いざ書き起こしてみたら思ったより探偵要素が薄まってしまったのでこういうタイトルに
どちらもドラマのパロディだったりします
狼男について他の教員たちに伝えるべく駆け戻ったテンヤだったが、既に事態は動き出していた。
狼男を目撃したという子供が、コウジのほかに複数人現れたのだ。
「コウジの言ってたこと、ほんとだったんだ……」
「ねえ聞いた?狼男が人間の姿になるの、見た子がいるって……」
「どうしよう、食べられちゃったらどうしよう!?」
右往左往する子供たち。ひとりでもパニックを起こせばそれは伝播し、大人数人くらいでは手のつけようがない状態に陥りかねない。子供のエネルギーというのは、大人が考える以上に無尽蔵かつ暴走しがちなものなのだ。
「ッ、どこにいるんだマイナソー!いや、マイナソーと決まったわけではないが……!」
「……そこはもう確定で良いんじゃねえか?」やんわり反駁しつつ、「噂が本当なら、ヤツは誰かに化けてるかもしれねえ。もしかしたら、子供たちの中に」
その可能性は、テンヤも考えていた。"カワル"──ワーウルフマイナソーの、宿主の欲求を反映した啼き声。入れ替えではなく、"変身"を意味しているとしたら。
──ばらばらでいては子供たちを守りにくいということで、全校がただ今講堂に集められていた。そのため不安そうにきょろきょろするばかりのロークラスやミドルクラスの子供たちと異なり、ハイクラスには怯えながらも下級生を守らなければという責任感めいたものが浮かんでいる。
と、皆の前に、子供たちとあまり背丈の変わらない小男が立った。その体格や顔立ちは鼠を想起させる──実際子供たちの間では、密かにそれにちなんだ愛称で呼ばれていた──。
「え〜、校長です。校内に不審者が侵入した可能性があるということで、みんなには集まってもらいました。現在、街の憲兵隊が向かってくれてます。皆はそれまで先生たちが守るから、心配ナッシ……ないよ!」
──とのこと。当たり障りない内容としか評価のしようがないが、子供たちの不安を収めるのが第一義だ。いざとなれば、自分たちリュウソウジャーもいる。
「……ショートくん、すまないがここを任せても良いか?コタロウくんとコウジくんを迎えに行かなければ。用務員さんも近くにいたから、大丈夫だとは思うが……」
「わかった。にしてもあの校長、今──」
ふと覚えた違和感を、ショートが口にしようとしたときだった。
「──皆、そいつに騙されないで!!」
ひときわ大きな声が講堂に響き渡る。皆の視線が、出入口に集中する。
果たしてそこに立っていたのは、二人組の少年──そして、一匹の犬だった。
「こ、コタロウくん、コウジくん!?」
「おまえたち、一体何してたガルルゥ!!?」
案の定というか、ケン先生が唸りながら怒っている。一瞬怯えた目をしたコウジだったが、コタロウに軽く背中を叩かれて自分を取り戻した。決然と顔を上げると同時に、犬──ヤマトが校長に向かって吠えた。
「わんわん、わん!!」
「そいつは本物の校長じゃない!みんな、離れて!!」
「な……何を証拠にそんなこと?」
空とぼける校長。教師陣もコウジに疑りの目を向けるが、彼は動かぬ証拠を握っていた。
「証拠は僕さ!」
ふたりの背後から現れたのは、
「こ、校長!?」
「校長がふたり!?」
「──倉庫に閉じ込められていたのを、ヤマトが見つけてくれたんです!」
コタロウの言葉、何より校長自身の姿に、にわかにざわめき出す講堂。ぐぎぎ、と先に居た校長が唸るのを、ショートは見逃さなかった。
──刹那、彼の顔面を、モサチェンジャーから放たれた弾丸が掠めていった。
「おまえがニセモノか。正体見せろ、──ワイズルー」
「ッ、そこまでばれていてはやむをえナッシング!!」
言うが早いか、校長──否、ワイズルーは上着を脱ぎ捨て、己の姿を晒した。突如目の前に現れたドルイドン、怯える子供たちを庇うようにすかさず騎士たちは割り込んだ。
「ふぅ……なぜ私だとわかった、リュウソウゴールド?」
「さっきおまえ、ナッシングって言いかけたろ。おまえも変身能力をもってるってことは聞いてる、ニセモノならもしかしてと思っただけだ」
「ンなことより、マイナソーはどこだ」──銃を向けたまま質すショートに対し、ワイズルーはハンズアップの状態で応じてみせた。
「ここにいるさ。──カモン、ワーウルフマイナソー!!」
呼び声と同時に──ショートの背後、カーテンの隙間で、光を放つものがあった。
「ショートさん、後ろだっ!!」
「──!」
ショートが振り向くより早く、テンヤが割って入る。それと同時に飛び出してきたのは、
「──用務員さん!?」
一瞬虚を突かれたテンヤは、リュウソウケンを抜くのが遅れた。──振り上げられた手に光る、鋭く尖った爪。
「ッ!」
剣で防ぐのは今さら間に合わないと判断したテンヤは、ショートを抱きかかえるような形でそのまま飛び退いたのだった。
「ッ、すまないショートくん……っ」
「……いや、」
救われたのは事実だ。ただその隙に、ワイズルーが動いていた。
「人質、ゲットでショータァイム!!」
「!」
狙われたのは最前列のロークラスの子供。他の教師たちが割って入ろうとするが、間に合わない──!
そのとき、コウジの足下から
「ガルルルゥ!!」
「!?、痛だだだだだッ!!」
はしる鋭い痛みに、その場をのたうち回るワイズルー。──果たして犬のヤマトが、彼の臀部に齧りついていた。
それを目の当たりにしたショートが、すかさず引鉄を引く。光弾が胴体に直撃し、ワイズルーはもんどり打って倒れた。
その隙に、ヤマトがコウジのもとへ駆け戻っていく。
「ヤマトっ!む、無茶しすぎだよ……!」
「わぅんっ」
だが、ファインプレーであることに間違いはなかった。コウジがその身を抱き上げると、褒めて褒めてとばかりに尻尾をぶんぶん振っている。
「お、おのれ〜……っ!──ワーウルフマイナソー何してる、とっとと暴れておやりナサァイ!!」
「!」
ようやくリュウソウケンを構えることができたテンヤ。それと同時に用務員の身体が膨れあがり、異形の狼獣人の姿を形作っていく。
「カワルゥ、ガルルゥ!!」
「ッ、マイナソーは用務員さんに化けていたのか……!」
コタロウたちが連れてきたのは校長だけだった。別の場所に囚われているのか、あるいは──
──今は考えても仕方がない。テンヤとショート、ふたりは背中合わせの状態で、同時にリュウソウルを構えた。
「「リュウソウチェンジ!!」」
『ケ・ボーン!!』
『リュウ SO COOL!!』──青、そして黄金のリュウソウメイルが装着される。避難途中の子供たちから、息を呑む声が聞こえてきた。
「ショートくん、きみはワイズルーを!マイナソーは俺が抑える!」
「無理はするなよ」
斬りかかるリュウソウブルー。剣戟の音を背に、ゴールドもまた射撃をしながら走り出した。
「Oh……今度の相手は貴様かゴールド?」
「ああ。今度は逃さねえ」
正面から撃ち込んでもすべて弾かれてしまう。相手は伊達にビショップクラスのドルイドンではないのだ。
だからこれは牽制にすぎない。肉薄してからが、本番。
一方でブルーとワーウルフマイナソーは、四肢を操り全力でぶつかりあっていた。
「カ゛ワ゛ルゥゥッ!!」
「ぬおぉぉ……!マイナソー、表へ出ろぉぉ!!」
このまま講堂で戦っていては子供たちを巻き込んでしまう。彼らの戦場が屋外へ移っていくのは当然の帰結であった。
「テンヤ先生とショート先生が……あれって、もしかして──」
「──リュウソウジャー。ドルイドンと戦ってこの星の平和を守るのが使命だとか言ってる、キトクな人たち」
皮肉めいた物言いと裏腹に、コタロウの顔には笑みが浮かんでいた。
*
校庭に戦場を移し、二対二の激戦は燃えあがっていた。
「チェックメイト・デ・ショータァイム!!」
ワイズルーの気障ったらしい発声とともに、無数の光の矢が降りそそぐ。標的にされたゴールドはモサチェンジャーでそれらを撃ち落としつつ、それで賄いきれないとみて素早く身を翻した。尖い鏃が身体すれすれを突き抜けていくのが、鎧越しにもわかる。
「HAHAHAHA、殿下はすばしこくていらっしゃる!しかしそれがいつまで続くかNA!?」
「……それはこっちの台詞だ!──ビリビリソウル!!」
あわや、を何度も体感しながら、ゴールドは強竜装を遂げた。この姿なら、多少を喰らったところで!
「おまえは、ここで討つ──!」
「──ハヤソウル!!」
『ハヤソウル!ビューーーン!!』
黄金の鎧を右腕に纏い、目にも止まらぬ速度で走り出す叡智の騎士。敵を圧倒し、薙ぎの刃で一挙に攻めたてて趨勢を決する──それが彼の得意とする戦法だったが、今回は相手が悪いとしか言いようがなかった。
「カワ゛ルゥゥ!!」
昨日の遭遇戦で既に見せていた通り、ワーウルフマイナソーはハヤソウルを使用した彼らリュウソウジャーと同等以上の脚力をもっている。単にスピードだけでなく、跳躍力や瞬発力においても。それゆえ、せいぜい互角──否、ブルーが猛追しているという状況なのだった。
「ッ、速い……!」
カツキのみが持つブットバソウルなら、あるいは──そんな考えがよぎったが、即座に振り払った。今彼はここにいないし、借りたところで同じように使いこなせるかはわからない。一度入れ替わったときにテンヤの身体では使われているが、そのときの
(ッ、スピード頼みでは駄目だ!僕は"叡智の騎士"──臨機応変、目の前の敵に最も有効な戦い方を……!)
ブルーは慌ただしく動かしていた足を一転、ぴたりとその場に止めてしまった。
「テンヤ……!?」
仲間の"異常"に何事かと質そうとしたゴールドだったが、
「よそ見なんて、グレイテストエンターティナーに対して最大級の侮辱でショータァイム!!」
「ッ!」
侮辱と言う割には大して気にしているふうでもない調子で、ワイズルーが攻撃を仕掛けてくる。相手の主張はともかく、確かに他を気にかけていて戦いが成立するほど、ドルイドンは甘い相手ではないのだ。
そうこうしているうちに、ブルーはマイナソーの攻撃を浴び続けていた。当然無防備ではなく、リュウソウケンを巧みに振るって可能な限り受け流してはいる。ただ身体のあちこちに小さな傷はつくし、それらが積み重なればメイルの下──素肌に達するほどの損傷になりかねない。
わかっていても、テンヤ少年はワイズルーの言うところの"よそ見"をしていた。思考に、全力を傾けていたのだ。
──どうする?図抜けた脚力をもつ相手を、どう捉える?
そのとき不意に、先ほどのコタロウの声が脳裏に甦ってきた。
『倉庫に閉じ込められていたのを、ヤマトが見つけてくれたんです』
(──そうだ!)
刹那、竜装を解除したブルーは、新たなリュウソウルを構えていた。
「ミガケソウル!」
『リュウ!ソウ!そう!そう──』
ここでワーウルフマイナソーが再び仕掛けてくる。鋭い爪が、装甲ごと頸動脈を貫こうとする──すんでのところで、身を逸らして避けた。鎖骨のあたりにわずかな痛みがはしったが、今さら大したダメージではない。
『──この感じィ!!』
同時にソウルの力が発動し、右腕が新たな竜装の鎧に包まれる。クリアブルーのそれは、陽光を反射してきらきらと輝いていた。
『ミガケソウル!ツルツルッ!!』
「はっ!」
その刃を──地面めがけて、振るう。一瞬身構えたマイナソーだったが、自分の身に何も起きないとみるや再び向かってきた。
「──!!?」
刹那、砂利に覆われているはずの足下がつるんと滑り、マイナソーは仰向けに転倒してしたたかに頭を打った。
「カ、カワルウゥ……!?」
「やった……!」
ブルーは喜びを込めて拳を握りしめた。──己の肉体を駆使するばかりが戦い方ではない。
かつて、兄より与えられた助言でもあったそれを、コタロウの言葉で思い出した。彼とコウジ少年は、動物の力を借りることで事態打開の糸口を開いたのだ。
「な、何を転んどるかねマイナソー!?」
「──サンダーショット!!」
「!?、あばばばばばばば!!!」
一瞬の隙を突かれて電光の塊を浴び、ワイズルーは悶えた。
「さっきの言葉、そのまま返すぞ」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
「「──さあ、とどめだ!」」
この場の戦いも因縁も、まとめて終わらせようとしたときだった。
「グルルルル……!──カワ゛ァ、ルウゥゥゥゥッ!!!」
彼方の宿主からエネルギーを一気に吸収し、ワーウルフマイナソーが巨大化を遂げたのだ。
「ッ!」
「ナイス!今のうちに、シーユーアゲイン!!」
「なっ……待て!!」
暴れ出した巨大マイナソーに乗じて、逃げ去っていくワイズルー。彼はとりわけ逃げ足が速いのだ。この状況で、追跡できるものではない。
「ショートくん、今はマイナソーを!」
「ッ、仕方ねえか……。──モサレックス!!」
海から飛び出してくるモサレックス。そのままの形態では陸上で活動しにくいため、彼は即座に竜装合体へと移った。従者たるアンモナックルズと合体し、海神キシリュウネプチューンへと姿を変える。
その体内に飛び込み、黄金の戦騎たちは戦闘態勢を確立した。
傍らに、青い騎士竜が従う。
「トリケーンと俺で牽制する、きみたちは大技を叩き込んで一気に決めてくれ!」
「わかった」
その言葉通り、先んじて突撃していくトリケーン。持ち前の脚力で空に退避しようとするマイナソーだが、
「そうはいかん!!」
トリケーンの持ち味は身体の三分の二ほどの長さを誇る、剣状の角だ。その接近を許した時点で、どこに逃げようとその尖端からは逃れられない。
「ガウゥッ!?」
強烈な突きを浴びて墜落するマイナソー。しかし傷が浅かったのか、すぐに態勢を立て直して爪を振り下ろしてきた。角で受け止めるトリケーンだが、ウェイトの差が仇となって大きく吹き飛ばされる。あわや、校舎に激突するところだった。
「テンヤ、トリケーン、大丈夫か!?」
「ッ、うむ……。だが──」
数十人の子供たちが一斉に遊ぶに十分な広さを備えている校庭だが、校舎の何倍もの体躯があるような巨人たちが戦闘を繰り広げるにはスペースが足りない。とはいえ周辺一帯は市街地なので、移動するというのも困難なのだった。
そうこうしているうちに、マイナソーは次の手を打ってきた。──その姿がぐにゃりと歪んだかと思うと、狼男の原型もない形状へと一瞬にして変わったのだ。
「な……!?」
「キシリュウ、ネプチューン……!?」
そう──寸分違わないキシリュウネプチューンの姿に。ワーウルフマイナソーの、見事な"変身"だった。
そこに、
「ティラァァァ!!」
「悪ィ、遅くなった!!」
「まさか学校に潜んでたなん……──え!?」
よりによってのタイミングで駆けつけてくれた仲間たちは、案の定二体のネプチューンを前に固まっている。
「みんな惑わされるな!本物は俺た──」
ショートの声があれば、真贋の区別はつくはず──そう考えた矢先、偽ネプチューンは本物めがけて飛びかかってきた。
「ッ!?」
迂闊に突き飛ばすこともできず、受け止める本物。そのままがっぷり組み合うような態勢になり、位置を変えながら格闘する羽目になれば、仲間たちにはもうどちらが本物かわからない。
「な、なんなんコレ!?」
「そもさん、汝らに問う!どちらが偽物だ!?」
「知るか!まどろっこしいッ、この機にまとめてブッ潰す!!」
「いや普通にダメだろカツキ!!?」
手が出せない。どちらがどう相手を追い詰めているかもわからない。──こんな混沌が続けば、学校を含め周囲一帯に被害が及んでしまう!
「──ショートくん!!」
自信に満ちた声をあげたのは、やはりブルーだった。
「合体だ!!」
「!?、この状態でか……!?」
「こちらの姿をコピーするだけならいざ知らず、マイナソーは合体までは再現できまい!真贋がはっきりした瞬間に、一斉攻撃だ!」
「ッ、……──わかった!」
どうにか力を振り絞り、偽物を突き放す。その一瞬の隙を突き、ブルーリュウソウルを天高く放り投げた。
「「──竜装合体!!」」
トリケーンの身体が複数のパーツに分離し、ネプチューンのボディを上から覆っていく。胴は鎧に、剣角をもつ頭部は左腕に。そしてブルーリュウソウルは、新たな騎士の顔へと変わる。
「「キシリュウネプチューン、トリケーン!!」」
叡智と栄光の、高貴なる騎士。
「うおお……!」
「モサレックスとトリケーンが、合体したティラ!」
「陸と海、新たな合同か……」
主に騎士竜たちが感慨に浸っているが、テンヤのプランではそれどころでない。
「みんな今だ!ただのネプチューンに攻撃を!!」
「お、おうよ!」
困惑する偽ネプチューンに対し、騎士竜たちは一斉攻撃を開始した。ディメボルケーノが火炎を吐き、ミルニードルが針を飛ばし、アンキローゼが槌尾を叩きつける。
そしてタイガランスとティラミーゴの爪と牙が炸裂すれば、堪らず偽ネプチューンは倒れて本来の姿を晒した。
「よし今だ、ショートくん!」
「──ああ!」
「「キシリュウネプチューン、ツインホーンストライクっ!!」」
ナイトトライデントとナイトソードの刺突が、嵐のように降りそそぐ。その渦中にとらわれればもう、耐えきるよりほかに生き残るすべはない。
ワーウルフマイナソーに、そんな耐久力は残されていなかった。
「グアァァァァァ──!!?」
全身を蜂の巣にされた狼男は、哀れ粉々に爆発四散するのだった。
*
「ふぅ、ここはこんなもんか」
袖で汗を拭いつつ、ショートはため息をついた。
幸いにして、校舎や学校周辺に被害が及ぶことはなかった。ただ戦闘の影響で随分校庭が荒れてしまったということで、リュウソウジャーの面々は整地作業を買って出ていたのだ。
「けっ、ンで俺らがこんなこと……」
「いいじゃねえか、カツキ。結局俺ら、ほとんど何もしてねえんだし──な、ティラミーゴ?」
「はたらく、ティラァ!!」
はしゃぐミニ騎士竜たち。手伝っているつもりの彼らの行動はほとんど逆効果なのだが……それはまあ、ご愛嬌の範疇である。
ふと、テンヤは顔を上げた。その視線が、校舎を捉える。
「残念でしたね。本当の代わりの先生、来てしまって」
目ざとく声をかけてきたコタロウに、テンヤは苦笑を向けた。蓋を開けてみれば、自分とショートが代用教員だと誤解されたのは学校側が日を一日間違えていたというだけのことだった。
今となっては誤解も解け、茂みの中で気絶していた本物の用務員さんの代わりにこうやって働いているというわけである。この学校にとって自分たちは、どこまで言っても代わりなのだ。仕方がない。結果的に騙す形になってしまったことを咎められなかっただけでも十分だろう。
──それに、
「コウジ、動物と話せるってホントだったんだな!」
「ウソつきなんて言ってごめんな」
「今日からあたしもお世話手伝うよ!」
クラスメイトたちに囲まれ、嬉しそうに頬を染めるコウジ。心優しい少年のそんな笑顔を見ることができた──ただそれだけで、テンヤにはこれ以上ない僥倖なのだった。
つづく
「実は今日ね、かっちゃんの誕生日なんだ」
「おめェらってさ、言葉が足りなさすぎるんじゃねえかな」
次回「デクからかっちゃんへ」
「お誕生日おめでとう、かっちゃん」
今日の敵<ヴィラン>
ワーウルフマイナソー
分類/ビースト属ワーウルフ
身長/220cm
体重/195kg
経験値/339
シークレット/"人狼"の名を冠したマイナソー。狼らしく図抜けた脚力で跳び、駆け回るだけでなく、すぐれた擬態能力ももっている。満月の夜には手がつけられなくなるという噂?もあるぞ!
ひと言メモbyクレオン:変身ってイイよな~オレも高身長イケメンになってみたい……。ってか今回、オレの出番ここだけ?