たちが塵となって消えていく。

 

「──アンブレイカブル、ディーノスラァァッシュ!!!」

 

 そしてレッドの必殺奥義が炸裂する。その他の面々も次々と容赦のない攻撃を繰り出し、敵の数を着実に減らしていった。

 

「こいつら、マイナソーに比べりゃ大したことねえぜ!」

「そうだな!しかし油断は禁物だ!」

 

 敵は二の矢、三の矢を繰り出してくる可能性もある。同時に、慎重になりすぎれば停滞を招く。

 

「とっとと本丸潰しゃ良いんだよ!──デク、いくぞ!!」

 

 言うが早いか、ブラックは爆破の勢いを利用して飛翔し、船中へ飛び込んでいく。

 

「ちょっ……しょうがないなもう!──ツヨソウル!」

『ツヨソウル!オラオラー!!』

 

 ツヨソウルによって身体能力を強化し、グリーンもまた跳躍する。彼はハヤソウルを使用する頻度が最も高いのだが、それに次ぐのがツヨソウルである。スピードを重視しながら、それ一辺倒に偏らない。カツキという攻撃的な少年の相方を長年務めているがゆえに、彼の戦い方には柔軟性があった。

 

「あっ、先越されてもうた!」

「ム……!?まずい、また船が離れていくぞ!」

 

 見れば幽霊船は再び岸から距離をとりつつある。このままでは、既に甲板へ着地したイズクたちと分断されかねない。

 

「遅れるわけにはいかねえ、俺たちもいくぜ!」

 

 竜装をツヨソウルのそれに切り替え、三人もまた跳ぶ。幸い、まだ大して距離は開いていない。だからいける、そう思ったのだが──

 

「あれっ、思ったより遠おぉぉぉぉ──ッ!!?」

 

 跳んでみてからわかった。陸から見ていた以上の距離が、既に開いていたのだ。

 

「みんな!!?」

 

 慌ててグリーンが駆け寄ってくる。手を伸ばす。いや駄目だ、届かない──!

 

「ッ、プクプクソウル!!」

 

 海上への墜落が始まった瞬間、レッドは咄嗟にプクプクソウルで竜装した。その身体が文字通りぷくーっと膨れ上がり、風船のように浮かび上がる。同時に、

 

「カルソウル!!」

 

 ピンクがカルソウルを発動する。己の身体にかかる負荷をゼロにした状態で、レッドの身体にしがみつく。さらにその脚を、ブルーが掴んだ。

 

「すまないオチャコくん、女性であるきみにこのようなことを!!」

「いいからそんなん!それよりエイジロウくん、ちゃんと船に向かって!」

「や、やってるっての!」

 

 遮るものがない海上では、吹きつける風に晒される。重量はそのままに膨れあがった身体は、どんなに舵取りをしようと試みても流されてしまうのだ。そして船上にたどり着けないままリュウソウルの効果が切れれば、海へ真っ逆さまであることは言うまでもない。

 

「あのアホども、何遊んでやがる」

 

 隣で毒づく幼なじみの声に、イズクは苦笑した。

 

「──ノビソウル!」

『ノビソウル!ビロ〜〜ン!!』

 

 リュウソウケンの先がしなり、如意棒のごとく伸びていく。それはレッドの身体にしゅるりと巻きついた。

 

「!、イズク──」

「引っ張るよ!──せーのっ!!」

 

 イズクの腕に力がこもるのと、レッドとピンク、ふたりのリュウソウルの効果が切れるのが同時。

 

「──うおぉあぁぁぁぁッ!!?」

 

 結果、重力に従うどころか力いっぱい引っ張り込まれた三人は、甲板を破壊する勢いで突っ込む羽目になったのだった。

 

「わわっ、ごめん!大丈夫!?」

「こ、腰に……来たぜ……」

 

 些か乱暴すぎたのは否めない。が、兎にも角にも、誰も海に落ちず船への侵入に成功した。

 問題は、ここからだ。

 

「町の勇者たちが帰ってこなかったっていう船だ。何か仕掛けがあるかもしれない」

「痛たた……やっぱ油断禁物、やね!」

「…………」

 

 ブラックを先頭として、五人は船室に侵入した。ここまで妨害はない。あの黒衣の骸骨集団の姿も、どこにも見当たらなかった。

 

「……どうなっているんだ?こうして俺たちが入り込んでいるのに、邪魔をしようともしないなんて」

 

 やはり、何か罠が。そういえばと、はたと気づく。侵入時から覚えていた、奇妙な違和感の正体。

 

 人の気配が無いのだ。それどころか、生活用品のひとつさえ船内に存在していない。無人の船、まさしく幽霊船。

 

(──まさか)

 

「……おい、今すぐこっから出るぞ」

「えっ、なんで?」

 

 こういうとき、経験の差が明らかに出る。鈍い応答に苛立ちを露にしようとしたカツキだったが、事態はそれより早く動いていた。

 

「こういう、こったよ!!」

 

 そのことに気づいたカツキ──リュウソウブラックは、レッドたちの方向めがけて剣を振るった。

 

──BOOOM!!

 

 ブットバソウルを竜装したままだから、当然、大きな爆発が起きる。身構えてもいなかった三人はそのままほうぼうに吹っ飛ばされる羽目になった。

 

「い゛ッ、でぇ……!」

「な、なんてことをするんだきみは!?」

「そんな乱暴せんでもええやん!」

「ウルセェ!!」一喝し、「てめェらの立ってたとこの壁、見てみろや」

「え?──!」

 

 振り向いた三人は、愕然とした。なんの変哲もない木製の壁。その一部がぐにゃりと歪み、触手らしきものが蠢いているのだ。幾つも。

 

「な、なんだよこれ……」

「──生きてるんだ、この船は」

 

 カツキと同じ結論に達していたイズクが言う。──生きている?船が?

 

 

「この船は──マイナソーだ!」

 

 

 *

 

 

 

 付喪神、という呼称がある。

 もとは単なる道具にすぎなかったモノが長い年月を経るうちに精霊を宿し、モノでありながら意志を宿した形態のことを指す。付喪神と化した道具は見かけから怪物と化したり、見かけは変わらずとも大きな霊力を行使し超常現象を引き起こすと言われている。

 

 それが現実に引き起こされるか否かはともかく、この幽霊船もまた、海底に打ち捨てられた古びた帆船から生み出されたものだった。壊れて役割を果たせなくなり、主から捨てられた。この幽霊船──"ゴーストシップマイナソー"は、そんな怨念の塊としてこの世に産み落とされたのだ。

 

「──ッ、どうすりゃ良いんだよ、この状況!?」

 

 必死に駆けずり回りながら、レッドがそう叫ぶのも無理からぬことだった。何せ彼ら全員、マイナソーの掌もとい身体の上で踊らされている状態なのだ。逃げても逃げても敵のテリトリーにいることには変わりがない。

 

「いくら!斬っても!キリがないぞ!!」

「わーっとるわクソメガネ!!」

 

 怒鳴りながら、カツキは考える。表層できりきりまいしてもきりがない。倒すならコアを叩くか、それごと何もかもを一撃で粉砕するしかないのだ。

 しかし言葉にするほど簡単ではない。このテのマイナソーのコアがどこにあるかは形態によってまちまちだし、そう容易く捉えられる場所にはない。後者にしても同等のスケールをもつキシリュウオーなら可能かもしれないが、ここは既に海の上だ。

 

「ッ、こうなったら、僕が……!」

 

 皆と同じように逃げていたグリーンが唐突に立ち止まり、振り返る。

 そのときだった。ブラックの拳が、彼を強かに殴りつけたのは。

 

「……ッ!?」

「な、何やってんだカツキ!?」

 

 よりにもよってこんなときに──

 しかしエイジロウたちの声は、彼の耳には入っていないようだった。

 

「……てめェ今、わざと呑まれようとしたな?」

「……それしかないじゃないか。コアはふつう内部にある、取り込まれるしか見つける方法はない」

「だったらそれは俺の仕事だ。しゃしゃってくんじゃねえ!」

「そんな危険、かっちゃんに冒させられないよ!!」

「ア゛ァ!?クソデクの分際で、舐めたこと言うな!!」

「誰も舐めてなんかないだろ!!?」

 

 怒鳴りあい、終いには胸ぐらの掴み合いにまで発展するふたり。しかし迫りくる触手はすかさず斬り飛ばすのだから大したものである。

 

「やめないかきみたち、今のは見事だったが!!」

「褒めてる場合ちゃうて!なんか別の作戦、考えないと……」

「か、考えるったってよぉ……」

 

 そのテの頭脳労働はあまり得意でないエイジロウ。オチャコにしても補助系のリュウソウルの扱いはうまいが、自ら作戦を立てるというのは右に同じく、である。

 そうなると矛先が向くのは、ひとりしかいないわけで。

 

「テンヤ、頼む!」

「テンヤくんならできる!」

「他力本願だな!?ッ、だが、これは叡智の騎士の力の見せ所……!」

 

 打開策を考え出すべく、自慢の頭脳をフル回転させるテンヤ。しかし彼は彼で、落ち着いてじっくり思考することにかけて本領を発揮するタイプである。逆に言えば、緊急時のスピード感には欠けるわけで。

 

「うぅぅん……この場合はこれがセオリーだが、いやしかしそうなると──」

 

 考え込むテンヤ──リュウソウブルーに、触手が殺到する。咄嗟にレッドとピンクが庇いに入り、リュウソウケンを振り下ろした。

 

「テンヤの邪魔はさせねえ!」

「そや!いつも試験は完璧な人なんやから!」

 

 しかし現実の戦場は試験とは違う。邪魔は入るし、明確な正解など導けない。セオリー通りを選んでも、大失敗することだってある──テンヤもそれがわかっているから、尚更動きがとれないのだ。

 

(俺は……僕は、どうすれば良いんだ……!?)

 

 思考の泥沼に嵌りかけたときだった。

 

「──おいクソメガネ!!」

「!?」

 

 幼なじみとヒートアップしていたはずのカツキが、唐突に声を張り上げた。

 

「な、なんなん!?邪魔せんといて!」

「だぁってろ丸顔!──クソメガネ、てめェ算術苦手か!?」

「い、いや……そんなことはないが」

「だったらそいつを応用しろや!手札はどうせ限られてんだ、そン中から何をどう組み合わせるかだけ考えりゃ良いんだよ!!」

「!」

 

 乱暴なのは相変わらずだが、明確に助言といえるその言葉。彼と言い争っていたはずのイズクを見れば、こちらに視線を向けてはっきりと頷いている。

 頷き返し、テンヤは改めて思考に戻った。先ほどまでとは違い、今度は具体的なかたちが脳内に浮かんでいる。自分たちの手札といえばこのリュウソウメイルとリュウソウケン、そしてリュウソウル、騎士竜たち──

 

──そして、テンヤの脳裏に稲妻が奔った。

 

「そうか……!()()組み合わせなら!」

「!、テンヤ、何か思いついたのか!?」

「うむ!先ほど船に乗り込んだときと、同じ方法を使うんだ!」

「同じ方法って……プクプクソウルとカルソウル?」

 

 しかし、今さら浮遊してどんな意味が?当然の疑問をふたりは抱いたが、テンヤの意図はそこにはなかった。

 

「俺たちに使うのではない、この船に対してだ!」

 

 船を海から離す。ヨコ──地上には引き揚げられないなら、タテ──空中へ。

 

「ふたつのソウルを重ねがけすれば、この巨体相手でも通用するはずだ!」

「よっしゃ、なんとなくわかったぜ!──プクプクソウル!!」

 

 プクプクソウルを発動すると同時に、刃を甲板に突き刺す。そこから流入するエネルギーによって、船体が膨らんでいく。

 突然の事態に驚いたのか、ゴーストシップマイナソーは奇妙な咆哮めいた音をたてて蠢き出す。あちこちから触手が飛び出し、レッドに殺到した。

 

「させん!!」

 

 今度はブルーが彼を守った。ブルーだけではない、グリーンとブラックも。作戦の要を守るのは、ともに戦う仲間として当然の行動だ。

 そして唯一、その輪に参加していないピンク。彼女にも作戦の要としての役割があった。

 

「カルソウルっ!」

 

 今度はカルソウルの力を、マイナソーに作用させる。──ふたつの力の相乗効果により、何千トンもある巨体でさえ海から離れて浮遊を開始した。

 

「っし、上手くいったぜ!」

「今のうちに飛び降りよう!ふたりは泳げるな!?」

「もちろん!」

「誰に訊いてんだクソが!!」

 

 もはや躊躇する理由はない。混乱をきたして無造作に蠢く触手をかき分け、五人は海へと飛び込んだ。

 

「ぷはあっ!」

「やっぱしょっぺえ!」

「少しの辛抱だ!──来てくれトリケーン……いや」

 

「──ファイブナイツ!!」

 

 数秒と経たず港に姿を現したのは、五色の鎧を纏った巨大なる重騎士。騎士竜たちが融合せしその巨人こそが、キシリュウオーファイブナイツである。

 その目がちらりとこちらを見る。視線をかわしあって、テンヤははっきりと頷いた。彼方にいる敵を撃ち抜けるのは、ファイブナイツをおいて他にいないのだ。

 

 頷き返したファイブナイツが、上空へ目を向ける。浮き上がった船は、膨れあがった状態で絶えず蠢いている。何ひとつままならない状況に焦り、海へ戻ろうと藻掻いているのだ。

 そんなことをせずとも、リュウソウルの効果が切れれば戻ることはできる。──尤も二度と海へ還さないために、キシリュウオーを呼んだのだが。

 

「決めろ、キシリュウオー!!」

 

 

──キシリュウオー、ファイナルキャノン!!

 

 波の音とともに、五人の勇ましい声が揃って響く。

 キシリュウオーの胸部砲口から濃縮したエネルギーの塊が放たれたのは、その直後。膨大な熱量が空間を歪めながら、ゴーストシップマイナソーへと向かっていく。

 

 そこでようやくリュウソウルの効果が切れた。元の姿かたち、重量に戻ったマイナソーが落下を始めるがもう遅い。次の瞬間、それは全身を砲に呑み込まれた。

 

「!!!!!!!」

 

 ゴーストシップマイナソーが断末魔の悲鳴めいた音を打ち鳴らす。その身が加速度的に削られていく。もはやその運命は定まっていた。

 

 そして──紅蓮の華が、夜空に咲いた。

 

「や、やった……!」

「上手くいったな、テンヤ!」

「うむ……良かった!──カツキくん、先ほどは助言をありがとう!きみのおかげだ!」

「……けっ、次からは自分でなんとかしろや」

「もう……素直じゃないなぁ」

 

 まあ、今に始まったことではないのだが。

 とはいえいつまでも漆黒の海に浸かっているわけにもいかない。南方に繋がる海域なので比較的水温は高いが、それを差し引いても身体が冷えてしまう。

 

「さあ皆、速やかに陸上へ戻ろう!」

「だぁからてめェが仕切んな!」

「かっちゃん……!」

 

 なんやかんやと泳ぎ出そうとしたリュウソウジャーたちだったが、その必要はなかった。

 

「おーーーい、皆さぁーん!」

「!」

 

 闇夜の中に響く、聞き慣れた呼び声。それと同時に、篝火の光がこちらに近づいてくる。

 目を凝らしてみれば、それはそこそこの大きさがある漕船だった。漕ぎ手の男たちのほか──船首にあるのは、コタロウの姿。

 

「コタロウ!?おめェ──」

「町の人に頼んで、船を出してもらったんです。さあ、これに掴まって!」

 

 そう言ってコタロウが差し出したのは、どこぞで拾ってきたのだろう木の棒で。

 

「……いや、それはちょっと心もとないんじゃないかな?」

 

 それからなんだかんだ……少し時間はかかったが、五人とも船に上がることができたのだった。

 

 

 *

 

 

 

「幽霊船を退治していただき、本当にありがとうございました……!」

 

 町に戻った五人は、真夜中にもかかわらず大勢の町民たちから歓迎を受けた。皆、表情に安堵と喜色をたたえている。エイジロウたちはなんともこそばゆい気分になった。人々を守るのは竜装の騎士として当然のことで、喜んでもらえるのはこちらも嬉しいけれど、頭を下げられるのはなんだか申し訳ない気持ちにさえなる。

 そのうち慣れていくかと思っていたけれど、イズクに言わせればこういうのはいつまで経ってもむず痒いものらしい。無論それには個人差があって、カツキは他人の感謝など屁とも思っていないようだったが。

 

「これで町を元に戻せる……!」

「明日から漁にも出られる!」

「パンも魚も、たらふく食べられるぞぉ!」

 

 無邪気に喜ぶ人々の姿を前に、コタロウも頬を緩めていた。エイジロウたちの活躍でこうしてまた、救われた人たちがいる。それを繰り返していけば、いつかきっと──

 

「甘ぇな」

 

 静かだがよく通る、冷たい声だった。

 水を打ったように静まり返る人々。そのひと言を発したのは言うまでもなくカツキだった。しかし、同じリュウソウジャーの面々は彼の言葉に驚かない。いきなりその物言いはどうかと非難めいた視線を向ける者はいるが。

 

「アレは海賊なんかじゃなかった。マイナソーだったんだ」

「マイナ、ソー?」

「ドルイドンの生み出した、怪物の名前です」

 

 イズクの説明に、訝しみながら沈黙していた人々がにわかにどよめき出す。しかし、幽霊船がマイナソーだったことの真の意味を理解している者はまだいない。

 珍しく落ち着いた口調で、カツキが続けた。

 

「マイナソーがいるっつーことは、海、あるいは対岸にドルイドンが現れたかもしれねえっつーことだ」

「……!!」

 

 もしも、そうだとしたら。マイナソー一匹倒したところで、再び新たなマイナソーが襲い来るだけだ。そしてそんな日々がこれ以上続くなら、この町は取り返しのつかない状態に陥ってしまう──

 

「大丈夫!」

 

 一転、明るい声音を発したのはエイジロウだった。

 

「言ったでしょ、俺たちはドルイドンを倒したことがあるんだって!」

「我々がこの海を荒らしているドルイドンを見つけ出し、必ず倒してみせます!」

「皆さんの暮らしと命は、私たちリュウソウジャーが守ります!」

 

 少年少女たちの──年齢を加味してもなお、純朴にも程がある言葉の連なり。しかしコランの港町の人々は、どうしてかそれを信じることができた。実績があるから……無論そうだが、それだけではない。

 たとえ故郷の村から出たことのない世間知らずでも、彼らは人間の寿命よりずっと長い年月、世界を想って生きてきた。リュウソウ族が長命であることは、決して無意味ではないのだ。

 

 

 *

 

 

 

 それから、三日後。

 

「ご所望の船です。船頭も付けられず、申し訳ありませんが……」

「問題ねえ。操舵はできる」

「こちらこそありがとうございます。無償で貸していただいたうえ、食糧まで」

 

 ──定航船が運航していないため、リュウソウジャーの面々は町で船を借りて海を渡ることになった。当然、南海を侵しつつあるドルイドンを討伐するという条件付きで。

 

「どうか、皆さんがこの町を……いえ、世界を救ってくださいますよう。町民一同、心より願っております」

「っス、任せてください!」

 

 ドンと己の胸を叩き、エイジロウは太陽のような笑みを浮かべてみせた。

 

 

「じゃあ皆、準備は良いね?」

「おうよ!」

「うむ!」

「出発しんこーう!ってね!」

「ウゼェ」

 

 皆が船に乗り込む。リュウソウジャーの面々とコタロウ、そしてチーサソウルで小さくなったミニミニ騎士竜たちも一緒だ。前にイズクたちがこちらに渡ってきたとき、タイガランスとミルニードルは数日かけて泳いでついてきたのだ。今回は同行することができて、密かに安堵している彼らである。

 

 閑話休題。──いよいよ彼らは、大海原へと漕ぎ出したのだ。

 この世界を、救うために。

 

 

「頼みましたよ、勇者さま方……いや、リュウソウジャーの皆さん」

 

 見送るコランの町の人々。そして、

 

「……南へ向かったか、リュウソウジャー」

 

 謎の鎧騎士、ガイソーグ。その刃が再びエイジロウたちに差し向けられる日は少しずつ、しかし確実に迫りつつあった。

 

 

 つづく

 

 





「海のリュウソウ族?」
「陸のヤツらとなれあう気はねえな」
「奴らは、俺が絶滅させる……!」

次回「黄昏の騎士」

「俺との出会いを、後悔しろ」


今日の敵‹ヴィラン›

ゴーストシップマイナソー

分類/ツクモガミ属ゴーストシップ
全長/63.5m
体重/2150t
経験値/483
シークレット/幽霊船(ゴーストシップ)の伝説を司るマイナソー。外見上は漆黒の帆船だが生きており、乗り込んだ者を触手で絡め取り捕食してしまう。そればかりか海で死んだ人間をアンデッドとして召喚することで、地上に対して攻撃を仕掛けることもできるのだ!
ひと言メモbyクレオン:自分が某氏のために創ってあげたマイナソーでっす!……アイツにまた会わなきゃいけないと思うと、胃がぁ……。

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