【完結】僕のリュウソウアドベンチャー   作:たあたん

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旧ハンターOVA G.I.編ED「もしもこの世界で君と僕が出会えなかったら」
映画アフターのロディの心情にこれでもかとマッチしている曲です。ぜひお聞きあれ


26.天空のロディ 3/3

「ガアァァァァ────ッ!!」

 

 耳を劈くような烈しい叫び声。猛禽類であることを示す鋭い眼光。それらすべてが、ピノとその上に乗る少年たちに向けられている。

 

「ちょっ……私ら標的にされとる!?」

「この辺りにはあのような巨大な鳥が──」

「いねぇよ、あんなの!」ロディが反駁する。「あんなんいたら商売あがったりだっての!」

 

 そう──あの怪鳥は、自然に存在するものではない。ならば答は、自ずと出た。

 

「かっちゃん、あの鳥──」

「わーっとるわ。あのクソ道化師どもだな」

 

 クソ道化師ことワイズルー、そしてクレオンが、通りがかりに放っていった置き土産。──つまり、マイナソーだ。

 

「ッ、ティラミーゴ、みんな!あいつと戦えるか!?」

「ここじゃ無理ティラ!」

「いったん地上に降りるしかないか……!」

「でも飛んでる相手じゃ、キシリュウオーは──」

 

 遠距離攻撃の手段がないわけではない。しかし高空を自在に飛び回る敵が相手では、不利は免れない──

 しかし怪鳥──ロックマイナソーは、そんな少年たちの葛藤に対しなんの容赦も加えはしなかった。態勢を地上と垂直に変えると、翼を激しく羽ばたかせはじめたのだ。その動作は空気を薙ぎ、奔流を巻き起こす。それはやがて旋風へと変わり──そして、ピノの身体を呑み込んだ。

 

「うわ──」

「Pi……Piii……!」

 

 吹き飛ばされぬよう、懸命に姿勢を保とうとするピノ。ベルトで固定されているロディたち乗り手だが、それとてこの暴風を前には千切れてしまう危険があった。

 

「ッ、これは……やべぇかも……!」ならば選択肢はひとつ、「──離脱する!」

「離脱ったって──」

「任せろって!」

 

 翻弄されながらも、ピノは巧みに緩急をつけながらマイナソーと距離をとっていく。そして風の勢いがわずかに緩んだところで、ロディは一気に彼を降下させた。半ば墜落するような勢いに、皆、内臓が口から飛び出してしまうのではないかという激しいゲージ圧を味わった。

 

「ッ、いぎぎぎぎ……っ」

「耐えろよ、リュウソウジャー……っ」

 

 コタロウや弟妹だけは気がかりだったが、今さらとりやめるわけにもいかない。急降下を続けたピノは、そのまま峡谷の裂け目に身を潜り込ませる。

 

「グァアアアアッッ!!」

 

 咆哮を響き渡らせる怪鳥はあとを追ってこようとするが、巨体が災いして裂け目に翼が引っかかってしまうようだった。旋風も届かず……暫くして彼あるいは彼女は、再び高度を上げて飛び去っていく。遠ざかっていく姿を認めて、ロディはほうと息をついた。

 

「っぶねー……助かったぜ。ピノ、大丈夫か?」

「Pi!」

 

 なんだかんだともに修羅場をくぐり抜けてきたおかげで、ピノのほうは問題ない。──ただ、ロディの背後に座っている連中のほとんどはグロッキーのようだが。

 

 ひとまずは皆地面に降り、休憩することにした。空の上では水も飲みにくい。喉は渇いていたし──何より、吐き気を紛らわす必要もあった。

 

「まさかマイナソーが、空の上にまで出るとはな」

 

 海底で生まれ育ったおかげか、そういった特殊なダメージとは無縁なショートがつぶやく。それに鼻を鳴らしながらも応じたのは、彼と仲が良いのか悪いのかいまいち判然としない威風の騎士で。

 

「海ン中にもいんだ、どこにだって出るわ。あのキノコ野郎、たぶん鳥かなんかからマイナソーつくりやがったんだろ」

「ひたすら叫ぶだけだったものな……。しかし、どうする?」

 

 「ゾラのときと同様、ヤツを倒さなければ先へ進めないぞ」と、テンヤ。どうするって、既に答は決まっていて、彼自身もそれはわかっていた。

 

「もちろん、倒すしかない。あんなのが空を跋扈してたら、ロディのこれからの仕事にもかかわる」

「いや、俺は別に……」

「きみのためだけじゃないよ。あいつが周辺の人里を襲わないとも限らないし……マイナソーが完全体に育つ前に、ケリをつけなきゃならないんだ」

 

 決然としたイズクの言葉に、ロディは目を丸くし──時を置いて、皮肉めいた笑みを浮かべた。ああそうだ、コイツはこういうヤツだ。そしてそんな男と、肩を並べて戦う同じ称号の持ち主たち。

 

「──わわっ、ピノどうしたの?」

「!」

 

 はっと我に返ると、ピノがその巨体をイズクに擦りつけていた。彼と目が合い、苦笑を向けられる。その意味を知っているロロとララ、そしてカツキ……は、半ば嘲りに近い笑みだったが。他の初対面の面々は、ただただ当惑している。

 

 頬を赤らめたロディは、彼らの間に強引に割り込んだ。

 

「やーめーろって、ピノ……。──まったくさぁ、あんたらの正義感には脱帽するよ。で、具体的にどうすんだい?キシリュウオーがどうとか言ってたケド」

「そうなんだよなぁ……」

 

 陸と空では、後者が明らかに有利──先ほどもそれが引っかかって、即応できなかった。究極的にはそれでも、不利を承知で戦うしかないのだが。

 

「なら、同じフィールドで戦うかい?」

「!」

 

 如何にも簡単そうに言うロディに、皆の視線が集まる。

 

「ピノがあんたらの足になってやる、振り落とさねえって保証はできねーけど」

「でも、それは──」

 

 ピノやロディを、危険に晒すことになる。当然の憂慮だったし、ロディもそれは承知していた。

 だとしても、

 

「俺だってリュウソウ族の端くれだ。この世界をヤツらから守る使命がある……なーんて、大それたことは言わねえけどさ。カッコいいと思える自分で、あり続けたいんだよ」

「……ロディ、」

 

 それは()()()、ロディが身につけてしまった矜持だった。選ばれし騎士ではないけれど、騎士のようでありたいと──イズクやカツキと、肩を並べられる人間でありたいと。

 

「俺らの使命はヒーローごっこじゃねえ」

 

 冷厳な言葉が、地の底に響く。眉を顰める者もいたけれど──彼の言葉には、続きがあった。

 

「そこまで言ったからには、てめェも本気でやれ」

「ははっ……言われるまでもねぇよ、──カツキ」

 

 口の端を上げて笑うロディのアッシュグレイの瞳には、静かなる炎が揺らめいていた。

 

 

 *

 

 

 

「じゃあ行ってくるな。とっとと片付けて迎えに来っから、ここから動くんじゃないぞ」

「……わかった」

「おにいちゃん、気をつけてね……」

 

 非戦闘員であるコタロウとロロララ兄妹をいったん谷底に置き、ピノは再び飛翔した。あっという間に四方が開放され、風がビュンと音をたてて吹きつけてくる。

 

「マイナソーのやつ、いねぇな」

「どこかへ飛び去ったのか……」

 

 皆、今回は安全帯を付けていない。それどころか座席にも座らず、立ち上がって周囲を窺っている。言うまでもなく、こんなのは序の口にすぎない。マイナソーが現れたら、この不安定な足場で剣を振るわなければならなくなる。厳しい戦いになるだろう。それでも、騎士たちの目には戦意が漲っていた。

 

「任せて、今日は私が捜しちゃる!」

 

「キケソウル!」──聴力を強化するリュウソウルを使用し、オチャコは目を閉じた。風の音、ピノの羽ばたきの音、普通の鳥たちの翼の音──それらを排し、徐々に音の世界がクリアになっていく。

 

 そして……聴こえてきたのは、それらよりひときわ烈しく猛々しく邪悪な音。

 

「いた……!北北西!」

「ロディ!」

「Roger!」

 

 ロディの"操縦"により、ピノが勢いよく方向転換する。そして全速力で、飛行を開始した。

 その姿は程なく、肉眼で捉えることができた。

 

「いた……!」

「みんな、チェンジだ!」

「てめェが仕切んなクソデクゥ!──いくぞてめェらァ!!」

「仕切りたがりだなきみは!?」

「おかげで迷わず突っ走れるってもんよ、いくぜ!!」

 

──リュウソウチェンジ!!『ケ・ボーン!リュウ SO COOL!!』

 

 少年たちの身体が、一瞬にして色鮮やかな鎧に覆われる。さらに、

 

『リュウ!ソウ!そう!そう!』『強!リュウ!ソウ!そう!』『ドンガラノッサ!エッサモッサ!めっさ!ノッサ!モッサ!ヨッシャ!!』

 

『──この感じィ!!』

 

 どちらかというと戦衣と呼ぶにふさわしいリュウソウメイルの上から、正真正銘の鋼の鎧が装着される。レッドとゴールドのそれは胴体に、残る四人のそれは右腕に。

 

「クァア゛アアアアア──ッ!!」

 

 こちらの突撃に気づいたマイナソーが、旋回して向かってくる。翼がぐわっと広がる。先ほどと違って結ぶものなしでピノの上に立っているのだ、あんな大風を巻き起こされたら一瞬で吹き飛ばされてしまう。

 

「その手を喰うかよォ!!」

 

 言うが早いか、爆炎とともにブラックが跳躍する。そのまま断続的に爆発を引き起こすことで、彼は実質的に飛行能力を獲得しているのだった。

 

「オラァア!!」

 

──BOOOOM!!

 

 リュウソウケンが振り下ろされ、劫火が片翼を呑み込んだ。

 

「グァアアアア!!?」

 

 悲鳴とともに、ロックマイナソーの羽ばたきが停滞する。これで風は起こせなくなったが、とはいえ墜落するほどのダメージではない。

 

「今だ、接近を!」

「オーライ!」

 

 ロディの応じる声とともに、ピノが一挙に標的へ肉薄する。大風はブラックが妨害してくれているとはいえ、それでマイナソーの戦闘能力が完全に封じられたわけではない。鋭く巨大な嘴も鉤爪も、そこで出番を待ちわび光っているのだ。

 しかし、

 

「そいつも、使わせねえ」

 

 冷静なゴールドの声。と同時に、モサチェンジャーから電光弾が連射される。それらは射手の才により、上記のような武器になる部位に確実に着弾した。

 とはいえ、ロックマイナソーはピノを遥かに凌ぐ巨躯である。直撃も牽制程度のダメージにしかならない。動きを鈍らせることしかできないのは、もとよりゴールド自身も承知のうえではあったが。

 

「わかっていたとはいえ、不愉快だな」

「大丈夫、きみのバトンは受け取った!」

「ようしいっくよぉー!」

 

 可愛らしい声とは裏腹に──ピンクのもつリュウソウケンが、みるみると膨れあがっていく。彼女の竜装した鎧は、ムキムキソウル。筋力を強化し、パワーを飛躍的に上昇させる。そしてその必殺技として、リュウソウケンが筋力ぶんだけ巨大化するのだ。

 

「ストレングス、ディーノスラァッシュ!!」

 

 巨大化するということは、つまりリーチも長くなるということ。未だ一定の距離を保ったまま、リュウソウジャーは第二撃に成功したのだ。

 

「グワア゛ァ──グオォォォォ!!」

 

 "必殺技"は確かにマイナソーを傷つけた。しかし倒すにはまだ足りず、むしろ怒りを昂らせる。その巨体が無茶苦茶に暴れ出すだけで、不安定な戦場に立つリュウソウジャーには十分な脅威になる。

 

「暴れんなや、クソ鳥がぁ!!」

 

 それを抑えるべくマイナソーの眼前で刃を振るい、爆破を起こし続けるブラック。彼に至っては足場もない、体力に恃んで滞空を続けているような状況。いつまでも彼を空気の上に置いておくわけにはいかない。隙を突き、ピノはさらに接近を試みた。

 

「テンヤくん!」

「うむ!──はぁッ!!」

 

 翼が擦れるほどに距離を詰めたところで──ツヨソウルを纏ったブルーとグリーンが、強化された刃を振るう。果たしてそれはマイナソーの表皮を傷つけたが、致命傷を与えるには至らない。反撃を受けぬようにそのまま離脱──つまり、ヒットアンドアウェイで仕掛けるしかないのだ。

 

「むぅ、深く斬り込めん……!」

「あきらめちゃ駄目だ、もう一度!」

「今度は俺もやるぜ!」

「俺が支援する。ロディ、もう一度頼む」

「ったく、無茶させる……!」

 

 口を尖らせつつ──次の瞬間にはもう、ピノが急旋回する。ゴールドの射撃、ブラックの爆破でマイナソーの動きを封じつつ、再び肉薄──

 

「お、らぁッ!!」

 

 今度は四人がかりで同時に仕掛けた。手数が増えればそれだけつける傷は増える。そしてそれにあわせて、マイナソーの動きも乱れて激しくなる。

 

「グワ゛アァッ!ア゛ァァァッ!!」

「チッ……オイ!いつまでかかっとんだてめェら!!」

「……流石に精度が下がってきた、そろそろ──」

 

 ふたりのサポート役に、疲れが見えはじめたときだった。猛り狂っているように見えながら、いやだからこそロックマイナソーは、その瞬間を待ち受けていたのだ。

 

「グアァアアア゛──ッ!!」

「!?」

 

 鉤爪が振り下ろされる。咄嗟に妨害を仕掛けるブラックとゴールドだが、その勢いは防ぎきれない。

 

「ッ、Shit……!」

 

 ロディは慌てず舵を切った。それに呼応したピノも素早く身を翻したが、

 

「Pi……!」

 

 刹那、彼は痛々しいうめき声をあげていた。鉤爪の先端が、わずかに翼に掠ったのだ。

 

「ピノっ!?──ッ!」

 

 ピノの身体がぐらりと傾く。しまったと思ったときにはもう、グリーン──イズクの身体がピノの背中から離れていて。

 

「あ──」

「ッ、デク!!」

 

 彼は自分の一番近くにいる。ベルトさえなければ、手が届く。

 ならばと、ロディは躊躇しなかった。安全帯を外し、身を乗り出してまでグリーンの手をとった。

 

「!、ロディ、無茶だ「言うなよヒーロー!!」──!」

 

 無茶なんて百も承知だ。しかしそれを押し通し、勝って救けて、救けて勝った連中をロディは目の当たりにした。その勇姿が、彼の心に消えない火をつけたのだ。

 

「俺だって……っ、──俺の騎士道、見せてやる!!」

「────ッ!」

 

 限界まで身を乗り出したロディが──ついに、離れかかる友を引き戻した。

 

「……ッ、──ありがとう、ロディ……」

「へへっ……ドーイタシマシテ。勇者サマ?」

 

「──うおぉッ、おめェら熱いぜ……!っし、それなら!」

 

 レッドはすかさず思いもかけぬ行動に出た。自らの強竜装を解除すると、メラメラソウルをグリーンに投げ渡したのだ。

 

「使え、イズク!そんで翔べ!」

「え、エイジロウくん!?」

「ハァ!?おまえ何言って──」

 

 グリーンはもちろんロディも困惑する。無理はない、せっかく危険を冒してまで彼の墜落を防いだのだ。

 もちろん、レッドにはレッドなりの考えがあった。

 

「墜ちるのと自分の意志で翔ぶのは全然違ぇだろ。カツキと一緒に決めて、カツキと一緒に戻ってくりゃいい!──できるよなー、カツキ!?」

「ア゛ァ!?デクひとりくれぇ軽ィわ、クソがっ!!」

 

 なぜキレ気味なのかは推考の余地があるが、とにかく可の返答があった。ならばあとは、やるかやらないかだ。

 

「……エイジロウくんは、たまに僕やテンヤくんでも思いつかないようなことをやってのけるもんね」

 

 顔を上げたグリーン。──彼はそのまま、握りしめたメラメラソウルをリュウソウケンに装填した。

 

「ふ──ッ!」

『強!リュウ!ソウ!そう!──この感じィ!!』

 

『メラメラソウル!メラメラァ!!』──燃えさかる橙の鎧が、グリーンリュウソウメイルの胸部を覆ってみせた。

 

「熱っち!?……ったく、そんなんで近くに居られても邪魔だしな。行ってこい、ヒーロー!」

「うん──!」

 

 躊躇うことなく、グリーンは勇躍した。

 同時に、

 

「これ以上、爪一本振るわせねえ……!──モサブレイカー!」

 

 モサチェンジャーとブレードの合身銃──モサブレイカーを構えるゴールド。風を切る幼なじみふたりの負担を少しでも軽くするために、彼は引き金を引く──!

 

「ファイナル、サンダーショット!!」

 

 稲光の塊が放たれ、ゴールドの身体がわずかに後退する。そのままバランスを崩して投げ出される、ぎりぎりの線だった。

 いずれにせよ放出されたエネルギーの塊は、ロックマイナソーの胴体を直撃した。体長に比して小さな弾丸でも、それが電撃である以上全身に奔った。

 

「ガァアアッ、グア゛ァァァ──ッ!?」

「──今だイズク、カツキっ!!」

「言われんでも……わーっとるわぁぁッ!!」

 

 疾風と威風、ふたりの騎士が太陽を背に刃を振り上げて。

 

「ボルカニック──」

「ダイナマイトォ──」

 

「「──ディーノ、スラァァァッシュ!!!」」

 

 劫火と、劫火。渦巻くそれと爆ぜるそれが混ざりあい、刃と溶けあってマイナソーの首筋に斬り込む。

 

「グガア゛アアアア──!!」

「……ッ、」

「ン、の……!」

 

 凄まじい高火力の攻撃。にもかかわらず、マイナソーは耐えている。分厚い毛皮に、硬い皮膚、そして強靭な筋肉──ふたつの焔の力をもってしても、それらは直ぐに破れるものでは決してなかった。

 

──そんなことは、わかっている。

 

「行けイズクっ、カツキ!!」

「負けるなふたりとも!」

「がんばれぇ──ッ!」

 

 スリーナイツの声援。そして、

 

「ブッ飛ばせ、ヒーロー!!!」

 

 喉を震わせるようなロディの叫びが、ふたりの背中を押した。

 

「「死ィねえぇぇぇぇぇ────ッ!!」」

 

 喰い込んだ刃がついに、幾つもの厚い防壁を突破した。皮膚や筋肉、その下の骨までもを、超高温の烈火が灼いていく。ロックマイナソーは全身を無茶苦茶にわななかせて抵抗するが、既にもう手遅れだ。手遅れなのだ。

 

 ついに、首と胴とが泣き別れた。

 

「!!!!!!!」

 

 断末魔のわななきが響き、司令塔を失った身体が力なく墜落していく。程なくそれは粉々に爆ぜ飛び……残った頸もまた、跡形もなく消滅するのだった。

 

「やっ、た……」

 

 身体から力が抜ける。そういえばここは、足場のない空の上だった。グリーンの身体もまた、風に煽られながら地上へと墜ちていく。

 無論そんなことは、天地神明に賭けても彼が赦さないのだけど。

 

──BOOOM!!

 

 爆発音が響き、漆黒の騎士が彼の身体を俵抱きにする。そして何度も爆破を繰り返しながら、高度を下げたピノの背中へ着地することに成功したのだった。

 

「はぁ、はぁ……あ、りがとう、かっちゃん」

「チッ、気ィ抜くなやボケカスが」

 

 毒づきつつ、軽く肘打ちを叩き込まれる。疲れた身体には軽視できないダメージだったが、それが彼なりの労いと知っているイズクは苦笑するだけだった。

 

「よくやったな、ふたりとも!」

「流石だぜ!へへっ、まだまだ敵わねえな」

 

 彼らがとどめを決めた。マイナソーを倒した。喜びと同時に、わずかばかり悔しい気持ちもあるスリーナイツである。

 それで良いのだ。既に歴戦の騎士であるこの少年たちに追いつき、追い越す。それもまた、目標のひとつなのだから。

 

「ロディも……本当にありがとう」

「ふん……俺だって、騎士だからな」

「……そうだったね」

 

 ロディと拳をぶつけ合う。──戦いは終わった。彼とピノの尽力があって、勝利を掴むことができたのだ。

 

 しかしその余韻に浸っていられる時間は、程なく終わった。

 

「Pi……i……、」

「ピノ!?」

 

 苦しげな声をあげたと思うと、ピノの身体がゆっくりと降下していく。墜落を堪えてそうしているのは明白で、ロディにしても高度を保たせようとはできなかった。

 やがて地上、といえるのかも怪しい隔絶された断崖の上に降り立つと、ピノはそのまま身を沈めた。

 

「ピノっ!!」

 

 すぐさま背中から降りるロディ、当然皆もそれに続く。

 

「翼が傷ついた状態で、無理をさせてしまったか……」

「待ってろ、今カガヤキソウルで──」

 

 治癒、再生を掌るシャインラプターのソウルを使おうとしたときだった。

 

「!、なぁ……ピノ、なんか小さくなってきてねえか?」

「え?──!」

 

 ショートの言う通りだった。ヒト数名を乗せても余裕のあるピノの身体がみるみるうちに縮んで、いつの間にか自分たちと同等くらいにまで小さくなっている。

 

「ピノ!?どうした、ピノっ!」

 

 ロディの必死の呼びかけにも反応はない。そうして最終的に、彼はロディのてのひらに収まるほどの大きさに縮んでしまった。

 

「ピノ……なんで……?」

 

 くたりと横たわるその身を掬い上げながら、困惑ロディ──そして、リュウソウジャー一行。

 何もかも理解しがたい状況下で、言えることはふたつ。ピノがもとに戻らない限り西の大地へたどり着くのは困難になってしまったこと、そしてそれ以前に、地の裂け目に置いてきてしまった少年たちを、迎えにさえ行けないということだった。

 

 

 つづく

 

 

 




「人か獣か、自分は果たしてどちらなのか」
「どんな姿をしていようが、同じ人間なのに」

次回「地の底に棲むもの」

「僕は行くよ。僕なりにできることを、見つけるために」


今日の敵‹ヴィラン›

ロックマイナソー

分類/バード属ロック
全長/34.6m
体重/422t
経験値/609
シークレット/ゾウを丸呑みにするという伝説の怪鳥"ロック鳥"を模したマイナソー。天上を猛スピードで飛び回り、その羽ばたきは大風を巻き起こす。その鉤爪で捉えられ、嘴で責めたてられたらひとたまりもないぞ!
ひと言メモbyクレオン:リュウソウジャー対策に置いていってやったんだZE!……向こうも空飛んでくるとは思わなかったけど。

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